スキマ妖怪の弟が異世界からくるそうですよ?   作:凪玖

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 お久しぶりです。
 とある知り合いにこれ書いてることがばれて馬鹿にされてちょっと鬱です。


 どうでもいいんですけどマッスグマって波乗り覚えるんですね。(ほんとにどうでもいい)


第九話 完全って不可能じゃないの?

 決闘が終わると、黒ウサギたちが駆け寄ってきた。

 

 

 「お見事でしたよ!」

 

 「ああ。なかなか見応えがあったぞ。」

 

 「ん。さんきゅ。」

 

 「まさか私が負けるとは思わなかったぞ。あの球も最後一瞬消えたかと思ったぞ。」

 

 「え、消えたんじゃないの?」

 

 「違うぞ飛鳥。まあ普通はそう見えるだろうけどな。あれはギフトによって高速で移動させたんだ。」

 

 「へ~。どんなギフトなのかしら。」

 

 「白夜叉に聞いてみれば?」

 

 「いや、私にはわからん。」

 

 

 なんだ、わかんないのかよ。そういうのは苦手なのか?まあそっちのほうが知られないで済むからありがたいんだけど。

 黒ウサギなんでちょっとがっかりした顔してるんだ?

 

 「え?白夜叉様でも鑑定出来ないのですか? 今日は鑑定をお願いしたかったのですけど」

 

 なるほどそういうことか。

 

 黒ウサギの言葉にゲッ、と気まずそうな顔をする白夜叉。

 

 「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外どころか無関係もいいところなのだがの」

 

 白夜叉はゲームの賞品として依頼を無償で引き受けるつもりだったのだろう。

 しばらく考える素振りを見せ、ふっと思い付いたように顔を上げた。なんか代案があるのかな?

 

 「ふむ。何にせよ“主催者ホスト”として、“星霊”のはしくれとして、見事試練を乗り越え決闘を制したおんしらには“恩恵ギフト”を与えねばならん。ちょいと贅沢ぜいたくな代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

 

 パンパンと二つ柏手かしわでを打つ。

 すると前に、光り輝くカードが現れた。菫色だ。なんだろうこれ?ん、なんか書いてある。

 

 

 八雲菫 

 ギフトネーム “間の調整者《はざまのちょうせいしゃ》”

        “同化《どうか》”

        “完全な球《かんぜんなきゅう》”

 

 

 これってギフトか?ってことは俺の「間を操る程度の能力」が「間の調整者」でこの球がこの「完全な球」ってことか?つーか完全ってそのままの意味だとしたらこれそうとうやばいぞ...。

 ん、黒ウサギが覗き込んできた。

 

 

 「ギフトカード!」

 「お中元?」

 「お歳暮?」

 「お年玉?」

 「いや、何か書いてあるし年賀状だな。」

 「ち、違います! というかなんで皆さんそんなに息が合っているのです!? このギフトカードは顕現けんげんしているギフトを収納可能で、それも好きな時に再顕現させることの出来る超高価なカードなのですよ!」

 「つまり、素敵アイテムって事でオッケーか?」

 「だからなんで適当に聞き流すんですか! あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

 へ~。これそんなレア物なんだ。

 そこに白夜叉が説明を加えた。

 

 「そのギフトカードとは、正式名称を“ラプラスの紙片”──即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとは、おんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。鑑定は出来ずとも、それを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

 じゃあやっぱりこれは...。

 

 「へえ? じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 

 へ? と白夜叉が十六夜のギフトカードを覗き込む。

 そこには確かに“正体不明”と書いてあった。

 白夜叉は怪訝けげんに眉を顰ひそめる。ぬえみたいな能力かな?

 

 「...いや、そんな馬鹿な」

 

 パシッと白夜叉は彼の手からギフトカードを奪い取る。

 何やら尋常ならざる雰囲気を感じるので、誰も何も言わず静観する。

 

 「“正体不明”にだと...? いいやありえん。全知である“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」

 「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的はこの方がありがたいさ」

 

 

 そう言って、十六夜は白夜叉からギフトカードを取り上げる。

 しかし白夜叉は未だ納得できていないのか、探るような視線を向けていた。

 どうやらギフトそのものが正体不明らしい。すげえな。

 さて、俺のも聞いてみるとするか。

 

 

 「なあ白夜叉。これってどういう意味だ?」

 

 「なんじゃ?間の調整者か。なかなか面白そうなギフトじゃな。他には...。なっ。完全な球だと!?」

 

 この反応はそのままの意味ってことだな。やばえな、これ。

 

 

 「おいおい、まじかよ...。それ俺の正体不明並にやばくないか?」

 

 「俺もそう思う。十六夜。」

 

 「完全な球ってそんなすごいの?」

 

 

 耀はわかってないみたいだな。

 

 

 「凄いなんてものじゃない!これは人類最終試練並の物じゃぞ!」

 

 「じ、人類最終試練!?」

 

 

 黒ウサギがかつてないほど驚いてる。人類最終試練ってやばそう。

 

 

 「何がそんなすごいの?」

 

 「ん~まあ簡単に言うと、球を作るには円周率を使うんだけど、その円周率は無限に数字が続くんだ。」

 

 「そんなの矛盾してるじゃない。」

 

 「その通りだ飛鳥。だから、完全な球に限りなく近づけることはできるが、完全な球は絶対に作れない。はずなんだけどなあ...。」

 

 「...これは、誰が、どうやって作ったんじゃ?」

 

 「俺と姉さんが協力して作った。まあ作った目的は違って、完全な球ってことは今初めて知ったんだけどな。」

 

 「そうか...。おんしいったい何者だ?」

 

 「秘密。まあそんな大した者じゃないよ。」

 

 「人類最終試練並の物を作る奴が大したことない奴なわけないじゃろうが...。まあ、今日の所は本拠に帰るといい。元の世界に戻るぞ。」

 

 

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 「今日はどうもありがとう。また遊んでくれると嬉しい」

 「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦する時は対等な条件で挑むのだもの」

 「ああ。吐いた唾つばを呑み込むなんて、恰好かっこう付かねえからな。次は懇親こんしんの大舞台で挑むぜ」

「ま、がんばれ~。」

 「ふふ、よかろう。楽しみにしている。……ところで」

 

 白夜叉はスッと真剣な顔で日向達を見る。

 

 「今更だが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは黒ウサギ達のコミュニティの現状を把握はあくしているのか?」

 「あん? ああ、名前とか旗とかの話か? それなら聞いたぜ」

 「ならそれを取り戻すために、“魔王”と戦わねばならんことも?」

 「勿論もちろんだ。全てを承知した上で、俺達は黒ウサギ達に協力することにした」

 「まだ俺は決めてないけどな。」

 「そうか。……ふむ、黒ウサギは良き同士と巡り会えたようだの」

 

 白夜叉は優しげな笑みを黒ウサギに向ける。

 彼女の苦労を誰よりも知っているからこそ、色々と思うところがあるのだろう。こういう一面も持ってるんだな。

 しかし次の瞬間、白夜叉は一転して厳しい表情になった。

 

 「じゃが、だからこそ言っておく。仮に今後、おんしらが魔王と一戦交える事があるとすれば……そこの娘二人は確実に死ぬぞ」

 

 咄嗟とっさに言い返そうとする飛鳥と耀だったが、白夜叉の放つ有無を言わせない威圧感に押し黙る。まあそうだろうな。こいつらはまだまだ未熟だ。

 

 「..ご忠告ありがと。肝に命じておくわ」

 

 白夜叉はそれだけを伝えると、再び柔和な笑みに戻った。

 

 「うむ、くれぐれも用心するようにな。私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来るといい」

 

 「では本拠に行きましょうか。」

 

 あ、やべ。俺ノーネームに入ってないジャン。

 

 

 「菫様は本日は客人として扱いますよ。一緒に行きましょう。」

 

 「さんきゅー。助かる。」

 

 

 こうして俺たちは、“サウザンドアイズ”支店を後した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 “同化”についてはいずれわかります。

 ちなみに菫色というのは紫みたいな色です。彼の名前もこの菫色からとりました。
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