追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~ 作:nene2012
『アイツが放つ衝撃波も魔力がこもっているから、あたしが吸収してあげる!』
「えっ? 『終撃斬』の中に飛び込めって事?」
アジェが頭の中で話し掛けてくる。僕はその言葉に疑問を持つと、彼女は続けて言う。
『あたしがアイツの攻撃を吸収するから近付けるよ!』
「そ……そうなんだ」
彼女の提言を聞いてもレムルスが放つ衝撃波の前に出て行く事に恐怖心を感じるのである。
しかし、ガラドが構えている盾をチラッと見るとボコボコに凹みが出来ていた。
後、数発の『終撃斬』を受ければ壊れてしまうだろう。そうなれば彼の放つ衝撃波の餌食になるだろう……。
意を決して彼の盾の守備範囲から離れアジェを信じレムルスに近付いていこうとする。
「アベル! 危ないぞ!」
「大丈夫です! ちゃんと考えがありますから!」
ガラドが危険だと叫ぶが僕は、そのままレムルスに接近していく。
そして、近付いて来る僕に向けて魔力を込めると黄色いオーラを纏わせ剣を振る。
「アベル!……死ねぇええええ!!」
『今よ! 吸収する!』
レムルスが剣を振りかざしたと同時にアジェの声が響くと、僕の目の前には『終撃斬』を放とうとする彼の姿が現れる。
そして、僕は手をかざし衝撃波を吸収する様にイメージをする。すると、目の前に放たれた衝撃波は跡形も無く消えてしまったのである。
「……あっ!?」
彼は自身の放った『終撃斬』が跡形もなく消えた事に驚きの表情を浮かべていた。
近くに控えていたシャノンも兄が放った衝撃波が完全に消えてしまった事に驚いていた。
「に……兄さんの……必殺技が!?」
「……消えた!?」
レムルスも自身の放った『終撃斬』が消失した事に凍り付いたように立ち尽くすのである。
僕はその隙を見逃さず、一気に間合いを詰める様に駆けていく。
そして、剣を振りかぶった状態の彼に肉薄する。
詰め寄って来た僕に対してレムルスは、魔剣でもって斬りつけようとしてきた。
「直接剣で斬れば防げまい!」
『アベル! あたしが魔剣を受け止め更に魔力を吸収するから、そのまま手で受けて!』
アジェが頭の中で叫ぶ。僕は彼女の指示通りに魔剣を見据える。
振り下ろされる魔剣に向かって叫びながら掴むような勢いで迫っていく。
「うおぉぉぉー!!」
「終わりだぁあああ!!」
2人の雄叫びと共に僕の手と彼の魔剣がぶつかり合う。その時、レムルスはアベルを斬り裂いたと実感していた。
だが、彼の意に反してアベルの腕を斬り裂く筈だった刀身から見えない障壁みたいな物にぶつかった感触が伝わってきた。
その直後、パキィ――ンという甲高い金属音が響き渡るのである。
金属音の正体は真っ二つに折れた彼の魔剣『ブラストブリンガー』であった。
「な、なんだと!?」
彼は折れた魔剣を見て驚きの表情で呟いていた。
そして、あまりのショックで言葉を失い呆然としている。
その間、シャノンは兄の喪心に怒りが湧き上がり彼女が扱える最強の呪文を唱えようとしていた。
「我が魔力で、その身を塵と化し風化させよ! 死ね!!」
彼女が掛けた魔術は『分解消去』の呪文であった 。彼女が扱える高度な魔術で名前の通り対象を分解して塵にする魔術である。
シャノンが僕に向けた指の先から無色透明の魔法が発動しようとしていた。
『アベル! この呪文も、あたしが食べてあげる!』
アジェがシャノンの放った『分解消去』を受けると直後に僕の周りの空間が一瞬揺らぐが、それだけで終わるのである。
彼女は『分解消去』で僕が粉々に風化していく様子を想像していた筈であった。
しかし、反対に何事も無かったように佇んでいる僕を食い入るように見てくる。
元気な様子にシャノンは驚きを隠せず目を見開くばかりであった。
「そんな! 何故、『分解消去』が効かないの!?」
『アベル! まだ終わってないよ! ついでに、あの女の魔力も吸わせて!』
「分かった! そうするよ!」
アジェに言われるがままシャノンに近付いて行く。その様子に彼女は恐怖を感じ後退りしながら叫ぶ。
「ま……待って! そ、それ以上近付かないで!」
僕は怯える彼女に向かってアジェの魔力補給の為に近付くのであった。
シャノンは迫って来る僕に対して臆して後退りしながら喚き叫ぶ。
「こ……来ないで! これ以上近付くな!」
彼女は必死に叫ぶが僕は無表情のまま、ジリジリと接近していく。
その時、妹の叫び声にレムルスはハッとなり我に返るのである。
「……危ない、シャノン!」
彼は妹を庇う様に立ち塞がると僕に対して折れた剣を構える。そして、怒りを溜めこんだ声で言う。
「アベル!……貴様だけは許さねぇ!!」
「レムルス……」
僕は彼に哀れみの視線を送りながら呟く。その態度にレムルスは激昂し折れた剣で突き刺そうとしてくる。
「死ね!……このクソ野郎!」
折れた剣を突き出しながら僕の胸目掛けて突進してきた。
その様子を見ていたガラドは僕の危険を悟り盾を構えながらレムルスに駆け出すのであった。
「アベル! 危ない!」
ドワーフが盾を構えて彼との間合いを詰めようと走りだす。だが、足が短いので到底間に合わない……。
そんな状況の中、ガラドは閃く――。
構えた盾を横に持ち腰を捻り遠心力を使って盾をレムルスに向かって投げつける。
盾は回転しながら飛んでいきレムルスの体に直撃すると、彼は後ろに吹っ飛んでいくのであった。
「ぐはっ!!」
彼は飛んで行った先の地面に倒れると白目を剥いて動かなくなるのである。
「に……兄さん!!」
兄が動かなくなったのを見て声を張り上げるが、僕は既に彼女の目の前に来ていたのである。
彼女は恐怖のあまり体が硬直し動けなくなっていた。そして、僕の手が彼女の胸に触れようとする。
「レムルスは気絶したようだね……。今から君の魔力を貰うよ」
「い……嫌ぁあああ! やめてぇええええ!!」
『やったぁ! コイツの魔力を全部吸い取ってやる!』
アジェの言葉とシャノンの金切声を聞きローブの上から彼女の胸に手を当て魔力を吸っていく。
そして、恐怖で体が硬直し怯えた顔が段々と苦悶に満ちていくのである。
「ああああああっ……」
シャノンの体が小刻みに震え、魂を吸われていくような感覚に身悶えする。
やがて、金縛りにあったかの様に硬直し目を大きく見開き瞳孔が開く……。
「アベル! もう良いだろう! それ以上すると死んでしまうぞ!」
「あっ!……そうですね」
ガラドが叫んで忠告すると僕は彼女から手を離す。すると彼女は地面にフラフラと倒れてしまうのである。
そして、気絶してしまったのであった……。
「ふぅー……」
僕はシャノンから手を離すと額の汗を拭う。
魔力を吸われた彼女はグッタリとして起きてくる様子はない。
傍にはガラドの盾を、ぶん投げられて失神したレムルスが地面で伸びている。
そんな兄妹の様子を見てガラドは僕に向かって誇らしげに話し掛けてくる。
「アベル……儂等の勝ちの様じゃな」
「……うん? ああ……何とか勝ちましたね」
僕の返事を聞くとガラドは笑いながら言う。
「ガハハハ……儂等の勝利じゃ!」
彼は高笑いしながら僕の背中をバンバン叩くのであった……。
それから、僕とガラドはニルスの元に戻ると既にアイラとバルバラも戻っていた。
どうやら彼女達もウェイドと武闘家との勝負に勝ったようだ。
2人共、怪我はしていない。僕達の方も無傷であった。
そして、『終焉の刃』の見届け役をしている神官のレイラのとこまで行くと彼女は僕を無表情で見ている。
最初、僕等が彼女の仲間達との勝負に勝ったからなのかと思っていたが、どうやら違う様であった。
彼女は仲間の敗北にも関心を示さず少々虚ろな表情をしていた。
その様子に気まずくなってきたので僕の方から話しかける。
「レイラ……その、君がレムルス達を介抱してやってくれないか」
「えっ? あっ……そうね?」
僕が話し掛けるとハッとして少し驚いた表情を浮かべる。
しかし、直ぐに無表情な顔に戻り僕の頼み事に対して素っ気ない口調で言うのであった。
「そうする……」
そして、僕達に背を向けてレムルス達の方に歩いて行く。
その後ろ姿に何故か不自然さを感じていたのである。
暫く彼女の背中を見詰めていたが僕も背を向け仲間達と一緒に町に戻るのであった……。