新年の挨拶が遅れてしまい、すみません。
始まったばかりですが、今年も下手なりに
精進して投稿していくつもりなので、
宜しくお願いしますm(_ _)m
「”加速させる程度の能力”…ねぇ」
彼女から自分の能力を伝えられた俺は、なんとも言えない気持ちだった。なにせ加速だ。足が速くなるぐらいしか、思いつかない。
「加速させる。といっても使い方は様々ですよ。足が速くなるだけでなく、回復速度を加速し傷を癒したり、殴りや蹴りのスピードを上げ威力を上げたり。苗木を一気に大木にすることだって可能です。」
俺が気に入ってないのを気が付いたのか、心を読んだのかは知らないが、彼女は俺の能力について詳しく説明してくれた。
彼女の話はただただ圧巻である。先程、俺が混乱していて知りたいことをほぼ教えてくれた時もその話には説得力というものがあった。
やはり、様々な人々の経験を見てきたことと、俺の経験を見てどのように話をしたら説得力が上がるか。
この二つを押さえてるからなのだろう。彼女の歳はきっとまだ若いが、物知りな老婆のような知識を彼女は持っているのだろう。
そんなことを考えていると一つの疑問が出てきた。彼女は俺の能力で苗木を一気に大木にすることが出来る、といっていた。ということは…
「俺の能力で人の時を加速させ、老いによって殺すことは可能なのか?」
「可能です」
…………その後、とても短い沈黙が訪れた。が、俺にとってはとても長く思えた。俺が見るには彼女の顔は少しだけ暗く見えた。聞いていいか踏みとどめばよかった。やはりこの辺の質問はタブーなのだろう。
「すまん。変なこt…「といっても、貴方には一生使えることはないでしょうけどね」
謝ろうとしたその時、彼女が言葉を被せてきた。
「使えることはない?俺の能力なんだろ?」
「能力といっても自分の好き勝手に使うことは出来ません。”力”が必要になるのです」
「”力”…?」
「そうですね…貴方の世界にある、ゲームのMPのようなものです。人間なら霊力、妖怪なら妖力、神なら神力と、これらを使って様々なことが出来ます。この力を使って出来ることが、能力の発動。と、考えた方が貴方にとっては分かりやすいと思います」
「つーことは、俺には霊力が相当不足している。ってことか」
「いや………………………はい。そういうことです」
何か引っかかった。彼女がすぐにしっかりとした返答をしなかったのは、話をしていて初めてだった。霊力が不足しているのは確かだろうが、他に何かあるのだろう。
「………そろそろ、私の事やこの里のことについて話しましょう。とりあえずここを出ましょう。里を紹介するなら出た方が効率的なので」
話をずらしてきた。何か隠したいことなのだろうか?しかし、ここは俺の常識が全く通用しない幻想郷だ。深読みをしても、今の俺の知識ではこの答えには辿りつけないだろう。
ここは、彼女の言うとおりこの里について知れることを出来る限り、知っておこう。
「分かった。案内頼む」
そういって、俺は彼女の家を出た。
「調ちゃんおはよう」
「おはようございます」
「あっ、調おねーちゃん、おはよー」
「おはよう」
家から出て1分ほど歩くと、洞窟についた。そしてその中には家が何軒も建っていて、”里”というほど大きくないが、一つの集落をなしていた。
その集落の鬼にあった途端、挨拶がいろんな所からかかり、調は一人一人丁寧に返事を返していた。
調もそうだったが、俺の思っている鬼とは、少し勝手が違うらしい。鬼といっても容姿は人に角が生えているだけだ。性格も非常に優しく、飛びかかって喰われる心配もなさそうだ。
「ん?なんだい?その人間は。今夜は宴でもするのかい?」
……ただ、気を抜いたら食べられるのは確かだ。
「食べては駄目ですよ。貴重な来客者です」
調がいて本当に良かったと思う。もし、調が居なかったら今頃何かしらの腹の中にはいっていたことだろう。
そういえば、家が少ない気がする。
里と言っていたのでもう少し大きいのかと思った。
「しかし、案外鬼が少ないんだな。建物も少ないし、あんたみたいに里の外で住んでいる奴がいるのか?」
「いいえ。私以外に里の外で暮らしている鬼はいませんよ。この里はとても小さいのです。住んでいる鬼も34体まで減ってしまいました」
「34⁉︎それってかなり少ないな。子供も入れてそれなんだろ?何かあったのか?」
「突飛なことは何もありませんでした。ただ、鬼が減る理由はあります。その原因がこの先にあります」
俺たちは里から少し離れ、洞窟の奥の方まで来ていた。そして、そこには藁で出来た縄が立ち入り禁止というばかりに、岩にくくりつけられ、ゴールテープのようにピンとはられていた。
「この奥に、はいっても大丈夫なんだよな?」
「ええ、大丈夫です」
そういうと、調は縄の下をくぐり抜け、その先に行ってしまった。その後を俺は渋々ついていった。
「これが、里から鬼が出て行く理由です」
あの縄から10分ほど歩いただろか。調は歩みを止め、指を指した。その先にあったのは、祠だった。
「なんで、こんなとこに祠が…」
「この祠にはまだ、神が宿っています。正直に言ってしまうと、すぐに何処か行って、この祠に居ることはほぼ無いんですけどね……」
そう言うと、調は語り始めた。
「そうですね、簡単に言ってしまえば私はこの祠の神主をやっています」
「神主?巫女じゃないのか?」
「まぁ、巫女でもいいですよ。そこんとこは、うちの神様適当なので。なぜ、私が神主…巫女をやっているか。というのは………………」
その後彼女の話は長時間に渡った。
彼女の話をまとめると、
彼女が里の長をやっていた時、祟り神が里にやって来て祟ろうとし、阻止しようとした結果その祟り神と戦闘になったらしい。
結果はぎりぎりの所で調が負けてしまったのだけれど、祟り神は調を気に入り、そのまま調を神主にして祠を建てたということらしい。
しかし、その祟り神は彼女の血を毎日請求するらしく、鬼である調も流石に貧血や過労で倒れることが多くなった。
それなのに全く仕事をしないどころか、祠にほとんど居ない祟り神に里の数人が怒って、反逆したんだそうだ。そしたら、その祟り神がその数人を里から追い出してしまった。そこからどんどん里の鬼達が里から出て行き、数が減ってしまった。
これが小さくなった里の全貌らしい。
それは十分に理解した。しかし、全く分からないことが一つあった。
”何故彼女は部外者の俺にこんなことを教えたのだろう”と
なんだか嫌な感じがする…………。
「さて、天さん。此処からが本題です」
「…聞かずにこのまま逃げるっていう選択肢は…」
「別にいいですけど、その場合貴方を食べてしまうかもしれません」
「…………………ナンデショウシラベサン?」
「貴方、神主になってみない?」
「……………拒否権は?」
「食べられたいのなら」
「喜んでなります(涙目)」
こうして、俺の神主生活が始まった。
といっても祠の掃除だけで、他の仕事は神様が来ている時のものだけでいいらしい。
正直、祠を掃除するだけで住居や、身の確保が取れていたりと、マイナスよりプラスになることが多い気がする。
一番のマイナスを挙げるとするなら………
「天ぁーそろそろ始めますよー」
「分かりました。”師匠”」
弟子入りした調師匠の修行が辛いことぐらいだろうか。