司令部が狙われているようだ。
今からだと逃げる暇もない。
隣の奴と笑い合う。
俺たちは十分やれただろうか。
いつもは賢しらな息子とは通信で十分話せた。
思い残すことはないが、一つ考えたのは息子を私は十分にほめてあげれただろうか、ということだった。
もう、十尾の尾獣玉が着弾する。
俺たちはここで終わりだ。
「…あばよ。」
そういった瞬間、世界が暗闇に包まれた。
光ではなく。
わずかに声が聞こえた気がする。
「…ぽち、やっちゃって。」
にゃー
そして私の意識は途絶えた。
十尾の尾獣玉が司令部に着弾した跡。
すり鉢状にえぐれた地形の上。
口を閉じることで実体を無くし、攻撃を透かせた三毛のカエルが鎮座していることに気が付く人は誰もいなかった。
まるでチェシャ猫みたいに。
第4次忍界大戦が終わった。
私はやれることをやれただろうかと、墓の前で座って考える。
***のおかげで私は自分の父親のことも、母親のことも、自分の秘密についても知っている。
だから私が全力で修業したとしても使えるのは幻術だけ。
医療忍者みたいに誰かを癒すことも、普通の忍者みたいに守ることもできない。
それに神隠があるから、体術で戦うこともできない。
「…おじいちゃん。」
そもそも私は忍者じゃないし、アカデミーすら中退。
忍者に当てはめるなら落ちこぼれですらない、それ未満の状態だ。
だから落ちこぼれることができたナルトや、そのまま通えたサスケがうらやましかった。
みんなの持ってるクナイや額当てがうらやましかった。
だって私は、草で編んだ背負い籠は持っていても、他には道具の一つも持ってないから。
そんな、ただの山菜取りで生計を立てていた私がこの大戦で、何かできたのだろうかと考える。
考える。
考える。
と、そこに綱手さんがやってきた。
「何辛気臭い顔してるのさ。生き残ったんだ、いい顔をしなよ。」
「綱手さん…。」
「お前はよくやったよ。だから私が生きているし、シカクたちも生きている。」
綱手が隣に座った。
「ここだけの話、火影を他に譲ろうかと考えてるんだ。また、博打を打ちたいからね。
それにいつまでも年寄りが上にいるってのもよくはない。
次はカカシが火影になるだろうから、それを見たらまたぶらぶらしようかね。」
綱手がアゲハの方を見る。
「お前さんも、自分が幻術の体で汚れないからって、いつまでも迷家暮らしじゃきついだろ。
里の端に小さな家を用意した。今回のお前さんの功績だな。」
信じられない思いで顔を上げてしまう。
なぜならこれまで、自分の家なんて持ったことが無かったからだ。
…うちは壊滅以来、うちはが木の葉の里に家を持てるなんて思ってもいなかったからだ。
「なんで…。」
「これが正当な功績というものさ、受け取りな。」
にやりと笑った綱手さんに、そのまま抱き着いてしまう。
どうしても視界が滲むのが抑えられなかった。