追放された僕、封印ロリ女神に憑依されTS覚醒~最強の【魔力喰らい】となり神々の代理戦争にまで拡大する~ 作:nene2012
魔王城の玉座の間で魔王と仲間達、幹部達で明日について話し合っていた。
「レムルスは聖剣を持っているけど、僕達が負けるとは思えないね」
「ですが……奴等は神から超人的な力を貰ったと言っております……」
アベルの言葉にグレギギが不安を口にする。それについては仲間達も同意していた。
彼等が前の決闘の時のような雰囲気とは違っていたからだ。
櫓から彼等を見た時、確かにレムルス、ウェイド、レイラ、武闘家から以前と違って見違えるようになっていた。
レムルスが言うように神から選ばれたのであろう。だが、何故彼等が選ばれたのだろうか?
僕は自問しながら伝承に聞く勇者や聖女として相応しくないと思うと疑問に思った。
『それは奴等とアベル達は因縁があるからね……だから神が選んだんじゃない?』
ふと、頭の中でアジェが話しかけて来た。
僕は彼女に対して心の中で話しかけると、彼女も答えてくれる。
(因縁か……腐れ縁かもね)
『まあ、神も堕落しているから、ボケて正しい判断が出来ないのかもね……』
アジェは蔑んだ声で僕に答える。彼女は神に対して馬鹿にしているみたいだ。
しかし、神から力を貰っている以上は油断はできない。
『でも……あたしが付いてれば負ける事はないと思うよ』
「そうだね……だけど、念の為に策を考えないとね」
『それと奴等以外からも不穏な魔力が漂ってるよ……元仲間達以外にも膨大な魔力使いがいるかも』
「不穏な魔力?」
『多分、今までより一筋縄ではいかない戦いになるかもしれないね……』
途中から僕が独り言を呟く様子をギルバルス以外の者達から好奇の目に晒されていた。
特に魔王軍幹部達は独り言を呟く様子を不気味に思ったようだ。
「あの、魔王様……何か考え事ですか?」
グレギギは僕に話しかけると、他の者達も彼の後に続くように話しかけて来た。
「いつもの独り言かの?」
「アベルってば魔王になっても1人で呟いていたら威厳が台無しだよ」
「いっ……いや、なんでもないよ……ちょっと頭の中で話していただけだよ……」
僕は適当に誤魔化して仲間達との会話を続ける。
魔王軍幹部達にも『終焉の刃』の特徴を教え、誰がどんな役割をしているのかを話していく。
特に勇者と聖女の役割を与えられたレムルスとレイラには気を付けなければ……。
レムレスは魔剣士であるので聖剣を使い魔力のこもった攻撃をする事は目に見えている。
ウェイドは戦士なので剣で接近戦を仕掛けてくるだろう。
武闘家は肉体と棍を使った戦い方だと思う。気になるのはシャノンの姿が見えなかった事だった。
先日の決闘の時に魔力を吸われ過ぎて再起不能になったのかもしれない。
神の力が分からない以上、この前みたいに1対1で戦うのは危険かも……。
僕は皆と作戦を練っていたが仲間達は明日の戦いに不安を感じていた。
その中、アイラが自分の役割を理解して訊いてくる。
「アベル……私は武闘家と戦えばいいのか?」
「それに関しては……不満があるかもしれませんがナイアさんと協力して戦って下さい」
「何っ!? 2人一緒になって戦う?……それも、ダークエルフと一緒に?」
アイラの不満にナイアは彼女の肩に手を置いて落ち着かせながら話す。
「私が一緒じゃ不満かしら?……けど、協力しないと勝てないかもよ」
「私だけじゃ勝てないだと?……」
「アイラさんの強さは十分承知しています。だけど、神の加護があるからにはこの前のような強さじゃないと思うんです」
「そうか……わかった、アベルに従おう……」
彼女は納得して僕の指示に従ってくれる。そして、僕はバルバラにも確認をする。
「バルバラさん……ガラドさんと一緒に戦って下さい」
「えっ!?……ガラドと2人で戦うのか?」
「はい……バルバラさんが強いのも分かっています。ここは盾役になるガラドさんが、いれば攻撃に集中できるかと……」
「わ……わかった。そこまで言うなら2人で戦ってやるよ」
「うむ、盾役に徹するぞ」
2人が了承してくれたので、僕は次の者達に頼むのであった。
「それと……ギルバルスさん、グレギギさんは後方支援をお願いします。万が一、僕達が敗北した時に軍が魔王城内に雪崩れ込んでくるかもしれないので……」
「わかった。だが、アベル……お前は1対1で戦うのか?」
「はい……僕はレムルスと戦います」
「そうか……神に選ばれた者なら尋常じゃない強さのはずだ。気をつけるんだな」
ギルバルスは僕に忠告をしてくれるのであった。百年以上前に戦った勇者の強さから判断してのようだ。
そして、最後にアジェが話しかけてくる。
『まあ、あたしがついているから大丈夫だと思うけど油断はしない事だね』
(わかってるよ……)
でも……僕は不安だった。アジェが感じた不穏な魔力を持つ者は一体誰だ?
その事を気にしながらも幹部達や仲間達と話しながら明日の決戦に向けて準備をするのであった……。
暗くなり魔王城から少し離れた所で王国軍は急ごしらえで木の柵を囲って陣を敷いていた。
その中心では大き目の布で出来たテントが幾つか設営されていた。
主に軍の指揮官達が使うものと今回、同行してきた勇者として認定された『終焉の刃』が使うものに別れている。
その中の1つに『終焉の刃』のメンバーであるレムルス、ウェイド、アーロン、レイラ、そしてシャノンが集まっていた。
「明日の戦いに備えて作戦会議をしよう」
レムルス達はテントの中で仲間達に明日の作戦を話す。
「女エルフの奴め……神から力を貰った俺が負ける訳がない!」
「そうだな、それに俺達は神に選ばれし者だ!……竜人族なんかには負けはしない!」
「神の加護があれば、どんな敵でも倒せるでしょう……」
ウェイドとアーロン、そしてレイラは自信に満ち溢れていた。
しかし、シャノンの体を操っているベルゼリアは珍しく不安を漏らしていた。
「魔王こと……アベルには気を付けた方がいいぞ、レムレス……」
「お前……アベルに関して何か知っているのか?」
レムルスはシャノンに憑依しているベルゼリアに尋ねると彼女はニヤーッと笑い頷く。
「奴をよく観察すれば不思議な力を感じた……奴にも神ではない何かの加護か、何者かが憑いておるのかも知れぬぞ」
「何っ!?……」
「アベルにも何者かの加護が!?」
ベルゼリアの言葉にレムルスとレイラは驚きの声をあげる。
彼等はアベルが神以外の何かから力を得た事に動揺を隠せなかった。
「そうか……魔力解除士だったアイツに魔力吸収の力を有していたのも、その何かによるものだったと考えれば腑に落ちるな」
魔剣士はアベルの能力の謎が解けて納得していた。
だが、レイラは怒りを露わにする。
「まさか……神以外から力を得た者が、私達以外にも実在しているとは!?」
「落ち着くのだ……アベルとやらも何某かの力を借りているならば、妾にも考えがある」
ベルゼリアは怒り狂うレイラの自制を押さえ、アベルに対抗する策があると言う。
「考えだと?」とレムルスはベルゼリアに尋ねると彼女は頷く。
「アベルは魔力を吸収すると聞いておる……ならば、吸収すると毒の様に効いてくる呪術を使えばばいい」
「なるほど、その呪術を吸収すれば本来の力が出ない……ということか?」
「そうだ、しかし……神と同等の存在から力を授かっておれば、それも永くは続かないものと思え」
「そうか……なら、その呪術を使ってくれるか?」
「よかろう……そなたとアベルが戦う時に術を掛けようぞ」
レムルスはベルゼリアにアベルに対抗する術を授けるように頼むと彼女は承諾する。
「明日になれば……奴等との決戦だ!」
ウェイドは明日への戦いを鼓舞して、皆を奮い立たせる。
「そうだな……俺達が負ける訳がない!」
ウェイドの言葉にアーロンも同調し、レイラも頷くのであった。
ベルゼリアは乗っ取っているシャノンの顔で、ニヤニヤしながらレムルスを見詰めていた。
そして、レムルスは仲間達と明日の戦いについて話し合うのであった……。