追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

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悪徳商人達から襲われているドワーフを助ける

「今だ! やっちまえ!」

「火球よ! 杖の向いている方向に飛んでいけ! 粉々になれ!」

 

 商人がけしかけ魔術師が魔法を唱える。彼の杖から火球が現れドワーフに飛んでいく。

 僕は一気に駆け出す。そして、ドワーフと魔術師の間に入り込み、手をかざす。すると、手の平にスルスルと火球が吸い込まれていくのである。

 

「なっ!?」

「えっ……!?」

 

 魔術師と商人は驚愕する。火球が爆発するどころか手の平に吸い込まれていったからだ。

 僕は火球を吸収するとアジェにどうかと問う。

 

『う~ん……質が良くないからパサパサした味だね……』

「そうか……どうやら君の魔術は粗悪だって」

 

 アジェが言ったことを、そのまま魔術師に告げる。僕は彼がどんな反応をするか楽しみにしながら見詰める。

 

「なっ……何だと! 私の魔術の質が低いとでも言うのか!?」

 

 魔術師が怒ったように叫ぶ。その間にも僕はズカズカと彼等に向かって近付いていく。

 

「おい! 俺を守れ !」

 

 商人は冷や冷やしながら魔法使いに命令し、彼は慌ただしく杖を向ける。

 

「近寄るな! そうだ、魔法障壁を張ってやる! これで私達に手を出せまい」

 

 魔術師が自信気に叫ぶと、彼の前に魔力の壁が現れる。

 それは淡い青い色をした球状の障壁で彼等を覆っていく。

 

 僕の瞳には障壁の構造が魔力の糸の編み込みとして鮮明に映し出されている。

 それに向かって女性の様な、しなやかで細い白い指を突き入れていく。

 

「雑な構造だね……。接合部が荒くて、脆いし……センスがないね……」

「なっ!? 素手で触れば手は消し炭になってしまうぞ!」

 

 魔術師は驚いたように叫ぶ。僕の指が障壁に触れた瞬間、接触面から亀裂が入っていく。

 障壁の幾何学模様が腐った果実の様に変色していった。その時、パリンと音を立て障壁がヒビ割れていくのである。

 

「はっ……!?」

 

 魔術師は割れた障壁を見て固まる。そして、僕は構わずに手で押し込んで力を加えると簡単に障壁が破壊される。

 その様子を後ろで見ていた商人は腰を抜かして尻もちをついていた。

 

「ひっ! ひぃー!!」

 

 彼は悲鳴を上げながら後退り魔術師は他の呪文を唱えようと焦っていた。

 平然と僕は彼等に向かってゆっくりと歩きながら言う。

 

「さてと、どうしてやろうか……?」

 

 1人で呟きながら自分の中に居るアジェにも尋ねる。

 

『うーん……とりあえず、その魔法使いの魔力を吸わせてもらおうかな?』

 

 彼女は楽しそうに答える。僕は頷くと魔術師に向かって手を伸ばす。

 

「や……やめろ! これ以上、近付くな!」

 

 魔術師は呪文を唱えるのを止めて杖をブンブンと振り回しながら叫んでいる。

 どうやら為す術がなく取り乱しているようだ。その様子に僕は呆れて溜息をつく。

 

「全く……見苦しいなぁ……」

 

 そう言うと、振り回す杖を左手で掴み右手で彼の胸元へと突き入れる。

 接触した瞬間、魔術師の体表に魔力の血管が青く浮き上がる。それが指へと吸収されていくのが僕の目で視覚化されていく。

 

「あっ……ぐっ! あ……ああっ……!」

 

 魔術師は目を見開き、自分の魂が吸われていく感覚を味わいながら掠れる悲鳴を上げる。

 彼の魔力を殆ど吸い上げると、僕は溜息をついて手を引き抜く。

 

「ヒュー……ヒュー……」

 

 魔術師は空気が抜けたような声を漏らし白目を剥くと地面に倒れ気絶してしまう。

 頭の中でアジェの声が聞こえ、彼の魔力の味を表現してくる。

 

『うーん……この男の魔力は底辺で雑味のある味わいね。魔力は質が大事だから、もっと質の良い魔力を食べたいな』

「……それは仕方ないよ。彼は大魔術師じゃないから」

 

 アジェの言葉に僕は納得して答える。そして、商人の方を見て尋ねる。

 

「さて、次はお前だけど……」

「ひっ! あ……ああ!」

 

 彼は恐怖で後ずさりする。しかし、すぐに何かにぶつかり逃げ場を失う。

 商人の後には大きな盾を持ったドワーフが待ち構えていた。彼は商人に向かって怒鳴る。

 

「儂を忘れちゃ困るぞ!」

 

 ドワーフの周りに、さっきまで威勢は良かったゴロツキ共が転がっている。

 男達の剣は皆、折れており彼の盾で叩き壊されフルボッコにされたのだろう。

 彼等の頭部を見ると全員、たんこぶが出来ていた。

 

「儂を痛めつけるんだろ?……どうした?」

「くっ……くそっ!」

 

 商人は悔しそうに歯ぎしりしながら、ドワーフを睨みつける。

 

「儂はな……お前みたいな奴が一番嫌いなんだ! 弱者をいたぶり、金に物を言わせる奴がな!」

 

 そう言うと彼は盾を商人に向けて目の前で振りかざす。その衝撃で商人は尻もちをついた。

 そして、倒れた商人に向かってズンズンとゆっくり歩いていく。

 

「ま……待ってくれ! 金が欲しいならくれてやる!」

 

 彼は腰に吊るした金貨が入った袋を僕とドワーフに差し出す。しかし、商人の怯えきった表情を見ると彼は鼻で笑う。

 

「ふん! 金で儂を釣れると思うとるのか!」

 

 そう言うと袋を手で弾くと地面に落ちる。僕はその袋を拾うとアジェが頭の中で話しかけてくる。

 

『あたしが、こいつに面白い幻覚を見せてあげる。袋の中身を見せてやって』

 

 怯えた商人に落とした袋を中が良く見えるように開いて見せる。

 彼は中身を見た途端、顔が青白くなり恐怖の表情で叫ぶ。

 

「な……何だこれは!? うぎゃぁぁぁ!!」

 

 袋の中身が金貨、銀貨でなく、気持ち悪い虫が蠢く中、無数の人間の目玉がこちらを覗いていたからだ。

 商人は絶叫しながら、へなへなと崩れ落ち放心状態になる……。

 

「アジェ、あの男に何を見せたんだい?」

 

 僕は彼女に問いかける。すると彼女は悪戯っぽく笑いながら答える。

 

『えへへ……気持ち悪い虫と無数の目玉だよ……』

「あんまり、やりすぎると……気が狂っちゃうよ?」

『大丈夫だよー。少ししたら元に戻るでしょ。暫く悪夢にうなされるかもしれないけどね、クスクス』

「……それはそうだね」

 

 アジェの悪だくみに納得しながら僕は肩を竦めるのであった。

 1人呟く僕を見てドワーフが訝しげな表情をするも感謝の言葉を述べる。

 

「すまんな……儂はガラド・バウサと言う鍛冶職人で見ての通りドワーフだ……」

 

 僕も頷きながら挨拶をする。

 

「初めまして、僕はアベル・オランドです。大丈夫で何よりです」

「ああ、ありがとう。アベル……君は勇敢で強い女性だな……」

 

 ガラドは僕を見て感心するように言う。胸の内では元男性だけどと思い、やりきれない気持ちになるのである。

 そして、彼は倒れているゴロツキ達と魔術師を一瞥すると溜息をつく。

 

「こいつ等はな、金を貰えば何でもするならず者共だ……それと悪質商人から雇われた魔術師だろう」

「なるほど……何故、この商人から襲われる訳は?」

「儂がミスリル製の武具を作れる職人なのでな……魔法金属であるミスリルを鋳造して特殊な方法で鍛造しておる。この技術はドワーフの中でも扱える者は数少ないぞ」

 

 ガラドは自慢げに話すと、倒れている男達をチラッと見る。そして、僕に言う。

 

「儂の工房に来ないか? 助けてくれた礼がしたい」

「はい、お願いします!」

 

 彼の律儀な言葉に僕は元気よく返事をしたのであった。

 僕等は気絶したゴロツキ共と魔術師、放心状態の商人を放置する。

 

 そして、森の外れにあるドワーフの工房へと向かうのである。

 その道中、ガラドは歩きながら自分の身の上話をしてくる。

 

「儂はな……この大陸のドワーフの中でも指折りの鍛冶師だったんだ。だが、物を作ることだけでなく物の本質を見極めることにも執着しすぎてな……」

「執着しすぎた?」

「だがな……ある日、儂は自分の作る武具に満足出来なくなってしまっての……」

 

 ガラドは自分の過去を振り返りながら話す。僕は頷きながら黙って聞いている。

 話を聞きながら彼の荷車に積まれている品々を見ると、そのどれもが一級品の品物であるのが素人目でも判る。

 

「……だから今は、しがなく物を作って商人と取引して生活をしておる」

 

 彼は寂しそうに言うと、僕は頷きながら答える。

 

「だけど……いずれは、最高の物を作ってみたい熱意は残っているんですか?」

「一応、いずれは……満足させる物を作ってみたい情熱が湧き起こればいいがの……」

「はぁ……そうですか」

「まぁ、いつかは……な」

 

 ガラドは溜息をつく。僕は生返事をしながら彼の工房がどんな物なのか興味を持ちながら歩いていくのであった……。

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