家入が酷いことになっててすみません。
全員暴走していきます。
「なー五条。夏油。私が男湯入ったらまずいと思う?」
「ごめん、今、すんごい聞き間違いした。破廉恥痴女がなんだって?」
「硝子、そんなに男になる魔法が気に入ったのかい? でも女装しても男は男だし、男装しても女は女だと思うな」
そもそも、五条と夏油は忙しかった。
というか、男女を変える呪霊を譲ってくださいというお手紙にお断りの返事を書く夏油と、その手紙のチェックと口添えをするのに五条も忙しかった。
お前らそんなに性転換に興味あるわけ? そりゃ傑は100万近く投じてるけど! 俺も硝子も試験受けたけど! そうだね、皆興味あるね、ああもう面倒くせぇな、俺の試験合格を待て!
だがしかし待っても、魔法は秘密なのでそう誰彼構わず性転換させてはいけないのだが。
とりあえず、危険な副作用もあり、研究中でもあるので他者への術式行使は致しかねますと一律でお返事する。
そして五条と夏油が目を離している間、自室で家入は1人男の体を調べていた。
そして、1人では限界がある事に気づいた家入はついに2人を巻き込む為に来襲したのだ。おかえりください。
「っていうか、お前ら男の体について教えろよー」
「嫌です。絶対に嫌です」
「なんで」
「だって絶対にエロ関係じゃん……。女なんだから慎みを持て」
五条は既に夏油を庇える位置に移動。夏油は一生懸命手紙を書いている。
「慎みを投げ捨てるのは男の時だけだから安心しろ」
「投げ捨てたまま拾ってねーだろ」
必死に抗議する五条だが、既に手紙が嫌になっていた夏油は筆を置いて声をかけた。
「まあまあ、悟。何について知りたいんだい、硝子」
「安全に童貞捨てたい」
「硝子」
「安全な風俗のお店ってどう探すの? それかナンパ? 安全な女の子ってどう判断するの?」
「硝子」
「やっぱりエロじゃん! あんな、俺ら学生!! そういうの駄目絶対!! 大体、婚前交渉自体がナンセンスだっての!」
「そういう事だよ、硝子」
やれやれ。それにしても、やはり五条は紳士だと、夏油は五条を見直す。
「嘘だ! こんなにえっちな衝動を抱えて何もしないなんてありえない!」
「それは自分で処理すべきものだよ」
「処理の仕方教えろ」
「硝子〜。はぁ。仕方ないな」
「仕方なくない! 傑、流されんな。別に自分で調べりゃいいだろ、俺らだって何も特別な事してねぇよ」
「じゃあエロ本貸して」
「自分で買えよ、マジで」
「魔法関連で使いすぎてお金ない」
「自撮りすればいいんだよ、私そうしたよ」
「ちょっと待て傑。お前、俺の目を盗んで性転換薬飲んだ……?」
わちゃわちゃわちゃ。
夏油の部屋は1人増えて賑やかになり、4月には後輩が2人増えて一層賑やかになった。
だって蛙チョコがぴょこぴょこ飛んでて、変わった本をいっぱい持っていて、時々性別が変わる先輩とか獣人や竜人になる先輩とか面白すぎて入り浸りたい要素が多すぎる。後輩も試験を受けたり泊まりにきたりするようになった。
家入だけ夜は返される悲しみ。でも女の子1人だけだった以前よりかなりマシである。同じ男としてバカができる。任務もかなり楽にこなせるようになって大満足である。
そんなある日のことだった。
「今日の任務は硝子と外部の術師で行ってもらう」
「危なくねーか?」
「心配だね」
心配する2人とは対照的に、家入はやる気満々で頷いた。
「最近はメキメキ腕を上げているし、大丈夫だろうという判断だ」
「任せろ」
「女の状態でいけよー?」
「嫌だよ。弱体化するじゃん」
「じゃあせめて、暴走しないよう抜いてからいけ」
「悟」
「はぁー? なんだよそれ」
「危険な状態から脱すると性欲が高まるんだよ」
「悟。それは流石に硝子をバカにしすぎだ」
「そーだそーだ」
「いいか、硝子。絶対一回抜いてくんだぞ。あと、絶対やるなよ。やればできるんだからな。絶対だからな」
家入はぷりぷりしながら、任務にやってきた。
めちゃかわ美少女が現地で待っていた。
「私、遠野 凛って言います。今日はよろしくお願いしますね」
にこ⭐︎
男の体は正直である。遠野もすぐに変化に気づいた。
「まあ」
「あっ ごめん。男に性転換した副作用で、可愛い女の子見ると無条件にこうなるんだ」
「いえ、大丈夫です。私、可愛いですか?」
「とっても」
そして任務が終わった。
「家入さんは、その、お試しになったことがあるんですか?」
「ない。五条が婚前交渉はダメだし学生だからダメだって」
「お相手は五条様なのですか?」
「全然! 一般論としてだよ、安全な女の子どこで買うのって聞いた時に」
「あら、五条様って潔癖なところがあるのですね」
コロコロと笑う遠野は可愛かった。家入は胸をドキドキさせたり、歌姫のことが思い浮かんだりしてまごまごした。
「家入さん、男の人の体ってどんな感じです? 女の子が可愛く見えちゃう?」
「見えちゃう。性欲って初めてわかった気持ちだよ。凄い衝動」
今も、唇に、チラリと見える胸にドキドキしている。
「家入さん……今日、とっても素敵でしたよ」
「だ、ダメダメ!」
「ダメって、何が?」
「私、女だから責任取れないし! 五条が、婚前交渉はダメだって!」
「家入さん……私、安全で後腐れのない女ですのよ? 何せ、呪力が弱くて養子に出されたくらいの女ですもの」
禪院家の家紋の描かれた扇子を雅に広げ、遠野は言った。
「後っ!?」
「私のこと……可愛いって、嘘ですか?」
男になりごつごつになった手をふっくらとした柔らかな胸に押し当てられ、家入は陥落した。
禪院家にて。
直毘人が自室である薬のはいった小瓶をまじまじと見つめていた。
「ふむ、これが性転換薬か」
「パパ、面白いもん手に入れたんやて?」
禪院 直哉がワクワクした顔をして酒を手土産に部屋に入ってくる。
「ああ、一定時間性転換をする薬らしい。使う度にどのような異性になるかは変わるそうだ。男が女になる際は身体能力の著しい低下、女が男になる際は思考能力のランダム化と御しきれない性衝動を抱えるそうだ。実際、これもそれで籠絡して得たものだ」
「呪霊じゃなかったんやな」
「そうだ。出所はあのお菓子屋だろう。……色々使い道は多そうだな」
「面白そうやしなぁ。ずっとは嫌やけど、ちょっとの時間女になるぐらいなら使ってみたいわ。面白そうや」
「実験段階だそうだがな。本格的に動くのは完成した頃で良かろう。失敗作は失敗作なりに使えそうではあるがな」
こんな会話がいくつかの呪術師の名家で交わされた。そう、いくつかの家で、である。
「しょーうーこー。お前、隠し子何人作ったわけ?」
激おこぷんぷん丸な五条のガチ説教に、家入は土下座した。
なお、責任とって結婚とはならなかった。手を出した数が多すぎたのが理由なので、全く安心要素ではない。
「俺と傑には手を出すなよ! マジで!!」
「私と灰原も手を出してはいけないエリアに入れてください」
「女性の時の硝子さんは尊敬しますが、男性の時の硝子さんは本当に軽蔑します!」
「どうしてこんなことをしちゃったんだい、硝子」
硝子は泣いた。
「男になると……! 女の子が食べていいものと食べてはいけないものにしか見えなくて……!!」
「餌扱い」
「そこまで?」
「全部食っちゃいけないものなんですぅ! 食べたらその時点で人生の墓場! よって全て毒餌!! 食い散らかすなんてもってのほか!」
「男の世界って過酷……!!」
「待って硝子それは違う。いや、さとるの言ってることは違くないかもだけど」
「正直、女の子の友達とかないな、って……同じ生き物じゃないし」
「硝子? それは違うよ?」
「男がそんな考えだとは思わないでください」
「とにかく女の子が食べたかったんだ……!! 男ってずるい、ずるいよ……!」
「はぁ。硝子。よく考えてみなよ。私が女になった時、餌って思ったかい?」
「うん」
「硝子ー!」
「硝子、傑に手を出したら本当ブッコロだからな! 傑流されそうでこえーんだよ!」
「悟!?」
そんなこんなで五条はピリピリし、夏油は悩み、家入はしばらく男の姿禁止で欲望と戦う、そんなカオスな空気の中。
「五条と夏油には、護衛任務に行ってもらう!」
天内 理子の護衛依頼、開始である!
マシュマロ
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