追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

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魔王ギルバルスの誘い

 宿に戻った僕等は女性用の部屋と男性用の部屋に、それぞれ戻る。

 もちろん、僕は体が女性化しているからアイラとバルバラと一緒の部屋だ。

 

 部屋に戻るなり2人はベッドに横になると、すぐに寝てしまう。

 僕もベッドに横になるが酔っている割に、どうも寝付けない。

 

「はぁ~……まだ興奮してるのかな……」

 

 そう呟き目を瞑るが中々、眠くならないのである。

 寝付けないのでベッドから起き上がり窓を開け外を眺めると月は雲に隠れていて暗かった。

 その暗さから不安になってくるのであった。

 

「何か嫌な感じがするなぁ……気のせいかな?」

 

 胸騒ぎを覚えながら窓を閉めると突然、アジェが頭の中で話し掛けてきたのである。

 

『アベル……』

「アジェどうしたの?」

『う~ん、妙な胸騒ぎがするんだけど……それが何なのかわからない』

 

 僕は一瞬、アジェの言った意味が分からなかった。だが、徐々に嫌な予感がしてきたのである。

 アジェが言うにはここ最近、僕らの行動を誰かに見られているような気がしていたらしい。

 

 それを僕に言おうか迷っていたけど、中々言い出せなかったようだ。

 しかし、その不安が的中してしまうのである……。

 

 突然、開いた窓からバサバサッと羽音がし鳥が入って来たのである。

 その鳥はよく見ると茶色いフクロウであった。

 

 フクロウは部屋に入ってくるなり部屋の中のテーブルに止まる。

 嘴を開くとホォーホォー! と鳴くと、その声は室内全体に響き渡る。

 

「えっ、フクロウ!?……一体なんだ!」

「むう! 何事だ!」

 

 僕は驚きフクロウを凝視する。鳴き声でアイラがベッドから飛び起きる。

 しかし、バルバラは酔いが深いのか起きてくる気配は感じられない。

 そして、フクロウは嘴をカカカッ! と大きく開ける。すると、嘴から男の声で喋ってくる……。

 

「私は魔族の魔導師グレギギだ……使い魔を通して喋っている」

「えっ!?……魔族!?」

『誰、それ?』

 

 アジェがグレギギという者が何者なのか聞いてくる。しかし、僕も知らないので首を横に振る。

 するとフクロウは続けて喋る。

 

「魔王ギルバルス様がお前の能力を非常に興味深く思っている。そこで、お前に提案がある」

「提案?」

『……何?』

 

 意味が解らず僕はグレギギに尋ねる。すると、フクロウの口から嘲笑いが聞こえてくる。

 

「フフフ、お前が魔王様の元へ来てもらう……もちろん、拒否権はない!」

「えっ!?」

『はぁ!?……何言ってるのコイツ!?』

 

 僕は驚きで声を失い、アジェは怒りを露にして怒鳴る。しかし、グレギギは気にせず話し続けるのである。

 

「明日の午前、町外れにある朽ち果てた神殿に来い……そこで待っているぞ!」

「そんな!……何が目的なんです?」

 

 困惑する僕を後にグレギギは用件だけ言うとフクロウの使い魔は窓から飛び去ってしまった。

 僕は呆然と立ち尽くしながら窓を見詰めていた。そして、暫くしてハッと我に返る。

 

「どうしよう……魔王ギルバルスだって……」

「うむ……噂に聞いている現魔王の事だな」

 

 アイラがベッドから降りて来てフクロウが飛び去った方向を見詰めながら言う。

 

「魔王にとってアベルが必要だと……一体、何を考えているんだ?」

「あれが胸騒ぎの正体だったんだね?」

 

 思わずアジェの懸念を口で呟いてしまいアイラが怪訝な顔で僕を見て質問してきた。

 

「うん? 一体何を言っている?」

「い……いえ、独り言ですので……」

 

 慌てて誤魔化し苦笑いしながら誤魔化す。アジェの声に対して口走ってしまうと変に思われる。

 

「……とにかく、魔王が何を企んでいるのか知らんが明日になったら皆で神殿に行ってみよう」

「一緒に来てくれるんですね! ありがとうございます!」

「当然だ! 仲間だろう!」

 

 2人で大声で話をしているとバルバラが目を覚まして起きてきた。

 

「ん~……うるさいぞ! 何事だ!」

「バルバラさん、起こしちゃいましたか? すみません……」

 

 彼女は欠伸をしながら文句を言うが僕は謝りながら先程の状況を説明するのであった……。

 翌日、僕達はグレギギに言われた場所へ行くため町外れの神殿へ向かう事にした。

 ガラドとニルスにも状況を説明し宿で朝食を取り町の大通りを歩きながら目的の神殿に向かうのである。

 

 だが、魔王ギルバルスが僕と会って何がしたいのか困惑していた。

 色々と考えを巡らせていると、それに気付いたガラドが話し掛けてきた。

 

「アベル……何を考えている?」

「えっ? いや、魔王ギルバルスが僕と会って何を企んでいるのか……」

 

 僕は正直に考えてた事を口にすると彼は眉をひそめて言う。

 

「ふむ……魔王がお前を仲間にして何をしたいのかは全く解らんのぉ」

「ホント、魔王は何を考えているんだろうね?」

 

 ニルスも首を傾げながら言う。僕は2人の言葉に頷いて同意する。

 そして、暫くして目的の町外れの神殿に到着したのである。

 

 朽ち果てた神殿は所々崩れて柱が折れていたりしていた。更に人影も全くない。

 その神殿の入り口付近に1人の黒いローブを着てフードを深く被っている人物が待っていた。

 

「来たか……しかも仲間を連れて来ておるな……」

 

 彼は僕等を一瞥するとニヤリと笑う。フード越しに見える顔からは初老の男の顔が見える。

 

「約束通り来ましたよ……グレギギさん」

 

 警戒しながらグレギギに話し掛ける。すると、彼は僕の髪や瞳を見て鼻で笑う。

 

「フフン……近くで見ると、その髪色と瞳、人間には見えんぞ……」

「それで……僕に何の用ですか?」

 

 僕が尋ねるとグレギギは顎に手を当てながら言う。

 

「うむ……魔王様がお前の力で願いを叶えて貰いたい事があるそうだ」

「えっ? 叶えて貰いたい願いって?」

 

 グレギギの言っている意味が分からず彼の言葉を反芻する。

 すると、彼は更に言う。

 

「そうだ……詳しい事は魔王様と直々に会って聞いてみるんだな」

 

 彼はそう言い僕達に背を向ける事無く、ゆっくりと歩きながら後退していく。

 

「おっと! お前を捕まえて白状させてもいいんだぞ!」

 

 バルバラが剣を抜きながらグレギギに叫ぶ。

 すると、彼は踵を返してフードを取り素顔を見せる。

 すると魔族特有の角が頭から生えており瞳も赤かった。

 

「フフ……私を取り押さえようとしても無駄だぞ! この姿は幻だからな!」

「何っ!?……お前、幻なのか?」

 

 バルバラがグレギギの言葉に驚いて剣を下ろしてしまう。すると彼は不敵な笑みを浮かべる。

 

「そうだ! 本体は遠く魔王城から幻を飛ばしているんだからな! フハハ……」

「グレギギさん……どうして魔王が僕に会いたいんですか?」

「それは魔王様から直接聞くがいい!」

 

 彼に質問するが彼は笑うだけで答えようとはしなかった。

 グレギギはフードを被り直すと、あらかじめ用意していた魔法陣を指差しながら言う。

 

「さぁ! 魔法陣の中へ入るんだ……転移したら魔王様がお待ちだ!」

 

 彼はそう言い、僕が中に入るのを待っている。

 

「僕は魔王の元にはいきません! 魔王の為に力を貸す事はできません」

 

 僕がきっぱりと言うとグレギギは口の端を上げて笑う。

 

「ほう……断るか?」

「お断りします……」

「アベル! その通りじゃ! 魔王の元にノコノコとついて行ったら何をされるか分からんぞ!」

「そうだよ、罠かもしれないよ!」

「魔族を信用するでないぞ!」

 

 ガラドとニルスが僕の意見に賛成して言う。その横でアイラが力を込めて言う。

 するとグレギギは溜息を吐いて首を横に振る。

 

「はぁ……仕方ないな……では、後から魔王様直々にお前の元に……」

 

 グレギギが言い終わらぬ内にバルバラがその首に剣をビュッと一閃させる。

 しかし、幻であったので剣はすり抜けてしまう。

 

「チッ……やはり幻か!」

 

 バルバラが舌打ちをしてグレギギを睨む。すると、彼は邪悪な笑みを見せて言う。

 

「……魔王様に逆らうとはいい度胸だ! 後で後悔するぞ!」

 

 そう言ってグレギギの姿がぼやけていく。そして、彼の姿が完全に消えた瞬間、魔法陣も消滅したのである。

 

「あっ!? 消えた!!」

「クソッ……逃げられたな!」

 

 バルバラが舌打ちをしてグレギギが消えた場所を睨む。そして、僕に警戒するように言う。

 

「アベル! 魔王はお前を狙っているんだ……暫くは警戒を怠らないようにしなければ……」

「う……うん」

 

 彼女の言葉に頷き僕は皆と神殿を出て行くのであった……。

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