さあ少し調子に乗った結果、どうなるのか……
一体どうしたらそうなるのか、そんな爆心地に一人白い少年は佇んでいた。彼の名前は一方通行(アクセラレータ)。そこは大木が根こそぎ倒され、草は雑草まで消し飛んでいた。そして倒れる怪物達。全ては一方通行がやった事だった。その時間は一分。これだけで森の一部を吹き飛ばすのだから彼の怪物性が分かるだろう。だがこれでも彼の中では怖じ気づく怪物どもを引っ張るために行ったのであり、森そのものをどうこうするつもりは無かったのである。
取り合えずそこらへんの怪物の一人に適当に近づき、
「オイ。ここはどこだ?」
そう。この凶悪な破壊もただその情報を引き出すためだったのだ。案の定余計な抵抗も無くその巨大な猿は答えた。前に吹き飛ばした猿の仲間だろうか?
『ハ、ハイ。ここは箱庭。修羅神仏、悪魔、精霊などの生物がひしめく世界です』
一方通行は耳を疑った。どうやら本当に別世界だったようだ。だが彼にも守らなければ存在が有り、その為の帰還方法も聞き出す事にした
「……ならここからはどうやって地球に帰ンだァ?」
『し、知りません。私みたいな一介の幻獣には――――ヒィッ!』
いきなり悲鳴を上げたのは一方通行に睨まれたからだ。本当に知らないのか、そんな事はどうでもいい。帰り方を聞いている。知らないなら用はない。そんな目だった。猿は生物的な恐怖から、可能性を持つ者の名前を出し時間を稼いでもらってる内に逃げようと考え、
『も、もしかしたら神格を持つ蛇神様なら……分かるかも…』
「神格だァ?」
『は、ハイ。我らとは違う存在。可能性ならあります!』
もはやヤケクソで叫んで居たが、それだけ規格外の存在なのだ。攻撃をものともぜず、むしろ殴った方が痛み、風速一二〇メートルもの暴風をおこす存在。そんなのの相手をしていたら命がいくつ有っても足りない。何とか注意はそちらに向いたようで、
「場所を教えろォ」
『直ぐ近くの世界の果てです……』
そして一方通行はそちら側に体を向けながら、
「あァ、そォだ。もし嘘だった場合」
顔だけをこちらに向けながら、
「どこにいよォが殺す。」
そして、十メートル以上も跳躍して行ったのだった。
同じ頃、黒ウサギ達はコミュニティリーダーだというジン=ラッセルの元に向かっていた。
「ジン坊っちゃーン!新しい方を連れて来ましたよー!」
「お帰り、黒ウサギ。そちらの四人が?」
「はいな、こちらの御五人様が―――」
黒ウサギは振り返り、カチン、と固まった
「………え、あれ?もう一人いませんでしたっけ?ちょっと目付きが悪くて、かなり口が悪くて、全身から〝俺問題児!〟ってオーラを放ってる殿方が」
「ああ、十六夜君のこと?彼なら〝ちょっと世界の果てを見てくるぜ!〟と言って駆け出して行ったわ。あっちのほうに」
飛鳥が指差す方向には断崖絶壁。呆然となった黒ウサギは、取り合えず四人に問いただす。
「な、なんで止めてくれなかったんですか!」
「〝止めてくれるなよ〟と言われたもの」
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
「〝黒ウサギには言うなよ〟と言われたから」
「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう四人とも!」
「「「うん」」」
「いや、俺はきちんと言ったんだけど……」
言い訳無用!と上条は頭をハリセンで叩かれた。何で!?と叫んでいると黒ウサギはガクリと前のめりに倒れ、こんな問題児ばっかり掴まされる何て酷い嫌がらせなのですよ~……と頭を抱えているとジンが蒼白になって叫んだ
「た、大変です!〝世界の果て〟にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」
「幻獣?」
「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に〝世界の果て〟付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」
「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー?…………斬新?」
「冗談を言っている場合じゃありません!」
ちなみに彼らの知るよしは無いが、その幻獣のほとんどが絶賛一方通行によって狩られているので危険はほとんど無い。だがそれを知らないジンは必死に事の重大さを訴え、二人は肩を竦めるだけである。
黒ウサギはため息を吐きつつ立ち上がった
「はあ…………ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、四人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「わかった。黒ウサギはどうする?」
「問題児を捕まえに参ります。事のついでに――――〝箱庭の貴族〟と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」
「ちょっと待ってくれ」
そこで一旦止めたのは上条だった。
「俺も連れていってくれないか?」
「良いですけどなぜでございましょうか?」
「そんな危険な所に女の子一人で行かせる訳には行かないし、俺の右手には特別な力が宿ってるんだ。だから役に立つと思う。」
「とうま!またそうやって!私も行くんだよ!」
「バーカ。お前は戦闘出来ないでしょうが。大人しくお留守番なのです」
む~と頬を膨らませるインデックス。
「あのー、そろそろ良いでしょうか?」
と黒ウサギが言い、上条が返事をすると髪を淡い緋色に染め上げ、抱えて行ってしまった。取り残された三人は取り合えずジンの案内に従う事にした
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「で、テメエが蛇神とか言う野郎かァ?」
『いかにも。さて、わざわざ我の前に立ったからにはギフトゲームか。では試練を選べ』
「うっせェなァ蛇野郎」
何?と蛇神が少し苛立たしげな視線を向けると
「うっせェつったンだよ蛇野郎。テメエの耳はどこにあンだァ。俺が聞きたいのはただ一つ」
その傲慢な少年、一方通行は首元のチョーカーの電源を確かめながら、
「この世界から帰る方法、黙って喋りゃあ良いンだよ木偶の坊野郎が。」
『……良いだろう。あくまで我を愚弄すると言うのなら人の子よ、その身をバラバラに引き裂かれるがよい!』
そして蛇神は正真正銘本気の一撃を繰り出す。蛇神の雄叫びに応えて嵐のように川の水が巻き上がる。竜巻のように渦を巻いた水柱は蛇神の丈よりも遥かに高く舞い上がり、何百トンもの水を巻き上げる。時に嵐を呼び、時に生態系すら崩す、その力を存分に発揮し合計三本の水柱がそれぞれ生き物のように唸り、蛇のように襲いかかる
「なンだァ?こンなもンかよ?」
と、蛇神が訝しげな表情になると同時に、それ以上の風圧が水柱を全て飲み込んだ。
『………な?』
驚きのあまり声も出なかった。風速一二〇メートル、M7クラスの台風を少年はほんとに軽く生み出した。こんなもの、蛇神が勝てるはずも無かったのだ。
蛇神の力は嵐を呼ぶ
だが少年は嵐そのもの、嵐より凶悪な力を持つ。
蛇神の力は生態系すら崩す
だが少年は生態系は愚か生物が生きる事すら許さぬ力を持つ。
質が違ったのだ。余力で自分より上に立つものを倒せる道理がどこにも無い。蛇神は目測を見謝った。
たかが人の子、そう思った故に負けたのだ。少年はその圧倒的な力を見せつけながら、
「とンだ期待外れだったなァ。死ンじまえよ、蛇野郎」
そして、蛇神の力をも飲み込んだ暴風が今蛇神本体も飲み込む――――
「俺も混ぜろやゴラァァァァ!!」
と、いきなり横合いから飛び込んできた少年が一方通行が生み出した暴力の渦を殴り付けた。
「あ?」
一方通行が不思議な声を上げる。そう。その暴力の渦が殴り付けられたとたんそれを越える暴力の渦によって霧散させられたのだった。蛇神はもう絶句するしか無い。
「なンだテメエは?」
「逆廻十六夜だ。つまんねぇ事やってる奴が居たからな。命までは奪うもんじゃねぇよ。つまんねぇだろ?」
一方通行はその言葉をゆっくり噛み砕く。そして結論、コイツはただの戦闘バカだ。
「まァ良い。テメエの目的は?」
「そうだな。んじゃとりあえず強そうなお前でもぶっ飛ばしますかね」
瞬間、十六夜と名乗った少年はいきなり跳躍して、上方向から攻めてきた。だが愚の骨頂。一方通行は重力に従い落ちてくる十六夜に対し両手を構え、
「バカかテメエは。空中じゃ移動が制限されンだろうが」
無慈悲に風速一二〇メートルもの風の槍を軽く十本は打ち出す。それに対し十六夜は拳を握り、
「ハッ、しゃらくせぇ!」
......
殴り付けた。何の比喩表現でも無く。だが全ての槍が霧散する。そして十六夜は拳を血塗れにしながらただただ笑いながら殴る構えをする。
(落ち着け。あンなもンはただの拳だ。どっかの無能力者みてェに『反射』を無効化するもンでもねェ。つまりきちンと反射すれば―――ッ!?)
だがその考えは一瞬で覆された。なぜなら十六夜の拳が一方通行を殴り飛ばしたからだ。
見るものが見ればそれは異常だと思ったのだろう。なぜなら十六夜の拳は何ら普通の拳に見えたからだ。だが忘れては困る。この世界はまるっきり異世界、そこに呼び出される程の強力なギフトの持ち主なのだ。勿論一方通行の知らない理論が絡むに決まっている。一方通行も殴られた理由を瞬時に理解したが、不可解な点があった。気を失わなかったのは無意識の内に衝撃をある程度受け流していたからだろう
(な、ンだ?アイツ、攻撃がおかしいぞ?)
そう。何故か十六夜には二つの力が存在した。一つは普通の男子高校生の力、だがもう一つが説明不可能なのだ。そう、まるで何かが無理矢理後押ししたような……見えない何かが中に居てそいつが殴ったような、不思議な感じだった。
「おっ、立った。そりゃそうだよな。この程度で倒れてもらっちゃこっちが困る。」
「チッ……クソッ。調子に乗ってンじゃねェぞ三下がァ……ッ!」
「言ってくれるな白モヤシ。次はもうちょいマシな一撃を頼むぜ」
「OK。血流操作とか地味なのは無しにしてやンよォ。その代わり、後悔すンじゃねェぞ!!」
すると、一方通行の頭上に風が集まり、高電離気体(プラズマ)が形成される。十六夜はそれを見て、
「ハッ、おもしれえなソレ!」
拳を握りしめる。全力で拳を握りしめたため、血が出た程だ。
この瞬間、一方通行はコイツは倒すべき敵だ。そう思った。
十六夜はコイツは強力なライバルと認め、殺すこともいとわないと思った。二人の力がぶつかる直前、
「ストップ、ストォォーーップ!!」
「その通りなのですよ!お待ちください御二方!」
と言う声が遠くから聞こえて来た。
今回はここで終りです。筆(指)が乗ってきました!しかし投稿後超駄文だ!と気付きました。何だろう、めんどくさがってるのかもしれない。
次回はどうなることやら。