私は火影である。
今しがた目を覚ましたばかりで、里の状況がうまく把握できていない。
やはり年寄りに無茶をさせるものではない、とついぼやいてしまう。
何やら外で大規模なイベントでもあったのか、やけに建物内の気配が少ないのが気になるが、ひとまずは現状把握を優先するとしよう。
「起きたか、火影殿。」
枕元に立っていた男にからかい交じりに声をかけられる。
「冗談じゃない、同格の伝説の三忍にそういわれると鳥肌が立つ。やめてくれ。」
ついついそう返してから、気が付く。
「生きていたのか、てっきり死んだと思っていたが。」
男は歯切れ悪く答える。
「あー、まあ。何とかな。お嬢ちゃんのおかげじゃ、一応な。」
「ひとまず、是非はおいておくことにしよう。今の状況は?」
「今、カカシの就任式をやっておる」
私は目が点になった。
だが、そのあと納得した。
確かに里の火影が不在、もしくは昏睡のままではいられないからだ。
そこでふと思う。
「火影ならお前がやればよかったじゃないか、伝説の三忍殿?」
男は急にしかめっ面になった。
「いやじゃ。ただでさえ責任の重い立場にはなりとうないと言うのに。ましてや今の里はみんなワシの顔を見た瞬間顔を背けて笑うのじゃぞ?顔中に緑の饅頭の跡が付いてる状態で火影なんてやってられんわい。」
確かによく見るとうっすらと痕が残ってる。
つい私も笑いそうになってしまったが、火影の意地でこらえた。
ひとまずもっとも重要なことを聞くことにする
「あの後どうなった。」
「ペインの輩はナルトが和解した。あと、ダンゾウが五影会談に勇んで出て行ったが、帰ってこずじまい。
アゲハの嬢ちゃんが意気揚々と、行ってくる、と出かけてった以上は碌なことにならなかったんじゃろうな。」
それを聞いて、私はついこらえきれずに大笑いしてしまった。
私だけが知っているアゲハの能力の全容を考えると、まず間違いなく物理攻撃も精神干渉もできないし、アゲハが見られたい、触られたいと思う相手にしか見つけることができないからだ。
まず間違いなく、ダンゾウはその中に入っていない。
ひとまず、即座の問題はないことはこれで把握できた。
後は私が元気に復活するだけということも。
「これから、里の復興やら何やらで忙しくなるな。」
「まあ、ワシは若い衆に任せればいいと思うがのお。」
とりあえず、隣で覇気のないことをつぶやいている男を引っ張って部屋を出ることにした。
私は日向の長である。
うちはが壊滅して以来、やる仕事が多くてかなわなかったが、ようやっと一息付けそうなときに、ペインとやらはやらかしてくれたものだ。
こうして執務室に座って作業している時間の方が、修行している時間より多いせいで腕がなまってないか心配になる。
ましてや暁との戦争が控える中で、こうも書類仕事ばかりやってられん。
まず間違いなくわしは前線に呼ばれるというのに。
そのまま書類仕事を続けていると、ヒザシが執務室に入ってきた。
「兄上、物資の移動は順調です。予定通り司令部の設置も進んでいます。」
「よし、そのまま続けてくれ。ところでその報告のためだけに来たのではなかろう。何があった。」
ひとまず気になったことを聞いてみる。
「はい、兄上。うちはの恩人が大戦前に一度話しておきたいとアポイントを取ってきてます。」
「わかった。すぐ呼べ。」
あの年を取らない小娘には借りがある。
だいぶ昔とはいえ、ヒナタを助けてくれたことには感謝しておるのだ。
最も、翌朝見つかった雲隠れの里の忍びの惨状へは一言申させて貰ったが。
せめて、尊厳だけは守ってあげて欲しかった。
と、ここまで思考を回したところで、執務室の扉が再度開いた。
「お久しぶり、日向のおじいちゃん。」
「ああ、お前は変わらんな。ところで今日は何用で来た。」
「ああ、そのことなんだけど、ちょっと神隠使って暁を探ってきててね。
幾つかまずい情報があったから、こっそり伝えに来たんだ。」
わしはアゲハの神隠に関する情報を思い出す。
確か、ヒルゼンと会談中にいきなり月読に引きずり込まれて、黒板のある教室で幼年学校の生徒のごとく教えられたんだったかな…
制約はいくつかあって、能力の効果範囲は自分と装備品程度まで、相手に効果を使うことができない。
自分の体自体を幻術に置換するため、置換完了時点からは老化や成長をしなくなる。
幻術の体だから、自分の主導権で相手に見せる見せないなどを選ぶことができる。
また、幻術の体だから時間や空間のルールに縛られず、重なったり早送り移動したりができる。
ただし、幻術の体だから強度はなく、当たる状態で攻撃を受けた場合にチャクラを大きく削られることになる。
チャクラを消耗しきった時点で神隠は自動解除され、再発動までに数年の発動期間を要する。
だったはずだ。
「無茶しおって…。だがありがたい。話してくれ。」
「わかった。まずは…
その日のわしの夜は長かった。