都市少女ノ鏡世界   作:都市の大魔女

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おじさんは社畜しているの似合う気がするのは私だけですか?


W社3級整理要員 ミリア

 色々あった中で何とか掴んだW社への切符。

 その時の私は根拠のない希望をそれに抱いていた。

 新しい生活への期待。翼というものへの幻想。

 あの人もとても喜んでくれて。

 W社での生活はきっと、良いものになると信じていた。

 

 けれどそんなものは一瞬にして、打ち砕かれてしまった。

 血と肉に塗れた列車。

 ある者は自ら心臓を抉り、またある者は誰かの骨、皮を飾りにして身につけて。

 見るに堪えない凄惨な光景が、列車には広がっていた。

 それを見た私は……

 

「うっ……」

 

 

 

 

 ピピッ……ピピッ……

 

「……夢、かぁ。」

 

 ここに来たばかりの頃の夢を見ていたみたい。

 あの時感じていた不快感が覚めてなお、残り続けている。

 

「……早く行かないと。」

 

 けど、昔の事に浸っている余裕はない。

 すぐに準備を整えて、職場に向かう。

 

 

 

 

 列車の中に、人であったものたちが並んでいる。

 その全てが、ワープ列車の乗客だ。

 ワープ列車は10秒で目的地に行ける便利な移動手段として知られているが、殆どの人はその真実を知らない。

 彼らは知らず知らずのうちに耐えられない苦痛を体感させられている。

 不平等に。

 ……けれど、私にはどうすることもできない。

 嫌気が差す。

 辞めてしまおうかなと何度も考えた。

 何ならいっそ死んでしまおうかなと思ったこともある。

 辞めようとした人は酷い手段で『退職』させられるという噂があったから。

 ……けれど、大切な人が笑顔で送り出してくれたあの顔を思い出すと、そういう気にはなれなかった。

 だから、辛くても今日まで何とか頑張ってきたんだ。

 

 

「ミリア……集中できていないようだが。」

 

「うーん、何かあったんですかねー?」

 

 きっと、あの夢を見ちゃったせいだ。

 さっきからずっと頭の中で余計なことばかり浮かんで、消えている。

 

「……大丈夫だよ二人とも。おじさん元気だから。」

 

 「本当ですか〜?」

 

「……」

 

 二人は気になることがあればとことん追求するタイプだ、こんな言葉じゃ納得してくれない。

 厳しいヒロちゃんのことだ、「集中できないのなら帰れ」とでも言いそうで、怖い。

 ようやく3級整理要員になったのにこれでは立場が危うい。

 何とか言葉を探していると……

 

「……君が大丈夫というなら、構わない。」

 

 ヒロちゃんがそう言った。

 

「誰だってそういう時はあるものだろう。」

 

「だが、危険だと判断したら下がってもらう……分かったね?」

 

「……う、うん!」

 

 きっと、彼女なりの優しさだった。

 だったら、その優しさには応えなくちゃならない。

 これは大切な人に教えられたことでもある。

 だから、私は気合いを入れ直すことにした。

 

 ……そういえば、あの人は今どうしているのかな。

 

 

 今思えば、朝見たあの夢も。

 さっきまで浮かんでいたあの顔も。

 どこかでこれを予感していたからかもしれない。

 私の決意はいつも、理不尽に折られてしまう。

 

「この人、だいぶ刺されちゃってますね!」

 

 「特別珍しいタイプではないが、ここまで徹底的にやられているのは……」

 

「……ぁ」

 

「……ミリア?」

 

 腹に数多の武器が突き刺さった、一人の乗客。

 私の視線は、その顔に向けられていた。

 信じたくない事実を、無理やり突きつけられるかのように、釘付けになって。

 

 今日、何度も何度も思い浮かべたあの顔が、そこにあった。

 

 ─────

台詞集

 

 人格獲得:……今日も早く、仕事に行かなくちゃ。

 

 朝の挨拶:えっと、朝ごはんはその……気が進まないんだ。入社したばかりの頃に酷い目にあったからさ……

 

 昼の挨拶:停留所のお弁当、場所によって結構バリエーションが違ってて面白いんだよね。おじさんの数少ない楽しみの一つなんだ。

 

 夜の挨拶:今日はそうでもないけど……酷い時は夜中ずっと働き詰めになることもあるんだよね。おじさん、過労死しちゃうよ……!

 

 対話1:ワープ列車には色んな乗客がいるんだ。中にはとても酷いのも沢山ある。だから私は、何とか心を無にして……片付けるんだ。

 

 対話2:シェリーちゃんはどんな時も動じないし、ヒロちゃんは仕事に対してとても真面目だけど……おじさんは全然ダメなんだ。いつも、目の前の乗客のことばかり考えてしまうから。

 

 対話3:3級は時に新人の教育を担当することもあるんだよね。おじさん、よくそっちの仕事も任せられるんだけど……みんなの顔を見ていると、懐かしいなーって気持ちになるんだ。

 

 同期化後の対話1:整理要員の武器って色々あるけど、基本は何かを切り裂けるっていうのは共通しているよね。多分、整理する上でその方が都合が良いからだと思うけど……ちょっと気が引けるというか。あはは……こんなこと言ってちゃダメだよね……

 

 同期化後の対話2:この世界じゃこういったことが普通だって理解しているつもりでも、私たちの大切な人が知らない内に酷い目にあっているって考えると…………ごめん、この話はやめよっか。

 

 放置:えっと……いつまで待てばいいのかな……?

 

 同期化進行:え?おじさんが?そ、そんなに期待しないほうがいいと思うけどな……

 

 人格編成:斧は……うん、大丈夫。

 

 入場:……大丈夫。やり切れる。

 

 戦闘中選択:お、おじさんまだ仕事があるからさ……

 

 攻撃開始:整理するよ……!

 

 敵混乱:お、大人しくしてもらえると……

 

 混乱:うわわ!?

 

 敵討伐:……ごめん。

 

 本人死亡:向いてなかったの……かな……?

 

 選択肢成功:マニュアル通りで良かった……!

 

 選択肢失敗:あ、あれっ!?

 

 戦闘勝利:ふ、ふぅ……結構大変だったけど……無事に終えられて良かったよ。

 

 EX勝利:思ったより早く終わったね……!?おじさんちょっとゆっくり休もうかな……?

 

 戦闘敗北:うっ……だ、大丈夫。慣れていたつもりだったけど……久しぶりに思い出しちゃったみたい。

 




ワープ列車は結構色々な人が利用すると思うんですけど……整理要員の知り合いが乗るってこともあると思うんですよね。
もし整理要員が整理中に見るも無惨な姿になった知り合いを見たら……どういう反応を見せるんでしょうか。
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