親友のスパダリに勝ってハッピーエンドを迎えたい 作:スイートズッキー
これは、存在したかもしれない世界。
番外編 折れてしまった2人の共依存√:前編
2030年9月12日。
この日、かぐやは卒業ライブを行い、ファンに別れを告げると共に月へと帰って行った。
──守りきれなかった。
かぐやを守るために月人達へ挑んだ『KASSEN』。
後少しのところで勝利を掴み取ることが出来た。
私だけが、何もしていない。
お兄ちゃんの足を引っ張って脱落させた上に、天守閣を落とすことも出来なかった役立たずだ。かぐやが連れていかれる瞬間すら、直接自分の目で見届けられなかった。
『彩葉。…………大好きっ』
かぐやから言われた最後の言葉が、私の耳にはいつまでも残っていた。
『万が一勝っちゃったらその時は……ドンキで買い出しして、パンケーキ作ろうっ!』
キッチンの上には、
そう、私は万が一なんて言葉を使っておきながら、負けるなんて微塵も思っていなかった。
天野がいてくれるから、お兄ちゃん達がいてくれるから、負ける未来なんて想像もしていなかった。
私のせいで負けることになるなんて、想像していなかったのだ。
袋の横にはご丁寧に開封用のハサミまで置いている。
情けないという感情しか、私には残らなかった。
もう、何もしたくない。
自分で自分を責めて、無気力に部屋に閉じこもった。
そんな子供のような真似をしていると──
私なんかのために危険を顧みず、タワマンの高層階である私の部屋のベランダに現れてくれたのだ。
落下しそうになっている姿を見た瞬間は、心臓が止まるかと思った。いや、実際そのぐらいの衝撃を受けたと思う。
どうにかして天野を引き上げて部屋に入れると、死にかけていたとは思えない態度で言い訳を並べてくるのだから怒るに怒り切れなかった。
運動神経が良いわけでもないくせに、どうしてこう度胸だけはあるのだろう。先程まで感じていた孤独感が吹き飛ばされたような気がして、内心では少しだけ気が楽になっていた。
「──心配かけてごめんっ。ははっ、助けに来たつもりだったんだけど、漫画みたいにカッコ良くはいかないもんだな」
……助けに来た? 私を?
一瞬本気で意味が分からず、浮かんだ疑問をそのままぶつけると、天野は真剣な表情で私に会いに来た理由を説明してくれた。
「……連絡しても返事がないし、メッセージにも既読がつかないし、心配になったからだけど」
「……ご、ごめん」
何一つ反論の余地がない正論に、私は謝ることしか出来なかった。
当然の心配だ。私だって天野からの連絡が途絶えた時には家まで乗り込むぐらいのことはしたのだから。
「……っ!」
冷静になると、今の自分の格好がとても恥ずかしいものに思えた。
ボサボサの髪にパジャマ姿。お風呂に入ってないともなれば近寄られたくもない。無意味なことだと分かった上で、私には腕を使って自分の身体を少しでも隠すことしか出来なかった。
「あーっ、と、取り敢えず飯食うか? コンビニのだけど、オムライスとかスープとか色々買ってあるからさ。腹減ったろ?」
私の羞恥を察してくれたのだろう。天野はそう言ってコンビニの袋に入ったご飯を部屋の外の通路から取って来てくれた。
流石にシャワーを浴びてから食べたかったので、少し待ってもらう。家に異性がいる状態でお風呂に入るなど、実家に住んでいた時以来だ。しかも、相手は家族ではなく友達。少しだけ、緊張した。
「美味かったか? 酒寄」
「……うん、美味しかった。ありがとう、天野」
十数時間ぶりの食事ということもあり、私は天野が買ってきてくれたオムライスとスープを瞬く間に完食。
心地良い満腹感が広がり、沈み込んでいた気持ちが少しだけ前向きになった気がした。
天野は良かったと笑ってくれているが、私には言わなければならないことがある。
私のせいで戦いに負けたこと、かぐやを守れなかったことへの──謝罪だ。
天野はプロゲーマーを辞めてまで一緒に戦う道を選んでくれた。
全てを捨てる覚悟でかぐやを守ろうと戦ってくれた。
そんな彼の覚悟を──私が全て台無しにしてしまった。
天野にも、お兄ちゃん達にも、合わせる顔なんてなかった。
だからせめて、こうして会いに来てくれた天野には真っ先に自分の口で謝りたかった。
そして、責められたかった。
お前のせいで負けたんだと。お前のせいでかぐやは月に帰ったのだと。
天野が私にそんなことを言うなんて絶対にあり得ないと分かっていながらも、そう言って責めて欲しかった。
なのに──。
「ごめんな。酒寄」
どうして、
「もっと早く謝らなきゃいけなかったんだ。せっかく頼ってくれたのに……勝てなくてごめん」
どうして、
「俺が油断しなければ、あの戦いは勝てた。間違いなく、かぐやちゃんを守れたんだ」
違う。天野はちゃんと自分の敵を倒してくれた。
天野以外には絶対に倒せなかったと断言出来るぐらい、強い敵を。
「あれはソロの勝負じゃない、チーム戦だ。俺はそれを忘れてた。その時点で負けてたんだ。……酒寄に頼られたのが嬉しくて、調子に乗ったんだよ。だから……ごめん」
何を言ってるんだろう。本気で意味が分からない。
責められるべきは私なのに、なんで私が謝られているの?
そんなことされたら私は──
そう考えると、もう止まらなかった。
普段は出さないような大声で謝罪を否定して、私が原因で負けたんだと叫んだ。
揺らぐことのない事実にも関わらず、天野もそれを否定してくる。
こんな風に言い合ったことなんて、今までなかった。天野と初めて、本気で喧嘩したと思う。
お互いに一歩も譲らなくて、私の方が先に限界を迎えた。
私を責めてくれない天野なんて今はいらない。顔も見たくない。また部屋に閉じこもろうと逃げ出した私を──天野が手を掴んできて止めた。
私の手よりも大きな、男の子の手だった。
温かくて、ゴツゴツしていて、力強かった。当然振り払えるはずもなく、私は簡単に引き止められた。
「待てって酒寄っ!」
「離してっ! …………離してよ」
ああ、本当に情けない。
泣く資格なんてないのに、涙が溢れてきた。どこまでも弱い自分が、もっと嫌いになる。
「わ、悪い! 力強かったか?」
こんな場合でも、天野は優しい。
いつだって、どんな時だって、彼はひたすらに優しいのだ。
だから私はその優しさに──理由を求めたくなった。
「……ねぇ、天野は
今の自分はおかしい。普通の状態じゃない。
分かっていても、止められなかった。天野の手に力強く握られた左手首が、焼けるように熱い。
「えっ? そんなの……──酒寄?」
私の様子がおかしいことに気付いたようで、天野が心配そうに声をかけてくる。
明るいところで顔を見られるのが恥ずかしくて、近くにあったスイッチを押して照明を消した。
暗闇の中だと人は匿名性が高まって大胆になると聞いたことがあるけど、私は身を以て事実なんだと実感させられた。
「──うおっ!」
身体を密着させ、
天野が上手い具合に倒れてくれたお陰で、痛みはなかった。こんな時まで私の身体を気遣ってくれたようだ。本当に、どこまでも優しい。
「さ、酒寄。大丈夫か? 怪我とかしてないか?」
「……うん」
その優しさに、私は手を伸ばさずにはいられなかった。
女の私とは違う硬い胸板に耳を当て、心臓の音を聞く。緊張しているのか、鼓動のリズムは早い気がした。
体重をかけ、更に身体を密着させる。
天野が私なんかを意識してくれているという事実が、不思議と嬉しかった。
「天野はさ、芦花が好きなんでしょ……? だったら、他の女子に優しくしちゃ、だめなんじゃない?」
こんなの、卑怯だ。
弱っている時にこんな風に優しくされたら、誰だって勘違いする。絶対にそんなことはあり得ないと分かっていながらも、勘違いしてしまう。
「さ、酒寄は親友だから。……それに、綾紬とも約束したんだ。酒寄のことを助けるってな」
ほら、やっぱりそうだ。
天野は私を『親友』としか思っていないし、見ていない。そこに異性に対する邪な感情なんて欠片もない。誠実な彼と違って、今の私はその答えに不満を覚えた。
天野のことは好きだ。
それが友達として『好き』なのか、異性としての『好き』なのか。私はずっと答えが出せずにいた。
かぐやと出会ってから、天野のことを兄に重ねていただけなのだという答えを出したけど、その答えに辿り着かせてくれたかぐやは──もういない。
もう、いないのだ。
「……そっか。……じゃあさ、
自分でも驚くほど低い声を出しながら、天野の身体に跨った状態で身体を起こした。
どうしてこんなことをしているのか、自分でもよく分からない。天野が逃げようとしたので、反射的に両手を床に押さえ付けた。本当に、何やってるんだろう。
「お、おい。どうした酒寄。なんか、おかしいぞ……?」
天野の手首細いなぁ、なんて考えていると、天野が信じられないようなものを見るかのような目で口を開いた。
だよね、意味分かんないよね。でもごめん。
──なんかもう、止まんないや。
「そうかな? ……そうかも。……やっぱり、あったかいね。肌と肌で触れ合うとさ。かぐやが布団に潜り込んでくると、温かくてよく眠れたんだ」
胸が
人肌の温かさが心地良くて、私は引き寄せられるかのように彼の顔に自分の顔を近付けた。
天野はすぐに逃げようと暴れ始めたけど、相手への遠慮が無い分、力比べは私に軍配が上がる。本気で押さえつけたら動けなくなる天野を、少し可愛く思ってしまった。
「寂しいよ、疲れたよ……もう、
まるで子供だ。
今の私を
でも、天野なら受け入れてくれるかもしれない。
こんな弱い私を、天野はいつだって助けてくれたから。
天野の目を見つめながら、ゆっくりと顔を近付けていく。
…………?
そこで、天野の目に強い意志が宿っていることに気付いた。
いつも私を助けてくれる時に見せる目だ。覚悟を決め、誰かを助けようとする時の目だった。
案の定、天野は口を開いた。
彼の言葉を聞けば、私は立ち上がれるかもしれない。
いや、きっと立ち上がれるのだろう。
これまでもそうだったように。
──でも、
また私のせいでダメだったら? また私のせいで大切な人を失ったら?
そうなったら今度こそ、私は壊れる。もう大切な人を失いたくない。たった1人でいいから、ずっと側にいて欲しい。
私は私の英雄を──拒絶した。
「逃げ……んっ!?」
天野の言葉を遮るように──
体重をかけ、必死に天野の口を塞いだ。
経験なんてないから、これが私のファーストキス。目を見開いて抵抗し始めた天野の身体を押さえ付けて、無理矢理キスを続ける。何も言って欲しくなくて、ただ熱だけを感じていたかった。
自分が取り返しのつかない事をしてしまったと自覚したのは──天野が抵抗をやめて力を抜いた瞬間だった。
冷水をかけられたかのように頭が冷えていく。
私は今、何をした? 自分のことが気持ち悪くて、身体が震え出した。
「あっ……ああっ、ご、ごめっ……わ、私……ッ!!」
すぐに天野の上から飛び退いて、私はキッチンへと走った。
パンケーキの袋の隣に置いておいたハサミを手に取り、それを
今の自分が錯乱しているという事をどこか他人事のように理解しつつ、私はハサミを両手で持ち、可能な限りの力を込めた。
今すぐに消えてしまいたい。迷惑をかけるだけの人間に成り下がってしまった私に──生きる価値なんて無い。
「酒寄ッ!!!」
ハサミを動かそうとした私の手を、天野が掴んで止めてきた。
先程逃げようとしていた時とは比べ物にならないぐらい強い力だ。私への遠慮もなく、必死にハサミを奪い取ろうとしてくる。
「離してっ! 天野っ! 離してよぉっ!!」
「やめろ酒寄っ! こんなこと……許さないぞッ!!」
本気になった天野に力で敵うはずもなく、取り上げられたハサミが床に投げ捨てられる。
全力で暴れた反動か、一気に身体中の力が抜けた。すぐに立っていられなくなった私を見て、天野は肩で息をしながら私の隣に座り込んだ。
「……あっ、天野……ち、血が……」
「……大丈夫。少し切っただけだよ」
天野の腕に残る一筋の傷から、ドロッとした液体が流れていた。暗いので色は見えないが、間違いなく血液だろう。
そして怪我の原因も分かり切っている。私からハサミを取り上げようとしたからだ。つまり──私のせいだ。
「……ごめんっ。私……ごめんっ、天野……」
もう、涙を堪えることは出来なかった。
大切な人を守れなかったばかりか、私は親友の心と身体に傷を残してしまった。謝って済む話ではないと分かっていながらも、謝ることしか出来なかった。
「酒寄……大丈夫だよ。大丈夫だから……」
私の頭を撫でながら、天野が優しく声をかけてくれる。
でも、天野に優しくされればされるだけ、胸が痛んだ。自分の犯した罪の重さを自覚させられるようで。
「わ、私は……なにも、できなくて……天野が、いてくれるから、かぐやはいなくならないって、勝手に、おもいこんでて……!」
「……酒寄。俺は……お前を……」
助けてもらえなくてごめん。芦花との約束を破らせてごめん。
全部私が悪いんだ。全部私が巻き込んだから。
あの日、かぐやと初めて出会った夜。天野に助けを求めなければよかった。
私の弱さが彼を不幸にした。私のことを親友と呼び、いつだって助けてくれた彼を──私が汚したんだ。
「よわくて……ごめんっ。助けてもらえなくて、ごめんっ。……私なんか……いなくなれば──……ッ!?」
何故かいきなり、
数秒か、数分か。どれぐらいの間かは分からなかったけど、私達の唇は再び重なった。
私が天野に無理矢理したような強引なキスではなく、軽く触れるだけの優しいキス。
私の両肩に手を置いて、天野はただ自分の熱を私に伝えるようにして動かない。身体の震えが止まったところでようやく、天野の方から顔を離した。
「ぷはぁっ…………あ、天野……?」
呼吸は落ち着き、平常心も取り戻せたが、状況が理解出来なかった。
何故、私はキスをされた? 嫌われて当然、気持ち悪がられて当然、友達として最低なことをしたにも関わらず、どうして?
力無く座り込んでいる私を抱き締めて、天野は耳元で囁いてきた。
「俺が酒寄を……そこまで追い詰めたんだな。……ごめん」
そんなことはない、それは違うと、すぐに否定したかった。
でも、私の口は動かなくて、ただ大人しく天野の言葉に耳を傾けた。
「本当に、酒寄は何も悪くないんだ。
天野の口から、初めて聞くような声が出る。
後悔と失望で満ちた、とても悲しい声だった。
「ごめん、ごめんな。……俺、助けられなかった。かぐやちゃんだけじゃない。酒寄のことも、俺は……何も、守れなかった。──……約束、したのに……!」
私を抱き締めている天野の身体が震え出す。
泣いているのだと、すぐに分かった。
「頼むよ……酒寄。……死ぬとか、やめてくれ。……酒寄に死なれたら……俺は、もう……」
「天野……」
少しずつ、抱き締める力が強くなっていった。
苦しくないと言えば嘘になる。でもそれ以上に、バラバラになりそうだった心が戻されていくようで嬉しかった。天野が側にいてくれる、それだけで満たされた。
「……天野も、疲れちゃったんだね。……ごめんね? いつもいつも、迷惑ばかりかけて」
「……違う。迷惑なんかじゃない。……俺が、俺が助けたかったんだ。……酒寄に頼って欲しかったから」
「頼ってたよ。いつだって、私は天野に頼ってきた。……だから、天野に辛い思いをさせちゃったんだ」
「頼るように俺が無理強いしたんだよ。だから、酒寄は俺のことを、信じて任せてくれたのに……全部、俺が負けたから……!」
胸の中に溜め込んでいたものが次々と吐き出されていく。
私達の意見はすれ違っていて、交わることがない。唯一同じなのは、自分の方が悪いという部分だけ。
不毛な水掛け論をしたせいで、天野よりも私の方が冷静になってしまった。
だからこそ、余計な知恵が回る。かぐやはもういない。時は戻らない。敗北の過去は──覆らない。
「……ねぇ、天野」
ならば、未来に目を向けるべきだ。
苦しい過去からは目を背けて、これから先の未来を見て生きるべきだ。それを『逃げ』だと言う人もいるだろう。それでも良い。今の私達に必要なのは立ち向かう勇気じゃない。逃げ出すための言い訳だ。
かぐやだって言っていた。悩んだ時はこう考えろと。
『──そういうのどうでもいいっ! キッチリ片を付け、忘れるっ!』
今がその時だ。
辛い記憶は忘れて、楽しかった時の記憶だけを胸に前へ進もう。かぐやだってその方が喜ぶに決まっている。きっとそうだ、そうに違いない。
「……さっき言ったこと、覚えてる?」
「……えっ?」
「私、
「…………酒寄」
天野の腕を外し、密着していた身体を離す。
私は天野の頬に手を当て、今度はしっかりと理性を残したまま──もう一度自分から唇を重ねた。
力は込めず、天野がしてくれたような軽く触れるだけの優しいキス。
涙を流しながらも、天野は抵抗せずに私を受け入れた。
力の入っていない天野の手に自分の手を重ね、指を絡める。
小指と小指を結んでから、私は卑怯としか表現出来ない言葉を天野に届けた。
「……
私は卑怯者だ。
天野の優しさにつけ込んでいるのだから。
何をどう間違えても、これは約束なんて綺麗なものじゃない。──言うなれば『
天野を私に縛り付けるためのもの。約束という儀式をとても重要視している天野にとって、一度付けたら絶対に外すことの出来ない鎖だ。
「他に何もいらない。私、天野だけいればいい。……天野も、私だけを見て? 一緒にいれば……寂しくないよ?」
「…………そう、かもな」
天野の口から、小さな声が溢れた。
疲れ切った顔は少しだけ柔らかいものになっていて、私まで頬が緩んだ。
「──約束、するよ。……俺は、酒寄と一緒にいる。君と、一緒にいたい」
「……うん。……ありがと、天野。……私、天野に出会えて良かった」
かぐやを失った痛みが、少しだけ消えた気がした。
天野の体温を感じていると、それだけで心が安らいだ。
「……ねぇ、今日はさ、泊まっていく……よね?」
「……ああ。……一緒にいるよ」
なんだか、とても眠い。
人生で一番疲れていると言っても過言じゃないぐらいに、私は擦り減っていた。天野も多分、同じなんだろう。手で軽く押されただけで、今の私達は簡単に倒れてしまいそうだった。
「……あのさ、お願いがあるんだけど」
「……なんだ?」
「手を……繋いでさ。……一緒に寝たい」
「…………分かった」
私のわがままを、天野は受け入れてくれる。
これから先、私が弱さを見せるのは天野だけだ。天野以外には、私はこれまで通りの
情けなくて弱い、本当の
「……ごめんね。ごめんね、天野。……ありがとう」
「謝らなくていい。酒寄……おやすみ」
「……うん。……おやすみ。天野」
その夜、私と天野は手を繋いで同じ布団に入った。
身体を密着させ、体温を共有する。幸せな温もりを感じながら目を閉じれば、2人とも一瞬で意識を手放した。
──かぐや。……ごめんね。
私の目から、一筋の涙が溢れた。
前編ってなんや……?(真顔)。
本当は1話で完結させたかったんですけど、なんか書いてるうちに長くね?ってなって2話構成になりました。
1話は『折れてしまった2人』の部分で、2話は『共依存』になると思います。
それもこれもみんなが書けってめちゃくちゃアンケート投票するから……ありがと(小声)。