親友のスパダリに勝ってハッピーエンドを迎えたい   作:スイートズッキー

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番外編 勝利の美酒に呑まれた男

 

 

 2038年9月12日。

 この日、天野真司は人生で1番と言っても過言ではないほどに浮かれていた。

 

 頬は常に緩み、幸せそうな顔で時折り目に涙を滲ませる。

 普段は落ち着きのあるこの男がどうしてこうなってしまったか。その理由は──長年着手し続けてきた『味覚再現プログラム』と『温度再現プログラム』の2つをようやく完成させたからであった。

 

 相棒である酒寄彩葉と共に2日間徹夜して追い込みをかけながら、ようやく完成させたこのプログラム。ヤチヨの協力によって【ツクヨミ】に実装する準備も整っており、仮想世界の常識を一変させる大偉業だ。

 しかし、真司と彩葉の目的はユーザー達から賞賛を受けることでも、地位と名声を得ることでもない。彼らの目的は、昔から何一つ変わってはないのだ。

 

 

 かぐやとヤチヨを──()()()()()()()()()()()

 

 

 その悲願は()しくも、かぐやが卒業ライブを行なって月に帰った日。

 かぐやが彩葉達の前から消えた敗北の日より──ちょうど8年後に実現することとなった。

 

 偶然、運命的、付けようと思えばいくらでも言葉は付けられる。

 全ての壁をぶち壊し、執念で夢を現実にした2人は歓喜に打ち震えた。

 

 真司はすぐに彩葉に睡眠を取らせてから、自分はそのままパーティーの準備に取り掛かる。

 婚約者である芦花と友人である真実の予定を押さえ、次の日(13日)のパーティー開催に向けて動き始めた。場所は自分の家を使うつもりのようで、飾り付けも大量に買い込んだ。

 真司は仕事から帰って来た芦花が驚くほどの熱量で準備を進めていき、無事に3度目の徹夜を乗り越えてから宴の用意を完遂させたのだった。

 

 そして13日の正午。

 都合良く土曜日ということもあり、予定していたメンバー全員の参加が確定。『ブラックオニキス』のメンバー達は気を遣ったのか、今回のパーティーには参加しないとの意向を示した。その代わり、近い内にまた集まろうとの話が決まる。プロジェクトの出資者でもある彼らからの心遣いに感謝しながら、真司と彩葉は高校時代からの仲間だけで騒ぐパーティーを心の底から楽しんでいた。

 

 

「「「「「「──乾杯〜〜〜っ!!!」」」」」」

 

 

 カランッという音を立てて、6つのグラスが掲げられた。

 大きなテーブルの上には様々な料理が並んでおり、どれも食欲を刺激する香ばしい匂いを放っていた。

 

「流石かぐやちゃん。腕は落ちてないな」

「へへーんっ! 【ツクヨミ】で修行してたからねっ! 真司も材料とか揃えてくれてありがとっ! かぐやの愛情たっぷり手料理だよっ! みんな、じゃんじゃん食べてねーっ!」

「かぐやもね。ヤチヨと一緒に味わってもらうために、私達は頑張ってきたんだから」

「……彩葉。うんっ! ヤチヨ、お腹壊れるまで食べようねっ!」

「りょーっ! 8000年を取り返すぐらいに食べるヨ〜っ!!」

 

 今回の主役ということで、かぐやとヤチヨの2人は真司によって豪華に飾り付けられたソファーへと座らされていた。服装は2人のイメージカラーに合わせたものとなっている。かぐやがオレンジ、ヤチヨがホワイトのワンピースに身を包んでいた。

 真司、芦花、彩葉、真実の4人はそんな2人を見守るかのようにして座布団に腰を落としている。2人のお姫様がはしゃぐ姿を見て、全員が微笑ましい気持ちになっていた。

 

「よーしっ! 私も負けないぐらい食べるぞーっ!」

「真実、調子乗らないの。かぐや達と違って真実のお腹が壊れても、私と天野じゃ治してあげらんないよ?」

 

 彩葉からの忠告に対して、真実はローストチキンに齧りつきながら頷いた。

 思いっきり肉を頬張る様子はまるでリスのようだ。とても双子の母親をしているとは思えない幼さである。

 

「ははっ。そんなに急いで食わなくても、まだまだあるからさ。ゆっくり食べようぜ」

 

 昼から開始したということもあり、時間的な余裕もかなりある。

 自分の家に帰らなければならないのは真実だけなので、お隣さんである彩葉とかぐやとヤチヨは最悪この部屋に泊まればいい。そういった精神的な余裕もあって、真司の気持ちは()()()()()()()()

 

「……ああ〜、美味いな」

 

 昼間から流し込むアルコールが身体へと染み渡り、真司の口から極楽のため息が溢れた。まさに勝利の美酒。涙が出そうになる程の達成感が全身を包んだ。

 真司はネイビーのシャツを指で掴みながら、パタパタと服の中に空気を入れる。少しだけ火照った身体が冷え、思わず口角が上がった。

 

「真司くん。本当に寝ないで平気? 辛くない?」

 

 そんな真司の隣で若干不安そうな表情を浮かべているのは、最近彼女から婚約者へとランクアップしたばかりの芦花。

 白のニットに紺色のスカートといったシンプルな服装ながらも、元々の素材の良さもあって大人びた雰囲気を漂わせている。長い髪をサイドで束ねており、人妻の風格すら感じさせた。

 

 芦花はグラスを片手に真司へと肩を寄せるが、心配を受けた本人は特に問題のなさそうな顔で笑顔を返した。

 

「大丈夫だよ、芦花。楽しすぎて全然眠くないんだ。……ようやく、ここまで来たんだなって思うとさ」

「……真司くん」

「ははっ、見てくれよ。かぐやちゃんとヤチヨの嬉しそうな顔。久しぶりに『味』と『温度』を感じられてるんだもんな。そりゃ嬉しいよなぁ」

「……っ! そ、そうだねっ!」

 

 肩を密着させてきた真司に動揺を見せながらも、芦花は幸せな表情を浮かべていた。

 肉を取り合うかぐやとヤチヨ。それを笑顔で仲裁する彩葉。目を輝かせながらパスタをかき込む真実。

 視界に映る光景は全て幸せで溢れており、真司は心から嬉しそうに笑った。そんな真司の顔を見て、芦花もまた心を揺らす。好きになった相手を自分は間違えなかったのだと、再確認しながら。

 

「芦花も飲もう? お酒、好きだろ?」

「う、うん。ありがと」

「ねぇねぇ! 真司っ! みんなでゲームやろうよっ! 人生ゲームっ!」

「おっ、いいね。やるか〜!」

 

 一旦食事を落ち着け、かぐやからの提案でゲーム大会へと移行する。

 人生ゲームを終えてからも、トランプやUNOといった定番のゲームを全員で楽しんだ。フルダイブ型以外のゲームが弱い真司が最下位を独占する結果ではあったが。

 

 楽しい時間が流れるのはあっという間で、時刻は既に午後7時。

 マンションの下に旦那が迎えに来てくれたという真実が、パーティーから抜ける時間となった。

 

「本当に楽しかった〜っ! またやろうね〜っ! 次は焼肉だっ!」

 

 最後にそう言い残し、家族のもとへ向かう真実。

 5人となった部屋からは騒がしい雰囲気が薄れ、寝る前にやっておかなければならないことへの意識が強まった。

 

「酒寄。それから、かぐやちゃんとヤチヨも。うちで風呂に入ってけよ。わざわざ隣まで戻るの面倒だろ?」

「うひょーいっ! ありがと〜! 真司っ! ヤチヨ、一緒に入ろ〜っ!」

「サッパリするとしますか〜っ! 彩葉も一緒に入る?」

「わ、私は後でいいよ。でも天野、本当に良いの?」

「良いって、俺はシャワーで済ませるし」

「着替えなら私の服を使えば良いからね。なんなら彩葉達、今日は泊まっていけば?」

 

 芦花の言葉に彩葉は申し訳なさそうな顔を見せたが、かぐやとヤチヨが笑顔で頷いたことで話が決まる。

 彩葉も内心では泊まりたいと思っていたので、頬が緩んでいた。

 

 かぐやとヤチヨ、彩葉、芦花の順に風呂を済ませ、最後に真司が浴室へと入った。

 リビングでは女性陣達による髪の乾かし合いが始まり、湯上がりの爽快感を堪能しながら会話に花を咲かせていた。

 

「いや〜っ、やっぱお風呂はいいね〜っ! ヤッチョも久しぶりに心の洗濯をした気がするよ〜っ!」

「ふふっ、良かった。髪もちゃんと乾かさないとね〜」

「ありがと〜、芦花〜」

「ねぇねぇ彩葉っ! 今度オリジナルの入浴剤とか作ろうよっ! 彩葉の匂いがするやつ〜!」

「嫌だけど!? ……ほら、動かない。ちゃんと髪乾かせないよ?」

「えへへっ、はーいっ」

 

 穏やかで平和な時間が流れている。

 交代でヤチヨが芦花の、かぐやが彩葉の髪を乾かし始めた時、ふとかぐやが意外そうに口を開いた。

 

「でもさ〜、今日の真司っていつもよりテンション高くない? 声が出てるって言うか、元気って言うか」

「ヤッチョもそう思った〜。なんか……真司っぽくないよね。新鮮で面白いんだけどさぁ」

 

 歌姫2人の疑問に、芦花が困ったような顔をして答える。

 

「それはそうだよ。だって真司くん、3日間寝てないんだもん。そんな状態でお酒が入ったらテンションもおかしくなるって」

「……天野。やっぱり寝てなかったんだ。私には絶対寝ろって口うるさく言ってきたくせに」

「お、怒らないであげて? 真司くんは彩葉に休んで欲しかったんだよ。パーティーを全力で楽しんでもらうためにさ」

「それは分かるけど……」

「今日だけは許してあげてね。真司くん、本当に楽しそうだから」

 

 真司の1番近くにいる芦花から言われてしまえば、彩葉としても頷く他ない。

 楽しそうにしている親友な顔を見れば、怒る気もなくなってしまうだろうとの自己分析もあった。

 

「寝てないのに元気だよね〜、ヤッチョならとっくにおやすみだよ〜」

「あははっ、徹夜は慣れてるって言ってたから。……あっ、でも、いつもと違うところはあるかな」

「えーっ、なになに、教えて? 芦花〜」

「多分なんだけど……いつもより()()()()()()

 

 芦花の言葉に食いついたのは彩葉。

 言われてみればそうかもしれないという納得と共に、顎に手を当てて目を閉じた。

 

「……確かに。顔もなんか赤いし、酔ってるよね? あんな酔い方してる天野、初めて見たかも」

「普段は酔い潰れた彩葉を真司が背負って帰って来るもんね〜。この間の動画あるよ? 見る〜?」

「見せんでいいっ! ……と、とにかく、今の天野は寝不足で酔いやすい。そういうことだよね? 芦花」

「そうだと思う。……実は、私も見たことないんだよね。本気で酔った真司くんって」

「かぐやね、前から思ってたんだ。()()()()()()()()……どうなるのかなって」

 

 その瞬間、その場にいる女子達の目の色が変わった。

 落ち着きがあり、頼りになる。そんな真司が思いっきり酔ったら──果たしてどうなるのか? 

 

 好奇心と言う名の衝動に突き動かされ、女性陣が手を組んだ。

 夜はまだ長い。あのスパダリと呼んでも差し支えない男を酔わせ、情けない姿を見てみたいという欲望が彼女達の行動を確定させる。

 

「──お待たせ。悪いな、ついでに風呂洗ってたからちょっと遅くなった。さあ、パーティーの続きといこうか」

 

 獲物がやってきたと、真司以外の全員が目を光らせる。

 用意しておいたつまみを差し出し、それに合う酒を並べた。

 そしてゲームをやるというよりは、これまでの思い出を語り合うような場を作り上げる。

 

 気心知れたメンバー同士での雑談は確実に真司の酔いを回し、理性という鎖を砕いていった。

 これ以上飲ませると危ないというラインに到達したところで、酒を全てキッチンへと引き下げる。時刻が10時近くになった頃には、真司は完全に()()()()()()()()

 

「……あ〜、なんか、酔ってるわぁ。ヤバいかも。頭が、ふわふわする」

「だっ、大丈夫? 真司くん。吐き気とか……ないよね?」

「大丈夫だよ〜、芦花。それは全然よゆー。心配してくれてありがとな〜っ」

「ッ!? は、はい……」

 

 ソファーにもたれかかっている真司に声をかけながら、芦花が隣へと座った。

 真司はふにゃあっとした笑顔を浮かべると、芦花の頭を優しく撫でる。

 乾かしたばかりの髪に手櫛を入れながら、空いている左手を芦花の右頬に当てた。

 

「へへっ、俺の手も結構あったかいだろ? やっぱり芦花の肌は柔らかくて綺麗だなぁ」

「ちょっ!? し、真司くん……。は、恥ずかしいよ……」

「なんで? 恥ずかしがることないじゃん。俺達、婚約してるんだし」

 

 手櫛をやめ、真司が芦花の背中に手を当てて、自身の方へと引き寄せる。

 ソファーの上で身体を真正面から密着させ、耳元で言葉を囁いた。

 

「芦花は可愛いな。大好きだ。愛してる。一生大切にするから、これからもよろしく」

「……あっ、そ、その……は、はい……ひゃっ!」

 

 芦花の口から艶めいた声が飛び出た。

 真司が不意に首筋へと吸い付いたことが原因だ。唇が離れた場所には赤い(あと)が残っており、独占欲を表す首輪のようにも見えた。

 

「痛くなかった?」

「ふぇっ……? う、うん、大丈──んんっ!?」

 

 芦花の返事を待たずして、真司が唇を重ねた。

 背中側にガッツリ右手を回し、逃げられないように密着。左手もしっかりと芦花の右手と繋がっており、抵抗しようとする芦花の動きを制限していた。

 

「し、しんじ、くんっ。恥ずか……しいからっ」

「どうして? 俺とキスするのは嫌?」

「いや、じゃ、ないけどぉっ! みんなが、見てる、からぁっ……んんっ」

 

 軽く触れるだけだったキスが回数を重ねる毎に『深いもの』へと変わっていく。

 羞恥心を覚えながらも本気で抵抗することが出来ない芦花は、次第にそれを受け入れ始めた。

 

「んんっ……んあっ……ぷはぁっ、はぁ、はぁっ」

「可愛いよ、芦花」

「しんじ、くん」

「余裕がない表情もいいね。()()()()()()()()()()()()()()、立場が逆転かな?」

「はっ……〜〜〜ッ!!」

 

 その言葉がトドメとなり、芦花は羞恥は限界を突破。

 一種の防衛本能によって、意識を手放す結果となったのだった。

 

「あれ? 芦花? ……寝たのか。はしゃいでたもんなぁ。可愛い」

 

 真司は意識を失った芦花の額にもう一度口付けを落とすと、彼女の身体を抱き上げてソファーから立ち上がった。

 

「悪い、芦花をベッドに寝かせてくる。ちょっと待っててくれ」

 

 彩葉達にそう言ってから、真司は寝室へと歩き出した。

 泥酔しているとは思えないほどにしっかりとした足取りで。

 

 そして、そこでようやく彩葉達の時間が動き始めた。

 かぐやとヤチヨは顔を真っ赤にしながら手で口を隠しており、彩葉は信じられないものでも見たかのような顔で呆然と口を開けていた。

 

「……えっ、ちょっ、何だったの? かぐや達、絶対見ちゃいけないもの見たよね? あ、あんな……濃厚な……ヤ、ヤチヨ先生っ! あれはどうなんですかっ!?」

「……あれは、ヤバいね。端的に言えばそう……ヤバいね」

「先生っ!? 語彙力が……!!」

「し、仕方ないじゃんっ! あんなの遊郭ぐらいでしか見たことないし……ヤ、ヤッチョにだって経験ないよぉ」

 

 歌姫コンビが慌しくしている中、彩葉はと言えば──同じく動揺しまくっていた。

 

「このプログラムを正常に作動させるための数列を組む時に最も重要なプロセスはアグレッシブでセンセーショナルでバイタリティ溢れるコミュニケーションが──」

「彩葉ッ!? 帰って来てっ!? バグってる場合じゃないよっ!?」

「無理もないね。親友達のあんな場面を見たら、取り乱して突然だよ」

「ど、どうしよう……? と、取り敢えずかぐや達も真司がしてたみたいなキスしとくっ!? 彩葉! しとくっ!?」

「──ッ!! いやせんわっ! 危なかった……! 脳が処理落ちするかと思った……!」

「ヤッチョの8000年にも耐えた彩葉の脳をここまで追い詰めるなんて……流石は真司だね〜」

「ちょっ、ちょっと集合っ!」

 

 彩葉の呼びかけによって、かぐやとヤチヨが距離を詰める。

 3人娘によるトライアングル緊急会議が立ち上がった。

 

「ど、どうする? 今の天野は……ヤバい気がする」

「かぐやも……そう思う。なんだろう、今の真司は『無敵』って感じ」

「ヤッチョ達はとんでもない怪物を生み出してしまったのかもしれないねぇ〜」

「も、元はと言えばかぐやが天野を酔わせようとか言ったから!」

「えーっ! かぐやのせいっ!? 彩葉だってノリノリだったじゃんっ!」

「ぐっ、それは……はい、すみません。いつも余裕そうな天野がどんな風になるのか気になりました」

「仲間割れしてる場合じゃないね〜。取り敢えず水を飲ませるのはどうかな? ヤッチョ的にはそれが1番だと思うんだけど」

「「それだっ!」」

 

 最年長による適切な対処法に彩葉とかぐやが即賛成。

 かぐやは机の上にあった空のコップを手に取ると、キッチンへ水を取りに行くために立ち上がった。

 

 ──そこを、帰って来た『怪物』に捕まった。

 

「どうしたの? かぐやちゃん。そんな慌てた顔して」

「しっ、真司っ!?」

 

 いつの間にか背後に来ていた真司が、かぐやの肩に腕を回した。

 目は相変わらずとろんとしており、どこか色気を感じさせる表情だ。危険な状態は継続していると見て間違いなかった。

 

「あっ、いや……その、真司がそろそろ、水でも飲みたいかなーって思いまして」

「水? いらないよ、そんなん。せっかく気持ち良く酔ってるんだからさ」

「い、いやぁ、でもぉ? 今の真司は少し酔いすぎって言うか……ね? かぐやがお水持って来てあげるから、ちょっと休も?」

 

 妹分からの可愛らしいお願いを聞き、真司の口角が上がった。

 真司がかぐやからのお願いを断ったことなど一度もない。同じく敗北し続けている彩葉は勝ちを確信し、拳を握った。

 

 そう、酔っていなければの話だが。

 

「可愛いな〜、かぐやちゃん。嬉しいからデザートを食べさせてあげよう!」

「えっ? ちょっ、お水は?」

 

 真司が満面の笑みで冷蔵庫まで行くと、中からプリンを取り出し、スプーンも合わせて持った状態で帰って来た。

 器用に片手で困惑するかぐやの身体を持ち上げると、自身の膝の上に座らせた状態でソファーへと腰を落としたのだった。

 

「はい、かぐやちゃん。デザートだよ。俺が食べさせてあげるからね」

「それは……嬉しいんだけど、今はお水を──んぐっ」

「どう? 美味しい?」

「お、美味しい……」

「そっか、良かった。かぐやちゃん、昔はよくこのプリン食べてたもんね。酒寄の家に行く前に、コンビニでよく買って来たっけ」

「し、真司……自分で、食べられるから」

「んー? どうして? かぐやちゃんのことは赤ん坊の頃から知ってるんだから、変な遠慮はいらないの。はい、あーんっ」

「あ、あーんっ……」

 

 そのままの流れで、かぐやは真司によってプリンを完食させられた。

 流石に恥ずかしいのか、真司の膝の上で大人しく咀嚼している。

 

「美味しかった? かぐやちゃん」

「…………うんっ。美味しかった、よ? じゃ、じゃあそろそろ、降りても──」

「だめっ。まだ降ろさない」

「ちょおっ!? し、真司……?」

 

 膝の上から降りようとしたかぐやを、真司が背中側から抱き締めて止める。

 体格差が大きいので、かぐやの小さな身体が真司によって包み込まれている状態だ。

 それを見ていたヤチヨはかぐやが助からないことを悟って目を閉じ、彩葉は行動を起こすことも出来ずに手を口の前で震えさせた。

 

「あーっ、あったけぇ。体温の調整は完璧だな。へへっ、温度再現プログラムは俺が担当したんだよ? かぐやちゃんも、俺の体温をちゃんと感じてる?」

「あぅ、わ、分かるよ。真司、めっちゃ、あったかいし」

「おっ、なんか体温が上がったな。ひょっとしてかぐやちゃん……照れてる?」

「そっ! そんなことないですけどっ!?」

「だよねぇ。いつもはかぐやちゃんの方から引っ付いてくるもんねぇ。あれ、地味に嬉しいんだ。またこうやって、昔みたいに引っ付きながらゲームしたいなぁ」

「あっ、あの、あんまり耳元で喋られると……くすぐったいよぉ」

 

 手で耳を覆い隠しながら、かぐやが小さくうずくまる。

 真司はそんなかぐやの反応に気を良くしたのか、抱き締める力を強めた。

 

「よーしよしっ! 可愛いなぁっ、かぐやちゃんは」

「わぁ……あぁ……い、いろはぁ……」

 

 助けを求めて伸ばされたかぐやの手だったが、彩葉がそれを取ることはなかった。

 真司がひょいっとキャッチして、とても良い笑顔で握り締めたからだ。

 

「あはっ、だめだって。今は俺がかぐやちゃんを独り占めしてるんだからさ〜。──もう二度と、どこにも連れて行かせたりしない。大好きだよ、かぐやちゃん」

「…………あぅっ」

 

 ここでかぐやが過熱状態(オーバーヒート)を引き起こし、自己防衛プログラムが起動したことによって強制シャットダウンとなった。

 一言で言えば、芦花の二の舞である。

 

「あれ……? かぐやちゃん? 寝たの?」

 

 しょうがないなぁと溢しながら、真司が再び寝室へと脱落者を運びに行く。

 彩葉はかぐやを見捨ててまで手に入れたこの時間を無駄にはしないため、自分以外で生き残った唯一の存在であるヤチヨに助けを求めた。

 

「ヤ、ヤチ、ヤチヨッ! ど、どどどどうしようっ? 天野が……ヤバいよ!」

「それはさっきヤッチョが言った〜。……うーん、まさか酔った真司があんな積極的になるとはねぇ〜。このままじゃヤッチョと彩葉もかぐや達と同じ末路を辿ることになるよ?」

「よ、酔いを醒まさなきゃ。やっぱり水を……」

「それはもう手遅れだと思うなぁ。そもそもさっきの反応からして、水は飲んでくれないと思うしさ〜」

「じゃあ……どうする?」

 

 追い詰められた彩葉に微笑みかけながら、ヤチヨは両手を頭の上へと置いた。

 

「あははっ、降参かな」

「諦めてるっ!?」

 

 まさかの白旗宣言に、彩葉が大声でツッコミを入れた。

 ヤチヨはケラケラと笑いながら立ち上がると、彩葉の肩に手を置き──彼女の盾になるかのようにして身体を差し出した。

 

「──おいたはダメだよ〜? 真司〜?」

 

 ヤチヨが前に出たことで、彩葉に近付いていた真司の標的が変更される。

 真司の顔を両手で挟みながら、ヤチヨが真司の動きを止めた。

 

「人聞きが悪いな、ヤチヨ。俺は酒寄の肩を揉んでやろうと思っただけだぞ? 最近は肩凝りが酷いって言ってたからな。親友として見過ごすわけにはいかないよ」

「うんうん、それは真司の本心なんだろうねぇ。……でも、今の真司は少し危ないからさぁ。彩葉に触れさせるわけにはいかな──」

「──ヤチヨ。こっち来て」

「おっと……?」

 

 顔を挟んでいた手を取られ、ヤチヨの身体が真司の膝の上へと移動する。かぐやと違って背中側ではなく、横向きに座らされている体勢だ。必然的に顔と顔の距離は近くなり、流石のヤチヨにも緊張が走った。

 

「落ちないように、首に手を回して? ──そう、これで顔がよく顔が見える。……やっぱり、綺麗だなぁ。ヤチヨの顔はいつまでも見ていられるよ」

「そ、それは光栄なんだけど……ヤッチョとしては褒められ慣れてるからなぁ〜」

 

 頬を赤らめながらも、ヤチヨが彩葉に視線を飛ばす。

 ここは自分が何とかするから、早く逃げろという意思が込められていた。

 

「余所見しないの。ヤチヨ、ちゃんと俺の目を見て?」

「ご、ごめんねぇ〜。真司の気持ちは嬉しいんだけど、こういう強引なのって真司には似合わな──」

「ヤチヨ。遅くなってごめん」

「……えっ?」

 

 突然声のトーンが下がり、真司が涙を浮かべながら謝罪を口にする。

 ヤチヨもこれには不意を突かれたようで、見事にペースを崩された。

 

「8000年も、頑張ってくれてありがとう。諦めないでくれて、ありがとう。俺と出会ってくれて、ありがとう。全部全部……ありがとう」

「し、真司。それは……()()()()()()()()()()()()

「料理はどうだった? 人肌の温かさはどうだった? 俺と酒寄は……君を幸せにすることが出来たかな?」

「……うん。そんなの、当たり前だよ。ヤッチョは……ヤチヨは、とっても幸せだよ?」

 

 美しい青色の瞳を潤ませながら、ヤチヨが真司に熱を帯びた視線を向ける。

 先程までの余裕は完全に消え去り、酔っ払い真司のストレート愛情表現にヤチヨもやられていた。

 

「貴方のお陰で……ヤチヨはハッピーエンドに来られたの。彩葉とかぐやと、一緒になれたんだよ? 君は私の……英雄だから」

「ヤチヨが頑張ったからだよ。もう大丈夫だからな。もう1人で泣かなくてもいいからな。酒寄とかぐやちゃんが、絶対に君を1人にしないから。……もちろん、俺もな。──ヤチヨ、大好きだよ」

「……うん、ありがとう。ヤチヨは……果報者なのです」

 

 幸せによる涙が溢れ、止まらなくなってしまったヤチヨ。

 逃がそうとしていた彩葉にチラリと目を向けると、困ったように笑いながら休息状態(スリープモード)へと移行。

 鮮やかな自主退場を見せられ、彩葉は言葉を失った。

 

「ははっ、ヤチヨもおやすみか。良い顔で寝てる。どうか、楽しい夢を見ててくれ」

 

 もう三度目となるお姫様(脱落者)の運搬。

 彩葉は最後に残されてしまったという絶望的状況に陥ったことを、寝室へと消えた真司の背中を見てようやく理解した。

 

「ほ、本当にヤバいって……に、逃げなきゃっ!」

 

 このままでは確実に自分も同じ結末を辿ることになる。

 黒色のパジャマについたモコモコのフードを揺らしながら、彩葉は部屋からの脱出を決意した。

 

「──どうした? 酒寄。そんなに慌てて」

 

 決意するのが、遅すぎた。

 寝室に入るところを見てようやく頭を動かし始めたのでは遅いに決まっている。ヤチヨをベッドに寝かせて戻って来た真司は、不思議そうに首を傾げながらゆっくりと彩葉に近寄っていく。

 

「2人だけになっちゃったな。せっかくだし、改めて飲み直すか?」

「い、いやぁ〜、天野はこれ以上飲まない方がいいと思うよ? 本気で」

「なんだよつれねぇなぁ。……じゃあ、マッサージしてやる」

「うぇっ!? い、いいよっ! 結構です!」

「遠慮すんなって。はい、こっち来て。ソファー座って」

 

 ポンポンと手でソファーを叩き、ここに座れと催促する真司。

 あれだけ暴れていたというのに酔いが醒める気配が一向にない。

 

「あ、天野……? 一旦落ち着いて、冷静に」

「酒寄。──早く」

「…………はいっ」

 

 普段とは違う強引な口調に、彩葉の抵抗は一蹴される。ギャップによる威力とでも言うのか、逆らえる気がしなかった。

 彩葉が大人しく指定された場所に座ると、真司は嬉しそうに口角を上げる。

 

「まずは手のマッサージからな? 右手出して」

 

 言われるがままに右手を差し出す彩葉。

 ぐっぐっと指圧されていくのを見ながら、普通にマッサージによる気持ち良さを感じていた。

 

「どうだ? 気持ち良い?」

「えっ、あっ……うん。……気持ち良い」

「良かった。手にはツボが集中してるからな。肩凝りに効くツボを入念に押しておくよ。痛かったら言ってな」

 

 痛いどころか、普通に心地良いマッサージであった。

 酔っているというのにこの正確さ。痛みでもあればそれを理由に逃げられかもしれないが、本当にただ気持ちが良かった。彩葉は逃げ場を失い、無抵抗に血行を良くされていく。

 

「酒寄、頑張ってたもんな。疲れてて当然だ」

「そ、そんなの……天野だって同じじゃん。天野がいたから、完成出来たんだよ?」

「ありがとう。2人で一緒に完成させたんだもんな。誇らしいよ」

「……天野。……うんっ、本当にね」

 

 右手が終わり、左手へと移る。

 彩葉の警戒もすっかり解かれ、ただ雑談しながらマッサージされているだけの空間になっていた。元々相性が良い上に、大きな夢を叶えたばかり。

 その余韻は話を盛り上げるための火種としては、あまりにも大きかった。

 

「味覚再現プログラム作るのにマジで苦労したよな。色んな食材とか料理とか食べまくってさ。それをデータに変換するのが辛かった」

「だよね〜っ。それに比べると温度の方は割とスムーズにいった気がする。天野が優秀だったお陰だね」

「褒めたから色々出るぞ。──酒寄、これぐらいの力加減はどうだ? 痛くない?」

「んんっ、平気。めっちゃ気持ち良いで〜す……」

 

 10分、20分、30分と流れていく内に、どんどんマッサージの内容が変化していった。

 

 手から肩。

 肩から首。

 首から腰。

 腰から背中。

 

 危機感を覚えていた30分前の彩葉は綺麗さっぱり消え去り、ソファーに寝そべりながらこれ以上ないほどにリラックスした状態でマッサージを受けていた。

 

「じゃあ次は鎖骨な。仰向けになって」

「は〜いっ。……えっ? ()()?」

「そう、鎖骨」

「……いや、それはその、いいかな。もう十分マッサージしてもらったし、そろそろ寝ない?」

 

 鎖骨という単語を聞いて、ポンコツ彩葉に危機感が戻った。

 流石に鎖骨は距離が近すぎる。普段の状態ならまだしも、今の真司に触らせるには怖すぎる場所だった。

 

「なんだよ急に、鎖骨は嫌か? なら最後にフェイスラインのマッサージだけでも──」

「そうじゃなくてっ! もう夜も遅いしさ。天野だって……眠いでしょ?」

「全然?」

 

 どうして3徹もしているというのに眠気がきていないのかと、彩葉は呆れたように肩を落とした。

 恐らくだが、身体は睡眠を求めている。それに気が付いていないほど、真司の意識が覚醒しすぎているだけだ。彩葉はそう結論付け、無理矢理にでもベッドに寝かせることにした。

 真司の手首を掴み、ソファーから立ち上がらせようと引っ張る。しかし、真司の身体は動かない。

 

「ちょっ、何で立たないの? 早く寝た方が良いって」

「……なあ、酒寄。どうして寝かせようとするんだ? 俺と一緒にいるのは……嫌か?」

「はぁ? そんなわけ──ない、じゃん」

 

 引っ張っていた手を逆に引かれ、彩葉の体勢が崩れる。

 咄嗟に腰へと添えられた手によって移動先を誘導され、彩葉の身体が再びソファーへと落ち着いた。仰向けに寝かされるとその上に真司が跨り、体重をかけられた。

 

「……えっ?」

 

 ──完全に、()()()()()()

 

 両手が握られた。力が入らない。顔が近い。

 彩葉は自分の状況を冷静に把握しようとするが、処理し切れないほどの情報を押し付けられ、またも処理落ちの危機に瀕していた。

 

「……なあ、酒寄」

「は、はい……なんでしょう」

 

 そんな彩葉の意識を呼び止めたのは、皮肉にも元凶である真司の声だった。

 

「俺は……お前の役に立てたか?」

 

 不安に満ちた声。

 まるで臆病な子供が親の顔色を(うかが)うかのようだった。

 思わず彩葉も、言葉に詰まる。

 

「かぐやちゃんとヤチヨの件、俺は役に立てたか……? 酒寄に協力するって約束を……俺は守れたか?」

「そ、そんなの、当たり前じゃん。天野がいなかったら、こんなに早く完成出来なかったって」

「……次は、何をする?」

「つ、次?」

 

 予想外の言葉に、彩葉の瞳が揺れた。

 次、とは何か。何をもって次なのか。真司の言葉の意味を推測しながら口を開いた。

 

「えーっと……次のプロジェクトをどうするかって話だよね?」

「……」

 

 返ってきたのは小さな頷き。

 どうやら推測は当たっていたようだと、彩葉は言葉を続けた。

 

「まだ何も決めてないよ。少しの間、ゆっくり休もうと思ってたしさ。かぐやとヤチヨとも過ごしたいし、天野だって芦花との時間が欲しいでしょ?」

「それは……そうだけど」

「次に何をするかは、また今度一緒に決めよう? 仕事の相談が出来る相手なんて、私には天野しかいないんだからね?」

「──ッ!」

 

 彩葉からの言葉を聞き、真司が目を見開いた。

 瞳に浮かぶ感情は喜びであり、感謝であり、そして──『安堵』だった。

 

「ちょっ! あ、天野……?」

「……ごめん。少しだけ、こうさせて」

 

 体重をかけて抱き付いてきた真司に、彩葉が驚愕の声を上げる。

 しかし、何やら様子がおかしいことに気付き、抵抗の手を止めた。

 

「……酒寄、ありがとう。……酒寄と出会えたお陰で、毎日楽しいんだ。全部、酒寄のお陰なんだ」

「お、大袈裟だよ。そんなこと言われたら……照れるじゃん」

「大袈裟……? ──そんなわけないだろ」

「み、耳元で喋らないでよっ……! 私、変なこと言った……?」

 

 繋がれた両手に力を込められ、かけられている体重が更に重くなる。

 密着している身体同士の体温はより強く感じられ、相手の息遣いまでもが鮮明に聞き取れるようになっていた。

 

「お前は分かってないんだ。()()()()()()()()()()()()()()()、まるで分かってない」

「あ、天野……顔、近いって……」

「──大好きだ、酒寄」

「〜〜〜ッ!? なっ、何を……急に……!」

 

 耳元で爆弾発言をされたかと思えば、顔を上げて照れているところを正面から見られた彩葉。

 真司はそんな彼女の様子など気にすることもなく、恥ずかしい言葉を続けた。

 

「一生俺と友達でいて欲しい。俺から離れないで欲しい。……お前の役に立ちたいんだ。頑張るから……だから、お前の側にいさせてくれ……!」

「……天野」

 

 次に何をするという質問の意味を、彩葉はようやく理解した。

 高校生の頃に掲げた目標を達成した今、酒寄彩葉にとって天野真司の存在価値が薄れてしまうのではないか。そんな不安に襲われているのだと、ハッキリ分かった。

 

「……バカだなぁ。私が天野と友達やめるわけないのに。……私達は、親友でしょ?」

「……ああ、親友だ。俺の大切な、親友だ。お前が頼ってくれるなら、俺は何だって出来る」

「知ってるよ。今までもこれからも、頼りにしてるんだから」

「……酒寄。……ごめん。なんか、不安になって……俺、ちゃんと言葉で聞きたくて……」

「変な酔い方したもんね。お酒のせいだよ。明日になったら、多分忘れてる。だからもう寝よう? 天野。今ならきっと……良い夢が見られるよ」

 

 彩葉の微笑みに、真司の身体から力が抜けた。

 押さえ付けていた両手を離し──彩葉に顔を近付けていった。

 

「……えっ? いやいやっ! ちょっとっ!?」

「…………」

「だっ、駄目だって! それは本当に駄目っ! キス魔かっ!」

 

 自由になった両手を使って必死に真司の身体を押し返そうとする彩葉だが、悲しいことに体勢の不利もあって力負け。

 真司との距離は縮まっていき、鼻先が触れるまでに接近を許してしまった。

 

 もうだめだと、彩葉が諦めて目を閉じた瞬間──真司が彩葉の胸へ顔を落とした。

 

「ひゃっ、ちょっ、ちょっと。天野……んっ?」

 

 顔を赤く染め上げながら取り乱したのも束の間、彩葉は耳に届いてきた静かな寝息に気が付いた。

 

「……えっ、寝てる?」

 

 自身の胸の上で気持ち良さそうに眠る親友を見て、彩葉は全身の力が抜けるような思いで大きく息を吐いた。

 最悪のケースは免れたと、安心感に包まれたのだ。

 

 

「……おやすみ、天野。……お疲れ様」

 

 

 翌日、結局寝られなかった彩葉と早起きした芦花・かぐや・ヤチヨの4人は固く誓い合った。

 もう二度と、真司を酔わせるようなことはしないと。酔いそうになったら水を飲ませ、理性を確実に保たせることを。

 

「──頭いったぁぁ。……ん、どうした? ()()()()()()()()()()()()()

 

「「「「いや……別に」」」」

 

 真司が何も覚えていなかったことだけが──彼女達にとって不幸中の幸いであった。

 





以上!番外編第6弾でした!

時系列としては『月に叢雲、花に風』のすぐ後ですね。

いつもは押し倒されてばかりの押し倒され系ヒーローだった天野くんですが、ここだけは押し倒し系ヒーローとなりました。
めちゃくちゃ長くなってしまったのでゆっくり読んでもらえたら幸いです。

満足したぜという方はよろしければ『ふじゅ〜(投げ銭)』『感想』をぜひよろしくお願いします!!
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