鋼の錬金術師:極界の魔女~傲慢に恋した極界の少将は、今日も今日とてショタを愛でる~   作:だいたい大丈夫

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※この作品は『鋼の錬金術師』の二次創作です。
原作とは設定・人物解釈が大きく異なります。

特に本作では、
・原作に登場しないオリジナル国家錬金術師
・セリム・ブラッドレイに対して異常な執着を持つ人物
が登場します。

シリアスとギャグ、そして若干の狂気が混ざった内容ですので、そういった二次創作が大丈夫な方のみお楽しみください。


磁界の魔女と最悪の朝

最高に気分がいい朝。

軍靴がカツカツと石畳を叩く音が、官邸の広い敷地に響き渡る。

 

私は、エレハイム・アレイス・フォン・クイーンクロス。若干20歳にしてアメストリス軍少将という、世間から見れば「超エリートの天才美女軍人」ってやつ。

 

鏡を見るまでもなく、今日の私のコンディションは完璧。軍服の着こなしも、わざと胸元を少しだけ緩めて、タイトなスカートでヒップラインを強調するっていう、軍規ギリギリの攻めたスタイル。

 

ああ、朝日が眩しい。でも、私の美貌の方がもっと眩しいはず。

 

官邸の巨大な門が見えてくる。そこには、朝からピシッと背筋を伸ばした門番の兵士たちが二人。

 

「おはようございまーす!!」

 

「お、おはようございます! クイーンクロス閣下!」

 

慌てて敬礼する彼らの顔は、面白いほど真っ赤。よしよし、今日も私の魅力は絶好調。

そのまま颯爽と門を通り過ぎる。背後から、彼らが声を潜めて話し出すのが聞こえるけど、私の耳は超高性能だから全部筒抜け。

 

「おい見ろよ、今日もご出勤だぜ。しかし綺麗だよな……あんな美人が20歳で少将って、神様は不公平すぎるだろ」

 

「ああ。だが、閣下は本当に大総統閣下のことがお好きなんだな。ほぼ毎日、こうして顔を出している。いくらなんでも熱心すぎるだろ」

 

「愛人……って噂、マジなのかもな。大総統も否定しないし、むしろ楽しんでいるフシがある。あんな美人に迫られたら、いくら鋼の意志を持つ大総統でも陥落しちまうよな」

 

「しかし、奥様も普通に官邸に招き入れているからな……公認の仲ってことか? 恐ろしい世界だぜ、上級将校の不倫事情ってのは」

 

愛人?大総統の?冗談はやめてほしい。

あんな眼帯のヒゲ親父、私のストライクゾーンから1光年くらい外れてる。

私がここに来る目的はただ一つ。

 

(よし! 今日こそは落としてやるわ、私の王子様、セリム君!!)

 

大総統なんて、セリム君に近づくための踏み台、あるいは「将来のお義父様」という記号でしかない。

 

足取りはどんどん軽くなる。もう、重力なんて感じない。磁力で浮いてるんじゃないかってくらい、フワフワした気分。

 

「おはようございます! お義父様(ブラッドレイ)!」

 

そこには、ちょうど朝食をとっているブラッドレイ一家の姿がある。

 

「……ああ、おはよう。今日も来たのかね、クイーンクロス少将。君の勤勉さには、国家錬金術師も驚くことだろう」

 

「はいっ!!少将としての職務の前に、家族としての絆を深めに来ました!」

 

「家族……?いや、まだそうなった覚えはないのだが……」

 

大総統の困惑したような声を、私は華麗にスルーする。

そして、私の全神経、全細胞が求めている存在へと視線を向ける。

 

「そして……セリム君!!おはよう!お姉さんが特製の朝ごはん作ってきたよ!!」

 

私の目の前には、天使が座っている。

セリム・ブラッドレイ。まだ幼く、純真無垢な瞳をした、私の運命の人。

 

……まあ、中身が真っ黒な影の化物だってことは、磁力で空間の違和感を感じ取れる私にはバレバレなんだけどね。

でも、そんなの関係ない。

 

だって、見てよ、あのプニプニした頬。冷徹な光を隠しきれていない、あのゴミを見るような冷たい視線。

 

たまんない。ゾクゾクする。

私は鼻息荒く、手に持っていた重厚な重箱をセリム君の目の前にドンッと置く。

 

「さあ、開けてみて! セリム君のために、お姉さん、昨日の夜から徹夜で仕込んできたんだから!」

 

「…………おはようございます、アレイス」

 

「いや!いや!ミドルネームで呼ばないでよ〜。距離感じるじゃん!エリイって呼んで、エリイって!」

 

私は身を乗り出して、セリム君の顔に自分の顔を近づける。

彼が嫌そうに体を引く。その拒絶が、私にとっては最高のご褒美。

 

「さあこれ食べて!これ食べて早く私と……ゲヘヘへ」

 

一段目には、スッポンの血を贅沢に使った真っ赤なゼリー。

二段目には、マムシの姿焼き。それも、一番栄養がありそうな部位を厳選したもの。

三段目には、なんだかよくわからないけど「秘境の薬草」と言われて売りつけられた怪しいキノコのソテー。

 

「これは……何ですか?」

 

「特製スタミナ朝食だよ!セリム君はこれから大きくなるんだから、しっかり『精』をつけないとね!私をしっかり受け止められるような、逞しい男の子になってほしいの!」

 

「……僕はまだ子供ですよ。こんなものを食べたら、胃もたれして学校に行けません」

 

「大丈夫!お姉さんの愛がスパイスになってるから、消化もバッチリ!」

 

「ふふっ、少将さん。息子はまだ小さいんだから、惚れてくださるのは嬉しいけれど、少しわきまえてね?」

 

この人は本当に、自分の夫と息子が人間じゃないってことに気づいていないのか、それとも気づかないふりをしているのか。

 

でも、私にとっては「未来のお義母様」だ。失礼な態度は取れない。

 

「はい!お義母様!私、混じりっけなしの純愛です!!セリム君への愛は、オリハルコンよりも硬く、水銀よりも情熱的に流動しているんです!」

 

「あらあら、私の若い頃を思い出すわね、あなた?」

 

大総統は、やれやれという顔で額を押さえている。

 

「うーん……こんな感じだったか?お前は。もう少し……いや、だいぶ静かだった気がするが」

 

「あら、失礼ね。私だって、あなたを追いかけていた時はこれくらい情熱的だったわよ?」

 

「そうだったかね……」

 

家族の温かい(?)やり取りなんて、今の私にはどうでもいい。

私は隙あらばと、セリム君の隣の椅子を強引に引き寄せて座り込む。

 

「ねえねえ、セリム君。ちょっとこっち向いて?」

 

「……朝食の邪魔をしないでいただけますか」

 

「そんなこと言わないでさ。ほら」

 

私はテーブルの下で、自分の太ももをセリム君の細い足にそっと、しかし力強くすり寄せる。

 

「ねえセリム君。美味しい?なんか、おまたが疼いたりしない?私の方はねぇ……君を見てるだけで、ずーっと疼いてるの!」

 

この瞬間、私はこっそりと錬金術を使っている。

 

私の体内の鉄分。それを磁力で操作して、特定の部位……つまり、顔や胸、そして下半身へと血流を無理やり集中させる。

 

自室で何度も練習した、秘技「強制発情(セルフ・フラッシュ)」。

 

見る見るうちに私の顔は真っ赤に染まり、目はトロンと潤んでいく。体温が上がり、呼吸が荒くなる。

 

これ、傍から見たら完全に「キマってる」状態なんだけど、セリム君へのアピールとしては最強のはず。

 

「ほら、見て。私、こんなに熱いの。セリム君のせいだよ?」

 

彼の内側から、どす黒い「影」の気配が漏れ出しそうになっているのを、私は肌で感じる。

 

(ああ、いい……。もっと、もっと本性を出して。その影で、私をめちゃくちゃに縛り上げてほしい……!)

 

セリム君は、内心で盛大に舌打ちしているに違いない。

 

『この女……私がホムンクルスだと薄々……いや、確信を持って勘付いているくせに、なぜ恐怖ではなく発情を向けてくる……。傲慢(プライド)である私に対して、この不敬極まりない態度は何だ。理解不能だ、人類のバグか何かか?』

 

そう、私はバグ。セリム君という美少年に狂わされた、恋のバグなのよ!

 

「学校に行く前に、私で『抜いて』いかない? お姉さん、何でもしてあげるよ? 磁力で……こう、いい感じに振動させたりもできるし」

 

「エリイさんっ!? 今、なんて……?」

 

やばい、つい本音が、それもかなりダイレクトなやつが漏れた。

私はハッと立ち上がり、一瞬で真顔に戻る。体内の血流を磁力で瞬時に正常化させ、キリッとした軍人の顔を作る。

 

そして、これ以上ないほど美しい所作で敬礼。

 

「はっ! クイーンクロス少将は、本日も大総統閣下より指令を拝命するために参りました!!」

 

「……毎日出す指令はないと言っているだろう。君の管轄は要人の護衛と、特殊案件の処理のはずだ。なぜ毎日、中央(セントラル)の私の食卓に指令を求めに来るのかね」

 

「それはもちろん、大総統閣下の英知を直接授かるためです!閣下の背中を見て育つのが、若手将校の務めですから!」

 

「私の背中よりも、息子の顔ばかり見ているようだが?」

 

「あはは、気のせいですよ。セリム君は、将来のアメストリスを背負って立つ逸材ですから、教育的観点から見守っているだけです」

 

「……まあいい。それより、南部の反乱勢力の件はどうしたのかね?君に任せていたはずだが」

 

「ああ、あのゴミ掃除ですか」

 

私は、セリム君に向けるものとは正反対の、極めて事務的で冷徹な声を出す。

 

「南部の人たちは、ちゃんと『お掃除』しておきましたよ。リーダー格の人間は磁場で血液を沸騰させておきましたし、武器は全部砂鉄に変えておきました。今頃、向こうの連中は戦う気力も失って、ただの鉄の塊に怯えて暮らしてるんじゃないですかね」

 

「……相変わらず、情け容赦ないな。磁界の魔女の名は伊達ではないということか」

 

「褒め言葉として受け取っておきます、お義父様」

 

「大総統と呼べ。……では早く出勤したまえ。私ももう出る」

 

「はい! セリム君、またね〜♡」

 

私は去り際に、セリム君に向かって全力の投げキッスを送る。

セリム君は無言で、しかし全力で目を逸らした。

その反応すら愛おしい。

 

さて、今日の仕事はサッサと片付けて、また放課後のセリム君を待ち伏せしなきゃ。

次は、スッポンじゃなくて、もっと「くる」やつを用意しようかな。

 

そういえば、さっき大総統が言っていた「南部の件」だけど、ちょっと磁力を使いすぎて現地の鉄橋をいくつか沈めちゃったんだよね。

 

まあ、反乱軍が渡れないようにしたって言えば、戦略的判断ってことで通るでしょ。

私は有能な少将なんだから。

あはは、今日も忙しくなりそう。

愛と軍務の両立って、本当に大変なんだから。

 

 

◇◇

 

 

 

 

大総統の大きな背中を追って、私も当然のように専用車の後部座席へと滑り込む。

革張りのシートがフカフカで、最高級車ならではの沈み込むような座り心地が最高に気持ちいい。

 

運転席と後部座席の間には分厚い防音ガラスの仕切りがあるから、ここは完全に私たちだけの密室というわけ。

 

さっきまでセリム君に向けて熱く沸騰させていた血流も、磁力でピタリと鎮めて通常運行に戻す。

 

「それで?南部の反乱勢力の件はどうなったのかね。先程は妻と息子がいたから、随分とボカした言い方をしていたようだが」

 

「え?さっきダイニングで言った通りですよ。綺麗さっぱり、隅から隅までピッカピカに『お掃除』しておきました」

 

「お掃除、か。ずいぶんと可愛らしい表現を使うのだな。君の言うそれは、大抵の場合、凄惨な結果を伴うわけだが」

 

「あら、人聞きの悪い。私は命令に忠実なだけですよ。アメストリスの平和を脅かす害虫は、一匹残らず駆除する。それが軍人の務めでしょう? だから……家族も親戚も、犬も猫も、もちろん皆殺しです」

 

「……」

 

無言の圧。

 

普通の軍人ならこの眼帯のオジサマが放つ覇気にビビって縮み上がるところだろうけど、私には全く効かない。

 

だって、彼の中身が人間じゃないことくらい、私の磁力センサーがとっくに感知しているんだから。

 

「いやあ、流石にちょっとだけ骨が折れましたよ?リーダー格の男、自分の妻子だけは助けようとしたみたいで。地下のさらに奥、鉛で覆った隠し部屋なんて作って、そこに小さな子供たちを匿っていたんですよね」

 

「鉛で覆えば、私の磁力による探知から逃れられるとでも思ったんでしょうね。浅はかというか、無知というか。確かに鉛は磁力線を通しにくいですけど、生きている限り、人間の体内には血液が流れているんですよ?そして血液の中には、たっぷりと鉄分が含まれている。暗闇の中で怯えて震える小さな心臓が送り出す、その鉄の匂い……私の繊細な磁界から、誤魔化し通せるわけがないじゃないですか」

 

ガラスに映る自分の顔が、ひどく冷酷に歪んでいるのがわかる。

でも、それが私の本性。

 

「隠れんぼとしては三流もいいところでしたね。壁の向こう側から、血中の鉄分を操作して一瞬で……プスッと。まあ、彼らにとっては痛みを感じる暇もなかったはずですから、私の慈悲深さに感謝してほしいくらいです。本当に、人を殺すのって楽しいからやめられませんよねぇ」

 

「ああ、そうそう。特に楽しかったのは、その反乱軍のリーダー格の息子さんですね。まだ十代半ばくらいで、生意気な瞳をした可愛い男の子だったんですよ。私が目の前で彼の仲間たちを鉄クズに変えていくのを見て、すっごくイイ顔で絶望してくれたんです」

 

思い出すだけでゾクゾクする。

希望が粉々に砕け散って、恐怖と無力感に支配された瞳。

私の大好きな、極上のスパイス。

 

「あまりにも可愛かったから……殺す前に、ちゃんと『美味しく食べてから』にしてあげました。泣き叫ぶ彼を磁力で壁に縫い付けて、たっぷり時間を使って、文字通り骨の髄まで、ね。おかげで私のお肌もツヤツヤです」

 

命を奪うことへの躊躇? そんなもの、私が母親の胎内に置いてきたわ。

道端に生えている美味しそうな果実をもいで、口に放り込んで、種を吐き出す。

 

ただそれだけの、純粋で、果てしなく残酷な欲求の消化。

私にとって命を奪うことは、息をすることと同じくらい自然なことなの。

 

(この女は……完全に狂っている。人間でありながら、我々ホムンクルス以上に情というものが欠落している。他者の命を塵芥としか思っていない。いや、違うか。情の向く先が、たった一つ……私の息子(セリム)にしか向いていないが故の、極端に偏った狂気か。不気味な女だ)

 

「…………そうか。ご苦労だったな、少将。後で正式な報告書を提出したまえ」

 

「はーい。適当にでっち上げておきますね。あ、血文字で書きましょうか?」

 

「……普通にインクを使え。これ以上、私の執務室を猟奇的な空間にしたくない」

 

さて、暇だから、私の得意技でも使って遊ぼうかな。

私は指先をピンと立てて、極微弱な磁界を展開する。

 

対象は、さっき通り過ぎたばかりの官邸の門。

あの重厚な鉄の門と、それを守る兵士たちが身につけている軍刀や銃の金属部品。

 

それらが音の振動を拾うマイクの代わりになって、私の耳元に彼らのヒソヒソ話を届けてくれる。

これも「極界の錬金術師」たる私の、便利な盗聴テクニックの一つ。

 

『おい……見たか今の。やっぱりできてるよな、あの二人。車に乗り込む前の少将、顔が真っ赤だったし、めちゃくちゃ息も荒かったぞ』

 

ぷっ、と私は内心で吹き出す。

顔が赤かったのも息が荒かったのも、あんたたちの最高司令官のせいじゃないわよ。

 

あの可愛い可愛い、影のバケモノのセリム君を思い出して、勝手に発情して自分の血流を磁力で弄って遊んでいただけ。

 

完全に一人プレイよ、勘違いしないでよね。

 

『やっぱりそういうことだろ。いくら天才でも、大総統の愛人となれば、あの20歳での少将っていう異常な出世スピードも頷ける。昼も夜も、大総統に特別任務でご奉仕してるってわけだ』

 

あんたたち、ホントに想像力がたくましいわね。

あのヒゲのオジサマにご奉仕?冗談じゃない。

私が奉仕したいのも、奉仕されたいのも、セリム君だけだっての。

 

『バカ!滅多なこと言うなよ!誰かに聞かれたら一瞬で消されるぞ。……それに、あの人の出世の理由は、決して枕営業なんかじゃない。お前ら、あの人が誰だか本当にわかってないのか?あの人は……イシュヴァール殲滅戦の、本物の英雄なんだぞ』

 

おっ、ちょっとは私の輝かしい経歴を知ってるヤツもいるじゃない。

そうよ、私はただの綺麗なだけのお飾りじゃないの。

 

『英雄……?ああ、そういえば聞いたことある。国家錬金術師の称号を持ってるって。二つ名は確か、『極界(きょくかい)』の錬金術師だっけか。歴史ある名門貴族の生まれで、錬金術の才能もズバ抜けてて、しかもあのモデル顔負けの美貌。神様ってやつは本当に不公平にできてるよな』

 

『極界……?なんだその仰々しい名前。焔とか豪腕ならわかるが、どんな術を使うんだ?』

 

『……『磁力』を操るんだとさ。見えない強力な磁場を発生させて、戦場にある金属も、敵の武器も、さらには人間の体内にある血までも、全てを意のままに引き寄せてねじ伏せるらしい。イシュヴァールじゃ、あの人が指を鳴らしただけで、敵兵の血が沸騰して全身の穴から噴き出したって噂だ。文字通り、生き血をすする魔女だよ。おまけに……プライベートじゃ男も引っかけ放題で、若い将校からお偉いさんまで、片っ端から食い散らかしてるって専らの噂だぞ』

 

まあ、大体合ってるわね。

男を食い散らかしてるってのは、ちょっと語弊があるけど。

 

私が手を出したのは、任務のついでに「味見」した反乱軍の若い男の子とかくらいだし。

 

『……なるほどな。その見えない引力で、あの『大総統』……つまりアメストリス最強の男まで引き寄せて、手玉に取ってるってわけか。恐ろしい女だぜ、クイーンクロス少将は』

 

ああ、本当に馬鹿な男たち。

あなたたちは、何もわかっていない。

世界の真理も、この国の闇も。

 

彼の背後に、いや、彼の足元に色濃く潜む、底なしの原初の闇。

私の愛しい愛しい、セリム・ブラッドレイ。

 

彼を私のものにするためなら、私はこの国をまるごと磁場の渦に巻き込んで、金属の雨を降らせて、血の海に沈めても構わない。

 

私の操る極界の磁力が、やがてアメストリス全土を巻き込む、誰も逃れられない最悪の嵐になること。

それを知っているのは、今はまだ、私だけ。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回は「セリムに惚れ込んだ狂人国家錬金術師」という設定で書いてみました。
原作のブラッドレイ一家の日常に、どう考えても危険な女が入り込んだらどうなるのか……という発想から生まれたキャラクターです。

感想や評価をいただけるととても励みになります。
・キャラクターの狂気度
・ブラッドレイやセリムの解釈
・磁力錬金術の設定

など、どんな点でも構いませんので気軽にコメントしていただけると嬉しいです。

もし反応があれば、この少将が中央をさらにかき回す続きも書くかもしれません。
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