追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

13 / 43
自警団に錬金術師の所業を説明する

「アベル、本当に大丈夫?」

 

 ニルスが心配そうに聞いてくるので、僕は無理やり笑顔を作って答える。

 

「明日になれば、もう治ってるよ」

「そう……ならいいけど……」

 

 彼はそう言うと、工房の奥にある自室に入っていく。そして僕も工房で寝床代わりにしている椅子に座る。

 

 隣ではガラドが酔っぱらってイビキをかきながら毛布を被り椅子に座って寝ていた。

 するとアジェが心配そうに言ってくる。

 

『本当に大丈夫? 頭痛むんじゃない……』

「うん……まだ頭痛はするけど大丈夫だよ」

 

 そんな僕の気持ちを察してか、彼女はそれ以上何も言わなかった。

 僕はベッドに潜り込むと目を瞑るのであった……。

 翌日、目を覚ますと既にニルスは起きていた。彼は僕達の為に朝食を作っているようだ。

 

「アベル、起きた? 朝食は食べれる?」

「うん……少しなら……」

 

 僕はそう言うと頭痛は治っているが、胸やけが残っている。それでも朝食を作ってくれたニルスの為にも起き上がり、工房にあるテーブルに座った。

 

 そしてガラドも起きてきて僕の隣に座り、3人で食事を始める。彼が作ってくれた食事は胃に優しいスープであった。

 

「儂等の分も作ってくれたんじゃな……ありがとう」

 

 ガラドがニルスに言うと、彼は少し照れたように言うのであった。

 

「気にしないでいいよ! おいらが作った物で良かったら食べてよ!」

「うむ、いただくぞ」

「頂きます」

 

 そんな彼等の会話を聞きながらスープを飲む。彼の作ったスープは優しい味がして胃に染み渡るのであった。

 そして朝食が終わり、僕はニルスとガラドに言う。

 

「ニルス……今日は自警団の所に行って釈明するよね。僕達も、あの錬金術師が中毒性のあるポーションを脅迫して販売させられていたと弁明するから……一緒に行っていいかな?」

「勿論だよ!」

「当然、儂も行くぞ」

 

 2人も笑顔で了承してくれる。そして僕達は身支度を整え、自警団本部に向かうのであった。

 

 

 

 3人一緒に自警団本部に入ると、昨日会ったリーダーの男が出迎えてくれた。そして僕達を奥の応接室に通してくれる。

 彼はソファーに座りながら言う。

 

「結局は誰がやったんだ? お前達がハーフリングは無実だと言ったが?」

「え~と……犯人である錬金術師は死亡しました……」

 

 僕が言葉に詰まりながら言うと、リーダーは眉を寄せる。そして不思議そうに聞いてきた。

 

「死んだ? どういう事だ?」

「その錬金術師はハーフリングを脅迫してポーションを作らせていました」

「ふむ……そいつの死体はどうした?」

 

 リーダーが詳しく聞くと、僕は少し困った顔しながら昨日あった出来事を話す。

 

「それが……水銀の肉体を得た錬金術師が僕達を襲ってきて……ニルスが偶々、硫黄を投げつけたら結晶化して止めを刺しました」

「じゃあ……何処に、その残骸が?」

「それは……地下水路の最奥の部屋に残っていると思います」

 

 僕が答えるとリーダーは唸りながら腕を組む。そして何かを納得したのか話を続けた。

 

「まあ、死んだのなら問題ないがな……後で地下水路を捜索するから場所を教えてくれ」

「はい……後、錬金術師の手記らしき物も発見したので見せましょうか?」

 

 そう言うとニルスに手記を取り出させリーダーに見せる。

 彼は訝しそうに見ながらも中を読み始めた。そして暫くして読み終わると、僕達に言う。

 

「なるほど……こいつが町で、あのポーションを売らせて客達を中毒症状にさせていたのか……」

「はい、そのようですね」

 

 リーダーは納得し、大きく頷く。しかし突然、僕の顔をじっと見詰めながら言うのであった。

 

「わかった……ハーフリングは無実だった事は認めよう。むしろ、街を救ってくれたことに感謝せねばな」

「そうだよ! おいら達が街を救ったんだよ!」

 

 ニルスは興奮気味に話すと僕の肩を掴んで揺する。僕は少し苦笑しながら頷いた。

 

「そうじゃな……ニルスがとった行動で倒せたのじゃからな」

「そうそう……ニルスがいなかったら僕達は危なかったたよ……」

 

 僕等が彼を褒めると、ニルスは照れたように鼻の下を指で擦るのであった。

 そんな僕達は自警団から無実を証明し、且つ主犯者を倒した功績を讃えられ街の英雄という名誉も得られるのであった。

 

 3人で自警団本部から出て行こうとするとリーダーに呼び止められる。そして彼は銀貨が入った小袋を渡す。

 

「これは協力金だ……少ないが取っておいてくれ」

「あ、はい! ありがとうございます!」

 

 僕は謹んで言うと小袋を受け取り懐に仕舞う。そして僕達は自警団本部を出て行くのであった。

 

「やったね! 皆! この町の英雄だよ!」

 

 ニルスが興奮気味に言う。しかしガラドが苦笑しながら答える。

 

「ニルスよ……アベルはヒーロー扱いなんぞに興味ないぞ……」

「え? そうなの?」

 

 彼は意外そうに僕を見る。しかし、僕は小さく頷くと言った。

 

「う~ん……どうだろ?……別に名誉とか、どうでもいいかな……?」

「えー……でもさ! 英雄になれば有名人だし、お金もいっぱい稼げるよ!」

 

 僕がそう言うとニルスは納得いかなそうな表情で言う。

 そんな彼にガラドは呆れて諌めるのであった。

 

「ニルスよ……英雄扱いされたいなら、もっと体を鍛えた方がええぞ……」

「う~ん……そうだね! おいらも世間を騒がす英雄になりたいなぁー!」

 

 ドワーフらしくガラドは筋肉文化を語り、ニルスはハーフリングらしい好奇心で鼻息荒く宣言する様子を僕は苦笑しながら聞くのであった。

 

「さて……アベル、これからどうする?」

 

 ガラドが僕に聞いてくる。僕は少し考えて答えた。

 

「う~ん……とりあえず、仲間探しの旅を続けていこうかと……」

「えっ? 仲間を探しているの? どんな理由で ?」

 

 ニルスが興味を持ったのか食い気味に聞いてくる。僕は少し困ってしまったが、簡単に説明をする事にした。

 

「実は……元仲間から役立たずとして追放されて……それで、追放した仲間達に仕返しするため仲間を探しながら旅をしているんだよ」

「えぇー! そいつ等はアベルが役立たずって本当に思っているの?」

 

 彼は本気で驚いた表情をして言う。僕は、その反応に苦笑しながら答える。

 

「う~ん……まあ、彼等はそう思ってたね……性転換したから気持ち悪いとも言ってたし」

 

 するとガラドが僕の肩を軽く叩きながら言うのであった。

 

「アベルよ……儂も元冒険者だったから解るんじゃがな……追放する奴は大抵、自分の事しか考えてないんじゃ。しかも追放した相手がやってた役目を自分が担当すると……まあ、大抵は失敗するのが落ちじゃ」

「へぇ~……そうなんですか……」

 

 ガラドの話は初耳であったが、そんなものなんだろうと納得する。しかしニルスもニコニコしながら同調するのであった。

 

「でもさ! そいつ等の方こそ、アベルを追い出した後で痛い目に遭っているよ! そんな奴等の事なんて気にしなくていいさ!」

「う、うん……そうだね」

 

 僕は彼等の言葉に少し救われた気持ちになり、思わず笑顔になる。そんな僕を見てニルスが真剣な顔になり言うのであった。

 

「アベル!……おいらも仲間として旅について行くよ!」

「えっ? 本当にいいの?」

 

 突然の申し出に僕は驚き、ニルスの顔を見ると彼は真剣な表情で言う。

 

「おいらも……アベルの仲間に入れてくれないかな? 雑用でも食事係でも何でもするよ! 足は引っ張らないし、調合士としての薬草等の知識が役にたつと思うんだ!」

 

 その一言を聞いた瞬間、僕の胸に熱いものがこみ上げる。そして涙が出そうになるのを必死に堪えて笑顔で頷いた。

 

「……うん……ありがとう……これから宜しくね……」

「やったー! あ、そうだ! 戦闘では直接役に立たないから後衛専門で……いいかな?」

「大丈夫だよ!」

 

 ニルスは懸念しながら僕の目を見詰め聞いてくるが、僕は笑顔で答えた。

 そんな僕達を見てガラドが喜びを隠しきれない感じで言う。

 

「ワハハハ! これで儂等3人は仲間になったぞ! では、次の目的地はどうするんじゃ?」

「……う~ん……とりあえず、ここから近い町に行きましょうか」

 

 僕がそう言うと2人も頷くのであった。そしてニルスの工房に戻り彼が旅支度をする。

 そして、彼が準備を終えると僕達は町を出る。

 

「じゃあ、次の目的地に向かって行こうよ!」

 

 ニルスが呼びかけ、3人で次の町に向かって意気揚々と歩き出すのであった……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。