都市少女ノ鏡世界   作:都市の大魔女

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南部ウーフィ協会4課 アンアン

「う、ううむ……」

 

「おい、お前どうしたんだ?顔色悪そうだが。」

 

「いや……次の仕事の事でな。」

 

「ああ、あの有名な頑固爺さんのやつだっけ?この前散々愚痴ってたよな?」

 

 ウーフィに務める一人の男は、どうも次の仕事のことに対して悩んでいるみたい。

 

「確かに大変そうだけどさ……今更ビビったってしょうがないだろ?」

 

「そうじゃないんだ……」

 

「え?どういうことだよ?」

 

 同僚の頭に疑問符が浮かぶ。死ぬほどに面倒なことで有名なあの爺さんよりも、彼を悩ませることがあるというのか。

 

「ちょっとこれ見てみろよ……」

 

「えーっと……?4課からの支援に関する書類か。こいつがどうしたんだよ?」

 

 どうも、同僚はイマイチピンと来ていないようだ。

 

「名前の所までちゃんと読めよ……ほら、こいつって最近噂の奴だよ。」

 

「ああ!『4課の眠り姫』か!処理が難しい案件に出てくるっていうあの……」

 

「眠り姫?お前が聞いたのはそんな可愛らしい噂だったのか?」

 

「は?じゃあお前が聞いたのはどんなのだよ。」

 

「……暴君。」

 

 男の顔には心なしか、汗が増えたような気がする。

 

「なんでも、食堂のメシを全部喰らい尽くしただとか……同僚を犬みたいにしてその上に乗っただとか……そんな噂ばっか俺は聞いたんだ。他にも……」

 

「いやいや、いくらなんでもぶっ飛びすぎだろ……」

 

 どうも、その人物の噂に関しては様々な情報が錯綜しているようで、中には出鱈目な情報もいっぱい混ざってるみたい。

 

「流石にそりゃねぇよ……俺は実際に見た事あるしな。」

 

「マジか?どんなのだった?」

 

 同僚は噂の人物について実際に見た情報をありのままに伝えたけれど……

 

「いや、嘘だろ?」

 

 どうも彼にとっては信じ難いらしい。

 

「はぁ……ま、実際に見てみろよ。」

 

「きっと驚くぜ。」

 

 

 

 

「揃ったようだな。では、契約者双方の行う契約への立ち会いを始める。」

 

 そう進行を進めていく男の顔は一見いつも通りの平常心を保ってはいるけれど。

 実際にはその心は隣に立つ一人の少女に向けられていた。

 4課の噂の人物というのは、同僚から伝えられていた通りで……とても同じウーフィのフィクサーとは思えない程に小柄で、強そうにも見えない少女だった。

 何故、4課はわざわざこんな人物を送ってきたのか、男には理解できなかった。

 けれど、一々考えている必要はないと判断して、男は仕事に集中することにしたんだ。

 今は何よりも、目の前の契約を取り仕切る方が大事だから。

 けれど……

 

「何言っとるんじゃ!それはこっちのもんだと言ったじゃろう!」

 

「いや、ですからそれはあなたに所有権はなくて……契約の時に納得したはずですよね?」

 

「ワシはそんな事言っとらん!!」

 

「契約書にもそう書いてあるでしょう……!?」

 

「ふん、どうせでっち上げじゃろうが!」

 

「おい、お前ら。静かにしろ!さもなくば……」

 

「お前は黙っとれぇい!!」

 

 いつの間にか話し合いの場だったはずの会場はヒートアップし、本来なら簡単に止められるはずの男でさえ、止めることはできなくなっていた。

 どんどんと熱気は高まっていき、あわよくば殴り合いになりそうという所で……

 

 

「お前たち、【黙れ】

 

 

 その瞬間、さっきまで大騒ぎだったはずの空間が静まり返る。

 隣の少女がようやく、口を開いたのだ。

 

「……契約に納得していたというのは本当か?【真実だけを話せ】

 

 老人は喋ろうとしない。

 ……いや、喋ろうとしているが、喋ることができないようだ。

 

「……ああ、【喋っていい】

 

「ほ、本当……じゃ。」

 

 男は驚きを隠せなかった。

 あれだけ頑固なあの老人が、一人の少女の言いなりなのだから。

 まるで少女の言葉に、強い説得力があるかのように……人々はその言葉通りに動いていく。

 荒れていたはずの会場は、瞬く間に厳正な話し合いの場へと早変わりした。

 ああ、だから彼女はここに呼ばれたのか。

 男はそう納得したけれど……同時に恐怖も感じていたんだ。

 

 ……だってあんな芸当、普通の人にできるわけがないから。

 その時、男は噂の内の一つを思い出したんだ。

 

 

 4課には……『魔女』がいる。

 

 

 そんな噂を。

 

 

─────

台詞集

 

 人格獲得:お互い、【静かに】するように。ここからはわがはいがこの場を取り仕切る。

 

 朝の挨拶:……何だ、その顔は。どういう噂を聞いたのかは知らないが、わがはいだってちゃんと起きる時は起きるぞ。

 

 昼の挨拶:昼か。わがはいが食堂の全てを喰らい尽くしてやる。なに?そんな事無理だろう、だと?……うるさい。

 

 夜の挨拶:眠い……他の者はこんな時間まで書類を片付けているのか?冗談じゃない……

 

 対話1:……わがはいがわざわざ出向かねばならない案件がこんなにもあるのか……?嫌だ……休ませてくれないか……

 

 対話2:正直言って……この武器はわがはいには合っていないだろう。何度も言っているのに、違う武器を持たせてもらえないから、仕方なく使ってはいるが。

 

 対話3:仲の良い同僚はいるのか、だと?わがはいを何だと思っているのだ。仲の良い者ぐらい……いる。

 

 同期化後の対話1:……うるさい、【静かに】しろ。わがはいがわざわざ喋るということは、契約不履行の寸前という意味だ。

 

 同期化後の対話2:最近ウーフィの存在意義を理解していない契約者が多くはないか?……だからわがはいの仕事が増えるのだ。

 

 放置:わがはいは寝る。起こさないように。

 

 同期化進行:はぁ……わがはいでも駄目というのなら、もうこうするしかない。

 

 人格編成:わがはいがやるしかないようだ……

 

 入場:早く終わらせる。

 

 戦闘中選択:無駄な会話は不要だ。集中しろ。

 

 攻撃開始:仲裁する。

 

 敵混乱:【黙る】ように。

 

 混乱:やめろ……っ!

 

 敵討伐:お前の責任だ。

 

 本人死亡:不履行……か……

 

 選択肢成功:……そうだ、それでいい。

 

 選択肢失敗:……そんなつもりはなかったのだが。

 

 戦闘勝利:終わったか……何?書類を書かないとならないのか?面倒くさい……

 

 EX勝利:わがはいにかかればこんなものだろう。今度は休暇を増やすよう求む。

 

 戦闘敗北:……結局、わがはいが介入しても荒れたか。はぁ……気分が悪い……さっさと【去れ】

 




『魔法』についてですが、概ね本編と同様の魔法が行使できるという想定で書いてます。
ただ、概ねとあるように、場合によっては元の魔法と異なる点が存在したりします。

それにしても、ウーフィは人格も描写もツヴァイとかに比べれば断然少ないから難しい……
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