とある異世界の問題児達   作:平井 慎太郎

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どうも。お待たせしました!
面白い小説を書きたいのに書けない平井です。
細かいところに中途半端にこだわれないからこうなるんだろうな……


問題の有るコミュニティ:前編

逆廻十六夜と一方通行、彼らの戦いを止めたのは二人だった。だが今更止まるはずも無い。二人のそれだけで箱庭の一部を吹き飛ばし大災害を引き起こしかねない攻撃を止めたのは上条となんと蛇神だった。

蛇神は風の流れを水柱で阻害し、高電離気体を拡散させる。上条は十六夜の拳を右手で受け止めた。これに驚いたのはこの場に居た蛇神と十六夜と黒ウサギだった。

 

((な、ギフトが無効化されたの[です]か……!?))

 

「……オイオイ。いったいなんだよそれは」

 

「いや、何って聞かれても幻想殺しって言うしか……」

 

「「「いまじんぶれいかー?」」」

 

「そ。異能なら触れただけで問答無用で無効化しちまう力が俺の右手には宿ってるんだ。」

 

蛇神はもうこの理不尽な子供達にガクリとうなだれ、十六夜はやはり面白そうにケラケラと笑い、一方通行は不機嫌そうに、黒ウサギは見た事もないギフトに感動していた

 

(こんなに凄いギフト保持者だったなんて……何が何でも仲間にしなければいけないのですよ。)

 

「あれ、お前黒ウサギか?どうしたんだその髪の色」

 

そしてその声で我に帰りついでに重要な事を思い出した。

 

「もう、十六夜さん!一体何処まで来ているんですか!?途中で森は破壊されてるし!!」

 

「〝世界の果て〟まで来ているんですよ、っと。まあそんなに怒るなよ」

 

十六夜は小憎たらしい笑顔と共にそう言った。だが手からは血が噴出している。

 

「い、十六夜さん。その手は……?」

 

「ああ。そこの白もやしと戦った時にちょっとな。大した怪我じゃねえよ。しかしいい脚だな。遊んでいたとはいえこんな短時間でしかも人を抱えながら俺に追い付けるとは思わなかった」

 

「むっ、当然です。黒ウサギは〝箱庭の貴族〟と謳われる優秀な貴種です。その黒ウサギが」

 

だがそこで黒ウサギは疑問に首を傾げる

 

(黒ウサギが…………半刻以上もの時間、追い付けなかった…………?)

 

その駆ける姿は疾風より速く、その力は生半可な修羅神仏では手が出せない程だ。

その黒ウサギに気づかれることなく姿を消したことも、追い付けなかったことも、思い返せば人間とは思えない身体能力だった。だからこそその拳を受け止めた上条とその手に傷をつけたあそこの白髪の男の力も底が知れないのだが――

と、黒ウサギは気付いた。

 

「そこにいる殿方は一体誰なのですか?」

 

「さあな?だがそこの蛇をいじめてたから突っ掛かってみただけなんだがな」

 

そんな適当な理由で、と思いつつ引っ掛かった。

人間が、神格持ちの蛇神をいじめる?

となるとその正体は―――

 

「神童……では無いですよね。失礼ながら貴方は一体誰なんでしょうか?」

 

黒ウサギはその正体が気になり質問をした。だがその白髪の少年の視線は上条当麻に向けられている。

 

「テメエが何でここにいンだァ?」

 

「いや、俺が聞きたいよ。てかお前もこっち来てたんだな。一方通行」

 

「謎の手紙に導かれてなァ。帰りてェンだが、良い情報を持ってそォだなァ……オマエ」

 

その言葉を聞いた黒ウサギは、

(チャンスなのですよ!ここは親切に説明して召喚者だから仲間にという展開に……!)

以外と腹黒いウサギだった。そして黒ウサギは、

 

「あのー、アクセラレータさん?」

 

とりあえず二人の会話で聞き取れた名前を出して見る。すると一方通行は、

 

「あァ?なンだオマエ?」

 

どうやら興味を示して貰えた様子。黒ウサギは満面の笑顔と共に、

 

「初めまして。そしてようこそ!私たちの箱庭へ!恐らく私が召喚したんだと思います。この世界は――」

 

「大丈夫だァ…この世界についてなら聞き出してある。つゥかそっかそっかァ…」

 

場の空気がガラリと変わる。何か地雷を踏んだかと黒ウサギが緊張していると、

 

「テメエが呼び出しやがったのかこのクソッッッタレェェェェェェェ!!」

 

何だかもの凄いお怒りの様子。黒ウサギはあくまで穏便に話を済ませようと、

 

「あのー、でしたらこちらのコミュニティに」

 

「あぶねえ黒ウサギ!」

 

と上条当麻がいきなり突き飛ばして来た。いきなり何かと思い見返して見れば、一方通行が軽くつま先で地面をつつき、

瞬間、地面が砕け大量の破片が散弾として襲いかかって来た。

 

(な……は!?)

 

黒ウサギは絶句する。その力もいきなり襲いかかられた事も、その盾になっている上条当麻も。

 

「あぶねえだろうが一方通行!」

 

そしてその怒りは全て一方通行に向けられた。黒ウサギは見ず知らずの自分に何故そこまでしてくれるのか、分からないまま二人の会話を聞いていた。

 

「チッ……邪魔シてンじゃねェぞ三下ァ!!」

 

「邪魔するに決まってるだろ!何でこんな事をしたんだ!」

 

「帰るために決まってンだろォが!」

 

「だからっていきなり攻撃する必要は無かっただろ!」

 

「そうだな。第一何でオマエはそんなに帰りたがってるんだ?」

 

そこで十六夜が口を挟んだ。

 

「あァ?俺には守るもンがあンだよ。」

 

「だからって八つ当たりすりゃあ良いってもんじゃねぇだろ!」

 

「黙ってろ三下!!ソイツから帰る方法を聞き出すンだからよォ………」

 

「待て」

 

十六夜は不機嫌そうな声で、

 

「帰る為なら手っ取り早い物があるだろうが。」

 

「……ナニ言ってンだオマエ?」

 

「だからよ……」

 

十六夜は黒ウサギの方に顔を向け、

 

「コイツが何で俺達を呼び出す必要があったのか、そいつを解決すりゃあ良いだけの話だろ。」

 

黒ウサギはあっ、と思った。それは黒ウサギが意図的に隠していたものだからだ

 

「それは………言った通りです。十六夜さんたちにオモシロオカシク過ごしてもらおうと」

 

「そうだな。俺も初めはそう思ってた。俺は大絶賛〝暇〟の大安売りしていた訳だしな。だがあの白もやしはどうだ?こんな所で例外が出きちまう」

 

「……そォだな。大体理由なンざ思いついちまうが」

 

黒ウサギは動揺を表情に出した。瞳は揺らぎ、虚を衝かれたように見つめ返す。

 

「これは俺の勘だが。黒ウサギのコミュニティは弱小のチームか、もしくは訳あって衰退しているチームか何かじゃねえのか?だから俺達は組織を強化するために呼び出された。そう考えれば今までの行動全てに合点がいく

――――どうよ?百点満点だろ?」

 

黒ウサギは痛烈に舌打ちした。この時点でそれを知られてしまうのは余りにも手痛い。苦労の末に呼び出した超戦力、手放すようなことは絶対に避けたかった。

 

「んで、この事実を隠していたってことはだ。俺達にはまだ他のコミュニティを選ぶ権利があると判断できるんだが、その辺どうよ?」

 

「…………」

 

「沈黙は是也、だぜ黒ウサギ。この状況で黙りこんでも状況は悪化するだけだぞ。それとも他のコミュニティに行ってもいいのか?」

 

「や、だ、駄目です!いえ、待ってください!」

 

「だから待ってるだろ。ホラ、いいから包み隠さず話せ」

 

十六夜は川辺にあった手ごろな岩に腰を下ろして聞く姿勢をとる。向こうでは一方通行と上条当麻も聞く姿勢を取っていた。

そして黒ウサギは説明を始めた。名乗るべき名が無いため、その他大勢ノーネームという蔑称で称される事、誇りやテリトリーを示す旗印も無いこと、中核を成す仲間は一人もいなくて、122人中ゲームに参加できるだけのギフトを持っているのは黒ウサギとジンだけで後は十歳以下の子供ばかりな事。

 

「もう崖っぷちだな!」

 

「ホントですねー♪」

 

十六夜の冷静な言葉にウフフと笑う黒ウサギは、ガクリと膝をついて項垂れる。口に出してみると、本当に自分達のコミュニティが末期なのだなーと思わずにはいられなかった。

 

「で、どうしてそうなったんだ?黒ウサギのコミュニティは託児所でもやってんのか?」

 

黒ウサギは沈鬱そうに首を振る。

 

「いえ、彼らの親も全て奪われたのです。箱庭を襲う最大の天災―――〝魔王〟によって」

 

すると、その言葉に三者三用の台詞を返した

 

「ま………マオウ!?」

「……気に食わねェヤロォだな」

「は?魔王?」

 

十六夜の瞳はショーウィンドに飾られる新しい玩具を見た子供の用に輝き、一方通行は心の底から怒りを表し、上条は実感が沸かないのか首を捻っていた。

 

「魔王!なんだよそれ、魔王って超カッコイイじゃねえか!箱庭には魔王なんて素敵ネーミングで呼ばれる奴がいるのか!?」

 

「いや、素敵ネーミングでは無いと思うぞ。でも魔王ねえ?」

 

「…………」

 

「ま、まあ十六夜さんが思い描いている魔王とは差異があると………」

 

「そうなのか?けど魔王なんて名乗るんだから強大で凶悪で、全力で叩き潰しても誰からも咎められることの無いような素敵に不適にゲスイ奴なんだろ?」

 

「ま、まあ……倒したら多方面から感謝される可能性はございます。倒せば条件次第で隷属させることも可能ですし」

 

「へえ?」

 

「魔王は〝主催者権限(ホストマスター)〟という箱庭における特権階級を持つ修羅神仏で、彼らにギフトゲームを挑まれたが最後、誰も断ることはできません。私達は〝主催者権限〟を持つ魔王のゲームに強制参加させられ、コミュニティは……コミュニティとして活動していく為に必要な全てを奪われてしまいました」

 

これもまた比喩ではない。黒ウサギ達のコミュニティはその地位も名誉も仲間も全て奪われたのだ。残されたのは空き地だらけとなった廃墟と子供達だけである。

しかし十六夜も一方通行も、ただ一人上条を除いて同情する様子は無い。

 

「けど名前も旗印も無いのは不便な話だな。何より縄張りを主張できないのは手痛いだろ。新しく作ったら駄目なのか?」

 

「そ、それは」

 

黒ウサギは良い淀んで両手を胸に当てる。今の指摘は正しい。名も旗印も無いコミュニティは誇りを掲げることも出来ず、名に信用を集めることも出来ない。この箱庭において名と旗印が無いということは、周囲に組織として認められないということ。

だからこそ異世界から同士の召喚という最終手段に望みを掛けたのだ。

 

「か、可能です。ですが改名はコミュニティの完全解散を意味します。しかしそれでは駄目なのです!私達は何よりも……仲間達が帰ってくる場所を守りたいのですから…………!」

 

それは黒ウサギの掛け値無い本心だった。

〝魔王〟とのゲームによって居なくなった仲間達の帰る場所を守るため、彼女達はどれほど周囲に蔑まれようがコミュニティを守る誓いを立てたのだ。

 

「茨の道ではあります。けど私達は仲間が帰る場所を守りつつ、コミュニティを再建し……何時の日か、コミュニティの名と旗印を取り戻して掲げるため、十六夜さん達のような強大な力を持つプレイヤーを頼るほかありません!どうかその強大な力、我々のコミュニティに貸していただけないでしょうか…………!?」

 

「……ふぅーん。魔王から誇りと仲間をねえ」

 

深く頭を下げて懇願する。しかし必死の告白に十六夜は気の無い答えで返し、一方通行は考えるそぶりを見せ、上条に至っては迷う素振りすら無い。

 

(ここで断られたら…………私達のコミュニティはもう………!)

 

黒ウサギは唇を強く噛む。こんな後悔をするなら、初めから話せば良かった。

彼らはたっぷり三分間黙りこんだ後、

 

「いいな、それ」

 

「――――…………は?」

 

「HA?じゃねえよ。協力するって言ったんだ。もっと喜べ黒ウサギ」

 

「そうだな。俺も協力するよ」

 

なんと上条当麻までそう言った。

 

「え………あ、あれれ?今の流れってそんな流れでございました?」

 

「そんな流れだったぜ。」

 

「で、一方通行はどうすんの?」

 

上条の問いに一方通行は、

 

「……駄目だな」

 

誘いを断った




足りない禁書成文。てか長くなりすぎて途中で切っちゃった。まあ今回も長い駄文を読んで頂きありがとうございます!
インデックスさん達の出番は次回。
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