追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

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第4試合 アベル対ギルバルス

「勝者、ドワーフとハーフリング!」

「うおおおおっ!!……ドワーフが勝ったぞ!!」

「凄ぇな!……あのゲルグ将軍を倒したぞ!」

 

 審判が彼等の勝利を宣言すると闘技場にいる観客達から歓声が湧いてくる。

 彼等はドワーフ達の勝利であっても関係なく歓喜し、自然と歓声を送っている。

 そんな彼等を見てハイオークは起き上がると棒を地面に叩き付けた。

 

「クソッ、負けてしまった……我輩は弱かったのか……?」

「お主は正々堂々に戦い強かった……だが、最後に勝ったのは儂だった」

 

 ガラドも彼に勝利するが見下すことなく彼に敬意を表す。

 この時、ニルスも観客の歓声に鼻が高くなっていた。

 

 ゴブリンキングを倒し今まで感じた事のない強者との闘いを経験でき満足しているのだった。

 そして、彼はガラドの元に近付きながら労をねぎらおうとしていた。

 

「ガラド、お疲れ様!」

「うむ……お主もな」

「ガラドの戦い、見てたよ!……かっこよかったねー!」

「そうか?……だが、お主もゴブリンキングを倒したではないか」

 

 ニルスは褒められて照れくさそうにしているが満更でもなさそうだった。

 しかし、彼は少し気になる事があるのかガラドに質問する。

 

「ねぇ……オークは強かった?」

「あぁ、強かったぞ……儂も奴にギリギリの差で勝つ事できたのぉ」

 

 彼は魔王軍の将軍でありハイオークである。その実力は並大抵のものではない。

 そして、そんな強者を倒したドワーフの実力は底知れないのである。

 

 ニルスは改めて自分の近くにいる者が凄い者だと再認識したのであった。

 だが、彼は薬品を使ってゴブリンキングに勝利したとはいえ真の実力でない事に顔を曇らせていく。

 

「何も戦闘能力で勝つ事だけが全てでない……物を使って勝つのも実力の内じゃよ」

「う、うん……そうだね」

 

 ガラドはハーフリングの顔が陰っていくのを感じ、慰めるように言う。

 ドワーフの気持ちを汲み取り、ニルスは彼の言葉に温かみを感じ胸のつかえがとれるのであった。

 そして、2人はアベル達の元まで戻っていくのである。

 

 

 

「ぐぬぅ……ゲルグにアガーンも、やられるとは……3試合とも連敗ですな」

 

 グレギギは怒りで顔を歪ませながら魔王に言う。

 流石にギルバルスも今までの様に余裕でいられなくなり始めていた。

 

「まさか、2人共やられるとはな……私が、ここで勝利を手にするしかないか……」

「いくら何でも魔王様が負けるとは思えぬませぬが……絶対勝ってください」

「わかった……グレギギ、期待してくれ」

 

 ギルバルスはそう言うと椅子から立ち上がり闘技場へと向かうのである。

 歩いて行く間、アベルの底知れぬ力を考えると警戒しなければと思う。

 

 魔力を喰らう人間か……実力が未知だが人間が自分に敵う相手ではない筈だ。

 ギルバルスは、そう思い直すと余裕の態度を崩さずに歩くのであった……。

 

 

 

 ガラドとニルスがアベル達の元に戻ってきて、自分達の勝利を報告していた。

 彼等は笑みを浮かべながらアベル達に向かって言う。

 

「儂等はオークとゴブリンと戦って勝ってきたぞ、次はアベルの番じゃの」

「ねえ! おいらがゴブリンキングから逃げ回って隙を衝いて倒した場面を見てた!?」

 

 ドワーフは簡潔に答えるがハーフリングは興奮しながら鼻息荒くアベルに話し掛ける。

 

「あぁ……見てたよ。ニルスは良くやったよ」

「えへへ……それほどでも」

 

 僕はニルスを褒めると嬉しそうに話すのである。

 それと、次は自分が魔王との対決である。アジェが力添いしてくれるが本当に勝てるだろうか……。

 

 僕は不安に思いながらも、闘いを想像し闘技場へと歩いて行くのであった。

 闘技場に行くまでの間、緊張した僕を案じるようにアジェが話してくる。

 

『アベル……緊張する?』

「うん……だけど、君がいるから安心だよ。魔王なんて、さっさと片づけてしまおうよ」

『自信満々じゃない……じゃあ、あたしがサポートしなくてもいいよね~』

「冗談だから! 君が助けてくれなきゃ倒せないって!」

『あはは、おちょくっただけだよ……あたしに任せて頂戴!』

 

 僕が冗談めいたように話すと彼女も笑いながら冗談交じりに答えるのであった。

 そして、闘技場の中央まで来ると既に来ていたギルバルスの姿があった。

 アジェと頭の中で話して冷静な様子の僕を見て魔王は、不審な目で見る。

 

「私との対決にも冷静で落ち着いているな……」

「いえいえ……これでも、貴方の前にいるだけで足がガクガク震えてきますよ」

 

 冗談めかして喋る僕にギルバルスは一瞬、怪訝な表情を浮かべるが直ぐに戻す。

 それから、真剣な表情になると魔王も真面目な顔になり見詰めてくるのである。

 

「ふっ……まぁいい。どんな奴が相手でも私は手加減などしないぞ」

「もちろん、僕も全力で行きますよ……僕の為にも、貴方の為にも……」

 

 僕も本気で取り組む様子で呟くように言い放ち魔王を見据える。

 そして、互いに相見まえると魔王は自然と妖気を身に纏い始める。

 

 次第に妖気だけでなく魔力も全身に纏い始めた。

 彼が魔王たらしめる魔力が高まっていくのを、はっきりと肌で感じる。

 

 ギルバルスから放たれる圧力は僕に恐怖を与えるには十分だった。

 だが、威圧されている僕を心配してアジェが話し掛けてくる。

 

『アベル……大丈夫?』

(……大丈夫じゃないかも)

 

 僕は心の中で答えると、魔王の放つプレッシャーに負けないように歯を喰いしばって耐えようとする。

 彼を相手にして勝たなければ……魔王としての力を吸収し魔王から解放させるどころの話でない。

 

 勝たなければ魔王の配下や軍勢を納得できずに僕等を血祭りに上げようと襲い掛かるだろう。

 その為に、ここで勝つしかないのだから……。

 

「では、始めるか……」

「はい、始めましょう……」

 

 暫く2人の間に沈黙が流れると審判が開始の合図をする。

 

「では、始め!」

 

 審判は試合開始の合図を出すと、直ぐに離れるのであった。

 それは直接、魔王の攻撃に巻き込まれるの防ぐ為である。

 ギルバルスは開始早々から手をかざし呪文を唱え魔法を発動させる。

 

「まずはお手並み拝見だ……炎と成りて焼き払え……燃え尽きろ!」

 

 呪文を唱えると彼の手の平に火球が現れ、それが魔王の手から離れて飛んでいく。

 そして、何発も火球を飛ばしてくるのであった。

 

 僕は魔法を使うわけでもなく、防御するわけでもなかった。

 ただ、普通に両手を前にし魔王の魔法を受ける準備をする。

 

『アベル! 行くよ!』

(うん、わかってるって!)

 

 アジェが心配そうにする中、僕は慌てることなく冷静に火球に向かって手をかざす。

 魔王が放った数発の火球が手に触れる直前に何事も無かったかのように消失していく。

 

「なにっ!?……火球が全て消滅しただと……」

 

 ギルバルスは一瞬、何が起こったのか分からず唖然としていたが直ぐに我に返る。

 そして、何やら呪文を唱えると僕の目の足元に大きな魔法陣が出現した。

 それは墨を流し込んだような、どす黒い魔法陣で、そこからは黒紫色の瘴気がもわもわと立ち込めていた。

 

「暗黒魔術は、どうだ!……我が命により、魂を蝕み喰らいつくして抜け殻となれ!」

 

 魔王がそう叫ぶと魔法陣は黒光りを増して、瘴気の中から無数の骨だらけの手が現れるのであった。

 そして、その手が足を掴み魔法陣の中に引きずり込もうと襲い掛かる。

 

「アジェ……どうすればいい?」

『もちろん任せて!』

 

 僕はアジェに助けを求めると彼女は自信満々で答える。

 

『骨だらけの手、気持ち悪いけど全部喰い尽くしてあげる!』

「うん……お願い」

 

 彼女はそう言うと、僕の背中が熱くなり無数の触手が生え伸びていく。

 それ自体は生物の触手のようでなく多元色のオーラを纏った魔力で出来た物である。

 

 そして、僕の背後から多数の多元色の触手が無数に伸びて骨だらけの手を喰い尽くす。

 すると、魔法陣が消えて瘴気も霧散してしまうのだった。

 

「なっ……何、これも消滅してしまった!?」

 

 ギルバルスは目の前で起こった事に目を丸くしていた。

 まさか自分の暗黒魔術を異世界の女神に喰われてしまうとは夢にも思わなかった筈だ。

 

「その魔力で出来た触手は、お前自身の力によるものなのか?」

 

 魔王は驚きながらも、冷静にアジェが生やしたオーラの触手が消えていくのを見ながら問い掛ける。

 だが、アジェが生やした触手を見て未だ、衝撃が抜けず信じれないといった様子であった……。

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