今日、俺は火影になる。
つまり、長年の夢がかなったということだ。
先代火影の先生からは、まあ気楽にやればいい、と聞いてる。
ただ一つ、不思議なことを聞いている。
確か、夜になると透明人間がいきなりやってくるから気にしておけ、だったかな
こういう忠告は普通気をつけろ、になると思うけど。
と、気になっていると、いつの間にか会議用の丸椅子に子供が座ってくるくる回っていた。
目の前の机には何故か小型コンロと鍋が置かれている。
鍋はボタン鍋か、うまそうだ。
ってこんなこと言っている場合じゃなかった。
「君は一体誰で、こんなところに何の用じゃん。」
ハムスターみたいな顔を見つつ聞いてみる。
口大きいな。
その顔のまま、子供は手紙を差し出してくる。
中身を読んでみると。
この者の立場をはたけカカシの名で保証する。
って手紙だった。
ご丁寧に判子まで押してある、それも正式な奴をだ。
気になってよく顔を見てみると。
「あれ、時々ヒナタとお料理教室に参加している子じゃんってばよ。なんでこんなところに?」
まだもぐもぐしている。
暫くして飲み込んでからぽつりと言った。
「…様式美?」
ずっこけた。
ふと、気になって尋ねてみた。
「なあ、他の火影の手紙もあるのか?」
すると少したってから答えてくれた。
「…これ。」
いきなり手元に出てきた手紙を見ると。
同じ文章で、おじいちゃん、ばあちゃん、先生のものがあった。
どれも大切にされていることが分かるものだった。
「…宝物。」
俺は懐かしい物を見れたことに満足して言った。
「大切なものならしまっときなってばよ。いつなくなるか分からないからな。」
俺の笑顔に対して、小さくうなずく。
「うん、ボタン鍋食べる?」
「少しだけ、頂くってばよ。」
鍋はおいしかった。
今日は近所の人とピクニックに行く日。
何故か私だけ、アゲハおばさんって呼んでも怒られない。
だいたいそうだから、って言うけれど、お父さんと何か関係あるのかな、不思議だ。
まあ、アゲハおばさんは小さいから、おばさんっていうより年下のお姉さんって感じだけど。
朝、出かけるときに何故かお母さんが弁当を作って押し付けてきた。
アゲハおばさんが、私がお弁当作ってあげる!って全力で主張していたのをこぶし一つで大人しくさせて、弁当は私に任せなさい、って言っていた。
お母さん忙しいのに、何か珍しい。
ちょっと離れたところにある、湖の近く。
見晴らしのいい屋根の下までやってきた。
ちょっと湿った木の匂いが椅子からする。
「お弁当ここで食べようか。」
アゲハおばさんが宣言した。
お弁当はソーセージやだし巻き卵、唐揚げの入ったお弁当。
中身は普通だけど、何か気合が入っている気がする。
お母さん、珍しい。
じっとお弁当ばかり見つめているのも退屈だから、池に咲いてた花について聞いてみることにした。
「あの花ってなんの花?」
水面にピンクのような、白いような花が咲いていた。
きれいな色の蝶が止まっていて、絵になる。
「あれは蓮の花だね。根っこおいしいよ。」
なんか変な言葉が飛び出してきた。
眼を丸くしつつ聞き直してみる。
「そうじゃなくて、花について教えてよ。」
アゲハおばさんは苦笑しつつ答えてくれる。
「蓮はね、泥中花とも言って、泥の中から咲く花なんだ。実は私のお気に入り。」
続けて花を見て説明してくれる。
「ここからだと、朝が一番きれいかな。透明な露を花びらに乗せて、じっとしているんだよ。」
イメージしてみる。
確かに絵になる。
「ふーん、そうなんだ。」
私は突き放したように言いつつ、花に少し興味が出てきた。
「じゃあ、あっちの花は?」
「あっちの花はね…
ぽつぽつと、話は続く。
日に照らされながら飛んで行った蝶は白く光って見えて、太陽に消えてった。