ソードアート・オンライン《三人の勇者》(凍結)   作:ホイコーロー

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読んで思ったけど…自分で書いといてなんだけど…展開急すぎて笑えない(笑


第50層攻略

カイトとハチマンの活躍により《神隠し》を解決した攻略組は、少しの犠牲を出してしまったものの、なんとか攻略に復帰することができた。

そして、ついに第50層ボス部屋が発見され、会議が開かれた。

 

 

「ボスの名前は《ザ・ヴァジラ・カーキナス》。腕が六本もある仏像のようなヤツだ。それと、第25層と同様、HPがとんでもなく多かったらしい…。」

 

リンドの発言を聞いたプレイヤーたちに動揺が走る。

”第25層の悲劇の再来”

そんな言葉が頭をよぎっているのだろう。

その様子を見てヒースクリフが立ち上がった。

 

「諸君、怖気付くな。我々は何のためにここまで強くなったのか、思い出せ。負けるはずがないだろう?それに今回は…”私”がいる。」

 

”SAO最強の男”の言葉。

それは恐怖に押しつぶされそうになったプレイヤーを勇気付けるのにも十分すぎるものだった。

そして漸く攻略会議が始まる。

 

 

(《ヴァジラ》…《カーキナス》…?)

 

中央では《KoB》の副団長であるアスナと《DDA》のリーダーであるリンドを中心に今回のボスへの対策がなされていた。カイトも《SSK》のリーダーとして一応参加はしているが、作戦に口出しをすることはあまりない。

ちなみに、ハチマンはいつも端っこの方で大人しくしていて、ヒースクリフに至っては参加しないこともしばしばだった。

そのカイトが急に口を開いた。

 

「ちょっといいか。」

「どうかしたの、カイトk…さん。」

 

さすがにこういう場で君付けはヤバイだろう、主にカイトの身が。

 

「あぁ…この《ヴァジラ》って金剛杵のことだよな。」

「コンゴウショ…?なんだい、それは。」

「簡単に言えばなー…仏教とかで使われる道具のことだな。で、俺が言いたいのはこいつが元はインドの神話上の武器を擬えてるってこと。」

「え、それってつまり…。」

「今回のボスはその武器を使ってくる可能性が高い。その武器ってのは槍、それも雷を操るっていう厄介なやつでな…。正直、そんなの想像もしたくねぇ…。」

「なるほど、それじゃあ各自、麻痺に耐性のあるアイテムを用意しておいたほうがいいね。」

「あ、それと。」

「まだ何かあるの?」

「ある。もう一つのこの《カーキナス》。ちょっと捩ってはあるが、ギリシャ神話に出てくる《カルキノス》っていう化け蟹のことだと思う。」

「「ギリシャ神話!?」」

「日本でも化け蟹が僧侶にすり替わって人を殴って殺すっていう話もあるし、一説にはそいつが死んだ時に千手観音像がその死体から出てきた、なんてのもある程だ。今回のボスの姿って千手観音っぽくないか?」

「た、確かに。腕が六本だったし、足と合わせて計八本…蟹っていうのも納得できる。」

「しかも、そのカルキノスを倒したのは金剛杵の一つ、独鈷杵だっていうオマケ付き。ここまでくるとあっぱれだな。」

「じゃあ水の攻撃も警戒しないといけないのかしら…。」

「憶測だから分からんが、しておいて損はないだろ。」

「なるほど…これは分かってるのと分かってないのとでは雲泥の差だね。」

「それにしても頭いいのね、カイトさん…。」

「昔からこの手の話が好きでな。大したことじゃないって。」

「いえ、知ってるだけじゃ今みたいなのを思いつくことはできないわ。」

「うーん、まぁ一応、~大学の医学部だからな。」

「え、あの!?すごい、日本でもトップのところじゃない!!」

「え、あー、まー、そう…だな。」

「すごい、ホントに驚いた!頭いいとは思ったけどそれほどだったなんて…「えーと、そろそろ会議に戻ってもいいかな、アスナさん…?」……え?あ、ご、ごめんなさい…。」

 

会議中だったことを思い出し、アスナが顔を真っ赤にして俯いてしまう。

それを見た男性プレイヤーたちは新たな決意を胸にするのだった。先程の脱線も決して無駄ではなかったわけである。

 

「今の話をまとめると、今回のボスは六本腕の仏像。武器は独鈷杵という雷を操る槍で、特殊攻撃に水を警戒。話を聞く限り、素手での攻撃にもかなり気をつけたほうがいいね。もしかしたら腕が六本以上に増えることもあるかもしれないか。」

 

名前と姿形だけからここまでの情報が推測できたのは攻略組にとって嬉しい誤算だった。ヒースクリフの言葉も相まって、プレイヤーたちの表情が見るからに明るくなる。

その後、今回のボスの手数の多さから盾役の負担が増えそうだということで今まで以上に綿密な連携も考えられた。

 

『これだけ対策しておけばあの様な悲劇になるはずがないだろう。』誰もがそう思った。

しかしこの後、彼らは再び思い知らされることになったのだ、このデスゲームの恐ろしさを。

 

 

 

 

 

確かに《ザ・ヴァジラ・カーキナス》のメインウェポンは独鈷杵だったし、特殊攻撃も水を使ったものだった。HPが多いことも事前にわかってはいたし、手数が多いことも予想されていた。

 

しかし、プレイヤーたちに突きつけられたのは

どうしても越えることのできない圧倒的な

文字どおりの”レベル”の差。

 

その壁の前にはどんな対策も無に帰してしまう。その程度は第25層の時の比ではなかった。

多くのプレイヤーがその巨大すぎる敵の力を前にして恐怖に慄き、転移結晶で戦線を離脱するプレイヤーさえいた。そのせいで、せっかく考案した連携も途中から保つことが出来なかった。いや、被害そのものは第25層の時の方がひどかったのだ。それを考えれば対策はかなりの効果を発揮していたのかもしれない。

 

それでも戦線は崩壊、プレイヤーたちの戦意も失われ、”敗北”の二文字がよぎった時、

一人のプレイヤーが暴れまわるボスの前へと立ちはだかった。

 

”SAO最強の男”、ヒースクリフ。

 

その光景は彼がその称号を手にした第26層の戦いを彷彿とさせた。

だが、あの時とはまるで状況が違うのだ。相手にするのは間違いなく今までで最強の敵。頼りに出来る仲間もおらず、完全に一人の戦い。

誰もが最悪の結果を予感した。

しかし、彼はまたもや常人の理解の先をいくのだった。

 

”ユニークスキル《神聖剣》”

 

それは今まで誰も目にしたことのない、未知の剣。

変幻自在の剣筋は、攻略組10人以上がかかっても太刀打ちできなかった六本腕によるボスの攻撃を完璧に捌き、さらに反撃までしてみせたのだ。

 

言葉を口にせずとも、確かに彼の背中は語っていた。『”私”がいる。』と。

 

そしてヒースクリフに続くようにプレイヤーたちの目に生気が宿り、勢いを取り戻した攻略組は、《ザ・ヴァジラ・カーキナス》を撃退した。

LAを決めたのはカイトだった。

 

 

 

結果、第25層ほどではないにしろ被害を多大に受けた攻略組は再び攻略を一時中断。復帰の目安を二週間後として休息に入った。

これが2023年12月11日のこと。

 

 

 

 

 

その二日後、12月13日。

 

「よお、アルゴ。どうしたよ、お前の方から呼び出すなんて珍しい。」

「カッちゃんに伝えておきたい情報があってナ。その前に一つ聞いておきたいことがあル。」

 

カイトはアルゴに呼び出されて街の中の路地裏に来ていた。周りに人の気配はない、

 

「なんだよ。」

「…第一層ボス戦。」

「ん?」

「カッちゃんは攻略組の一人として参加シ、勝利シタ。その時のパーティメンバーはキー坊、アーちゃん、ハチ坊…ずいぶんと豪華なメンバーだナ。そしてもう一人、そのパーティには盾と片手剣を携えたプレイヤーが居たナ。」

「……てめぇ、何が言いたい。」

「戦い方がお粗末で、カッちゃんに仕込まれてなかったらすぐに死んでいたような奴ダ。カッちゃんのことを”師匠”として慕っていタ。オレっちももちろん会ったこともあル。そいつの名前は《コペル》。無残にも初めてのボス戦で犠牲になッタ…。」

「おい、マジでふざけんなよ、いくらお前でも言って良いことと悪いことが「もし。」は?」

「もし、ダ。もし、コペルを生き返らせる方法があるとしたら…カッちゃんはどうすル?」

 

 

 

 

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