鋼の錬金術師:極界の魔女~傲慢に恋した極界の少将は、今日も今日とてショタを愛でる~   作:だいたい大丈夫

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原作のシリアスな雰囲気とは少し違う、
ブラックコメディ寄りの内容となっていますので、
そういった二次創作が大丈夫な方のみお楽しみください。


極界の査定と生贄の美少年

私は今、猛烈に不満げな顔を作って両頬を思い切り膨らませている。

 

目の前に座っているのは、アメストリス軍のトップである大総統、キング・ブラッドレイ。

 

でも、そんなの私には関係ない。

納得がいかないものは、絶対に納得がいかないのだから。

 

「……それでぇ?な・ん・で、私がわざわざ田舎の東部に行かなきゃならないんですかぁ〜??」

 

「何度も言っておろう。今年の東部の国家錬金術師の査定はお前に任せると。お前は少将という立場にあるのだから、それくらいの職務は全うしてもらわねば困る」

 

「嫌です!断固拒否します!だって、東部に行ったら愛しのセリム君との『合体(意味深)』が遠のくじゃないですか〜!!」

 

私の瞳には、狂気的なまでの純愛、いや、海より深く山より高い執着がメラメラと燃え盛っているはずだ。

 

愛するセリム君と離れ離れになるなんて、そんなの拷問以外の何物でもない。

毎朝彼の冷たい視線を浴びて、夜は彼が寝静まった後にこっそり官邸の周りをうろつく(警備の名目)という私のささやかな幸せのルーティンを、この眼帯オヤジは奪おうというのか。

 

「……その予定は、恐らく一生ないだろうがな」

 

「いやいやいや!あと少しで靡きますって!昨日だって、私が投げキッスしたら盛大に顔を背けてくれたんですよ!?あれは絶対、照れ隠しです!思春期特有の反抗期と愛情の裏返しってやつです!ねえお義父様、東部には『焔(マスタング)』がいるじゃないですか〜。あいつに査定させればいいでしょ!あいつ、無駄に女遊びばっかりして暇そうにしてるんだから、仕事くらい押し付ければいいんですよ!」

 

東方司令部には、ロイ・マスタング大佐という都合のいい男がいる。

あんな女たらしに仕事を丸投げすれば、万事解決じゃないか。

 

「その焔に査定を出すために、わざわざこちらに寄越す暇はないのでな。彼も忙しいのだ。それに、お前は北部や南部の厄介事は片付けるが、査定のような地味な事務作業をサボりすぎる傾向にある。たまには軍人らしい仕事をしろ」

 

「ええー!そんなの嫌です! 私はセリム君の愛人(自称)として忙しいんです!わかりました!!じゃあ私、めちゃくちゃ厳しく査定しますからね!!気に入らない奴は全員クビ!磁力で身ぐるみ剥がして東部司令部を丸坊主にしてやりますから!!鉄分抜いてフラフラにしてやりますよ!!」

 

実際にやろうと思えば、東部司令部の連中のベルトのバックルとか軍服のボタンとかを一斉に引きちぎって、全裸地獄に落とすことくらい造作もない。

 

「やめんか!!真面目にやれ!!お前が東部を混乱させてどうする!!」

 

さすがの迫力だけど、セリム君への愛を原動力にしている私には全く効かない。

 

「嫌です!!見返りを要求します!!ボーナス!!ボーナス!!ボーナスとしてセリム君の貞操を!!あと、彼が昨日着ていたシャツをジップロックに入れて密封したやつをください!!」

 

「ダメだ!!!却下する!!! …………」

 

「……いや、そういえば……『鋼の錬金術師』は、15歳の金髪でなかなかの美少年だった気がするな……。確か今、東部にいるはずだな……」

 

ピタッ。

 

見開かれた私の瞳孔が、獲物を見つけた肉食獣のようにギュッと細くなるのが自分でもわかる。

 

体内の血流が、セリム君の時とはまた別のベクトルで、急激に加速していく。

 

15歳。

金髪。

美少年。

 

15歳といえば、まさに心も体も変化の真っ只中。

純粋さと危うさが同居する、奇跡のような年齢。

しかも金髪。そして美少年。

 

国家錬金術師というエリートの肩書きまで持っている。

セリム君という絶対的な本命はいるけれど、それはそれ、これはこれ。

出張先でのちょっとした「味見」くらい、神様だって許してくれるはずだ。

 

「はっ!クイーンクロス少将!直ちに東部に出向し、国家錬金術師の査定任務に従事いたします!!アメストリス軍の威信にかけて、その金髪美少年……じゃなくて、鋼の錬金術師の力量を、私のこの身をもって、隅々まで厳しく査定してまいります!!」

 

我ながら、惚れ惚れするような素晴らしい軍人の態度だ。

 

「…………はあ……現金な奴め。お前のその頭の中は、一体どういう構造になっているのだ」

 

「お褒めにあずかり光栄です!愛と欲望でできています!」

 

私の脳内にはすでに、会ったこともない「鋼の錬金術師」の姿が、都合よく美化されて浮かび上がっている。

 

「金髪の美少年……15歳……ゲヘヘ、育ち盛りね。毎日牛乳とか飲んで頑張って大きくなろうとしてるのかな?それとも、錬金術の勉強ばっかりでヒョロヒョロなのかな?どっちにしても美味しいわ。あれは大きいかな?固いかな??……それとも、まだ未開発なら私が後ろを……磁力でいい感じに開発してあげちゃおうかな……ゲヘヘヘヘ」

 

涎が出そうになるのを、必死に啜り上げる。

ああ、早く東部に行きたい。

いますぐ汽車に飛び乗りたい。

 

「……逮捕されんようにな。軍の面子をこれ以上潰すような真似をしたら、いくらお前でもタダでは済まさんぞ」

 

私は満面の笑みで執務室を飛び出し、東部への出張の準備……というか、美少年を捕獲するための網やロープの準備(※比喩表現)にとりかかるのだった。

 

そして、数日後。

 

ホームには、私の出迎えのために一人の男が立っている。

なんだかすごく嫌そうな顔を作っている、東方司令部のお飾り……じゃなくて、立派な大佐殿。

 

「おーおー!エロオヤジことロイ・マスタング大佐じゃあありませんか!出迎えご苦労!苦しゅうない!苦しゅうないぞ〜!!」

 

周囲の乗客たちがギョッとしてこちらを見るけれど、美人の特権で全て許されるはずだ。

 

「……任務ご苦労さまです、少将閣下。長旅でお疲れでしょう」

 

「全然疲れてないわよ!むしろ元気百倍!血湧き肉躍ってるわ!」

 

「それは何よりです。……しかし、査定の日付はまだ数日先のはずですが?なぜこんなに早く到着されたのですか」

 

そんなの、理由なんて一つしかないじゃない。

 

「待ち切れなくてきちゃった!で!で!鋼の錬金術師、エドワード君はもう来てる!?私の可愛い金髪の美少年はどこ!?さあ、早く私の前に差し出しなさい!査定という名目の個人面談(密室)を始めるわよ!!」

 

彼の後ろに隠れているんじゃないかと思って覗き込むけれど、誰もいない。

 

マスタングは「やはりそういう目的か、この女は」とでも言いたげに、大げさに頭を抱える。

 

「…………彼なら、今朝『綴命(ていめい)の錬金術師』のところを紹介したところです。何か調べ物があるそうなので、そちらに向かわせました」

 

「は?綴命?誰それ。そんな人いたっけ??」

 

国家錬金術師の名前なんて、いちいち覚えていない。

私が興味あるのは、セリム君と、若くて可愛い男の子だけだ。

 

「査定予定の人物の資料を渡したでしょう!!セントラルを出る前に、目を通すように念を押したはずですが!読んでいないのですか!」

 

そんなに怒らなくてもいいじゃない。眉間にシワが寄って、余計に老けて見えるわよ。

 

「あ……ごめん。おっさんの資料に興味ないのよね、私。だって、おっさんの調書読んだって、ちっともドキドキしないし。スリーサイズとか、好きな体位とか書いてあるわけじゃないんでしょ?」

 

「仕事しろアバズレ!!貴様は本当に軍の恥だ!!」

 

「うっさいわね!年下に向かってアバズレとはいい度胸してるじゃない。あんたの血液中の鉄分、全部左足の親指に集めて痛風みたいな痛みを与えてやろうかしら」

 

彼は少し怯んだように一歩下がる。私の術の厄介さを知っているからだろう。

 

「……で?その『綴命』ってのは、どんなヤツなのよ。エドワード君をどこに連れ込んだの」

 

「……ショウ・タッカーという男です。二年前、キメラに関する研究が認められて、国家資格を取りました」

 

「へえ、キメラねぇ。あー、思い出したわ。『人語を解する』とかいうヤツでしょ?あんなの胡散臭いったらありゃしないわよ」

 

「脳科学や解剖学の観点から言っても、言語中枢なんてそう簡単に動物の脳に移植できるわけないじゃない。動物の発声器官で人間の言葉を喋らせるなんて、物理的にも無理があるわ。いくら錬金術でも、ゼロからそんな都合のいい構造を作り出せるわけがない」

 

「……『人を混ぜたり』でもしない限りは無理な話よ。人間の言語中枢と発声器官を、そのまま動物のベースに組み込む。それなら理論上は可能でしょうけどね。だとしたら、随分と悪趣味な真似をするおっさんね」

 

「………それができてこその、国家錬金術師でしょう。軍が求めているのは結果です。過程がどうであれ、彼が結果を出したことは事実ですから」

 

なんだか、彼自身もそのタッカーという男のことをあまり快く思っていないのが、声の響きから伝わってくる。

 

「ふーん。で、その後はその『キメラ』の成功例は出てないんでしょ?二年も経ってるんでしょ?」

 

「ええ、そうです。あれ以来、目ぼしい成果は上がっていません。だからこそ、今年の査定は彼にとって正念場なのです」

 

「まあいいわ。おっさんの事情なんてどうでもいいの。私の目的はただ一つ、エドワード君よ!とりあえずそのタッカーとかいう奴の家に行ってみますかー!住所教えなさい!」

 

「待っててね、エドワードちゃん!ついでに弟のアルフォンスちゃんもいるんでしょ!?お姉さんが、君たちの『アレ』をすぐにおっ勃てて上げるからね〜♥磁力で血流ビンビンにしてあげるから、覚悟してなさいよ〜!!」

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

ここが「綴命の錬金術師」ことショウ・タッカーの邸宅であり、私の愛しい金髪美少年、鋼の錬金術師エドワード君が滞在しているというパラダイスだ。

 

「さあて、パラダイスの扉を開けちゃうわよー!」

 

「ごめんくださーい!!国家錬金術師資格を『取り上げ』に来ましたー!!」

 

近所の家の窓がいくつか少しだけ開いて、野次馬の視線がこちらに向くのを感じるけれど、気にする必要なんて全くない。

私はアメストリス軍の少将なのだから、堂々としていればいいのだ。

 

「おいっ!まだ査定前だぞ!!脅してどうする!」

 

「ちょっと、痛いじゃないの!乙女の華奢な腕をそんなに強く握るなんて、セクハラで訴えるわよ!」

 

「お前のどこが乙女だ!!この歩く軍規違反め!!第一、資格を取り上げに来たなんて言ったら、タッカーが警戒してドアを開けないだろうが!!」

 

「あ、そっか。確かにそうね。私としたことが、美少年に会える興奮でちょっとフライングしちゃったわ」

 

私はペロッと舌を出して、可愛くウインクをする。

 

「……あ、間違えちゃった!訂正!美人のお姉さんが遊びに来ましたよー!かわいい少年たち、裸で出ておいで〜!!」

 

これなら警戒されないはずだ。むしろ、大喜びで飛び出してくるに違いない。

健全な十代の男の子なら、美人のお姉さんからの誘惑に勝てるはずがないのだから。

 

「……私は帰るからな。これ以上一緒にいたら、私も変態の仲間だと思われる。いや、すでに近所の住民からは同類だと思われているに違いない。私の輝かしい軍歴に傷がつく」

 

マスタングが、本当に背を向けて帰りそうになる。

 

「何よ冷たいわね〜。イシュヴァールでは同じベッドで眠った仲でしょう??あの時の熱い夜を忘れたの!?」

 

「同じ塹壕(ざんごう)で泥まみれになって寝ていただけだ!!他にも何人も兵士がいただろうが!!言い方を変えろ!!お前はいつもいつも、そうやって誤解を招くような言い方ばかりして!!」

 

「えー、事実じゃないの。狭い塹壕の中で、私の柔らかい胸があなたの背中に当たっていたこともあったはずよ?あの時、ちょっとドキドキしたんじゃないの?」

 

「するわけないだろう!!あの時はいつ敵の弾が飛んでくるかわからない極限状態だ!!おまけにお前は、寝ながら無意識に磁力を暴走させて、私の銃の弾倉を全部ひん曲げたんだぞ!!自分がどれだけ迷惑をかけたか覚えていないのか!!」

 

「あはは、そんなこともあったわねー。若気の至りってやつよ」

 

「つい7年前のことだ!!全く反省していないな!!」

 

私たちが玄関の前でギャーギャーと盛大に夫婦漫才(?)を繰り広げていると、不意にガチャリと重々しい音を立ててドアが開く。

 

そこに顔を出したのは、予想していた美少年ではなく、自分より大きな白い大型犬を抱きかかえた、可愛らしい小さな女の子だった。

 

「はーい……あ、マスタングのおじちゃん」

 

女の子は、マスタング大佐の顔を見てホッとしたように微笑む。

どうやら彼とは顔見知りのようだ。

 

抱えられている大きな犬も、尻尾をパタパタと振って嬉しそうにしている。

 

「あら……小さなお嬢ちゃんね。お父さんはいるかしら??」

 

私の突然の豹変ぶりに、マスタング大佐が「うわっ、気持ち悪っ」という顔でドン引きしているのが横目で見えるけれど、無視する。

 

子供を怖がらせてはいけない。私は基本的には優しいお姉さんなのだ。

 

私のターゲットはあくまで「年下の美少年」と「セリム君」であって、小さな女の子は対象外……いや、可愛ければ女の子でも全然美味しくいただけるけれど、とりあえず今は第一印象を良くしておく必要がある。

 

「うん、パパ、奥にいるよ。ちょっと待っててね」

 

そう言って女の子が奥へ声をかけようとした時、廊下の奥から人の良さそうな、いかにも研究者といった風貌の眼鏡をかけた男性が現れる。

 

なんだか、見るからに幸薄そうな、地味でパッとしないおじさんだ。

 

「おや、マスタング大佐。またどうされたのですか?忘れ物でも?」

 

私の姿にはまだ気づいていないのか、それとも大佐の連れだと軽く見ているのか。

 

「ああ……いや。今回は、この女……いや、上官を連れてきましてね」

 

「初めまして、綴命の錬金術師殿。今回の国家錬金術師の査定を担当します、エレハイム・アレイス・フォン・クイーンクロスです。よろしくお願いするわね」

 

私が名乗った瞬間。

タッカーの顔から、人の良さそうな笑みが完全に消え失せる。

 

「『極界の錬金術師』……!!そ、そうでしたか、閣下が今回の査定の担当なのですか。これは……わざわざ遠方からお越しいただき、恐悦至極に存じます……」

 

どうやら、私の悪名……じゃなくて、輝かしい武勲は、こんな田舎の引きこもり錬金術師にもしっかりと轟いているようだ。

 

まあ、イシュヴァールで私が磁力を使って敵兵の血液を沸騰させて遊んでいた(※任務の一環)という噂は、軍内部ではかなり誇張されて広まっているらしいから。

 

「そうそう♪大丈夫よー!ちゃんと『誠意』を見せてくれれば何も言わないから」

 

タッカーの足元にいる小さな女の子のぷにぷにとした柔らかい頬を、指先でツンツンと突く。

マシュマロみたいで、すごく気持ちいい。

 

「……それにしても、かわいいお子さんね〜♥」

 

女の子の頬を突く指先に、少しずつ、少しずつ、私の内側から湧き上がる「欲望」という名の熱がこもっていく。

この子の体内にも、当然血液が流れている。

鉄分が、脈打っている。

 

私が指先から微弱な磁界を流し込めば、この小さな体は私の意のままに動くし、どんな反応でも引き出せる。

泣かせることも、笑わせることも、恐怖で震えさせることも。

 

ああ、なんて脆くて、壊れやすくて、可愛い生き物なんだろう。

 

「……タッカー、気をつけろ。コイツは『年下なら男女関係なく食い物にする』正真正銘の変態だ。お前の娘さんを近づけるな。冗談抜きで、何をされるかわからんぞ」

 

失礼な。男女関係なく食い物にするなんて、そんな見境のない変態みたいに言わないでほしい。

私はちゃんと、顔の造形と年齢と、私の直感に響く何かを持っている子だけを厳選して美味しくいただいているのだ。

 

誰でもいいわけじゃない。

まあ、この女の子はかなり合格点に近い可愛さだけど。

 

『本当ですか……マズい、この女は危険すぎる!査定の担当者がこんな異常者だなんて……ただでさえ私は今、結果を出せずに追い詰められているというのに!もしこの女の機嫌を損ねて、資格を剥奪されでもしたら……いや、それ以上に、ニーナに何かされたら……!!』

 

「ニーナ、こっちに来なさい。パパはお客様とお仕事のお話があるから、奥の部屋でアレキサンダーと遊んでいなさい」

 

「ちぇっ。せっかく可愛いおもちゃ……じゃなくて、遊び相手を見つけたのに」

 

大人が子供を庇うその必死な姿も、観察対象としては悪くないけれど、私の真の目的はこんなおじさんをいじめることではない。

 

私の本来のターゲット。

極上の金髪美少年。

その姿がまだ見えないことに、私は徐々に焦燥感を覚え始める。

 

「ま、お嬢ちゃんは後でじっくり可愛がるとして。……ねえ、タッカーさん?鋼の錬金術師、エドワード君はどちらに??」

 

早く。早くその若くてピチピチした肉体を私の前に差し出しなさい。

私の全身の血液が、彼を求めて熱く沸騰しそうになっているのだから。

 

『仕方ない……エドワード君、君には犠牲になってもらおう。この女の異常な執着を彼に向けさせれば、私とニーナは当面の間、安全を確保できる。査定の件も、彼がこの女の相手をしてくれている間に、なんとか……』

 

「彼らなら……奥の資料室にいますよ。今日は朝からずっと、熱心に私の蔵書を調べています。……ご案内しましょうか?」

 

「あらホント!?案内は結構よ、自分で開拓するから!!獲物は自分で狩ってこそ美味しいんだから!!」

 

待ちに待った瞬間が、ついにやってきたのだ。

 

「じゃあねマスタング、夕方には迎えのものをよこしなさい!それまで私は、この愛の巣(資料室)でたっぷりと査定業務に励むから!!」

 

「……夕方まで何をする気だ。ただの査定なら、小一時間もあれば終わるだろう。まさか本当に……」

 

私は、カチッと一番上まで留めていた軍服の襟元のボタンを、指先で器用に二つほど外し、少しだけ胸元を緩める。

 

そして、真っ赤な口紅を塗った唇を、艶めかしい舌でゆっくりと舐め回す。

 

「決まってるじゃない!それまでには『2回戦』は余裕でやれるわね! もしかしたら3回戦までいけちゃうかも!さーて、金髪の天才少年のアレは、私の磁界でどう開発されちゃうかな〜♪無理やりあんなポーズやこんなポーズをとらせて……ああ、想像しただけでおまたが疼いてきちゃう!!」

 

頭の中は、これから行われるであろうエドワード君との「濃厚な査定(物理)」のシミュレーションでいっぱいだ。

 

「さあ、待っててねエドワードちゃーん!!お姉さんが今、極上の磁力で君を昇天させてあげるからねー!!」

 

周囲の景色が飛ぶように後ろへと流れていく。

早く、早くあの扉を開けたい。

 

未知の美少年の匂いを、肌の温度を、そして彼が絶望(あるいは快感)に染まる表情を、この目で確かめたい。

 

「……はあ………。逮捕されんようにな……。いや、いっそ逮捕されて軍法会議にかけられてしまえ……」

 

彼が天を仰いで、大総統と全く同じセリフを呟いているのが聞こえる。

 

でも、そんな敗北者の遠吠えなんて、今の私には全く響かない。

私の目の前には、ただ輝かしい未来(美少年)が待っているだけなのだから。




ここまで読んでいただきありがとうございました。

狂人少将エレハイムが
東部でエドワードたちとどう関わっていくのか、
原作の事件にどう影響するのかを書いていく予定です。

もしよろしければ

・キャラクターの狂気度
・マスタングの反応
・原作との違和感

など感想をいただけるととても励みになります。
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