追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

41 / 41
闇の精霊を身に宿すダークエルフと風の精霊を身に宿す古エルフ

「何の技だ……?」

 

 ナイアの奇妙な行動を見てアイラは思わず呟いてしまう。

 それとは逆にナイアは一点を凝視せず、ぼんやりと眺めるているようだが冷徹な眼差しは失っていない。

 

 一方、アイラは危機感を感じ腰を落として再び構えを取る。

 そして、ダークエルフの動きに注意しつつ迎え撃つ用意をしたのである。

 お互いが間合いを取ったまま緊迫した空気が流れる。それを観客達は息を呑みながら見守っていた。

 

「貴様は何故構えない……」

「構えれば、瞬間的な反応の邪魔になる……」

 

 ガードも上げず両腕を力なく垂らし、視線すら合わせない。

 対戦しているとは思えないほど完全に脱力したその異様な自然体に、アイラの背筋に冷たいものが走る。

 そして、ナイアは両腕をダランと垂らしたままアイラにゆっくりと近づいていく。

 

「何とも得体の知れない技だ……」

 

 彼女は正体不明の技に恐怖を感じ取り、無意識に後ずさってしまう。

 そんな彼女の心境など、お構い無しでナイアは間合いを詰めて行く。

 

 遂に互いの攻撃範囲に入る距離まで詰めると、思わずアイラは顔面に向けて目にも留まらぬ突きを放った。

 その突きが顎に当たった瞬間、頭がまるで風に吹かれた柳のように不自然にしなる。

 

「何っ!?」

 

 アイラが驚きで声を発した瞬間、ナイアの腕が鞭のように跳ね上がる。

 予備動作無しの自然体から放たれた重い打撃がアイラの腹に直撃する。

 

「がはっ!」

 

 彼女は苦悶の表情を浮かべて、腹を押さえ片膝を地面に着けてしまう……。

 そして、ダークエルフは蹲った古エルフを冷酷な瞳で見下ろす。

 

「私の突きは貴様の顎を打ち抜いたはず……それは武術か?」

 

 アイラも自身の攻撃が当たった手応えはあった。

 しかし、攻撃を喰らった瞬間すぐに力を受け流し回避したのである。

 

「もちろん、武術よ……私だって闇エルヴンストライク以外の技を会得してるわ」

「なるほど……貴様も達人か……」

 

 彼女はナイアの言葉に納得し、改めて構えを取る。

 そして、今度はアイラが攻撃を仕掛ける番であった。

 彼女は素早い動きで、ナイアの横に回り込み蹴りを加える。

 

「はっ!」

 

 だが、その攻撃も体をしならせて受け流されてしまう。そして、追撃するように拳が飛んでくる。

 アイラはその攻撃を素早くガードすると再び構えを取った。

 

「ふっ……蹴りも受け流すか……」

「ええ……大抵の攻撃は効かないわ」

 

 互いに動かず呟いている2人を見て観客達も緊迫した空気を感じて無言になってしまう。

 そんな静寂な闘技場で先にナイアが動いた。

 

 彼女は自然な動きでアイラに近付いていく。古エルフも迎え撃つために構える。

 次の瞬間ナイアの体がピタリと止まった。その瞬間を狙うようにアイラも渾身の一撃を放つ。

 ダークエルフは彼女の攻撃を受け流すと同時に突きを顔や腹に打ち込む。

 

「ぐっ!……何っ!?」

 

 またもや攻撃を受け流すと並行して自身の攻撃を当ててくるのである。

 そして、突きを当てられたアイラは状況を理解できず戸惑うのであった。

 

「くそっ!」

「この武術は攻撃と防御の区別がない……」

 

 ナイアはそう呟くと邪悪な笑みを浮かべる。しかし、アイラに成す術がない。

 その顔は苦痛に歪み額からは汗が流れ焦燥感に駆られていた。

 

「まだやるのかしら? 負けを認めたら?」

「そんな事するか。まだ全力を出し切っていない」

 

 彼女は後ろ足に力を入れ構えて浮動の状態を取る。

 その行動を訝し気に思うが、ナイアはあえて近付き腕を取ろうとする。

 

「腕をへし折ってやる!」

 

 そう言って彼女は地面を蹴り上げ前進していく。

 その瞬間、ナイアがアイラの懐に踏み込むと腕を絡めとる。

 

「ここだぁ!!」

 

 古エルフが叫ぶと同時にドォォォンッ!!という音が闘技場に響き渡る。

 震脚の反動が彼女の脚、腰、そして背中へと一気に駆け上がった。

 

 密着した状態でアイラは半身をひるがえすと同時に自身の肩と背中をナイアの胸元に叩き付ける。

 接触状態からのゼロ距離打撃のエネルギーがダークエルフの体内に叩き込まれるのである。

 

「がっ、あ……っ!?」

 

 ナイアの肺からすべての空気が吐き出される。

 彼女の武術がどれほど衝撃を逃がそうとも逃すことが出来ない圧倒的な衝突のエネルギーでぶつかった。

 次の瞬間、彼女の体は後方へ吹っ飛ばされていく。

 

「あぐぅっ!!」

 

 彼女は無様に地面を転がり闘技場の壁に激突して止まる。

 その衝撃で一瞬意識を失いそうになるが、唇を噛んで気力を奮い立たせる。

 ナイアは痛みに耐えながらもゆっくりと立ち上がった。

 

 その間、「シュッ……シュッ」と鋭い呼気を発し続けると痛みが散っていくのである。

 そして、アイラは彼女を少し気に掛け呼びかけた。

 

「まだ、やれるのか?」

「もちろん、大丈夫よ……呼吸法で痛みが散乱したから」

 

 彼女はそう答えると再び構えるのであった。

 

「そうか……ならば、決着を終わらせるぞ……」

「提案があるけど……精霊を身に宿して戦う本来のエルヴンストライクで戦わない?」

「決着はエルヴンストライクでという事か……良いだろう」

 

 アイラは彼女の提案に少し驚いたが、すぐに承諾する。そして、2人は精霊を身に宿すために集中していく。

 

「闇の精霊シェイドよ! 我が命に応じよ!」

「風の精霊シルフィードよ! 我が身に宿え!」

 

 すると、アイラとナイアの周りの空間が歪んでいく。そして2人の体に精霊が纏わり付くのである。

 ナイアの方は闇の精霊らしく身に宿した彼女の瞳が淀んだ漆黒色に染まる。

 

 アイラの方は風の精霊を宿した影響で彼女の瞳が金色から青みがかった鮮やかな緑色に変わっていく。

 両者とも対峙したまま動かず互いの出方を探っているかのようであった……。

 

 

 

 この時、観客達もピリピリとした緊張感が伝わり戦いが始まるのを待っていた。

 2人に淡い色の付いたオーラを纏う姿に僕達は息を呑んで見入っていた。

 アイラは緑色のオーラが、ダークエルフには漆黒のオーラが纏わり付いている

 

「おお~2人に、それぞれの精霊から覆われておるぞ!」

「凄いね!……それにしても、あの2人の姿は幻想的だね……」

 

 ガラドは彼女達の姿に感嘆しニルスは、その姿を見て感動している。

 2人共、緑色と黒色で覆われたオーラを纏っていて神秘的な雰囲気があった。

 

 僕も彼女達の姿に思わず見とれていたのである。

 すると、隣にいたバルバラは呟く。

 

「どうやら、この戦いで決着が着きそうだな……」

「そうですね……けど、アイラさんが絶対勝ちますよ」

 

 バルバラの言葉に頷きながら答える。そして、遂に2人が動き出すのであった……。

 

 

 

 最初に仕掛けたのはダークエルフのナイアである。彼女は地面を蹴って一気に間合いを詰めていく。

 攻撃するかと思いきや急に立ち止まり手をかざすと、ダークエルフらしい邪悪な笑みを浮かべ言い放つ。

 

「闇の中で藻掻くがいい! 『闇落とし』!!」

「なんだとっ!?」

 

 ナイアが叫びと併せて、アイラの視界が急速に暗黒に包まれていく。

 今、彼女は完全な盲目状態へと陥っていた……。

 

「くっ!? 何も見えぬ!」

「アハハハハ! 何も見えない状態なら私の位置がわからないでしょ! このまま、やられなさい!」

 

 笑い声を上げながら、好機と見てナイアが攻撃する。

 目が見えない為、彼女は手探りで相手の位置を予測して突きを放つ。

 

「はっ!」

 

 だが、彼女の放った一撃は空を切り無常にも空振りに終わる。

 

「ふっ……出鱈目で当てても、そんなもの通用しない!」

 

 彼女はそう言って相手の攻撃を悠然とかわす。そして、ナイアの腹部に拳打を喰らわすのであった。

 

「ぐふっ!?」

 

 腹部に拳を受け苦悶の表情を見せる。しかし、一撃を与えたと同時に彼女の気配も遠ざかるのを感じたのである。

 

「くそっ……逃げられたか」

 

 彼女はそう呟くと再び攻撃を仕掛けてくるのを警戒する。

 その時、アイラは何かを閃く。

 

 目を瞑り、感覚を研ぎ澄ます。そして、ナイアの気配を探るのであった。

 風の精霊を身に宿している今、空気の動きが脳の中で地図として視える。

 

「そこか!」

 

 彼女は気配を感じた方向に蹴りを放つと空を切るが微かに掠るのである。

 

「……残念、私はここよ」

 

 ナイアはそう呟くがアイラの対応の速さに内心驚いていた。

 

「くそっ……化け物め!」

 

 彼女は小声で吐き捨てると音を立てずに回り込む。

 しかし、アイラはその動きを感知できていないのであった……。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【全話挿絵】TS女神転生~合体事故?でジョブは死霊でした。憑依スキルを使った女性たちの様子が変なんです。(作者:よっちゃ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

▼【挿絵表示】▼女神にTS転生したはずがなぜか死霊だった。上半身だけの半透明の美少女が死霊系スキル【憑依】と女神の力で無双する。▼なぜか憑依された女性はTS女神に依存するようになり、勝手にできあがる百合ハーレムに苦労してしまう羽目に。口は悪いが弱き者を決して見捨てない、人情女神。 ▼古き言い伝えにあるTS女神転生の死霊版。勧善懲悪の救世漫遊記。▼なろう、カク…


総合評価:41/評価:-.--/連載:21話/更新日時:2026年05月05日(火) 10:42 小説情報

TS眷属にされたので、勇者よりも先に魔王殺しの聖剣集めます。――ダンジョン使って、のんびりスローライフ(作者:あでぃかりん)(オリジナルファンタジー/コメディ)

「魔王助けりゃ穴二つ。女の子を助けようとした僕が、魔王の眷属の女の子に!?」▼助けようとした女の子が魔王だった僕。▼魔王に女の子にされた上に、彼女を倒せる唯一の武器。『聖剣』を、勇者より先に集めることとなる。▼魔王は無茶振りしてくるし、勇者候補達から言い寄られるし、僕の運命と性別、誰か返してよ!!


総合評価:62/評価:-.--/連載:25話/更新日時:2026年05月02日(土) 12:13 小説情報

【TSして最強】世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない(作者:月森朔)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ダンジョンが現れてから30年。▼俺は、黒歴史の自作小説キャラになれるという奇妙な能力を手に入れた。▼変身した姿は、▼紅い髪をなびかせるレベル500の魔女▼食いしん坊の女子高生ヒーラー▼希代の美少女魔道具師▼・・・▼かつて妄想で描いたキャラたちが、▼美貌も能力もそのままに、俺のアバターとして実体化する。▼そして能力は進化し、分身も加わり、アバターが連携を始める…


総合評価:170/評価:6.5/連載:22話/更新日時:2026年05月11日(月) 12:01 小説情報

【全話挿絵】婚約破棄された悪役令嬢、実は元覇王でした ~小僧、婚約を破棄し国外追放するだと?(作者:よっちゃ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

▼【挿絵表示】▼【全話イラスト付き小説】普通のざまぁに飽きてしまった方はぜひ!内容は婚約破棄された漢(おんな)が活躍(ざまぁ)する、あの世紀末なストーリーや男の塾の雰囲気の物語です。もちろん謎の出版社によるとんでも解説もあります。すみませんがウホッはありません。 ▼婚約破棄――それは屈辱。だが彼女たちは立ち上がる。婚約破棄された令嬢たちが結成した軍勢『覇天軍…


総合評価:29/評価:-.--/連載:26話/更新日時:2026年04月30日(木) 09:31 小説情報

どうやら、魔法()と百合らしい世界にTS転生したらしい。(作者:モモル)(オリジナルファンタジー/日常)

神様転生で、ハロウィーンな世界に飛ばされたTSっ娘が親友+aに可愛がられる話。▼不定期更新です。これが、初投稿なので分からない事が多くあると思いますので、生暖かい目で見守りください。


総合評価:81/評価:-.--/連載:5話/更新日時:2026年03月16日(月) 03:17 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>