都市少女ノ鏡世界   作:都市の大魔女

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名前も炎属性も被っている。


LCE E.G.O:: 紅炎殺 アリサ

「戦闘テスト、終了。」

 

「……うむ、概ね良好な結果と言えるだろう。」

 

「ふう……相変わらず疲れますね、これ……」

 

 我々LCEがE.G.Oの抽出に成功してからしばらく経ち……

 現在は抽出したE.G.O装備の様々な検証、データ収集が行われている。

 今日もまた、我々は大罪を用いての装備の実戦検証を行っていた。

 

「……今日は、使用者の違いによる装備出力等への影響に関する実験を行うのだったな。」

 

「ホーエンハイムチーフ。」

 

 この実験には同じ装備を着た人間が二人必要になるが……

 丁度マートンが今回の協力者を連れてきたようだな。

 

「……呼んで来たか。入りたまえ。」

 

 私の一声で部屋に入ってきたのは、先程まで戦闘テストをしていた補助研究員と同じような格好をした、灰のような髪色の少女だ。

 

「……アンタがここのチーフか?」

 

「そうだ。ホーエンハイムという。」

 

「さて、確か君は……」

 

 ……ふむ。

 彼女の名前を言おうとしたところで、私は重大な事実に気がついてしまったようだ。

 

「……そちらの補助研究員と名前が一緒とは、奇妙な偶然もあったものであるな。」

 

 そう、彼女の名前は先程の補助研究員……アリサと一緒だったのだ。

 

「片方を呼ぶ度にもう片方の誤解を解かねばならないのは、実に非生産的と言わざるを得ない。」

 

「区別の為、シドウ君と呼ばせてもらおう。」

 

「……ああ。」

 

 それで構わない、とばかりに小さく頷きながら言う。

 

「それでは早速だがシドウ君、テストに移ろう。」

 

「随分急ぐんだな。」

 

 私はいかにも知的な感じに、眼鏡をクイッと持ち上げて言う。

 

「長々と語り合うのも悪くはないが……今日は君と検証しなければならない項目が山ほどあるのだよ。」

 

 明日以降も、様々な実験の計画を詰め込んでいる。

 それに加え、LCBの者たちの定期検診も予定されているため……そこに新たな予定を入れ込むことは難しいだろう。

 

「……まあ、ウチもその方がいいけどよ。」

 

「さて、まずは……」

 

 

 

 

「……燃えやがれッ!」

 

 テスト用収容室に放たれた、多数の大罪が瞬く間に焼き尽くされていく。

 

「出力良好。感応度も……高い数値が出ています。」

 

「……凄まじい炎ですね。私よりも、明らかに……」

 

 紅炎殺。

 炎の蛾から抽出したこのE.G.O装備は、抽出元と同様に炎を放つ性質を有する。

 彼女の放つ炎は……補助研究員の方のアリサが使用した時よりも明らかに強力なものであった。

 LCEで抽出されたE.G.Oはロボトミーのものと比べると、感応度に応じて幻想体本来の性質を強く引き出すことが可能だが……

 彼女はどうやら紅炎殺に対する高い適正を持っていたようであるな。

 

「ぐっ……うらぁっ!!」

 

「……だが、E.G.Oに強く共鳴することは、同時に危険なことでもある。」

 

 大罪たちがそうなっているように……彼女の体も激しく燃え盛っていた。

 これまでの実験で紅炎殺の感応度を引き上げる程、着用者にも強い負荷がかかることは分かっていた。

 しかし、彼女のそれは想定していた以上に強く、分かりやすく現れているということになる。

 

「それ程にこのE.G.Oが彼女に合っていた……ということなのでしょうか。」

 

「そうと言えるし……そうではないとも、言えるかもしれないな。」

 

 私は予め確認していたLCEの人事プロファイルの内容を思い出していた。

 

 紫藤アリサ。

 ⬛︎区の巣出身。

 大体はこのような極めて一般的な内容が書かれているものだが……

 彼女のプロファイルには、最後の方に注意書きのようなものが書かれていた。

 

 自罰中毒。

 自己を罰するような自傷的な行為を好む傾向あり。

 責任者は彼女が問題を起こさぬよう監督し、緊急時は現場の判断で彼女の危険行為を止めること。

 

 恐らくは、彼女のこの精神性がE.G.Oの性質と強く結び付いていて現れているのだろう。

 己の罪を裁く炎として。

 

「はぁ……はぁ……そろそろ終わりか?」

 

「……どうやら最後の敵のようだ。」

 

 どうやらそう考えている内に、大罪は一体を残して全てが焼き払われたようだ。

 

「あれは……かなり硬い奴でしたよね。」

 

「そうだ。我々がこれまでに観測した大罪の中でも特筆すべき耐久力を有する個体だよ。」

 

 怠惰大罪、その三段階目。

 その守りを貫き、絶命に至らせるには……生半可な攻撃では通用しない。

 つまり……

 

「限界値を見極めるためには最適であろう?」

 

 必然的に、放つことのできる最大の攻撃が必要になるということだ。

 

「でも……大丈夫なんですか?」

 

「ふむ、何か心配事か?」

 

「今でもかなりの出力を出しているのに、これ以上出力を上げてしまったら……」

 

「君の不安はもっともだが……問題はないだろう。」

 

 最大感応による自爆を心配しているのだろう。

 だが、私は何となく……彼女は己を完全に燃やし尽くすことはできないだろうと感じている。

 

「どれだけ思い焦がれても得られないなら……」

 

「自ら飛び込み燃え上がれ……その炎の中で!」

 

 収容室内から響いてくる爆発音。

 

 補助研究員たちは慌てて収容室内を確認しに行くが、私は特に慌ててなどいなかった。

 

 罪を背負い、己を罰する為には、生きなければならない。

 私は、それを知っている。

 であるから……

 

「ああ、クソ……」

 

 爆発した彼女がそうして生きていたのは、何も不思議なことではなかった。

 

 

─────

台詞集

 

 人格獲得:一匹の灰色の蛾は……好奇心のままに炎へ飛び込み、取り返しのつかないほどに、その身を焦がしていたんだ。

 

 朝の挨拶:……朝か?ここはよく分からねえ場所にあるせいで、時折時間の感覚が分からなくなるんだよな。

 

 昼の挨拶:なんだよ、ウチが昼飯を食べているのがそんなに珍しいか?確かにここの連中は研究に熱中して昼飯はすっぽかす奴らばっかだけどよ……

 

 夜の挨拶:ここは定時退勤を推奨してるみてーだけど……あいつらはそんなのどうでもいいって連中ばっかだからな。まあ、ウチもその一人だが……

 

 対話1:ウチのような奴が何故こんな場所にいるのか気になってるみたいだが……そんな事わざわざてめーに話す必要があるか?

 

 対話2:ここは昔のL社のシステムとかを参考に作られているらしいが……こんなとこの参考になるってことは、多分ロクでもない場所だったんだろうな。

 

 対話3:戦闘テストの度に大罪っていうのと戦わせられているけどな……あれってどこから湧いてくるんだ?どこかで聞いたような気もするが……思い出せねえ。

 

 同期化後の対話1:(鳴り響く警報音)……幻想体の脱走、か。どういう原理で逃げてんのかは分からねえが……さっさと叩きのめしてやんねえと。他の奴らを危ない目に合わせてやる訳にはいかねえからな。

 

 同期化後の対話2:こいつの炎は目の前の邪魔な奴だけじゃなく、ウチの体までも燃やしてしまう。まるで、積み重なった罪を裁くようにな……

 

 放置:……お前、何のためにウチを呼んだんだ?黙ってちゃ何も分からねえだろ。

 

 同期化進行:焦がれたものの為なら……揺らめく炎にも、自ら近づいてやる。

 

 人格編成:また実験か?仕方ねぇな……

 

 入場:全部燃やし尽くしてやる。

 

 戦闘中選択:ウチに近づくんじゃねぇ。死にたくなけりゃ……

 

 攻撃開始:制圧開始だ。

 

 敵混乱:効いたみてえだな……!

 

 混乱:ぐっ……!

 

 敵討伐:燃え尽きちまったな。

 

 本人死亡:こんな死に方は……望んじゃいねえのに……

 

 選択肢成功:まあ……大体は予想通りだったな。

 

 選択肢失敗:……チッ、やらかした。

 

 戦闘勝利:もう実験は終わりか?なんというか不完全燃焼って感じがするな…… もっと何か無いのかよ。

 

 EX勝利:ああ、悪くないな。こいつとの相性も結構良いみたいだし、実験結果も良好だ。

 

 戦闘敗北:動けねぇ……感応度を上げすぎちまったか……?

 

 『紅炎殺 最大感応 【劣化侵蝕】』使用時:揺らめく炎へ自ら飛び込んで……その身を燃やし尽くせ!

 




次何書こうか悩んだ末に、次が定期検診復刻なのと名前繋がりでこのチョイス。
ただしこの世界線ではLCEにアリサが二人いるものとする。
以下おまけ。

─────
紅炎殺 アリサ
HE
覚醒:お前をあの炎の光の中に連れて行くことはできなくても……抱いて、新たな光にはしてやれるはずだ。
侵食:たった一つの好奇心が……ウチの身体を燃やして燃やして燃やし尽くすんだ!
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