追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

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ハーフリングの対決の結果とドワーフの勝負の結末

「コノ、チビガァ!! ブッ殺シテヤル!!」

 

 ゴブリンキングは怒りに身を任せて、ニルスを追い掛け回していた。

 ハーフリングは笑いながら、アガーンの周りを走り挑発しては飛び跳ね逃げ回っている。

 

「おいおい……そんなんじゃ当たらないよー?」

「クソッ! マテ!」

 

 怒りに我を忘れたゴブリンキングが棍棒を振り回しながらニルスを追いかけるが追いつきそうで追いつかない。

 2人で闘技場をグルグルと追いかけっこをしているのでアガーンは、その内息切れを起こすのであった。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

「ゴブリンさん、こちっだよー」

 

 対してニルスは逃げながら挑発を続ける。彼は全くと言っていいほど息切れは起こしていなかった。

 ハーフリングのスタミナは異常なほどある。そのお陰で彼は逃げ続けていられたのであった。

 

「コ、コノ!……チョコマカト!」

 

 ゴブリンキングが怒り心頭でニルスを捕まえようとすると、観客席の方から声が響いてくる。

 

「逃げ回らないで……戦えよ!」

「俺達は鬼ごっこを見に来たんじゃない! 早く戦えカスがぁ!」

「アガーンも、そんなチビを相手に苦戦するんじゃねぇ!」

 

 あちらこちらから彼等に向かって不満や野次の声が飛んでくる。

 観客達もハーフリングが逃げ回っているのを、ただ見ているしかない状況にイライラしている様子だった。

 

 その声を聞いてゴブリンキングは我に返るとニルスを追う事を諦めるのだった。

 そして、大きく息を吸い込むと咆哮する。

 

「ウオオオオォォォォ!!」

 

 余りの声の大きさに闘技場全体が振動したのではないかと思われるほどだった。

 観戦していた者達はその迫力に驚くと同時に声の主であるゴブリンキングを見るのである。

 

 彼は咆哮すると同時に混乱していた精神が正常に戻っていくが興奮は更に増幅していく。

 アガーンの顔はハーフリングに馬鹿にされ屈辱とプライドを傷つけられ、目は血走っている。

 

「ブ……ブッ殺シテヤル!!」

「ひえ~……怒らせちゃった」

 

 ニルスはそう呟くと、慌ててゴブリンキングから離れようとするが……。

 

「逃ガスカ! オ前ハ、絶対ニ許サン!」

 

 ゴブリンキングはそう叫ぶとニルスに向かって棍棒を振り上げ走り出した。

 

「ギャーッ!……こっち来ないで!」

 

 ニルスは必死で慌てて逃げるが、アガーンが飛び掛かって来たのである。

 そして、彼は跳躍しながらハーフリングの頭上に棍棒を振り下ろそうとする。

 

 相手の命を奪わないという約束も忘れてニルスを亡き者にする事だけで頭が一杯になっていた。

 この時、ニルスはあたふたしながらポケットに手を入れ探っている。

 ハーフリングの頭に棍棒が振り下ろされようとした、その瞬間……。

 

 ゴブリンキングの動きが突然止まり棍棒を振り下ろす事はなかった。

 何故なら、彼の顔に向けてハーフリングは小瓶の中身をバラ撒いたからである。

 

「ウガァ!?……何ダ、コレハ!?」

 

 アガーンは小瓶に入っていた粉をモロに浴びて目や鼻がムズムズして悶え苦しむ。

 ニルスはその隙を見逃さず、ゴブリンキングの足の間をすり抜け逃げていくのだった。

 そして、彼の背後に回ると息を切らしながら言う。

 

「はぁ……はぁ……これは、おいら特製の刺激粉だよ!」

「ハッ!……ハクション!!……ク、クシャミガ止マラナイ!」

 

 アガーンはクシャミが止まらず、辺り構わずクシャミを連発して後ろのハーフリングには意識が向いていないのである。

 ここが好機とばかり、ニルスは持っている棍棒をアガーンの後頭部に狙いを定めて殴りかかるのであった。

 

「喰らえ!」

 

 だが、アガーンもクシャミに気を取られているとはいえ、背後からの攻撃に感づき咄嗟に腕でガードする。

 バキッと嫌な音がしガードしたアガーンの顔が痛みで歪む。

 

 ニルスの渾身の一撃は防がれたものの彼の攻撃を防ぐだけで精一杯な様子だった。

 彼は目から涙、鼻から鼻水を流しながらニルスに向かって言う。

 

「クッ! コ、コノ……ヨクモ、腕ヲ殴ッタナ!」

 

 ガードした彼の腕は赤く腫れあがっていた。腫れている腕が大丈夫かどうか、さすって確かめていた。

 ニルスは攻撃が防がれると直ぐに距離を取り、再び棍棒を構える。

 

「へへーん……そんな腕で戦えるのかい!」

「ウガアァ!!……オ前ハ絶対ニ許サン!!」

「ほらほら、こっちだよ!」

 

 怒りで我を忘れたアガーンは本能のまま、ハーフリングに襲い掛かる。

 ニルスは逃げ回りながら、ある物が落ちている所まで誘導しようとする。

 

 彼はそれが目に入ると急停止して後ろを振り向く。

 急に立ち止まったハーフリングに向けてアガーンは力一杯、棍棒を振り下ろそうとした。

 

「ここだよ!」

「ナニッ!?」

 

 棍棒が振り下ろされる直前、ニルスはゴブリンキングの股下をスライディングで潜り抜ける。

 勢い余って振り下ろした先の地面には網が広がっていた。

 

 ハーフリングが網を掴み端を引っ張ると、一気に引き上げる。

 足に網が絡まり、アガーンはバランスを崩して倒れ込んでしまう。

 

「ウガアァ!!……クソッ、足ガ!!」

 

 網に絡まった彼は必死に引き剥がそうとするも中々外れなかった。

 そして、ニルスは倒れたゴブリンキングの傍まで行くと彼の頭部に向けて棍棒を振り下ろすのであった。

 ゴンッと鈍い音がし、アガーンの頭に棍棒が叩き付けられる。

 

「グァッ!?」

 

 彼は痛みで叫ぶと同時に、その場で白目を剥いて意識を失い倒れ込むのであった。

 観客達は小柄なハーフリングがゴブリンキングを打ち負かせた現状に対して一瞬静かになる。

 だが、それも束の間……。

 

「「「うおおおっ!!……」」」

 

 会場は割れんばかりの歓声が響き渡るのであった。

 彼等はハーフリングがゴブリンキングに勝った事を心から称賛し歓声が起こるのであった。

 そんな彼等に反して魔王とグレギギだけはこの結果を冷静に見ながら話し合っていたのである。

 

「……これで、後はゲルグだけになったな」

「ぐぬぬ……ゴブリンキングのアガーンがやられようとは!……」

 

 グレギギはゴブリンキングがやられる事など予想もしていなかった。

 そして、魔王の言った通り……戦うのはドワーフとオークだけとなったのである。

 アガーンを気絶させたニルスは戦いを傍で見ていた。

 

「ガラドも……きっと勝つよね」

 

 ハーフリングはそう呟くと、2人の対決を見守るのであった。

 

「我輩が勝てばハーフリングも倒さねばならなくなったな……」

「うむ……そうじゃな」

 

 ハイオークは棒を構えながらドワーフに呟き、彼もそれに答える。

 そして、間合いを計りながら棒を構え共にほとんど動かない。

 

 2人の対決はニルスの時とは違い静かであった。

 しかし、先に動いたのはゲルグの方で肩越しに担ぎ上げ突っ込んで来る。

 

「我が一撃を喰らえっ! ウォオオオッ!!」

 

 咆哮するとともに踏み込み棒を横薙ぎに払う。

 だが、ガラドは一歩も引かないで僅かに腰を落とし棒を斜めに持っている。

 

 ゲルグの一撃が棒にぶつかると、そのまま縦に振り払われる。

 そして、ドワーフが反撃する間もなく彼は上段から振り下ろし攻撃する。

 

 互いに攻撃したり受けたりする度に棒同士の打ち合うカァーンと乾いた音が何度も響くのである。

 そして、何度目かの打ち合いでゲルグは棒を大きく横に振りガラドを後退させる。

 

「これで、どうだ!!」

 

 彼はそう言いながら両手で棒の中心を持ちクルクルと回転させ、勢いをつけると渾身の力で振り回す。

 その一撃は風を切り裂く音と共にガラドの眼前に迫る。だが……。

 

「ヒュッ……」

 

 ドワーフはそれを読んでいたかのように棒で受けると同時に相手の力を利用して受け流す。

 ゲルグの一撃が当たった瞬間に力を逸らされ地面に滑るように叩き付けられるのである。

 それと同時にガラドは溜め込んだ力を爆発させるように鋭い突き放つ。

 

「でやぁ!!」

 

 彼の放った強烈な突きがオークの鎧の隙間から見えている胴体に正確に直撃する。

 その突きの衝撃でゲルグは体をくの字にして吹き飛ばされるのであった。そして、そのまま地面に叩き付けられる。

 観客達の誰もが、その場面を固唾を呑んで見ている。

 

 オークが倒れても誰も声を上げなかった。ただ、静寂だけが暫く残っていた。

 合図になったように、闘技場全体が揺れんばかりの歓声が上がるのであった……。

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