追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~ 作:nene2012
僕達はガラドの工房を後にしてダルグの町に向かって街道を歩く。
「剣を譲って貰い、すまないな」
バルバラがガラドに恭しくお礼を言う。
「いやいや……剣も真の戦士に使ってもらえるなら喜んでおるじゃろう」
彼は歯を見せながらニッと笑って答えると彼女は少し照れた感じで答える。
「あの剣は素晴らしい物だ……名を汚さぬよう、私も精進しないとな」
バルバラは大剣を大事そうに抱えながら、そう話すのであった……。
ダルグの街に着き入ると、そこは冒険者や住人などで溢れかえっていた。
どうやら、古代魔法王国の遺跡が近い町なので依頼の数も種類も多いようである。
「それじゃあ……大きな依頼でもこなして、僕等の評判を上げましょうか?」
「そうだな……冒険者にとって評判は大事だからな」
僕とガラドがお互い話し合い依頼板に載っている依頼を、つぶさに見ていく。
「これなんてどう?」
ニルスが指さしたのは『遺跡を守護する魔法生物退治』という依頼であった。
僕はその依頼書に記載されている報酬額を見る。すると、かなりの金額が記載されていたのである。
「これは……かなり高額な報酬だね……」
「うん! この依頼を受けようよ!」
ニルスは目をキラキラさせながら言う。彼は賛成するが僕は気掛かりがあった……。
(この依頼はレムルス達が受けているかもしれないな……?)
彼等が依頼を遂行している最中に鉢合わせする可能性もある。
しかし、依頼を受けないと冒険者として評判は上がらないし金銭も貰えない。
僕は想い悩んだ末に依頼書を持って受付に持って行くのであった。
受付で依頼の手続きをしていると周りがざわつく。
「高難易度の依頼を受けたぞ……無名の奴等だろ?」
「ああ、見ない顔だな……実力が備わってないなら死にに行くようなものだぞ」
「それに人間は1人だけで他は全員亜人だぞ……角と尻尾が生えた女は何の種族だ?」
そんな会話が聞こえてくる。彼等にとっては竜人族を見るのは初めてであったのだろう。
僕はそんな会話を無視して受付まで行こうとする。
「なぁ……アベル、かなり難しい依頼だが大丈夫なのか? 儂の経験上、英雄級レベルだと思うのだが……」
ガラドが心配そうに僕に話し掛けてくる。僕は笑顔で答える。
「大丈夫ですよ、この依頼は僕等にとって丁度良いレベルですから!」
「そうか……儂はともかくアイラとバルバラは傑物だからのぉ……」
「ガラドさん……謙遜しなくていいですよ」
彼は少し複雑な表情をしながら小声で呟く。
どうやら、自分の実力に不安があるようだが僕は彼を安心させるように返答する。
僕は受付まで行って『遺跡を守護する魔法生物退治』の依頼を受注する。
受付の担当者は女性で依頼の内容を聞いて怪訝な顔をするのである。
「その……本当に大丈夫ですか?」
「何か不都合でも?」
「その……魔法生物は、かなり手強いですよ。これまで何人もの手練れの冒険者が命を落としています。言っては何ですが、あなた方は無名の冒険者ですよね……」
受付嬢は心配そうな表情を浮かべている。そんな表情をされ僕も困ってしまうが……。
「大丈夫です。無名かもしれませんが僕等は普通じゃないほど強いんです」
「はぁ……わかりました。では、お気をつけて……」
満面の笑みで答えると受付嬢は更に困惑するが僕の顔を見て諦めるのであった。
それから受付を済まし僕達5人は古代魔法王国の遺跡に向かう事にした。
目的の遺跡までは数刻歩いて到着する。そして、遺跡群の入り口に到着する。
辺りの遺跡は長い年月をかけ自然と一体化したものが多い。
風が吹き抜けるたび、崩れかけた回廊から不気味な音が響く。
かつては壮麗だったであろう壁画は、苔むしてその全貌は窺い知れない。
足元の石畳みには、古代語で刻まれているが、それを読める者は誰一人いない。
「これが……古代魔法王国の遺跡か……」
ガラドが入口を見て呟く。その目は好奇心に溢れているようであった。
そんな時、ニルスが目をキラキラさせ僕の肩を軽く叩いて言うのである。
「アベル! 早く行こうよ!」
彼は待ちきれない様子で急かすのであった……。
そんなニルスの様子を見て僕は苦笑いするしかなかったのである。
その後ろをアイラとバルバラは付いて来る。
「落ち着くのだ! 強いては事を仕損じると言うぞ!」
「はぁ? 何言ってるのアイラ? この依頼をこなせば一躍有名人になれるんだよ!」
ニルスは不満気にアイラに聞き返す。どうやら、彼は慎重さよりも好奇心の方が勝っているようである。
「今から行く遺跡は手強い敵がいるのだぞ」
「大丈夫だよ! 何とかなるよ!」
アイラが諭してもニルスは全く聞く耳をもたない。そんな2人のやり取りを見てバルバラが口を挟む。
「まぁ、いいじゃないか? ニルスの気持ちも分からなくもない。私達が居れば何とかなるだろう」
「バルバラ、それは楽観し過ぎだぞ!」
彼女は不満気に言うが、バルバラは軽く笑って受け流す。
そんなやり取りをしている彼女達を僕とガラドは呆れ顔で見ているのであった……。
遺跡の中に入り通路には、光が差し込み朽ち果てた石柱や壁が崩れている。
しかし、中は暗すぎず松明や明かりの魔法はいらないようだ。
「先ずは……古代魔法王国の魔法生物を捜さねばならないな……」
遺跡の内部の壁に描かれている魔法生物の絵を全員が見詰める。
その絵には巨大な多頭の蛇の様な化け物の様であるが、それぞれの顔が蛇だけでなく獅子、山羊の顔も描かれている。
「この遺跡には依頼に載っていた魔法生物が棲み着いているようですね……」
「うむ……巨大な化け物というのは絵でもわかるのぉ……」
「けど、蛇以外にも他の動物の顔も書かれているね」
僕は絵を見て呟く。すると、アイラが緊張した面持ちで話し掛けてくる。
「ひょっとして古代魔法王国時代の合成魔獣ではないのか?」
「合成魔獣? 何それ?」
ニルスが興味深げに聞く。彼女は真剣な顔で説明をする。
「合成魔獣というのは複数の魔物を合体させた魔獣なのだ」
「へぇー! そんなのが居るんだぁ!」
「そうだ……古代魔法王国の魔導師達は色々な合成魔獣を造っていたという伝承を古エルフの里で聞いた事があるぞ」
「数百年前から存在している魔獣がいるんだな……相手にとって不足無し!」
アイラは神経を尖らせていたが反対にバルバラは俄然やる気がでたようである。
「しかし、古代魔法王国時代の合成魔獣が相手となると手強いぞ……どのような方法で攻撃してくるのか……不明じゃぞ」
「その時はその時だよ……おいらが持ってきたポーションで状態異常を回復してあげるから大丈夫だよ!」
ニルスが笑顔で答える。しかし、ガラドとアイラは不安そうな表情を浮かべるのであった……。
僕達は魔法生物を捜すため遺跡内部の通路を進んでいく。
すると奥の方から何やら魔物の咆哮が聞こえてくる。
ガオォォォ! シャアァァァ! メェェアァァ!
ほぼ同時に3種の咆哮が聞こえてきたのであった。
「この声は……合成魔獣!?」
声をする方を振り向くと全員が無言で頷いている。吠え声がする方向は重厚な扉の先であった。
扉の先では魔獣と誰かが戦う音が響いていた。
中からは魔法が飛び交う音や武器で斬り付ける音などが聞こえてくる。
「どうやら、この遺跡の合成魔獣と誰かが戦っているようですね……」
「どうする? 中に入っていくか?」
ガラドが僕に聞いてきて皆が僕に注目する。
「もちろん……中に入りますよ! そうしないと依頼を達成できないでしょ」
僕はそう答えると、皆は頷き武器を構えて扉に手を掛けるのであった。
ガラドは短槍と盾をニルスは荷袋の中で役に立ちそうな物を手探りしている。
相変わらず、アイラは腰に差したダガーは抜かず手ぶらで、バルバラは鞘から大剣を抜き放つ。
抜き放たれた刀身から、白く眩い光が発せられ僕達の顔を照らす。
ガラドが扉を押して中に入ると巨大な魔獣と、それを相手に戦っている者達の後ろ姿が見えたのである。
それは3つの頭を持つ魔獣で蛇・獅子・山羊の頭部を持っており胴体は蛇のように細長くなく太い胴体である。
蛇の口が大きく開いた瞬間、どす黒い息が吐き出されると戦っている者達に襲い掛かる。
「うわぁああ!……毒の息だ……体が痺れる」
「早くウェイドに解毒の魔法を掛けろ! レイラ!」
「わかってるわ! 神よ! この者を蝕む毒を解毒させ給え!」
聞き覚えのある声を聞き戦っている者達をよく見ると『終焉の刃』のメンバー達であったのである……。