ジョブ[魔王]の単独反乱   作:バターもどき

1 / 6
目指せ最北端

虚構の世界(ゲーム)で北に、

男が北へ音速を超える速度で飛んでいた。

大した理由はない。

プレイヤー同士で協力し、

モンスターを倒し、

北の町へ進んでいくMMORPGにおいて、

誰よりも早く最北端を目指すための合理的な行動なのだ。

たとえそれが…

 

 

 

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?やばい!思ったよりも高い!!!」

 

 

 

 

 

虐殺によって出現するお仕置き用のモンスターに全力でバフをかけ、

フルスイングで吹っ飛ばしてもらうことによるものだったとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事の発端は男の所属するパーティのメンバーが

しばらくゲームをプレイできなくなりそうということだった。

 

「申し訳ない!!来週からしばらく仕事が立て込みそうであまりできそうにない…」

「まじかよリーダー…これから第四の町に向かおうって時にかぁ」

「まぁ仕事ならしゃーない」

「仕事落ち着いたらまたやろうぜ」

 

大学からの友人たちで組んだパーティ。

一か月前に発売され、今なお売れ行きを伸ばしている

この世界(ゲーム)で組んでいる素晴らしい仲間だ。

 

「すまねえ…誰より早く最北端まで行こうぜって約束したのによ…

  もうすぐ初の公式イベントも起こるらしいのに…」

「まぁ言ってたけど仕方ねぇよ仕事だもん」

「しばらくは前衛1後衛2でやってくよ」

「来週からだろ?それまでは一緒に進めようぜ」

 

それから五日間、モンスターを倒し、倒し、倒しまくり、

装備を強化し、スキルを鍛え、時にモンスター虐殺の判定に引っ掛かり

出現したとても強いモンスター、通称お仕置きMobに薙ぎ払われつつも

次の町への道をふさぐボスを討伐し、彼らは第四の町へとたどり着いた。

 

「到!!着!!」

「ボスはそこまで強くなかったな。

 あのムキムキこん棒赤ゴリラに比べれば。」

「お仕置きMobは勝てないからお仕置きMobなんだねぇ」

「真上に飛ばされたとき死ぬ前に宇宙見えた。地球は丸かった。」

「ここは地球じゃねぇだろ…まあすごい高さだったが。

 …とじゃあ今日はここで解散ってことで」

 

「「「Yes,リーダー」」」

 

ほかの三人がログアウトする(落ちる)なか一人、

明日北へぶっ飛ぶことになる男は、

町であるスキルを見つけた。

男に電流迸る!!

これを使えばリーダーとの約束を

明日にでも果たせるかもしれない!!と。

 

 

________

 

 

 

 

 

「…本気(マジ)で言ってる?」

本気(マジ)でいってる。

 これなら約束は反故にならないぜ、リーダー」

「いやまぁうまくいけば約束は守れるけどぉ...」

「死ぬでしょ、普通に、クシャっと」

魔術師のツッチーと狩人のプロトには成功のヴィジョンが見えないようだ。

「昨日までの俺ならそうだが...見よこの神スキル【硬化(ハーディング)】!!」

「なになにぃ、一秒物理的に無敵になれる、代償にその後1秒動けない…

 リキャストも長いしそこまで有用には見えないけどぉ、そっか」

 

そう!俺の作戦はムキムキこん棒赤ゴリラに無敵化した俺を最北端までホームランしてもらう!!

略して!ムキムキ赤ゴリラホームラン作戦!!

 

「いや略せてねーよ。まあ死なないのは分かった。でもさすがに距離が足りないだろ」

「そこで君たちだ。奴の攻撃と速度にバフをかけてほしい。

さらに俺に軽量化のバフとノックバック増加のデバフをつけてくれ。

そして極めつけはこれ!二つ目の町でとれるデカ武器使用者御用達の

スキル【妨気無(ノンエア)】」

 

つまりこういうことだ。ゴリラにバフを、俺にデバフを、

そして【妨気無(ノンエア)】で空気抵抗の無効化。

このほかにもなんか吹っ飛ぶのに貢献しそうなアイテムとかをいろいろ使って

飛距離を伸ばすのだ。一昨日吹っ飛ばされた経験からしてたぶん行けるだろう。

 

「確かに行けそう」

「このゲーム多分見えない壁とかない感じだしねぇ」

「…すまないね、私のわがままにも近い約束のせいで」

「違うねリーダー、これを思いついちまったらたとえ約束なんてなくてもやるさ。

 あわよくば北の大地のモンスターの素材とかも取れるかもだしな」

 

 

よしもう今日やっちまおうムキムキ赤ゴリラ呼びだしてこうぜイエーイ!!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。