アゲハの蝶道   作:すれいめあ

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2話:木の葉の里にて

最近困ったことがあるってばよ。

 

波の国から帰ってから、身近でおかしなことばかり起こる。

 

食べようとしたラーメンがいつの間にかなくなっていたり、机の下に誰かいる気配がしたり。

おかしいのはそんなことが起こりえるのは忍術か幻術のはずなのに、チャクラの気配すらないことだ。

 

他にも下忍仲間の間で、夜に広場で毬遊びの音が聞こえるのに近づくと誰もいないとか、半透明の人影を見たとか。

リーなんてこないだ錘がなくなったなんて騒いでいたし、カカシ先生も最近眠れていないみたいだってばよ。

 

サスケなんかいきなり顔に肉の落書きをしてきたし、絶対これは何かあるってばよ。

 

というわけで調べに来たけど、本当に毬の音が広場で聞こえるじゃん。

 

こっそり近づいて正体見てやるってばよ!

 

普通に近づいて行って、驚かそうとしに来ている相手を驚かすのも楽しいが、悪戯小僧の端くれとして、逆にこっちから驚かせてやりたかった。

 

と思って普通に考えたら気が付かれないだろう、と屋根伝いに見に行ったら。

 

そこでは毬がひとりでに跳ねて壁に当たって跳ね返ってを繰り返してる。

まるで透明な誰かが遊んでいるみたいに。

 

あまりの驚きに心臓が止まるかと思ったじゃん。

 

声も出せずにじっと見ていたらいきなり声をかけられた。

 

「ちょっとナルト、そんなところで何してんの。」

 

とてもびっくりしてナルトは屋根から落ちた。

自分ではヤバ、って思っているのに動けない。

地面にぶつかるって思った瞬間。

 

「全く、やんちゃな人だね。見ていて面白いよ。」

 

と、女の子の声だけ聞こえて、何かにふわりと受け止められた。

背中に誰かの手が当たった感触がある。とても小さな、子供の手だ。

 

そのままくるりと当たった感触を支点にして着地を行う。

 

着地してから慌てて周りを見ても誰もいない。

 

「なあサクラ、今だれか見なかった?」

 

「何よいきなり。あなたがいきなり慌てて屋根から落ちたんじゃない。毬の音もしてたし、ひとりで遊びたかったとか?任務も受けてるのに子供っぽーい。」

 

「ああ!俺は火影になるんだってばよ。子供っぽいなんて言うな!」

 

売り言葉、買い言葉。

 

喧嘩はサスケが起きてきてうるさいと叫ぶまで続いた。

 

翌朝、カカシに三人そろって怒られたようだ。

「夜はきちんと静に寝なさい、大きくなれなくなっちゃうよ」

 

本当にいたんだってばよ、と何度言っても誰にも信じてもらえずに、みんなハイハイと聞き流すので、チキショー、と言ってとりあえずあきらめた。

 

 

 

 

 

最近、あやつが帰ってきた。

 

同じ情報を知るヒアシと話をしたが、間違いないらしい。

ワシと同じように、夜にいきなり寝室にいてびっくりしたそうだ。

 

ワシも半透明の人影が布団の上に座っていてびっくりしたわい。

 

「アゲハ、おぬし帰っておったのか。」

「うん。カカシって人にこっそりついて言って帰ってきたんだ。

彼、強いね。うちはじゃないのに結構写輪眼使いこなしてるし。

万華鏡写輪眼まで行ってないところがちょっと残念かな。」

 

ワシとこの子の最初の出会いは、うちは壊滅の時じゃった。

いきなり夜にやってきたかと思えば、しばらく里を出て旅するとか言い出しおる。

理由を聞くと一人ぼっちになったからというので、飽きたら帰ってくるようにだけ言って、旅に出したんじゃったな。

翌朝、うちはが壊滅したと聞いてびっくりしたわい。

 

それにいきなり、ヒアシの輩との夜の対談中に、であったから、非常にびっくりとして腰が抜けるかと思うたわ。

何せゆっくりと話す時間がないとかで突然月読の中に引きづりこんでくれたからの。

最も、中身の精神世界は年齢相応の、アカデミーの教室じゃったから拍子抜けしたがの。

 

それから5年以上、姿が全く変わっておらぬ。

ワシもそろそろ歳じゃから、その若さの秘訣を知りたいわい。

 

ひとまず、聞くべきことを聞くことにした。

「おぬし、いつまでここにいるつもりじゃ。むしろ生活はどうするつもりじゃ。」

 

アゲハは不敵に笑って答えた。

「ひとまずは周りに悪戯しつつ、森の中で生活かな。最低でも中忍試験が終わるまでは居るつもり。これは楽しいことになる気がする。」

 

ワシはため息をついて答えた。

「ほどほどにな。おぬしが敵視されるようなことになっては目も当てられんからのお。」

 

ふと、思い立った。

「わしも歳じゃし、いつなくなるかもわからぬ。ほれ、これくらいは持っておきなさい。」

 

近くにあった紙と筆を手にし、手紙を書く。

この者の立場を猿飛ヒルゼンが証明するものとする。

 

判子を押して完成じゃ。

 

いつになく、アゲハは神妙に言った。

「いいの、うちはである私にこんなもの渡しちゃって。どうなっても知らないよ。」

「いいんじゃよ。おぬしのことについて知っているのはヒアシとワシぐらいじゃからな。知っているものが証明してやらんと、おぬしはただの不審者じゃよ。」

 

アゲハは言った。

「ありがとう…」

 

大蛇丸を封印する今際の際になってわしは思う。

若い者、後のことは頼んだぞ…

 

そうして真っ暗になった。

 

 

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