今度大きな戦があるらしい。
私たち札職人には、上から物資の補給の要請が来るだけでありがたい話だ。
いつもは爆裂札を用意して納品するだけなんだが、今回の注文は一味違った。
「封印札をとにかく作れだって⁉そんな需要の全然ない物作ってどうするんだい。」
どうやら今回の戦う相手は死なない兵士らしい。その対処に封印札が必要なんだと。
全く、普段はそんなものあまり在庫にしないから、今から必死こいて作らなきゃならん。
在庫品だったら倉庫にあるものを持って行ったらそれで済むのに。
材料だって紙漉きや墨の準備、書く人手の手配だってある。
今からやったってそんなに多くは作れないが、それでもいいのかね。
それにいったい、そんな大量の封印札をどうやって運ぶ気なんだろうね。
そんだけを個人個人に配るのも大変だろうに…
そう思って封印札を量産していると。
「失礼しまーす。日向の長からの追加注文書と、商品受け取りに来ました!」
振り向くと最近、よく顔を見せる子供が。
ふとした時に消えちゃうけれど、お代はきちんと払うし、いい子だ。
まあ、どこに住んでるかは分からないけれどね。
それに最近はよく、ラーメンを食べてたり、里に山菜を卸してくれたり、逆にお肉を買っていったりと主婦の間でもそこそこ見かける。
「じゃあいつも通り、倉庫のいつもの場所に山積みにしてあるから持って行ってよ。」
「ありがとーう、おばちゃん。」
…まあ、おばちゃん扱いは刺さったが悪い子じゃないはずだ、多分、きっと。
私は火影である。
少し、気が遠くなっていた。
うちはマダラは強敵だった。
これが千手の戦った本物のうちはか、と思ったがいつも見ているアゲハの方が特異性で多分上回る。
最も、あの子の攻撃じゃあ通らないし、マダラからの攻撃も通らないから千日手だろうけど。
ふと、薄くなりかけた意識を必死につないで耳を澄ませる。
するとしゃくりあげるような、堪えるような、子供の泣き声が聞こえる。
また少し、体が回復したらしい。
白豪の術でもここまで体がバラバラになってしまえばそう時間かからずに死んでしまうと思うが、誰かが私を拾い集めているようだ。
何とか回復したわずかな意識で見れば、アゲハだった。
いつものんびりとしていたり、おっちょこちょいだったりしているが、泣いているのは初めて見た。
新鮮な気持ちになりつつ、声をかける。
「泣くな、アゲハ…。」
「綱手さん、いなくなっちゃヤダ。」
アゲハから初めて聞く声が聞こえた。
たまらず、にやりと笑ってしまったが、ここではアゲハだからこそできることもある。
「アゲハ、その辺に他の奴らも落ちているから、こっちに拾って持ってきて。」
アゲハはうなずくのも惜しいとばかりに走り出した。
私はこんな状態でも医療忍者だ、他の奴らを治療する義務がある。
そしてもし治療するなら、患者が近くにいてくれた方がありがたい。
わずか戻った意識で、自分の足が近くに持ってこられて、くっつき始めるのを感じる。
だが、やはり治るのが間に合うかは微妙なラインだった。
私もここまでか、と思ってほかの奴らの治療を続けていると。
「あなたも災難ね。綱手。」
蛇顔のいやな奴の声がした。
どうやら、私にはまだツキがあるらしい。