追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

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魔王から幻術を掛けられて幻覚を見る

 魔王が唱えた幻術に掛かるのはアベルだけでなく他の者も同様であった。

 ガラドが見せられていた幻覚は自身が錬成した武具が錆び始め恨み言を言い始めるのである。

 

「儂の……儂の武具が……」

『お前が鍛造したせいでボロボロだ……』

『お前の下手な鍛え方で幅や厚みがバラバラだ……どうしてくれよう』

『刃こぼれが酷く錆び付いているぞ! どうしてくれる!?』

 

 ガラドは自分の鍛造した武具に恨まれるという幻覚を見せられ、その苦しみで思わず膝をつく。

 

「うぐぐ……すまぬ……儂の腕が未熟なばかりに……」

 

 アベルと同様、彼も幻覚に苦しめられ涙を流しつつ苦痛の声を上げていた……。

 

「師匠、待ってください! もう一度作り直しますから!」

『無駄だ……お前には調合士としての才能はない。もう、諦めろ……』

「そんな! お願いします……もう一度だけチャンスを……」

 

 ニルスは調合した薬の作り直しを懇願するが、師匠に叱咤され愛想をつかれる幻覚を見せられていた。

 彼は自分の調合した薬が出来損ないの不純物だらけの薬しか作れない幻覚を見続けている。

 

『お前が作ると碌なもんしか作れないくせに……この無能が!』

「ごめんなさい……次はもっと純粋な薬を作りますから……」

 

 ニルスは大粒の涙を流しながら謝り続け、幻覚に捕らわれていた……。

 

「てやぁ! とおっ! であっ!」

『無駄! 無駄! 無駄ぁ!』

「……何故、私の攻撃が当たらない?』

 

 アイラは敵に武術を使って戦うが、全くと言っていいほど攻撃が当たらない幻覚を見せられていた。

 

『お前のチンケな武術など、この俺には役に立たないんだよ!』

「そんな……私の長年の努力は……」

『オラオラオラオラオラァ!』

「うあっ……私のエルヴンストライクが……」

 

 敵の反撃を受け一方的にやられ続けるアイラは絶望の声を上げ、その悔しさに涙を滲ませていたのであった……。

 

「許してくれ……」

『この人殺しめ! お前のせいで私は……』

「すまない……殺すつもりじゃなかったんだ……」

 

 バルバラは頭を垂れ何度も謝りながら幻覚に苦しめられている。

 彼女が竜人族の集落にいた頃、年齢が同じぐらいの女性竜人族と模擬戦をしていた。

 

 だが、彼女は激しい勝負に何かの拍子で相手の首を斬りつけてしまい命を奪ってしまう。

 その時のトラウマによる幻覚がバルバラを苦しめていたのである。

 

「そ、そんな……私は……」

『お前は私を憎んでいたんだな!』

「違うんだ……そんなつもりは……ううっ……」

 

 そして、彼女は自分の過去を見せられ苦しんでいたのであった……。

 アベルと仲間達は魔王の幻術に掛かり、それぞれが苦しみ続けている。

 

 誰も元に戻る気配はなく、ただもがき苦しむだけである。

 彼等の状況を見てグレギギがギルバルスにどうするか尋ねるのである。

 

「この者達は完全に幻術に囚われております。どうやって捕えましょうか?」

 

 幻術で彼等が身動きも取れない状態になっているのを逆手に取り、どう生け捕りにしようかと聞いていた。

 

「ふむ……こいつ等を眠らせて生け捕りにしろ」

 

 ギルバルスはニヤリと微笑むとアベル達に向けてグレギギが魔法を唱える。

 

「眠りの霧よ! この者達を眠らせ気を失わせよ!」

 

 するとアベル達の周りの空間が歪みだし白い霧が現れ、その霧は一気に広がって酒場全体を覆いつくしていく。

 その霧を吸い込むと途端に眠気に襲われ、段々と睡魔に襲われていく。

 

「ううっ……ねむ……い……」

「もう……だめじゃ……」

「スヤスヤ……」

「う~ん……」

「グーグー……」

 

 そして、アベル達は抵抗も空しく深い眠りに落ちてしまうのであった。

 グレギギは彼等の意識が完全に落ちた事を確認するとギルバルスに言う。

 

「これで全員……眠りにつきました」

「よし……では、こいつらを城へ転移させるぞ!」

 

 魔王がそう言うと彼の配下達がアベル達に近付いていく。

 ゴルガドがアベルを腕に抱きあげ、アガーンがガラドとニルスを両脇に抱えゲルグもアイラとバルバラを両脇に抱える。

 

「ドサクサニマギレテ……ムネヲ……サワッタリ、シナイカ……グヘヘ?」

「……」

 

 アガーンが下卑た笑いで軽口を叩くとゲルグはムッとするが無視していた。

 グレギギが魔法陣を描き展開させる。そして、魔王の配下達は次々とアベル達を抱えて魔法陣の中に入るのである。

 

「よし……では、行くぞ!」

 

 ギルバルスがそう言うとグレギギが展開させた魔法陣が光り輝いていく。

 そして、彼等はアベル達を連れて転移していくのであった……。

 

 

 

「う~ん……」

 

 僕は、ゆっくりと目を開けると辺りを見渡す。

 

「ここは……何処?」

 

 周りを見ると石造りの壁や床が目に入り、どこかの地下室のような部屋である事が分かった。

 そして、自身はベッドに寝かされているようである。

 

 上体を起し状況を確認しようと立ち上がろうとするが両手が自由にならない事に気付く。

 よく見ると手に金属製の枷が嵌められており、その状態で寝かされていた。

 

「な……なんだ? これは……」

 

 僕は慌てて上体を起こし周りを見ると隣ではアイラも両手に枷が嵌められ寝かされていた。

 

「アイラさん! 大丈夫ですか?」

「むう……ここは? 手に枷が嵌められている……」

 

 慌てて声を掛けると彼女はゆっくりと目を開ける。

 彼女も僕と同じ様に寝かされている事に気付き、そして周りを見渡していた。

 

「どうやら……ここは地下室のようだな……」

「そうですね……それに手枷が嵌められていますし、何か嫌な予感がします」

「うむ……そうだな。それに、この手枷は魔法を阻害して使えないようにされてるな……」

 

 彼女は自身の手枷を触り、そう呟く。僕もついでに魔力解除を発動させようとするが使えなかった。

 どうやら僕達の中で魔法が使える者に手枷を嵌め、この部屋に監禁されているらしい。

 

 そして、手枷だけでなく部屋全体にも魔力封じの結界が張られているようである。

 僕は魔法が使えない事に少し焦りを感じ頭の中でアジェに訊いてみる。

 

(アジェ……この状況をどうにか出来る?)

『うん……手に嵌められている手枷や部屋に施されている結界も、あたしが本気を出せば簡単に壊せるけど……今はその時でないと思うよ』

(えっ? どうして?)

『魔王という魔力の塊のような大物がいるからね……彼自ら、この部屋に来た時が大チャンスなの』

(つまり……魔王の魔力を捕食する機会を待っているんだね)

『そう……だから、今は大人しくしてね……』

「うん、わかったよ」

 

 アジェがそう言うなら僕は従うしかないと諦め、頷き返事をしてしまう。

 この行動にアイラは疑問に思ったのか、僕に尋ねてくる。

 

「アベル……誰かと話していないか?」

「あっ……いや、ちょっと……頭の中で会話してただけです」

 

 慌てて誤魔化したが彼女はジト目で僕を見詰めていた。

 

「アベル……まさかとは思うが、その体に別人が宿っていないだろうな?」

「い、いえ……そんな事はないですよ」

 

 彼女の疑いを晴らそうと必死に否定するが更に疑いの目を向けてジロジロと凝視する。

 そんな時である、部屋のドアがゆっくりと開き誰かが部屋に入って来る。

 僕はその入って来た人物を見て思わず声を出してしまう……。

 

「グレギギさん!」

 

 そう、部屋に入って来たのは魔王の配下のグレギギであった。

 彼は僕を見るとニヤリと微笑み言うのである。

 

「ほう……目が覚めたようだな」

「私達の魔力を封じて、どうするつもりだ?」

 

 アイラが鋭い眼光で睨みながら彼に言うと、彼は険しい目付きを物ともせず笑いながら言う。

 

「フッ……お前には用はない。アベルに用があるのだ」

「僕に何の用ですか?」

「まあ、そう焦るでない。今から魔王様の面会がある」

 

 グレギギはそう言うと、またドアが開き中に男が入ってくるのであった……。

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