「酔っていたんだ……。あ、あの時の私はまともじゃなかった。恐るべし酒と乙女回路……」
「その、傑。俺、責任取るよ」
「迷惑かけちゃってごめんね、悟。私は帰るよ」
熱い一夜ですっかりその気になっていた悟は、そそくさと逃げ帰る傑の手をむなしく追って、パタリと落ちた。
そして、傑が帰った後、魔法使いの悟がひょこっと現れて言いにくそうにする。
「えーと。こっちの世界の俺。あの。言いにくいんだけどさ。女体化って変化直後は排卵されてる状態だから、エッチするとその、授精率がめちゃくちゃ高い……」
「えっ」
「男に戻っても、子宮だけは維持されるから大丈夫」
家入(男)がピースをする。家入(女)が戦慄した。
「男に戻っても逃れられないのか……」
「受精率高いから硝子が孕ませたの男のが多いんだよ、俺の知る限り5人いる」
「5人!?」
「ヤバ。お前、私名乗るのやめろ」
「硝子がやらかすと俺も監督者として怒られるから、大変なんだ。加茂家相手にやった時は特に大変で……」
「お前すげーな……。脳みそついてる? 下半身に乗っ取られてない?」
思わず心配する五条先生だったのだった。
「わああああああああああああああ!!」
駄狐に衝撃の事実を告げられ、教祖は錯乱する。
「あーあ。私は油断しすぎだよ。ていうか、私の悟に甘えすぎ」
「君の悟は本当に聖人だよね……。なんていうか、私がいまだに術師やってるの納得だよ」
「だよね? 悟は本当に聖人だって思うよ。強いし性格もいいし、完璧超人ってああいうのをいうんだね。もちろん、こっちの悟も格好いいけどね」
その後、悟のイケメン話で盛り上がる。
「そう、あれは狐になって理性が吹っ飛んで野生化した時のこと……」
「ちょっと待ってそれよく無事だったね?」
「無事ではない」
「どういうこと!?」
その後、ほれ薬事件、小人事件、幼児化事件、オブビリエイト事件、家入隠し子事件などなど出てくるわ出てくるわ。
「悟、人が良すぎないかい? というか君は一体どうしたら反省するんだい?」
「狐様、お仕置きです!」
「えいえいっ」
モフっとした尻尾に抱きつく美々子と菜々子。
「こら、駄目だって2人とも」
ワタワタすると尻尾が揺れて美々子と菜々子を叩く。もふっもふっ。
「俺、俺が狐様をサポートします!」
お話の結果、教祖と駄狐は家族がサポートにつく事になってしまった。
1人にしておくと危ないという判断である。
その2ヶ月後。教祖様の腹はすくすくと成長を始めてしまった。
駄狐の失敗談で現実逃避をしても、現実は変わらないのである。
サポートをつけるのが若干遅かったようだ。
呪霊を集めていると、五条と会った。偶然ではない。待ち伏せである。
「傑。それ、腹にいるんだろ。責任取るから」
「いや責任取らなくていいよ。あ、いや、君の子供を人質に取ることになるのか? どうなんだ、私が育てるって言った方が正解なのか、渡したほうが正解なのか?」
戸惑う教祖様。
「うーん。とにかく、私が悪かったんだから……いや、でも、横から持ってったのは悟だな? でも責任取るって、今更私は戻れないし戻らないぞ。わかるだろ、悟」
「わかってる……。わかってる、けど夢見ちゃうんだよ……! 俺が、俺がもっとしっかりしてたら、傑は離れなかったんじゃないかって。実際、魔法使いの隣に狐はいたんだ。それにあの時、魔法使いの俺が傑と話した時、傑はそれを受け入れた……。前に俺が話した時は背を向けたのに。すげー悔しい。強いってあいつは言うし、戦えば俺が勝つけど、あいつの強みは別にある……あいつは1人じゃない」
悟が弱音を吐いている。
教祖は戸惑いながら手を差し伸べた。
「悟。私は私の選択を君に背負わせる気はないよ。私は私の意思で選んだんだ。君がどうあっても変わらない」
「傑」
「君は君だよ。君もあの魔法使いの君も強いし優れた人だ。生徒にも慕われてるだろ。君に足りないものなんてないんだよ」
「お前が足りない。お前が足りないんだよ……」
教祖は胸を打たれた。
これを10年前、あの日の凶行前に聞けていたら。でも、それはありえない事なのだ。あの日、村を皆殺しにした自分が戻る事はできない。
「悟。私は戻る事はできないけど、いつか私なりに君の力になるよ」
呪術高専を襲撃して。
教祖は頷いた。悟のためなら、今更罪が増えることぐらいどうということもない。
まずは真人の捜索だ。
マシュマロ
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