ジョブ[魔王]の単独反乱   作:バターもどき

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いざ吹っ飛ばん

「あーっははは!君たち愉快なこと考えるね。

 いいよ私たちのことキルして。代わりに後で動画ちょうだい」

ギラギラとした鎧の兄ちゃん(推定)たちがゲラゲラ笑っている。

 

リーダーの交渉力は偉大だ。

大量にモンスター狩るのはめんどくさいので

赤ゴリラを出すために殺していいですか?なんて言う

失礼極まりない状況で協力者を作り出してしまうのだから。

まあそのせいで仕事が忙しいのだろうが。

 

ともあれ気のいい兄ちゃん’sの協力のもと

赤ゴリラ、兄ちゃん曰く正式名称血魂豪獣(ブラッドソウル)を呼びだす準備は整った。

奴の名前は図書館で見たんだと。

 

「にしてもさぁ、恰好どうにかならなかったの?」

「ならなかったからこうなってるんだろ」

「最高効率のためだ、ゲーマーのサガだ」

今の俺は大きなトサカのついた兜、いたるところにでかい鳥の羽、

どこぞの民族衣装のようカラフルなひらひら、翼の生えた靴。

 

「空気抵抗を減らす兜、体を少し軽くする羽、

 落下速度を下げる靴、加速しやすくなるひらひらだ」

「はっきり言って変態だねぇ」

「変人くらいに抑えてやれよ」

「おーい君たち!お兄さんたち瀕死になってくれたよ!」

 

あーだこーだ言ってるうちにキルしやすいようにしてくれたらしい。

素晴らしい気配りだ。じゃ、殺すね。

お兄さんたちを大剣でチクチクすること計四回。

よそのパーティーを鏖殺したことで赤ゴリラが出現。

さぁこれからが本番だ。

 

出現した赤ゴリラはまず力強い踏切で薙ぎ払い攻撃を行う。

ので!

「こないだみたいにはさせないよぉ」

ツッチー(魔術師)が土魔術で味方の足元を上昇させ全員が薙ぎ払いを飛び越える。

その間俺にノックバック増加のデバフをかけ続けるプロト(狩人)の心遣いしみいるねぇ!

「こっち見やがれ!」

南側に飛んだリーダー(大楯使い)のヘイトスキルが奴の視界を奪う。

大楯使いとはいえおそらくリーダーが耐えられるのは約三秒!

その間に赤ゴリラの東側に回り込み【硬化(ハーディング)】、【妨気無(ノンエア)

を発動させる。その直後、リーダーが死んだ。その瞬間次の獲物(ターゲット)は俺になる。

「バフ完了!」「デバフ完了!」

しっかりと赤ゴリラにバフを、俺にデバフをかけ切っている二人に心の中で敬礼!

振り向きざまのスイングは位置的に俺を北の空へと飛ばすはず!

 

さぁこい!!

 

 

 

 

 

 

 

体に衝撃、されどダメージも音もない。

それすなわち、二つのスキルがうまく発動し、

打撃によるダメージは無く、空気抵抗もなく、

そして...

音速を超えているということである。

 

 

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?やばい!思ったよりも高い!!!」

 

 

こうして男は音速で北に吹っ飛んだ。

 

 

___

 

ボスを倒さずにエリアを通過せんとすプレイヤーは

通常何らかに阻まれ無為に命を落とす。

だが、本来男の命を刈り取るはずの魚のモンスターの水鉄砲も、

ワイバーンの噛みつきも、燃えている巨大亀の噴火も、

大空の覇者の雷の発生すらも置き去りにし、男はエリアを無視し北へ

放物線を描き飛んでいく。

 

 

 

 

「やっほーーーーーーーーーーーーー!!!」

最初は速さにビビったが落ち着いてみればいい景色だ。

この世界の全貌が見渡せる素晴らしい絶景である。

俺が目指す最北端は…なんかギラギラしてる…まぶしい…

 

 

「条件を達成しました!称号[最速の旅人]を獲得しました!」

「条件を達成しました!称号[魔王の器]を獲得しました!」

「は?称号?」

 

空を音速でぶっ飛んでいる俺の耳にシステム的な音声が突如鳴り響く。

まだ高度は上がり続けている。地面につくまでまだしばらくかかるだろう。

なのでその間に得た称号について確認する。

 

 

称号[最速の旅人] 誰よりも速く移動した証

          

称号[魔王の器]  魔王に器として認められた証

          禁忌を犯す心を持ち、魔王の眷属から逃げ切る強さを持つ者を

          魔王は求めている。

 

…よくわからん。

一個目は分かる、今まさに最速で移動している最中だ。

二つ目はなんだ?禁忌ってPK(プレイヤーキル)のことか?

魔王の眷属って赤ゴリラのことか?そもそもこのゲーム魔王なんていたのか?

 

 

おっと高度が下がり始めた。思ったよりも高く飛んだせいで

妨気無(ノンエア)】が切れそうだったがギリギリ持ちそうだ。

あまりにもぶっ飛んだおかげで硬化(ハーディング)のリキャストも終わりそうだ。

あとは着地ぎりぎりに再び硬化(ハーディング)を使うだけ!

高度が減少を続ける中ついにギラギラしたエリアの上にまで到着!!

ひゃっほう最北端マップだ!!約束は果たしたぜリーダー!!!

タイミングはもうすぐ!!

3!

2!

あれ城?

 

 

ドゴォォォォォォォ!!!グチョッ!!パリン!!!

 

すさまじい轟音と共にダイナミックマッハ入城!

城壁を貫通し、なんか強そうなドラゴンの首を吹っ飛ばし、

やばそうな結晶をぶち壊した気がするがとにかく俺は生き延びた!!

人類初!!最北端到達だぜ!!!

 

 

 

 

 

 

「イイ…トテモイイ…ワガ封印ヲ解クダケデナク器マデ用意スルトハ…」

 

なんか声するぅぅしかも動けねぇぇ…

明らかになんかのイベントを音速で不法にぶち抜いた気がするが、

始まったイベントは止まらない。

 

「オマエヲ使イ、吾輩ハ再ビ降臨スル!!」

 

吾輩とか言ってるし魔王だろこいつ…

で、器とかいう奴はさっき空で見た称号か?

てかなんか黒い靄みたいなのが…おごごごご

 

「レベルが上がりました Lv35→Lv46」

職業(ジョブ)[魔王]を獲得しました」

 

 

…よかった乗っ取られてない体動く!!

 まあそうかゲームだし。

 

 

 

 

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