悪の組織の女怪人達《トランスヴィラン》   作:七蜘蛛

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プロローグ

 

とある会議室

 

「皆さん、本日はお集まり頂き有難う御座います。」

 

長机に座る異形の少女達や女性達とは別にスクリーンのある壇上に立つ、秘書の様な女性が眼鏡を掛け直す。

 

「またいつもの様に欠席してらっしゃる方がいますがいつもの事なので今回は無視します。本日集まって頂いた理由は新たな幹部が誕生した事についてです。」

 

その言葉に一部の者が騒めく。

 

「静粛に。では入室して頂きましょう。」

 

全員がスクリーン近くの入り口を見る。

 

「入って下さい。"チェンジ・ザ・パペット"さん。」

 

すると扉が開き、1人の少女が入ってくる。薄手の黒いワンピースで銀髪のツインテールのハイライトのない目の少女だ。一見すると普通の少女にも見えるが彼女の節々は人間のそれではなく人形と同じ為、人間では無い事が分かる。そして肝心のチェンジ・ザ・パペットはこう思っていた。

 

「(どうしてこうなった...?)」

 


 

数日前

 

「今日も変わらず平和だな〜。」

 

街を歩く平凡な青少年「凡原 フツウ」は暇を持て余していた。この世界では複数の悪の組織とその怪人が世界を征服しようと活動をし、それをヒーロー達が防いでいるという社会の循環が日常となっている。

 

「何か面白い事があればいいけど...ん?」

 

するとフツウは路地で光る何かが見えた。

 

「何だこれ?」

 

フツウはそれを手に取る。それは淡い紫色の結晶だった。

 

「結晶?何でこんなのが...?」

 

すると

 

《適合率98.3%を確認。これより対象の怪人化(・・・)を開始します。》

 

「へ?」

 

結晶から機械的な音声が聞こえ、光り輝く。

 

「眩し!?」

 

路地を照らす程の光が結晶から放たれ、やがて収まっていく。

 

「何()今の光...ん?」

 

フツウは自身の口調が変わった事、そして声がやけに高い事に違和感を感じた。

 

「い、一体...何が...?」

 

フツウは目線が低くなった事にも気付き、自身の手を見る。それは指の関節が人形の様になっていた。

 

「これは...!?」

 

フツウは路地にあった鏡を見る。そこには慣れ親しんだ自身の姿は無く、代わりに目にハイライトが無い見知らぬ少女が立っていた。

 

「さっきの結晶...?でも何で...?」

 

「見つけたぞ!!」

 

「...ッ!」

 

フツウが振り向くとそこには5色のヒーロースーツを纏った5人の戦士がいた。

 

「「「「「我ら!愛と正義のヒーロー!カラフルジャー!!」」」」」

 

5人戦士のカラフルジャーが立っていた。

 

「見たことのない怪人だ!皆!油断するな!!」

 

「相手が1人だとしても何か隠してる可能性がある!」

 

「ならすぐにケリをつけるわ!」

 

「そうだね!」

 

「おう!」

 

「「「「「カラフルバズーカ!!」」」」」

 

カラフルジャーは5色の武器カラフルバズーカを5人で持ち、フツウに向ける。

 

「ちょ...!?」

 

「ファイブエレメント装填完了!」

 

「「「「「カラフルファイブドライブ!!ファイア!」」」」」

 

引き金が引かれ、5色のエネルギー弾がフツウに襲い掛かる。

 

「えぇと...!?ど、どうにかなって...!!」

 

フツウは目を閉じ顔を伏せ、両手を前に向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとフツウの前に何かが出現し、カラフルバズーカの砲撃を受け止める。

 

「何ッ!?」

 

やがてエネルギーが尽き、バズーカの砲撃が止む。そしてフツウの前に出現し、カラフルバズーカを受け止めた物の正体は...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クローゼット...?」

 

歯車が回っている機械仕掛けの様なクローゼットだった。

 

「これって...?」

 

するとフツウの方のクローゼットの面が開くと中からアームが現れ、フツウの身体を掴む。

 

「え?」

 

そしてアームはフツウを掴んだままクローゼットの中に引き込み、閉じる。

 

『え?え?何なに...?』

 

中で何かが始まる。

 

『ちょ、ちょっと...!どこ掴んで...!?ふ、服を脱がさないで...!うわっ...!?って何着せようとして...!』

 

やがてクローゼットが落ち着くと、ヒーローの方のクローゼットの面が開き、中から先程引き込まれたフツウが現れる。

 

「「「「「...ッ!?」」」」」

 

その姿は先程とは大きく変わっていた。銀髪のツインテールは水色髪のショートヘアとなっており、目を覆う黒い金属の仮面で荘厳な鎧ドレスを纏い、右手には黒い手甲が装備され、腰には鞘に収められた大剣が携わっていた。

 

「何だあの姿は...!?」

 

フツウは鞘に収められた大剣の柄を握り、引き抜く。その刃は青黒く漆黒で禍々しい造形をしていた。

 

「「「「「...ッ!?」」」」」

 

「魔剣"グリムヘルズ"...。」

 

フツウはその魔剣の名を呼ぶとそれに呼応するかの様にグリムヘルズは美しくも禍々しい蒼炎を纏う。

 

【浄罪の炎】...!」

 

そしてフツウはグリムヘルズをカラフルジャーに向けて振るい、蒼炎の斬撃を飛ばした。

 

「「「「「うわぁぁぁぁ!!?」」」」」

 

それによってカラフルジャーは全員、路地の外まで吹き飛ばされた。

 

「うわぁ!?何だ何だ!?」

 

「嘘!?カラフルジャーがやられてる!?」

 

カラフルジャーを撃退したフツウは謎のクローゼットを見る。するとクローゼットが開き、またアームが伸びるとフツウを掴み、引き込むとクローゼットはその場から消える。

 


 

とある山の中でクローゼットが出現するとその中から元の薄手のワンピースの服装に戻ったフツウが出てくる。

 

「この力...もしかして怪人の...?」

 

「初めまして。」

 

「...ッ!?」

 

フツウは再び背後に振り返るとそこには秘書の様な服装をした女性が立っていた。

 

「誰...?」

 

「申し遅れました私、秘密組織の秘書をやっている者です。貴女が使用なされた結晶は我々の組織の開発した物で、少々不手際で落としてしまった物です。」

 

「...。」

 

「単刀直入に申し上げます。我々は貴女の腕を見込んでスカウトに参りました。」

 

「スカウトに...?」

 

それがフツウ...否、チェンジ・ザ・パペットの怪人としての始まりだった。

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