追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

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古エルフとダークエルフの決闘の結末

 一方、観客席ではバルバラとニルスが難しい顔をしていた。

 

「アイラの奴、目が見えてないんじゃ……」

「適当に攻撃してるよね」

 

 2人は戦いを見ながら冷静に分析をしているようである。

 そんな2人を見て僕は疑問を投げかけた。

 

「どうして、見えてないんですか?」

「それはだな……闇の精霊の力でアイラの視界を奪っておるんじゃ……」

 

 ガラドの説明では、ダークエルフは他のエルフと違って闇の精霊を使役し自在に操る事が出来るらしい。

 

「闇の精霊を、あのダークエルフの女が使っても不思議じゃないの」

「なるほど……でも、アイラさんなら何とかしますよ!」

 

 彼の言葉に納得しつつ僕は自信たっぷりに答えると、皆は頷いていた。

 

「ああ、そう思う……きっと何か策があるさ」

 

 バルバラはそう言って、僕の言葉に賛成し彼女の勝利を信じているようであった……。

 

 

 

「さて……どう止めを刺してやろうか……」

 

 ナイアはそう呟き、アイラを確実に仕留めようと策を巡らせる。

 ダークエルフは横に静かに回り込む。

 

 傍らに回り込まれても古エルフは気付いていないようである。

 ナイアは半身になるとエルフの顔に向かって、渾身の横蹴りを繰り出した。

 

「もらった!!」

「視えた!!」

 

 その蹴りが彼女の顎を捕らえる瞬間、アイラもダークエルフの蹴りを捉えて叫ぶ。

 ナイアが絶対の自信を持って放った必殺の蹴りが何もない空間を貫く。

 

「なっ!? 見えている!?」

 

 横蹴りを放った状態で彼女は驚きの声と共に、その足を素早く引っ込める。

 

「風の精霊のお陰で大気が読める……そして、貴様の最後だ!」

 

 そう言いナイアの方へ素早く向き直ると彼女との間隔は一歩の距離であった。

 まさにその時、アイラは後ろ足を震脚しドォォン!という音を鳴らし地面を叩く。

 

 それと共に腕を引く予兆を見せない零距離で足から伝わる反動のエネルギーを拳に集約していく。

 当たった瞬間、爆発的なエネルギーがナイアの体内を貫通していった。

 

「うっ……があっ……」

 

 彼女は上半身をしならせて何とか受け流そうとするが、それが追いつかないほどのダメージが全身を駆け巡る。

 ナイアは声にならない悲鳴を上げ瞳から漆黒の色が消えていくのである。

 

 完全に無力化した彼女はゆっくりと、その場に崩れ落ちていった。

 アイラは突き出していた拳を静かに引き呼吸を整えると瞳の色が緑色から金色に戻るのであった……。

 

「勝者!アイラ!!」

 

 審判が勝者の名を告げる。観客達は一瞬、静まり返るが次の瞬間に歓声が上がる。

 

「うおぉぉぉぉぉ!」

「すげぇ!……幹部のナイアを倒したぞ!」

「あの古エルフ、ただ者じゃねぇぞ!」

「流石はアイラさんだ!」

 

 僕達は彼女の勝利を喜び合い、拍手喝采で称えていた。そして、彼女は僕等の方へ視線を向けて微笑むのである。

 それから崩れるように座って肩を落とすダークエルフに向かって、アイラが静かに呟く。

 

「私の視覚を奪えば勝てると思ったんだろうが、その自惚れが貴様の敗因だ……」

「そうね……シェイドの力に頼り過ぎたようね……。これじゃ、闇エルヴンストライクの使い手失格ね……」

 

 自嘲気味に答える彼女は悔しそうに唇を噛んでいた。そんなナイアにアイラは声をかける。

 

「もう一度、修行し直せ……そうすれば私に追いつけるだろう」

 

 それだけ伝えると彼女は踵を返し後にする。その背中を見つめていたナイアの目からは涙が静かに流れていたのである……。

 

 

 

「アイラさん、勝ちましたね! 僕は絶対勝つと信じてましたよ」

「ああ……薄氷の勝利だった」

 

 僕は闘技場から戻ってきた彼女に祝福の言葉を送る。

 すると彼女は謙遜しながら、僕に答えた。

 

「いや~、流石はアイラだ! 徒手空拳での戦いに右に出る者はいないな!」

「……ありがとう」

 

 彼女は古エルフの勝利に喜びながら、その肩を叩いている。

 アイラも少し照れた様子で答えていた。そして、ニルスも興奮気味に話すのであった。

 

「凄いよ!……最後の一撃なんて、当てただけでダークエルフが倒れたんだよ!」

「何よりだ……」

 

 彼もまた祝福の言葉を送り、彼女も嬉しそうに答えるのであった。

 それに対してガラドは次の対戦が自分達の番だと伝えてくる。

 

「さぁ、次は儂らの番じゃ……勝つには少々骨が折れる相手じゃろうて……」

「大丈夫ですよ……ニルスも頑張ってね!」

「う、うん……ガラドの邪魔にならないよう努力するよ」

 

 僕がニルスに視線を向けると彼は少し緊張した面持ちで答える。

 

「では、行くぞニルス!」

「うん……わかってるってば」

 

 ガラドはそう言うと闘技場の中央へとハーフリングと一緒に足を向けるのであった。

 

「次の対戦は、オークの将軍ゲルグとゴブリンキングのアガーンそれとドワーフ、ハーフリングの混戦だ! 両者共前へ!」

 

 審判に呼ばれて4人は前に進み出る。そして、互いに向き合い構えた。

 彼等の持っている得物はガラドとゲルグは木の長い棒であった。この棒も木剣と同じ素材の木なので硬いはずである。

 

 アガーンはと言うと右手に棍棒と左手に網を持っていた。網で絡めとって動けなくなったところを棍棒で殴り倒すつもりだろう。

 ニルスも棍棒を手にしていたが、それは彼が持ちやすいように普通の棍棒より一回り小さめの物であった。

 

 彼は片手をポケットに入れて落ち着かなく不安そうにしている。

 まるでポケットに入れてる物が気になって仕方がないという感じだ。

 

「ねぇ……ガラド、おいら達って勝てるかな……」

 

 ニルスはそう呟くと彼の服の裾を掴んで震えていた。

 そんな彼を落ち着かせるかのようにガラドは優しく肩をポンポンと叩く。

 

「大丈夫じゃよ……自分を信じるのだ」

「……そうだね!……おいらが自分で道を切り開かないとね!」

 

 彼はそう言うと無理矢理、笑顔を見せるのであった。

 

 

 

 ガラド達とゲルグ達の対決が始まろうとしていた時、特別席でグレギギはイライラしながら魔王と会話していた。

 

「さて……ゲルグとアガーンはドワーフとハーフリングに流石に勝つでしょうな」

「そうであって欲しいがアベルの仲間達だ……簡単にいかないかもな」

 

 魔王の飄々とした態度に彼は苛立つように語り掛ける。

 

「魔王様……いくら命を懸けない対決であっても連敗すれば魔王軍の士気にも影響しますぞ」

「……落ち着けグレギギ、奴等が負けはしないと信じている……それに万が一、負けたとしても私が最終的に勝てば良いだけだ」

 

 ギルバルスが言い聞かすがグレギギの懸念は晴れないのであった……。

 

 

 

 闘技場の中央に棒を構えたドワーフと棍棒を構えたハーフリングがいる。

 ドワーフと同じ棒を持ったオークと棍棒と網で武装したゴブリンキングが対峙していた。

 2組はそれぞれお互いに視線を合わせて無言のまま、相手を睨んでいる。

 

 ガラドの方はオークとゴブリンの強面から睨まれても平然と受け止めて、ドワーフ特有の大きな鼻をフンと鳴らすのであった。

 対してハーフリングはオークとゴブリンの視線に耐え切れず、視線を地面に落としていた。

 

「両者共……準備は良いか?」

 

 審判がそう尋ねるとガラドとニルスは頷く。ゲルグとアガーンも同時に頷く。

 

「では、始め!!」

 

 審判が試合開始を告げると、ガラドが先に動いた。彼は素早く間合いを詰めて棒で突きを放つ。

 彼の突きを受け損ない、まともに鎧越しに受けてしまうが大したダメージはないようだ。

 

 ガラドは元々、短槍使いなので棒であっても使い方に大差はなかった。

 反対にゲルグの方は普段は斧や剣で戦っている事が多いので槍での戦いは少々不慣れであった。

 

「うむむ……棒だと思うようにはいかんな」

 

 ハイオークはそう呟くと棒を回転させながら、ガラドに向かって力強く振るう。

 対するガラドは棒の間合いギリギリで下がりながら上手くかわしていく。

 

「むぅ……ドワーフの癖にすばしっこい奴め!」

 

 ゲルグはそう呟きながら、慎重に間合いを詰めていく。

 そして、彼は渾身の力で棒をドワーフに向けて叩き付ける。

 

「ムンッ!!」

 

 気合いを込めた声と共にガラドの胴を目掛けて棒が振り抜かれるのであった……。

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