俺は足が折れて、得意の頭脳も生かせず、そこで待っているしかなかった。
ペインの神羅天征、その影響が大きく、今すぐナルトの助けに向かいたいのに動けない。
父にも足手まといになるだけだと断言されてしまった状態だ。
何かできることは必死に考えて、その結果が周りの仲間が飛びださないように抑えることだった。
とても歯がゆい。
自分の情けなさにうつむいた瞬間、奇妙なものが目に入った。
三毛猫カラーの、にゃーと鳴くカエルだった。
あまりにも奇妙な光景に一瞬固まった瞬間、口がいきなりドアサイズまで広がったかと思うと、中から人影が転がり出てきた。
出てきたのは、全員に死んだと思われていた人物だった。
その後ろから、
「待ってよ、カエルのおじいちゃん、まだ治療器具取れただけだって!」
と焦る声も聞こえてきた。
信じられない思いだった。
「自来也様、生きておられたんですか。今までどこにいらっしゃったんですか、みんな、死んだと思ってましたよ⁉」
実際、フカサクから聞いた傷で生きていたとは思えなかった。
近くにいる綱手様も信じられない眼で見てきている。
すると今の今まで黙っていた自来也が、一言言った。
「聞かないでくれ…」
なんか、ものすごい顔と涙の量だった。
あまりの悲惨さについ、
「あ、はい。」
と返してしまった。
ただ、状況は好転した。
ひとまずは全力の戦闘は無理らしいが、戦えはするようだ。
だから俺は、お願いした。
ナルトがペインの本体を追っている間、里の子供たちを守ってください、と。
自来也様はぐちゃぐちゃの顔のまま、
「よかろう、ワシに任せよ」
と言ってくれた。
ワシこそが火影に相応しい者だ。
千手の小娘が力尽きて昏睡したかと思えば、あの忌々しいカエル男が戻ってきおった。
根からの報告では死んだとのことじゃったはずだが、実際に生きているのを見ると根の部下には碌な奴がおらん、ワシがなんとかせねば、と常々思う。
カエル男の話では自分は全く本調子でなく、戦闘も難しい、何やら尊厳がどうのとわめいておったが、千手の小娘とカエル男の両方が動けない今がワシにとってのチャンスなのだ。
時期は満ちた。
今こそと考え右目を使った瞬間、机の端に奇妙なものを見かけた。
「にょにょーん」
ナンダコレハ。
ピンク1色で、5本角の手のひらサイズのカタツムリが意味不明なことをつぶやきながら這っている。
おかしい、さっきまでこんなけったいな生物は居なかったはずだ。
ふと、術をかけたはずのジジイの方を見ると。
「うっ、なんだ、視界にノイズが…誰か拙者に幻術をかけたか。なんだ火影殿、その右目は。何と禍々しい。もしや、貴様か⁉」
ありえない。
別天神は最強の瞳術。破れるやつなぞいるはずもなく。気が付くことすら難しい、その術のはずだ。
でなければワシはうちはの奴からこの目を奪ったりなどせぬ。
凡百の万華鏡写輪眼を付けたところで役には立たないからだ。
唖然としていると、事態はさらに進む。
いきなり右手の包帯が空を掴むように実体が消え去ってしまったのだ。
包帯はそのままワシの右腕そのものをすり抜け、空気に溶けるように消え去ってしまった。
まるで実体のあるものが幻影へと作り変えられたみたいに。
とっさに掴もうとしたが、触ることすらできなかった。
その時、耳元で子供のささやき声がした。
「あの時のお返しに、要らないこれ、貰っていっちゃうね。」
まるで時が止まったかのような一瞬であり、待て、と呼び止めることすらできなかった。
過ぎ去る瞬間、子供のうなじが一瞬見えたような気がしたが、それすら気のせいかもしれない。
呆然として後ろを見つめることしかできなかった。
はっきり言って事態は非常に悪い。
他の五影に右手右目を見られてしまったのもそうであるし、見られたのが会談の場ということもまずい。
ワシは部下を連れて、激昂する他の影から逃れるため、逃げ出すことしかできなかった。