終焉に愛された子は開拓の旅を歩むか?   作:Jr.404

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 そろそろベロブログ編のストーリーも最終盤に差し掛かります。


6話「星核と律者」

 説得に応じたスヴァローグからの星核に関する情報開示を受けてその内容の真実を知ったブローニャはその内容にひどくショックを受けていた。

 約700年前もの昔、ヤリーロⅥに突如として飛来した壊滅の使徒である反物質レギオンが現れ、彼らとの戦争の際に、建創者によって作られた機械兵士。それがスヴァローグを含む機械兵器達。

 彼らは「下層部」を守るという指令を受けており、彼らの導き出す演算結果によるとこのままでは近い将来、今現在存在する上層部が滅ぶという演算結果を導き出してしまう。その為、スヴァローグ達、はそれらに基づき、「下層部」の民を上層部に行かせないようにしている事を知ることになった。

 そして何よりも恐ろしい真実が例の星核による大寒波の災害の原因が、まさかの初代大守護者「アリサ・ランド」による星核の起動...即ち、封印からの解除であったのだ。

 その目的は700年前から襲来して来た反物質レギオンの殲滅、又は撃退だった。彼らは当時、反物質レギオンによる被害で壊滅的な被害に遭っていた。当時からヤリーロⅥのように壊滅の使徒である反物質レギオンによって星を滅ぼされた星は幾つも存在していた。

 しかし、ヤリーロⅥはその滅亡の危機に最終手段である星核の力を利用することで絶体絶命の状況から反物質レギオンを撃退し起死回生の辛勝を遂げる。

 それも、大寒波や裂界現象という代償を引き換えに、である。

 

 

 

 

 

「下層部にまさかそんな真実が...結局私はまだまだ井戸の中の蛙もいい所ね...でも、これで私がやるべき事が分かって来た...」

 

「ブローニャ...」

 

 ブローニャは自身が知り得なかったベロブログの下層部での真実に何故自身の母であるカカリアが上層部と下層部を断絶したのかをようやく知ることになり、同時に自身が上層部の人間であり、カカリアがなぜ星核の情報を隠したのか、なぜ星核の情報を知る星穹列車のメンバーを罪人として捕らえようとしたのか、すべて直接聞きに行くことを彼女と話をしていたゼーレとソーマのふたりに告げる。

 

「ブローニャ流石に一人じゃ危険よ!」

 

「大丈夫。私は仮にもシルバーメインのリーダーをやっている身。いきなり拘束されることはない。それに...この下層部は私にとっての生まれの故郷だからこそ、皆んなを守りたい」

 

 実はブローニャ達と三人で話していた時、当時ブローニャもここ下層部に住んでいた出身者である事実が明かされ、スヴァローグに出会う前ソーマ達と共に物資調達のため裂界に侵蝕された町を訪れた事をキッカケに思い出し、ブローニャが幼い頃、自分が住んでいた町であることを記憶から蘇ったのだという。

 そのとき彼女が実際に自分自身が将来のベロブルグを率いる次期大守護者候補として選ばれ、その際になんらかの処置で当時の記憶を消され、カカリアの子として生きていたようで、ブローニャからの不自然な記憶のズレと会話からその話に真実味が明らかとなったのである。

 

「ブローニャ...ホントに、それでいいんだな?」

 

「ええ、ソーマ達には散々助けられて来たから。だからこの件は、皆んなに秘密にして欲しい。代わりにこれを...」

 

「コレは...」

 

 ブローニャから何やら誰かの家名が書かれた署名の手紙を渡される。

 

「コレはランドゥー家の署名よ。私がお母様との交渉がうまくいかなかった場合に備えて彼らの元を訪ねて欲しい」

 

「ブローニャ、本気なのね?」

 

「私もいつまでも母に言われた通りしか出来ない思考停止な人間にはなりたく無い。自分で考えて自分の意思で行動していきたい」

 

 どうやらブローニャは本気で自身の母と対立し交渉に出る覚悟を決めてたらしい。それ以上止めるわけにも行かなくなったソーマとゼーレは彼女の話を尊重し、受け入れる事にする。

 

「ハァ...意思の固さはウチの妹分にそっくりだな。...分かった、もう止めはしない。その代わり...コレを渡す」

 

 ソーマは万が一、ブローニャの身になんらかの危機が迫ったときの為に、自身が創り出した崩壊エネルギーを結晶状にした小さな青紫色のクリスタルを手渡す。

 

「お守り程度のものだけど、いざって時にお前によくないものが入り込もうとした時に強力な力で"一度だけ"跳ね返す事が出来る。それを服の中にでも忍び込ませておけばいいさ」

 

「ソーマ...本当にありがとう」

 

 ソーマからのお守りを受け取り、下層部から上層部に続くゲートの道へ向かっていくブローニャの後ろ姿を見送る。

 

「ふぅん?随分とブローニャに甘くなったわね?やっぱりアンタの妹の面影を感じるから?」

 

「もしかするとそうかもな。案外、シスコンなのかもしれないな俺」

 

「良いわよね〜。ブローニャってばソーマに大事にされて!」

 

 そう言いながら不貞腐れた顔で不機嫌そうにソーマの足元をガシガシと小突いてくるゼーレに対してソーマは理解出来ずに困惑する。

 

「...?もしや俺がブローニャとばかり話してたのが不味かったか?その...悪かった、ブローニャとの会話を奪ってしまって...」

 

「別にそういう意味じゃないわよ!...あーもうッ、アンタのせいでなんだかいつもの私じゃないみたいで落ち着かないったらありゃしないわ」

 

 ブローニャと接しているソーマを見るたびに感じてしまうこのなんとも分からない感情にモヤモヤさせられながらゼーレはブローニャを見送ったあとソーマを置いてく様にその場を後にするようにして去る。

 

(ブローニャに嫉妬してるっていうの?アタシが...?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、予定通りというべきか、ブローニャが置き手紙を残して上層部へ向かい大守護者の元へ向かったこと事で騒ぎになり、ブローニャから残された言伝として協力者になり得るランドゥー家の関係者の元へ向かう為に星達や地炎のメンバーの一部が上層部へ向かう事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーベロブルグ行政区工房店「パーペチュアル」にてー

 

 ソーマ達列車組は協力者を募る為にゼーバルのいる工房店、パーペチュアルの元へ訪れたが、今日弟であるジェパードが訪れることを慌てて伝えられ、急いで息を殺してバレないよう隠れる羽目になったが、何とか危機を凌ぐことができた。

 

「い、いやぁ、ハハッ。危うく弟の奴にバレるかと思ったけど何とかなるもんだね〜」

 

「ウチ、生きた居心地がしなかったんだけど...」

 

「ん、なかなかスリルがあったねソーマ♪」

 

「俺に聞くな。ハァ...出だしからしくじるかと思ったぞ」

 

「いや悪かったってば!今日弟が工房に尋ねに来るの忘れただけだって!」

 

「なおさらタチが悪いわ」

 

 ひとりでカカリアの元へ向かってしまったブローニャの後を追う為にソーマ達はブローニャの置き手紙にあった協力者であるランドゥー家の者である"セーバル・ランドゥー"の元へ訪れた。当初はシルバーメインとしてそれなりに高い地位についている彼女の弟である"ジェパード・ランドゥー"に協力にも仰ごうと考えていたが頭の固い彼を説得するには姉であるセーバルの助力が必要不可欠ということもあり、彼女と共に同行する形となった。

 

「...ソーマ、ブローニャの奴、無事なのかしら...」

 

「今のところ、渡したお守りを使った力の気配を感じないから無事だと思う。もう少し彼女を信じてやりな、ゼーレ」

 

「それはそうだけど、ちょっと行動が無鉄砲すぎるのよ」

 

「その為に俺たちが跡をつけてるんだろう?」

 

「ふたりとも、セーバルの方も準備が出来たから急いでくれ」

 

 丹恒から声をかけられソーマとゼーレは会話を中断して行動を急ぐ事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな...お母様、何故...」

 

 自身の母の衝撃の発言と性格の変わりようにブローニャはひどく動揺とショックを覚えた。

 母であるカカリアの元へひとりで上層部へと戻って来たブローニャは自身が目にして来た下層部の現状とベロブログに関わる秘密の一部を知る事でカカリア本人が何故娘であるブローニャ自身にそれらの真実を秘密にしているのかを知る為、直接問う事にした。

 

 ブローニャの真実を知りたいという覚悟を聞き入れたカカリアは星核のもとへと案内する事を受け入れてくれた。

 母であるカカリアからベロブログの過去の歴史を聞かされながらソーマ達列車組からの話で聞いてた例の星核と呼ばれるものが存在している場所の丘まで案内される。

 しかし、話していくうちにカカリアの言動や態度に違和感がではじめ、明らかに母が正気ではない事を思い知らされる。

 彼女は今までの歴代の守護者達は皆愚かだと言い、ベロブログに置かれている残酷な現状に目を背け、星核の助けを拒み、悪戯にベロブログの民や大地を犠牲にしたの元凶は彼らであるという。

 カカリアの求める願いは貧困、寒さ、苦しみのない世界であり、星核は今の世界を消し去り、無意味に生き長らえることを諦めば苦しみのない新しい世界を築くことができるということを囁いていた。

 カカリアは間違いなく星核そのものに操られており、星核の意思による甘言を信じ洗脳された状態で、世界を破壊しようとしていたのだ。

 

「ブローニャ、我が娘よ、もはや我々には星核の力を頼る以外には生きる残る道はないのだ」

 

「やめてくださいお母様‼︎今の状況が苦しくても星核の力に世界を委ねるべきではありません!存護の星神「クリフォト」様の信仰を捨てるおつもりですか⁈」

 

「所詮は、ただ遠くで眺めているだけの無関心なクリフォトなぞに頼る事自体間違いなのだ!ブローニャよ、お前も偉大なる星核の力の加護を授かればその素晴らしさを理解できるようになる!さあ、来なさい!」

 

「お母様やめてくださいッ‼︎」

 

 カカリアが星核を封じ込めている塔らしき部分やな手を添えると冷気を帯び出し、目に見えない謎の力がブローニャ自身の頭の中に侵食してくるのが伝わってくる。よく分からないナニカの意思がブローニャを洗脳するように意識に入り込み気がおかしくなってくるのを感じ恐怖と苦しみに精神が支配される。

 

 

 

 

 

 

【ー◼️◼️◼️◼️◼️...◼️レ◼️◼️ウケイ◼️ヨ...ー】

 

 

 

 

(イヤ...イヤッ...‼︎お母様正気に戻ってッ‼︎...頭がッ...誰か、助...けてッ‼︎...ゼーレッ...ソーマッ‼︎)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  パキッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何かが割れたような音が鳴り、ブローニャの胸元から何らかの光と結界のような壁が現れる。

 

 

「ッ!...ブローニャ、あなた、その力はいったいッ⁈」

 

「えッ?この光...ソーマからの...」

 

 ブローニャの胸元から発した謎の光と結界らしきものの正体は間違いなくブローニャが下層部から離れていく時にソーマから手渡されたお守りと称してた結晶石からのものであった。

 結晶石から力が発すると共に先程まで感じた精神汚染の苦しみが嘘のように無くなり、苦痛から解放される。

 

(あたたかい...彼の贈り物から優しい力を感じる...)

 

 しかし、送り主であるソーマから伝えられてた話の通り、結晶石は一度だけその力を発したあと役目を終え、無惨に砕け散ってしまう。

 心の拠り所を失ってしまったブローニャはそれを見て絶望に伏した顔をする。

 

「あっ...ああ...!」

 

 弾き出された星核の力が再びブローニャを洗脳しようと彼女の身に迫り来るが、同時にブローニャとカカリアの目の前に隔てるように割り込む形で一本の漆黒の槍が突き刺さる。

 

「ブローニャッッーー‼︎」

 

 自身の名前を呼ぶ声の元へ視線を向けると、そこにはソーマの姿とゼーレや星達列車組の仲間達が星核の地まで追って来ていた。

 

「ブローニャ無事なのッ⁈」

 

「ゼーレ、ソーマ...」

 

「...やはり来たか。あの吹雪で貴様らを葬れたと思ったが...」

 

「フンッ!あんたの力なんてウチらからしたら大したことないっての、オバさん!」

 

「三月、相手を迂闊に煽るな」

 

「結晶石が使われた痕跡を感じ取ったから予想はしていたが...やはり、彼女は正気じゃなかったか...!」

 

 カカリアは星核の力で意図的に裂界現象を操り、此方に向かってくる星穹列車の連中を足止めしていたが娘であるブローニャを星核に洗脳させる前に追いつかれてしまったことでまとめて始末する為に力を駆使する事にした。

 

「やはり、貴様ら外界者は早々に始末するべきだったな。我が新世界の礎の為、ここで消えてもらう!"造物エンジン"起動せよッ‼︎」

 

 カカリアが手にした大守護者の槍を掲げると大地を突き破るような地割れが起き、巨大な巨人ロボット兵が動き出す。

 何十メートルにも及ぶ巨大ロボット兵が拳を振り上げ、ソーマ達のいる場所へ目掛けて質量攻撃をかます。

 

「みんな逃げてッ‼︎」

 

 いち早く危機に気付いたブローニャがソーマ達に声を掛け、全員急いでその場を退避する。遅れて振りかざされた巨大ロボット兵の拳が地盤を割るように地面を抉り、さっきまでいた場所に巨大なクレーターが出来上がり、その破壊力に全員戦慄する。

 

「何なの!あのデカブツ⁈アレもスヴァローグの仲間って奴⁈」

 

「ヴェルトおじちゃんがこの場にいたら喜びそう!」

 

「そこは否定しないけど、呑気な事言ってる場合か!」

 

「全員動き回れ!叩き潰されるぞ!」

 

「私が援護する!あの巨大機械兵の関節や頭を狙って!」

 

 巨大ロボット兵の質量攻撃を回避しながら弱点らしきセンサー機器が集中している頭部に目掛けてなのかが弓矢で氷の矢を放ち、丹恒とソーマは互いに手にした槍で弱点を狙うが完全防御されているのか、なかなかダメージが通らないうえに相手も動いているのでいくつかの攻撃が避けられてしまう。

 

「...こうなったらッ‼︎」

 

 何か策を思いついたのか星は巨大ロボット兵の腕に飛び乗り、近づいて直接頭を狙おうとよし登る。アグロバットにパルクール移動をかましながら掴めるところを掴んで飛び移っていく。

 

「なんて無茶をッ...!星ッ、絶対に落ちるなよッ‼︎」

 

「私が援護するわッ‼︎」

 

 飛び移る星の足場を丹恒やソーマがそれぞれ槍や結晶槍の弾幕を巨大ロボット兵の体に打ち込み、足場や掴むところを創り出し、ゼーレが瞬間移動能力で落ちそうになった星を咄嗟に掴み上げ、何とかロボットの肩にいるカカリアの元に辿り着けるようフォローする。

 しかし、巨大ロボット兵を起動させていたカカリア本人がただ静かに星達を眺めているはずもなく星核の力で強化されたのか、冷気を帯びた氷の槍を複数生み出し、此方に目掛けて槍の弾幕を振りかざす。

 

「しつこいぞ貴様ら。落ちろッ‼︎」

 

 何とか巨大ロボット兵の肩もとまで登り切った星に目掛けてカカリアからの容赦無い弾幕攻撃を受け、怯んでしまうも何とか手にしたバットを手にして攻撃を叩き落とす。

 

「見るがいい...星核の約束した力こそが...この世界の唯一の希望なのだ!』

 

 星達を確実に仕留める為、カカリアは星核を体内に取り込み、その力を解放していく。あり得ないほどの膨大な量の虚数エネルギーが波打つように溢れ出し、カカリア本人を包んでいくと、そこから現れたのは裂界生物のようなむきしな顔のない人型の異形体の生命体へと変貌を遂げていた。

 見た目的に残っている女性的なシルエットが辛うじて元がカカリア本人であると言う唯一の証明となっており、もはやカカリアとしての部分は残ってはいないのではないかというほどに変貌していた。

 

「ッ!星逃げて‼︎」

 

「なッ‼︎」

 

『敵対する者よ、裁かれるがいい‼︎』

 

 先行しすぎた星本人に裂界生物となったカカリアの容赦ない攻撃の暴力に耐え切れるわけもなく、冷気と吹雪の嵐に巻き込まれ、カカリアによる存護の力を宿した大守護者の槍で貫かれてしまう。

 

「星ッッッーー!!!!」

 

 ソーマの叫びも虚しく腹を刺し貫かれた星は力尽きて身体に刺さったままの存護の槍と共に巨大ロボット兵の肩から落ちてしまう。ゼーレや丹恒、ソーマあたりが何とかして落ちてくる星を受け止めようと接近するが暴れ回る巨大ロボット兵とカカリアからの攻撃に近寄る事すら出来ずにいた。

 

(何とか素早く動き回る方法はッ...こうなったら..."ブローニャ"、お前の力を模倣させてもらうぞ...!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カカリアに腹を存護の槍で刺された後、星は意識の中で存護の星神"クリフォト"に一瞥を貰い、意識を覚醒させるが、目を覚ましたところは今現在落下中であり、手元には存護の槍しかないという命綱もない絶対絶命状態であった。

 

 せっかく主人公らしく新たな力を覚醒させたというのに空気の読めないこの状況に嘆いてると、何処からか爆音じみた何かが唸る音...いや、まるで何かの乗り物のエンジンらしき音に近い音が此方へと鳴り響いて近づいて来た。

 

「星ッッーー‼︎」

 

 ソーマらしき声に気付き振り向くといつの間にか視界いっぱいに映るソーマの腕が勢いよく星を空中キャッチしていく。

 突然視界が変わったことに驚いて星が顔を上げるとそこには美しく黒いフォルムと青紫色のアクセントカラーをしたスポーツカーのような大型バイクを星を抱えながら運転するソーマの姿があった。

 

「うおっ!スタイリッシュなバイク!」

 

「星無事なのかッ!」

 

「なんか無事だった。あと、岩みたいな見た目の星神に槍を託された感じ」

 

「星神?まさかクリフォトか!助けてくれたというのか」

 

「それよりも私はソーマの乗ってるスタイリッシュなバイクが気になる」

 

「え?これか?...まぁ、俺の元、愛武器だったものだよ」

 

「武器?コレが?」

 

「話はあとだ!とにかくあのデカブツをどうにかするぞ!」

 

 地面を高速で駆け抜けるバイクで襲い掛かる巨大ロボット兵の攻撃を華麗に回避し、ドリフト走行しながらおまけとばかりに飛んでくるカカリアからの槍の弾幕攻撃を凌ぎながら、お返しに此方も律者の力で召喚した結晶槍をビットのように飛ばしてレーザー弾を発射させる。

 どうにかして巨大ロボット兵の胴体に飛び乗りたいが、此方を警戒してるのか執拗な攻撃で中々相手に近づけずに苦戦する。

 

「クソ、せめて外部からの攻撃でヘイトをそらせたらな...!【(ザザッーー)なら支援してあげましょうか?】その声...まさか姫子ッ⁈」

 

 ソーマ達がヤリーロⅥに降下する前、万が一の時に備えていた列車用の緊急通信端末からやや電波が乱れてはいるものの、聞き慣れた彼女の声が聞こえてくる。

 姫子からの通信が届くのと同時に上空から大出力の熱線レーザーが降り注ぎ、腕を振り回す巨大ロボット兵の片腕を木っ端微塵に粉砕していく。突然の外部からの攻撃を喰らって半壊した巨大ロボット兵は戦闘能力を大幅に落とし、満足に動けなくなる。姫子からの思わぬ手厚い援護射撃になのかが歓喜した。

 

「さすが姫子‼︎私達のこと覚えていてくれたんだ!」

 

【(ーザザッー)私が貴方達のことを忘れる訳ないでしょ?ヴェルトと共にずっと列車の中で見守っていたわよ】

 

「アンタたちのお仲間ってとんでもない隠し兵器を持ってるわね」

 

「だがこれで活路が見出せた。今のうちに攻めるぞ!」

 

 倒れ伏した巨大ロボット兵の腕元を足場しにしてなのか達が移動していき、元凶であるカカリアの元へと進んでいく。

 

「サンキュー!姫子せ...じゃない、姫子!...これで厄介なデカブツがいなくなったッ」

 

「ソーマ、これからどう攻める?」

 

「決まってるだろ?一気に突っ込むッ‼︎」

 

「そう来なくっちゃ♪」

 

「全力フルスロットルだ、しっかりと捕まっときな‼︎」

 

 スロットルを回し、漆黒の鮮やかな青紫ラインのバイクの後部に付いている厳ついエンジンブースターからド派手に青い炎と爆音を吐き出しながらメーター表示がMAXになり、巨大ロボット兵の上を我が物コースにするかのように豪快に飛び移りながら加速していき、突き進んでいく。

 二手から迫ってくる相手側の活路を妨害するため、カカリアは悪態を吐きながら足の速いソーマ達の方に攻撃を仕掛ける。星核の力で氷結する冷気の吹雪で視界を奪い、氷の槍の弾幕を降らせていくが軽々と回避され、召喚した結晶槍をビットのように飛ばしながら撃ち落としていく。左手にもうひとつの神の鍵である"対極の陽月"を大剣形態に展開させながらその白銀の大剣を振りかざしながらバイクごとカカリアの元に突っ込んで斬りかかる。

 

『小癪なッ!邪魔をするなッ‼︎』

 

 巨大な氷の槍で一撃を受け止め、カウンター攻撃を仕掛けるが、タイミングよく息を合わせてバイクの後部に跨っていた星が手にした存護の槍で迎撃されてしまう。

 ソーマ達は繰り返し、バイクという移動手段を利用しながらカカリアの周りを度々ドリフト走行で回避行動しながら一撃離脱戦法を駆使し、相手のヘイトを稼いでいく。槍の弾幕で相手の乗り物を破壊しようとしても常に彼らの周りを浮遊している結晶槍の塊が常に此方の攻撃を全て撃ち落としていくので埒が開かない。

 

 カカリアが精神的に余裕がなくなってきたタイミングで遂になのかやブローニャ達がカカリアの元へ到着してしまい、相手の反撃を許してしまうことになる。

 

「これ以上はやらせないんだからね!」

 

「そこかッ!」

 

「援護する!ゼーレお願いッ‼︎」

 

「しっかり援護しなさいよブローニャッ‼︎」

 

 四人による一斉攻撃を仕掛け、ブローニャやなのかによる援護射撃で動きを封じられ、丹恒による槍の刺突、ゼーレからの大鎌の斬撃で身体中を斬り裂かれ、裂界体のカカリアの胸元から星核らしきコアが見えてくる。

 弱点を見つけたソーマはすぐにバイクの軌道を変えて攻撃準備を仕掛け、とどめ役を槍を手にしてる星に任せる事にする。

 

「星、とどめはお前に任せる!しっかりと狙え!」

 

「分かった‼︎今の私達は一心同体...そこだッッーー!!!!」

 

 ソーマがバイクを用いた擬似的な騎馬突撃を一気に仕掛け、射線上に入ったカカリアに目掛けて星が虚数エネルギーの炎を纏った存護の槍の一撃を突き立てる。

 

『ッッ‼︎...私の...望んだ、新世界...が...ッ‼︎』

 

 剥き出しになった星核を直接攻撃されたことでダメージが入り、コアそのものが取り出されたことで皮肉にも裂界体から解放され、一時的に人間だったときのカカリアの姿に戻る事になる。

 

「お母様ッ‼︎」

 

 星核から解放されたことでブローニャは元の姿に戻ったカカリアへ駆け寄ろうとするが直後に逆流するように暴れ回る星核からの虚数エネルギーの奔流によってカカリアの身体が消滅しようとしていた。

 

「不味いッ、ゼーレ!ブローニャを近づけさせるなッ‼︎」

 

「お母様ッ‼︎嫌、嫌ぁぁッッーー‼︎」

 

「やめなさい!アンタまで死ぬわよッ‼︎」

 

 逆流するエネルギーの奔流の中、星核が抜け落ちた影響か倒れ込んでいたカカリアの顔からは何かに解放されたかのような穏やかな表情でブローニャを見つめていた。

 その顔は死を悟った穏やかな笑みを浮かべており、彼女が消えてしまう目前まで母のように優しい笑みで娘であるブローニャを見送っていた。

 

「...ブローニャ...我が娘...貴方を、本当に...愛していたわ...だから...私のようには...」

 

 彼女の最後の遺言が途切れると共に星核からのエネルギーの奔流でまとめて一瞬でカカリアの姿は消滅失した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




対極の陰月(バイク形態)

 劇中でソーマが落下中の星を受け止める際に乗りこなしていた例のスタイリッシュな大型バイクの正体は、彼の愛用武器である"対極の陰月"という神の鍵に相当する代物であり、虚数や量子エネルギーの力(いわゆるオカルトじみた力)を掌握または支配する権能を持つ。
 決まった形を持たない武器である為、当時ソーマが地球にいたときに見たブローニャ(3rdの方)の理の律者の力で再現した大型バイク(重装ウサギだったモノ)を見て再現してみたものらしい。
 ただし、自身の記憶の中で再現したものなのでブローニャが運用していた重装ウサギバイク形態とは見た目が大分異なる。


対極の陽月(大剣形態)

 もうひとつの神の鍵。物理法則に干渉又は影響を与えてくるとんでも権能を持つ武器で、今回はそのまま武器役で活躍した。
 対極の陰月が黒い色合いをメインにしたデザインに対して此方は白銀カラーになっている。
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