追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~   作:nene2012

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王達を殺して死霊魔術で生ける屍者として蘇らせる

「陛下は国を挙げて魔王を倒す為、魔王城まで軍を派遣してくれるでしょうか?」

「今現在、魔王から被害を受けている訳じゃない、すぐに軍を派遣する予定はないぞ……」

 

 王はレムルスの進言に対して渋い顔をして答える。

 確かに現在、魔王から王国に対して被害をこうむっているという報告はない。

 

 下手に軍を派遣すれば王国の兵士や騎士団に多大な被害が及ぶ他、国民に不安と動揺を与えてしまう。

 もし、敗北すれば王国の存続の危機にも繋がりかねない。

 

「では、魔王を野放しにするのですか?」

「そうは言っていない……魔王側から仕掛けてこない限り、こちらからも仕掛ける意味がなかろう?」

「しかし……」

「魔王を討伐したいなら、そなた達だけで行くがいい」

「な……何ですと!?」

 

 王の言葉にレムルスは動揺すると同時に失望する。

 魔王を討伐したいなら、自分達だけで行けというのである。

 

 被害がない以上、神に選ばれた勇者の申し出とはいえ悪戯に王国の財政、人命を犠牲にしてまで魔王と戦う必要がない。

 戦う意思のない王の言葉にレムルスは愕然としてしまう。だが、彼は更に言葉を続ける。

 

「それに、そなた達が魔王を倒せなかったとしても王国が滅びる訳ではない……」

「……それはどういう意味でしょうか?」

「そのままの意味である!……勇者よ」

 

 勝手に話を終わらせた事にレムルスは怒りを覚え、この場に居る王や臣下達を聖剣で手に掛けたい思いで一杯であった。

 その時、隣に居た魔女ベルゼリアは彼の心を見透かすように囁く。

 

「レムルス……妾に任せるがよい」

「なんだと……」

 

 魔女は満面の笑みを浮かべる。その笑顔は今まで見た事がない邪悪な笑みだった。

 そして、謁見の間に居る者達全員に呪文を呟く。

 

「死の霧よ! この場に居る者達に速やかな死を! 死に絶えろ!」

 

 ベルゼリアは不気味な呪文を呟くと彼女の体から膨大な魔力が放出されるのであった。

 彼女が呪文を唱えた瞬間、謁見の間に霧が出現し赤く染まる。

 

 その霧はレムルス達と魔女を避けるように部屋中を覆いつくす。

 霧が王や臣下、近衛兵達に纏わり付き、彼等は霧の中で胸を押さえ苦しみ藻掻き最後には絶命する。

 

「な……何をしたんだ?……」

「おいおい! 王を殺しちまったら俺達はお尋ね者じゃねぇか!」

「早く、この城から逃げるぞ!」

 

 レムルス達は突然の出来事に動揺し、ベルゼリアを睨み問いかける。

 ただ、レイラだけは落ち着き払った様子で、この事態を予測していたかのようである。

 

「大丈夫です……殺して生き返させれば手っ取り早く手先に出来ます……」

「何っ!?……」

「この者達を生ける屍者として甦らさせよう……さすれば妾達の都合のいい傀儡になってくれようぞ」

 

 魔女はシャノンの顔で邪悪な笑みを浮かべレムルス達にそう答える。

 その笑顔は見る者全てを凍りつかせる程の笑みであった。

 そして、彼女は息絶えた王の死体を見下ろし妖しく微笑みながら他の呪文を唱える。

 

「死者を生ける屍者として蘇らせよ! 蘇生せよ!」

 

 呪文を詠唱すると漆黒の霧が出現し死体に纏わり付く。

 その霧に覆われた死体達は少しして、ゆっくり起き上がり生ける屍として甦る。

 彼等の顔は青白く生気のない目で魔女の足元に跪くのである。

 

「うふふふ……お前達は妾の奴隷ぞ、言いなりになるのだ」

「はっ……ベルゼリア様、仰せのままに……」

 

 王達はベルゼリアの魔術で生ける屍者として生き返った。

 そればかりか絶対に裏切らない奴隷として隷属させられているのである。

 

「なっ!?……生き返った!?」

「死人が生き返るなんて……」

「生き返ったが皆、顔が土気色で目が虚ろだ……生きてた時と同じように仕事できるのか?」

「そなた達も見たであろう? この者達は死霊魔術によって生ける屍者として甦らせたのだ……生前と同じように働くことが出来るぞ」

 

 ベルゼリアは得意気に彼等に説明し、自らの死霊魔術の高尚さを自負していた。

 だが、レムルス達は彼女の忌まわしい能力を見て唖然としてしまう。

 

 死人を甦らせ従えさせる能力……それは邪悪な力で神の神聖さとは相反するからである。

 何故、神はこのような邪悪な魔女を蘇らせたのか?

 

 自身も勇者として相応しいとは思えないが、それ以上にこの女は邪悪で危険な存在であるとレムルスは認識した。

 ただ、彼女は自分の妹の体を乗っ取っているので迂闊に手を出せない……。

 

「……ベルゼリアよ、彼等をどうする気だ?」

「妾が命令すれば即、魔王がいる地まで軍を派遣させようぞ……」

「何?……本当に軍を派遣できるのか!?」

「そうだ、妾の一声でこやつ等は意のままに従うのだ」

 

 魔女ベルゼリアはレムルスの問いに答えると、彼女は王や臣下達に命令する。

 そして、彼等は魔女の指示通りに、その命令を忠実に遂行するのである。

 

「お前達は魔王の元に軍を送り出す為に、配下に命令し兵を招集するのだ!」

「ははっ……仰せのままに」

 

 レムルスは屍者となって魔女の言いなりになる王や臣下達に恐怖を覚える。

 彼女に逆らえば自身も死霊魔術で生ける屍者にされる恐れが、あると思うと歯向かわない方がよさそうだ。

 

 この懸念はウェイドやアーロンにも伝わっているだろうか……。

 そして、彼等は立ち去り魔王討伐の軍派遣の決定を伝える為に謁見室を出て行くのであった。

 

「ベルゼリア……これから俺達は魔王……アベルを倒す為に旅に出る事になる」

「うむ、妾も同行しようぞ……そなた達を助けるのも神への恩に報いる事になる……」

「そうか……よろしく頼む」

 

 レムルスは魔女にそう答えると、ウェイドやアーロンにもアベルを倒す為の旅に出る事を伝える。

 

「ウェイド……アーロン!……これから、俺はアベルを倒す為に魔王城まで赴く旅に出る」

「わかった……俺もついて行くぞ」

「もちろん、俺も一緒だぜ」

 

 2人はレムルスの決意を聞くと彼と共にアベル討伐の軍に参加する事を決意するのである。

 彼等が同行する理由は、ただ単にレムルスの仲間だからではない。

 それは神に選ばれた勇者であるレムルスと聖女になったレイラを支える事が彼等にとっても生きる意味になっていた。

 

 そして、暁には仇である古エルフと竜人族の女共に復讐する事……。

 もちろん、神から与えられた使命を果たすという大義名分も彼等には幾分かあるが、それよりも復讐心の方が勝っていた。

 

「ウェイド……アーロン!……よくぞ言ってくれた!」

「いいってことよ!」

「この力で、アイツ等をぶっ潰してやろうぜ!」

 

 レムルスは2人の言葉に感謝の言葉を送ると彼等に抱き付き抱擁を交わす。

 その姿を見たレイラも感極まり陶酔するが、魔女ベルゼリアは反対に薄笑いを浮かべていた。

 

(ふっ……勇者も聖女も大したことはない……次に妾に操られる傀儡となるのは、お前達の方ぞ)

 

 魔女ベルゼリアは心の中で彼等を嘲笑し最終的には操り人形にしようと算段していた。

 彼女の力は神への恩の為ではなく自身の欲望の為に利用されているとも知らずに……。

 

 その後、王や臣下達の急な決定により軍派遣の準備が急ピッチで進められる。

 そして、数日の内に魔王討伐軍の編成が終わり出発できる状態までになった。

 レムルス達も馬に乗り王国を旅立つ準備をする。レイラとベルゼリアは馬車での同行である。

 

「それじゃ出発するぞ!」

「いよいよだな……」

「奴等との最後の戦いだな……」

「ああ……俺達は神に選ばれし勇者としてアベルを倒し英雄になるんだ」

「神の敵を共に打ち滅ぼしましょう……」

 

 4人の会話を魔女ベルゼリアは不気味に微笑み聞いていた。

 そして、彼女は心の中でレムルス達に話しかける。

 

(お前達は妾の傀儡に過ぎぬ……せいぜい私の為に働くがよい。魔王を倒せば最後に妾が王国を支配してくれようぞ……)

 

 こうして、それぞれの思いを胸に魔王討伐の軍は王国を出発し進軍するのであった……。

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