はい。またしても遅れてしまいました。
不定期更新のタグを外したいとか言った後にこれです。
本当すみません。
というわけで不定期更新は保険のタグを外しました。
毎度毎度酷い文ですが、楽しんでもらえれば幸いです。
目の前には死体の数々。その上には血塗れた剣を握る金髪の少女がこちらを向きながら笑みを浮かべている。
前に適応力が高いという話をしたがここまでイレギュラーな状況を目の前にして冷静でいろ。というのも無理な話だ。
正直なところ恐怖で全く体が言うことをきかない。かろうじて口が動くくらいだ。
「いや、人間ってわけじゃないわね。半妖ってとこかしら」
「はん…よう…?」
先程祟り神から聞いた言葉を俺は口に出した。体は少しばかりだか動くようになり、やっと状況を理解できた。
何故だがはわからないが、冷静でいられた。怒りの感情はなかった。とりあえずこいつとは出来る限り戦ってはいけない。そう本能が言っていた。
「ど、どういうことだ…?俺の血は100%人間のはずだぞ…」
「そうねぇ…貴方心当たりはない?例えば霊力よりも妖力の方が扱いやすい。とかね」
「…っ、確かにそうだが…師匠は妖力も使える人間もいるんだと言っていた。そういうものじゃないのか?」
「貴方……………それ、嘘よ」
え?
「貴方の師匠がどんな人かは知らないけど貴方が半妖ってことを隠してるみたいね。何か都合の悪いことがあるんじゃない?」
都合の…悪いこと?俺が知ると?
分からなかった。何故自分が半妖と知って師匠に困ることがあるのか。何故あいつの言葉に惑わされているのか。何故あいつの言ったことの真相を知りたくて知りたくて仕方ないのか。
「それより、貴方とことん面白いわね。どう?私のところに来ない?今の貴方の師匠さんよりも早く強くなれるわよ?」
「残念だがその誘いには乗れない。里の皆を殺した奴に心を許すことはできないし、俺の師匠は調師匠だけだ」
「そう…残念ねぇ………じゃあ
死になさい。」
そう一言言うと、10m以上離れていた金髪の少女は一瞬にして俺の目前に現れ、剣を振り下ろした。
「っと、危ない危ない。そんないきなりは勘弁だって」
5年間の成果だろうか。反射神経やら運動神経は相当上がっているようだ。ギリギリではあったが少女の攻撃を避けることが出来た。
「出来れば…さっきの話の続きが聞きたいんだが」
正直俺はこいつと戦って勝てるとは思っていない。だから、俺は時間稼ぎをすることに決めていた。なんとか時間を稼げれば師匠が来てくれる。そう信じていたからだ。
確かに俺の能力なら、時間稼ぎには最適だが、俺の今の力では長続きはしない。それならなんとも頼りないトークスキルでお茶を濁した方が良い。そう判断したのだ。
「興が冷めたわ。それに貴方の時間稼ぎにつきあっているほど暇じゃないの」
ばれていました。
「そうか、ばれてたのか…それじゃあ、戦って時間稼ぎするしかないかな」
言葉で稼げた時間は充分だった。後は能力でなんとかなる。
そう思って俺は能力を発動し、少女の周りを走り回った。
これなら霊力が切れる前に師匠が来てくれるはずだ。
そう思った瞬間、
腹に激痛が走り、身体は飛ばされていた。
「遅い」
「……っは、お前…剣の腹で俺を打った…のか…?」
「情けをかけたわけじゃない。一発で終わらしてもつまらないと思っただけ」
なんで…俺の速さに対応出来たんだ…?俺はこの少女を甘く見過ぎていたのかもしれない。時間稼ぎ?そんなこと出来るわけがない。もしかしたら逃げることさえ不可能かもしれない。
「けど、もう楽しませてくれそうにないね。次で終わらせようか」
身体は全く動きそうにない。何故か俺は絶望というよりも清々しい気持ちでいられた。これで死ぬのか…。ちょっと心残りはあるし修行と師匠の手伝いの日々だったけど、楽しい5年間だったな。
「じゃあね、半妖君」
そういって彼女が剣を振りおろし、俺は目をつむった。
そして剣が俺の身体を真っ二つに……
はしなかった。
「すみません、遅くなってしまいました。天、助けに来ましたよ」
その代わりに俺の目に入ったのは師匠が少女の剣を受けている場面だった。
「師匠‼︎」
「大丈夫ですか?動けますか?」
「なんとか、動けるようにはなったかな…」
「そうですか。間に合ってよかったです…………貴女が里の皆を殺した、で間違いないですよね」
師匠はそう俺に声をかけると、少女の方を向いた。その目は見たこともないような殺気をはなっていて、俺は思わず身震いしてしまった。
「そうよ、あなたが半妖君のお師匠さんね」
「そうです…………半妖についての話はしてしまったようですね」
「あぁ、鬼は嘘が嫌いとはきいていたのだけれど、それも嘘なのかしら」
鬼が嘘が嫌いというのは事実だ。実際に嘘をついて、めちゃくちゃ怒られたことが何度かあり、その度に死にかけた記憶がある。
「貴方が知らないだけで、そういう人間も存在するのですよ」
「そう…それは会ってみたいわ。そんなことより無駄話もそろそろ終わりにして始めましょう」
「殺し合い…ですか」
「いいえ、貴女は”殺されるだけでいいの”」
少女のその一言から師匠と少女の殺し合いが始まった。速すぎて何が何だか分からないのだが、師匠が劣勢ということは、分かった。
自分は何をすればいいのだろう…
師匠の手助けをしようとしても、足を引っ張るのは目に見えているし、
このまま見ているだけも歯がゆくていやだ。
「天‼︎」
「は、はい‼︎」
悩んでいると師匠から声がかかった。
「祠に行って、ひ…祟り神を連れて来てください」
「あの祟り神を?」
「そうです。この妖怪相手では私ではもって5分でしょう、大きな鬼の里に助けを求める文は送りました。彼女の力があれば、なんとか里からの増援まで持ち堪えることができます。」
彼女の目は本気だった。この言葉には偽りはないだろう。俺はそう確信した。
「分かりました。行ってきます」
「頼みましたよ」
相手の妖怪にあの師匠が5分しか持たないのに驚ていた。
師匠はあぁ見えてもかなり強い。相手の経験を見ることにより相手の戦い方が直ぐに分かり、それを的確に対処出来るからだ。俺は師匠が負けた所を見たことがない。
今から呼びに行く祟り神はその師匠を負かしたという。上手く味方につければ相当な戦力になってくれることだろう。後は俺のトークスキル次第ということだ。
…自信はなかったりする。
「おーい、祟り神ー」
そういや祟り神の名前を聞いて居なかった。”祟り神”。語呂が悪くて呼びずらいことこの上ない。出てきたら名を教えてもらおう。
その肝心の祟り神さんが出てこない…この数分で何処かに行ってしまったのだろうか。師匠がピンチだというのに…このままでは、五分経ってしまう。とはいえ、俺がこのまま行っても、足を引っ張るだけだろう。
そのとき俺の目に止まったのは祠に備えられた、師匠の血だった。
”体への侵食力が強く、飲んだやつの殆どは体が壊れてしまうね”
”人間の君では体が持たないだろうけどね”
”人間ってわけじゃないわね。半妖ってとこかしら”
”乗り越えたものだけに、鬼の力が与えられる”
この数時間のうちの言葉が一気に流れ込むように、頭の中で繰り返された。そのうちに俺は
…血の入った瓶を手にとっていた。