親友のスパダリに勝ってハッピーエンドを迎えたい 作:スイートズッキー
それでも、月見ヤチヨは歌い続ける。
最初に君を見た時は、本当に驚かされた。
だって、彩葉の隣に『天野真司』なんて人間は──
どうして彩葉の隣にいるの?
どうして彩葉と笑い合っているの?
どうして彩葉のことを助けているの?
考えても考えても、答えは出なかった。
私にとって君は不気味な存在で、正直何度も適当な理由付けをして【ツクヨミ】から追い出そうかと思った。
けど、そんな理不尽なことを【ツクヨミ】の創設者にして管理者である『
……そしてそのまま、
いよいよ、本格的に無視出来なくなっちゃった。
君という
だから──私は君に近付いた。
彩葉とかぐやから離れてって優しく伝えるつもりだったのに、結局トゲのある言い方しか出来なかった。私も、相当焦ってたんだと思う。だって本当に記憶になかったんだもん。怖くて当然、だよね?
……でも、泣かれた時は流石に心が痛んだなぁ。
大切な人から離れる辛さは、私もよく分かっているから。
でもだからこそ、彩葉が君を助けようと動いた時には──めちゃくちゃ嫉妬した。
羨ましくて羨ましくて、妬ましかった。
だってそうじゃん。私がいたい場所にポッと出の人が収まって、彩葉のことを助けちゃってさ。かぐやだって懐いちゃってるし。──いや、あんなに優しかったらまあ……懐くか。それは、仕方ないか。
きっと
それぐらい天野真司は優しくて──誰よりも彩葉とかぐやのことを大切に思っていたから。
しかも、私が君に意地悪したことも黙っていてくれた。びっくりして、凄く嬉しくなったんだ。
だから私も……君を憎めなくなっちゃって。
彩葉とかぐやが君を連れて私のところへ来た時、何故か当たり前だよなぁって納得してしまった。
自分でも驚くぐらい簡単に、この人を遠ざけることを諦めてしまったんだ。
今はむしろ、その逆。
彼は私の──希望になってくれるかもしれないって思い始めていた。
繰り返される輪廻の中に、いきなり現れた男の子。
すっごく強くて、すっごく優しくて、すっごい頑張り屋。
いつも誰かのために一生懸命で、約束を守ろうと戦ってた。
そんな君だったから──
輪廻を断ち切る唯一の剣。
それが、君なんじゃないかって。
月人達との戦いでも、やっぱり君は凄かったよね。本当に勝てるかと思っちゃったぐらい。
自分のためにあんな風に戦ってくれる人がいるなんて、かぐやは幸せ者だよねぇ。
でも、君はあと少しのところでかぐやを守れなかった。
彩葉は自分を責めて、責めて、責めて……絶望だと思った。最悪の結末になっちゃったんだって思った。
──でも、君は諦めてなかった。
その時、私は確信したんだ。
やっぱり君こそが、この輪廻を断ち切る剣なんだって。
だから私は、君に彩葉のことを助けてって頼んだ。
敗北しても希望を失わなかった君になら、私の全てを託すことが出来ると思ったから。
そして君は私の期待通り──彩葉を助けてくれたよね。
私の正体に辿り着いてくれた。
願い通り曲を完成させてくれた。
月まで乗り込んで、かぐやを助けると言ってくれた。
全部全部、君のお陰だったんだ。
君なら、月からかぐやを連れ戻してくれる。
君なら、繰り返されて来た輪廻を断ち切ってくれる。
君なら、私達全員をハッピーエンドに連れて行ってくれる。
──そう、思ってたんだ。
「これは……この剣は……」
月の世界と【ツクヨミ】を繋ぐ穴から勢いよく飛び出してきた一本の剣。
誰が所持していた剣なのか、その場にいる誰もが一目で分かった。見間違えるはずもない、真司の切り札である『天叢雲剣』だった。
「そ、それって……!」
「天野っちの……!」
剣を拾った私に、芦花と真実が青ざめた表情をして駆け寄ってくる。
ヤチヨが大丈夫だよと声をかける前に、2人の後ろから先にフォローに入った人がいた。『ブラックオニキス』のリーダーである帝アキラだ。
「落ち着けよ。武器が帰って来ただけだ。ムラクモの野郎なら、二刀流じゃなくてもくそ強え。信じて待つんだ」
「……は、はい」
「……帝様ぁ」
そう、ヤチヨ達に出来ることは彼らが無事に帰って来ると信じて待つことだけ。もう制限時間である8時間経過は目の前だ。月の世界では恐らく、20秒も残されていないだろう。こちらの世界で言えば20分弱だ。
彼らがどうなったのかは……後少しで嫌でも分かる。
そして、その時が来た──。
「──きゃあっ!」
「──ぐひゃあっ!!」
穴から同時に飛び出して来たのは彩葉とかぐやの2人。
かぐやは籠に入ったままで、彩葉はその籠に押し出されたかのような形でこちら側の世界に戻って来た。どこも異常がなさそうな2人を見て、ホッと胸を撫で下ろす。
「彩葉! かぐやちゃんっ! 大丈夫!? 怪我とかしてないっ!?」
「うぇ〜んっ! ふ、2人ともぉ、ぶ、無事で良がった〜っ!!」
芦花と真実の2人が真っ先に駆け寄って、彩葉とかぐやに泣きついた。
私もすぐに声をかけたかったけど、まだ終わってない。
──まだ、真司が帰って来ていないのだ。
……何やってるの? 穴がもう閉じちゃうよ?
腕に抱えている『天叢雲剣』の剣が、少しだけ光を放った気がした。
それに何故か嫌な予感がして、穴に視線を向ける。
絶望的な状況だけど、絶望するにはまだ早い。
どうにかして月人達に協力してもらうことが出来れば、まだ帰って来られる可能はある。
だから希望を捨てないで。──そう、みんなに言おうとしたけど……その場にいる誰1人として、絶望なんてしていなかった。
まるで──
「彩葉ぁぁあっ! 助けに来てくれてありがどぉぉぉおっ!!」
「ちょっ、かぐやっ。……もう、おかえり。かぐや」
「おかえりなさいっ! かぐやちゃんっ!」
「うぇぇぇんっ! おがえりぃぃっ! かぐやぁぁあっ!」
彩葉と芦花と真実は、かぐやが帰って来たことに涙を浮かべている。
「流石は俺の妹。やってくれるぜ」
「帝と違って優秀だよね〜♡」
「一件落着、だな」
黒鬼達も満足そうだ。
全部上手くいったみたいな顔をして、笑ってる。
──なんで? まだ終わってないよ?
意味が分からない。状況が理解出来ない。
どうして誰も真司のことを心配しないの? まだ、真司が帰って来てないんだよ?
どうにかして真司の名前を出そうと思ったけど、その前に彩葉とかぐやに詰め寄られてしまった。
「ヤチヨ! ありがとう! かぐやを助けられたのは全部ヤチヨのお陰だよっ!」
「ヤチ゛ヨォォォッ! ありがとぉぉぉっ! 本当にありがとぉぉっ!」
涙を流しながら私の手を握ってくる2人に、本来であれば笑顔を返すところだ。
でも、今の私に笑顔なんて作れるはずもなくて、震えた声でようやく質問することが出来た。
「ね、ねぇ、彩葉。……どうやって、かぐやを助け出したの? 防衛プログラムを……
「え、うんっ。そうだよ? 竹の身体をした兎が襲ってきてさ。あははっ、なんとか逃げ帰って来たよ」
──違う。
「か、かぐや。……かぐやが入ってたその籠ってさ、
「えっ? 彩葉だよ? 彩葉が1人で助けに来てくれたんだから、彩葉に決まってんじゃんっ」
──違う、違う。
「ろ、芦花ちゃん。真実ちゃん。ヤッチョ達が待っていた人達は……
「うん、本当に無事で良かった。……あははっ。やだなぁ、涙止まんないや」
「うわぁぁぁんっ。彩葉ならやってくれると思ってたよぉ〜っ」
──違う、違う、違う。
「あれ? ヤチヨちゃん。そんな剣、持ってたっけ? へぇ、良いデザインじゃん。
「──……嘘でしょ」
ほんの20分前に、彼はこの『天叢雲剣』について言及したばかりだ。
それが今では……剣の持ち主すら分かっていない。
「どうしたの? ヤチヨ。なんか怖い顔してるよ?」
「……本当だ。ヤチヨ、何かあったの?」
かぐやと彩葉が私の変化に気付き、心配そうな顔で声をかけてくる。
普段なら飛び上がって喜んでしまいそうになる気遣いも、今は恐怖でしかない。
「い、彩葉……向こうの世界でさ、なんか、
「えっ? おかしなこと? ……えっと、戦うのと逃げるのに夢中であんまり覚えてないなぁ。かぐやを守るのに必死だったから」
「彩葉カッコ良かったんだぁっ! 向かってくる敵をバッサバッサと切り飛ばしてさぁっ! 兎に囲まれた時だってくるくる〜って回転して一気に倒しちゃったんだよ〜?」
誇らしそうに語るかぐやに、彩葉は照れ臭そうな表情を浮かべた。
「流石は彩葉〜! 可愛い上に天才で強いとか、もう無敵じゃん〜!」
「プロゲーマーにだってなれる腕前だもんね〜っ! 帝様の妹なだけはある〜っ!」
「自慢の妹だからなっ!」
「ちょっ、ちょっとっ! もう良いからっ! 恥ずかしいって!」
考えなきゃ……どうしてこうなったか、考えなきゃ。
みんなは彩葉が1人でかぐやを助けに行って、1人で連れ戻して来たと思ってる。
かぐやも、芦花も、真実も、帝アキラも、雷も、乃依も。……そして、彩葉本人でさえ、そう思っている。
そこから導き出される結論は──あまりにも残酷なものだった。
みんなの頭の中から──天野真司の存在が消えてる。
背筋が、凍った。
電子生命体である私の身体が、確かな恐怖によって固まった。
こんなのあんまりだ。
こんなことが、あっていいはずがない。
腕から落ちそうになった『天叢雲剣』を必死に抱え直し、その存在を確認するようにして力いっぱい抱き締めた。
……そうだ。この剣だ。まだ、この『天叢雲剣』が残っている。
この剣が消えていない限り、真司の存在は証明出来るはずだ。
「えっ、ヤチヨっ!? どこ行くの!?」
彩葉の呼び掛けから逃げるようにして、私は夜空へと舞い上がった。
このままネットワークに接続して、真司の情報を探しにいく。真司のことを忘れてしまったのが彩葉達だけなら、まだ何とかなるかもしれない。
そんな私の甘い考えを──現実は容易く打ち砕いてきた。
「……嘘、でしょ?」
天野真司の情報が……
ムラクモが打ち立てた『SETSUNA』における169連勝の
彩葉達と黒鬼達との『KASSEN』で芦花と一緒に撮られた動画も無かった。
この【ツクヨミ】に必ず存在しているはずのムラクモのアカウントも無かった。
無い、無い、無い、無い、無い。
何も……無い。
それならばと、更に深い個人情報を探しに行く。
生年月日、身長、体重、血液型、産まれた病院の記録、住所、電話番号、通っている学校の在籍証明。
その全て──存在しなかった。
天野真司の存在を裏付ける情報が──何も無い。
まるで最初から、
「……まさか、こんなことになるの? ……いくらなんでも──」
あり得ない。
そう続けて言葉にしようとしたけど、実際にこの目で確認してしまったのだから無理だ。普通の人じゃ覗けないような場所の隅々まで確認した結果なので、事実だと受け入れる他ない。
確かに、私は真司を送り出す時にこう忠告した。
──
でも……これはないだろう。この仕打ちはないだろう。
あまりにも無慈悲な輪廻の修正力に、私は絶望することしか出来なかった。
……私のせいだ。
私が彼を止められなかったからだ。
私が彼に助けを求めてしまったからだ。
私が彼に希望を見出してしまったからだ。
全部、私のせいだ。
私が、
優しくて友達思いで、やると決めたら真っ直ぐに突き進んでいく少年は──私のわがままによって消し去られた。
……なら、どうして
私だけが、彼を覚えてる。
名前も、顔も、声も、性格も。彼が親しくしていた人達ではなく、迷惑をかけただけの私だけが全て覚えていた。
「──……アハッ。……そっか、そういうことか」
電子の海の中で、私は壊れたように笑った。
これは……私に与えられた〝罰〟だ。
彩葉に会えるだけで良かったのに、欲張った罰だ。
繰り返される輪廻から
自分じゃ何も出来ないくせにハッピーエンドを求めてしまった……罰なんだ。
許されていいはずがない。
1人の少年の──文字通り『全て』を奪ってしまった私は、未来永劫この罰を受け続けなければならないんだ。
誰も責めてはくれない。だって、
だったら──自分で
「…………真司。……ごめんね」
私に出来ることはせめて、貴方の名前をこの世に残すことだけ。
この【ツクヨミ】に語り継がれていく伝説の英雄として、貴方の名前を残していくから。
「……ははっ。銅像とか……建てちゃおっか。せっかくだし『天叢雲剣』をカッコ良く付けてさぁ〜。『169戦無敗の戦士!』……みたいな感じの武勇伝も伝えていこう。嘘はついてないから、問題はないよね? この【ツクヨミ】で一番有名な英雄にしてみせるから……だから、真司。絶対に──」
──
「──以上! ヤッチョと真司が
「ヤチヨ、ストップ。──本気でヤバいから」
自身のスマホの中から嬉々として締めに入ろうとしているヤチヨに待ったをかけ、真司が青ざめた表情で脂汗を流していた。
ヤチヨもヤバいことは自覚していたようで「……だよね」とすぐに口を閉ざす。ブレーキをかけるタイミングを逃していただけで、ヤチヨとしてももっと早く止まりたかったのだ。
場所は彩葉とかぐや、そしてヤチヨの3人が同居しているタワマンの一室。
彩葉以外がスマホの中にしか存在出来ないため、見た目だけなら彩葉の一人暮らしだ。
真司は休日になると、たまにこの部屋へ遊びに来ていた。
東大合格のために協力を求めた母親からの情け容赦のないスパルタ指導──その息抜きとしてだ。この部屋での癒しがなければとても耐えられない地獄だ。真司にとってここは、心のオアシスとなっていた。
そんな大変ながらも充実した日々の中で高校2年の11月に入った頃、ヤチヨからとある提案があった。
お題は──『
自分達が掴み取った『
彩葉と真司は難色を示したが、かぐやが食いついたことで話は決まった。
対決形式の方が盛り上がるというかぐやの意見を採用し、4人を2組に分ける。そうして彩葉とかぐや、真司とヤチヨというペアが完成。
3日間の期限を設け、どちらがより不幸なバッドエンドを作り出せるかという創作対決が始まったのだ。
先攻は彩葉&かぐやのペア。
内容としては『月に帰ったかぐやに彩葉が歌を届けることが出来なかった未来』。かぐやはそのまま一生を月に囚われ、ヤチヨがかぐやであることすら分からない。──彩葉とかぐやが披露したのはそういうバッドエンドだった。
もちろん、最悪なバッドエンドではある。
真司は普通に泣き、彩葉とかぐやも貰い泣きした。
しかし、8000年の時を生きた電子の海の歌姫──
悲しそうな表情こそ見せたが、どこかやらかしたような様子。『あれ? こんなもんでいいの?』とでも言いたそうな顔だった。披露されたバッドエンドの根幹にいたのが
根本的に自分よりも彩葉の幸せを願っていたヤチヨからすれば、彼女達が考えてきたバッドエンドは泣くほどのことではなく、それをバッドエンドだと思ってくれるなんて嬉しいなぁ……程度の認識だった。
その認識の違いが、今の状況を作り出してしまった。
「うぅっ……ひっ、うっ……すんっ……」
──酒寄彩葉、号泣。
溢れ出る涙をそのままに、声すら出せない様子で泣き続けていた。
起きている時に悪夢を見せられたのだから無理もない。それも親友の存在が消えて、
いくら彼女がスパダリとは言え、耐えられることと耐えられないことはある。8000年分の情報を直接頭に叩き込まれた時よりも、彩葉は精神的なダメージを受けていた。
「──彩葉ぁぁあっ! ごめんねぇっ!!!」
「す、すまんっ! 酒寄っ! これはその……本当にごめんっ! 悪ノリしすぎたっ! 俺が自分の存在を消してみたらなんて言ったからっ! ヤチヨは悪くないんだっ! 全部俺が──」
「違うって! 全部ヤッチョが悪いんだよ! 確かにそういうアイデアを真司から貰ったけど、形にしたのは全部ヤッチョだもん! 彩葉ぁぁあっ、泣かないで〜っ! ごめんね〜っ!!」
謝り倒す2人だったが、彩葉の涙は止まらない。
聡明な彼女にとって、語られたバッドエンドを具体的に想像することなど難しくもなんともない。鮮明に浮かび上がった悪夢の恐ろしさに、ただ身体を震わせることしか出来なかった。
「──……あのさぁ、2人とも」
どこまでも無機質で無感情な声が、真司とヤチヨの動きを止めた。
彩葉のスマホの中から放たれたその声は
真司とヤチヨが視線を向ける先にいたのは、彩葉のスマホの中から自分達を見ている──ガチギレしたかぐやだった。
「加減するって知らない? かぐや達もそこそこのバッドエンド考えたなぁ、真司を泣かせちゃって申し訳ないなぁって少し反省してたとこだったのにさ。なんなの? やりすぎだって思わなかった?」
普段のおちゃらけた雰囲気は微塵もなく、ただ粛々と2人を責めていくかぐや。大好きな人を泣かされたかぐやにとって、泣かせた相手は誰であろうと敵。
たとえ
「見てよ、彩葉泣いてるよ? 2人は彩葉を泣かせてかぐやに怒って欲しかったの? 大体さぁ、2人とも自分のことを軽く見すぎじゃない? なんで真司は自分を消してみようなんてアイデアが出てくるの? そこに驚きなんだけど?」
「い、いや……俺の立ち位置って、なんか不安定だったみたいだから……そういう可能性も、あるのかなぁって」
「それで? 彩葉とかぐやに悲しんでもらえて満足した? ねぇ、満足したの?」
「……す、すみませんでした……!」
真司。その場で華麗に土下座。
「ヤチヨもさぁ、自分だけ覚えてるって設定はなに? なんでそんなに自分を虐めたがるの?」
「い、いやぁ……だって真司のことを覚えてる人がいないと、意味がないと言いますかぁ〜。それならヤッチョが適任かなぁって思ってさぁ……。それに元はと言えば、最初に真司に助けを求めたのはヤッチョだったし……だから──」
「だから自分だけが傷付くような設定にしたの? かぐや達には忘れさせて、自分だけずっと傷付こうと思ったんだ? ふーん、かぐや達は笑えてるのにヤチヨは泣いてるんだ。へぇー」
「……お、お許しください……!」
ヤチヨ。スマホ内にて華麗に土下座。
輪廻を断ち切った英雄と、輪廻に立ち向かった歌姫が揃って土下座した。
2人の誠意が込められた姿を見たことで、少しずつかぐやの溜飲も下がっていく──なんてことは特になかった。
「ていうかさ、土下座して欲しいなんてかぐやは言ってないよね? どういうつもりで彩葉を泣かせたのかって訊いてるんだよ? 真司、ヤチヨ。──ちゃんと答えられるんだよね?」
「「……ヒェッ」」
かぐやに詰め寄られ、小さな恐怖を溢した真司とヤチヨ。
まさか軽い気持ちで作った創作物のせいでこんな目に遭うなど思うはずもない。それもこれも、2人の自分に対する自己認識の甘さが原因だ。どれだけ大切に思われているのかを自覚していなかったことが問題なのだ。つまりは自業自得。
そんな2人にかぐやを止める手段などあるはずもなく、ガチギレしたかぐやによる冷静かつ事実しか述べていない最も精神的にダメージを受ける説教を──真司とヤチヨは大人しく受けるしかなかった。
「…………」
正座でスマホに説教される真司と、スマホの中で正座しながらスマホに説教されるヤチヨを見て、彩葉が瞳を光らせる。
手の中には『目薬』が握られており、してやってたりの表情でかぐやに怒られる2人を眺めていた。
「……少しは、反省してよね」
今回の件で、2人が自分のことを大切に思ってくれれば良い。
彩葉はそんな思いを抱きながらもうしばらくの間、
以上、番外編第2弾でした!楽しんで頂けたなら幸いです。
そしてそして!『超かぐや姫!』のクラファン1680(いろは)%達成&『新規書き下ろしボイスドラマ』制作決定めでたしや〜っ!!
ウェルカムアナウンス第三弾も可愛すぎるしどないなっとんねん……何気に彩葉が自分のフルネーム口にしたの初めてじゃないですか?噛みまくってて言えてなかったけど(可愛い)。
お金がないのよ……?貧乏なのよ……?なんなのよ……嬉しいじゃないのよ。公式からの供給が神すぎて……身体がモチベーションに満ちていくじゃないのよ。
というわけで、まだ蛇足が続きます(単純)。