スキマ妖怪の弟が異世界からくるそうですよ?   作:凪玖

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前回指摘があったため、今回から色々書き方を変えました。文字数が減ると思いますがどうか許してください。


第十二話 打倒魔王って響きいいよね♪

凄い形相で俺と十六夜を連れてきたジンは、堪りかねたように大声で叫んだ。

 

「どういうつもりですか!」

「まあそう怒るなよ。“打倒魔王”が“打倒全ての魔王とその関係者”になっただけだろ。」

「まあそうだな。“魔王にお困りの方、ジン=ラッセルまでご連絡ください。”って感じでいんじゃね?」

「全然笑えませんし笑い事じゃありません!魔王の力はさっき充分理解したでしょう!?」

「勿論。あんな面白そうな力を持った奴と戦えるなんて最高じゃねえか。」

 

今のは流石に自重すべきだろ十六夜。流石にそれはふざけすぎだ。案の定ジンは絶句して信じられないといった顔をしている。

 

「お面白そう? では十六夜さんは、自分の趣味の為ためにコミュニティを滅亡に追いやるつもりですか?」

 

まあそうなるよなー。ここはフォロー入れとくか。

 

「まあ落ち着けってジン。十六夜はこんなこと言ってるけど、一応これコミュニティ再建のための作戦でもあるから。」

「作戦...?どういうことです?」

 

これは自力でわかって欲しいな。

 

「まず先に確認しておきたいんだけどな。ジンは俺達を呼び出して、一体どうやって魔王と戦うつもりだったんだ? あの廃墟を作った相手や、白夜叉みたいな力を持つのが“魔王”なんだろ?」

 

ジンは黙り込んだ。多分全然考えてなかったんだろう。リーダーがこれじゃほんと心配だな。入るのやめるか。

 

「まず……水源を確保するつもりでした。新しい人材と作戦を的確に組めば、水神クラスは無理でも水を確保する方法はありましたから。けどそれに関しては御二人が想像以上の成果を上げてくれたので、素直に感謝しています」

「おう、感謝しつくせ」

 

ケラケラ笑う十六夜。

 

「んで、続きは?」

「ギフトゲームを堅実にクリアしていけばコミュニティは必ず大きくなります。たとえ力のない同士が呼び出されても、力を合わせればコミュニティは必ず大きくできます。ましてやこれだけ才ある方々が集まれば、どんなギフトゲームにも対応できるはずだったのに...。」

 

うーんまあ10歳のやつが考えたらそんなもんか。

 

「だけど十六夜があんなこといったから、力を付ける前に魔王とゲームしなくちゃいけたいってことか。」

「そうです。それがどれだけ大変なことかわかってるんですか!?」

 

 

ジンは叫ぶと同時に大広間の壁を強く叩いた。よほど腹に据えかねたのだろう。

 

「なるほどねー。要するに何も考えてなかったわけね。」

「なっ。どういう意味ですか?」

「ギフトゲームに参加して力を付けるなんて当たり前だろ。問題は、どうやって魔王を倒すかだ。今お前らは“ノーネーム”なんだぞ?」

「...」

 

ジンは考え込んだ顔をしている。ここまで言ってわかんなかったら俺このコミュニティ入るのやめよう。

 

「おチビ様にヒントだ。前のコミュニティが大きくなったのは、ギフトゲームだけだったのか?」

「...」

「オイ十六夜ヒント出すなよ。」

「まあ許せ。多分このままじゃわかんなかっただろうからな。」

 

やがてジンはハッとした顔をした。まあここまで言えばわかるだろ。

 

「そうか...。先代はギフトゲームだけで大きくなったんじゃない。優れた人材もたくさんいたんだ。でも僕たちは“ノーネーム”。名も旗印もないコミュニティに、十六夜さんたち以外に人材が集まるわけじゃない...。だからリーダーである僕の名前を売って、人材を集めようってわけか。」

 

わかったみたいだな。

 

「80点ってとこかな。さらにいえば、それでもし魔王を倒せば、必ず波紋が広がる。その波紋に反応するのは、魔王と誰かわかるか?」

「同じく“打倒魔王”を胸に秘めた奴ら、だろ?」

「オイ答えいうなよ」

「いや俺としてはここまでおチビ様が理解してくれれば十分だったからな。」

「なるほど...。」

 

ちゃんと理解したみたいだな。まあ及第点だろ。

 

「だから今回はチャンスだぜ?相手は魔王の傘下、しかも勝てるゲーム。被害者は数多のコミュニティ。ここでしっかりおチビの名前を売れば、好スタートが切れるぞ。」

「ま、ジンが懸念するように他の魔王を引き寄せる恐れは大きいだろうが、黒ウサギが言ってたように魔王って隷属させられるんだろ?だったら逆にコミュニティを強くするチャンスにもなるぞ。」

 

ジンはまだ迷った顔をしている。この作戦はリスクが大きいからな。実力がわかんなかったら不安なのだろう。

 

「一つだけ条件があります。今度開かれる“サウザンドアイズ”のギフトゲームに、十六夜さん一人で参加してもらってもいいですか?」

「俺の力をみせろってことか?」

「それもあります。ですがもう一つ理由があります。このゲームには僕らが取り戻さなければならない、もう一つの大事な物が出品されます」

 

大事なもの...

 

「「まさか...昔の仲間か?」」

「はい。それも元・魔王だった仲間です」

 

その瞬間、十六夜の瞳が光った。

軽薄な笑いには凄みが増し、危険な香りのする雰囲気を漂わせ始める。

危ないやつだなー。

 

「へえ? つまりお前らは、魔王に勝利し隷属させた経験があるのか。そしてそんな強大なコミュニティでさえも滅ぼせる──仮称・超魔王とも呼べる超素敵ネーミングな奴も存在している、と」

 

十六夜ってネーミングセンスないな。

 

「そ、そんなネーミングでは呼ばれていません。魔王にも力関係はありますし、十人十色です。魔王とはあくまで“主催者権限”を悪用する者達のことですから」

 

ようするに主催者権限っつーのを悪用したらなんでも魔王ってことか。

 

「ゲームの主催は“サウザンドアイズ”の幹部の一人です。商業コミュニティですし、僕らを倒した魔王と何らかの取引をして仲間の所有権を手に入れたのでしょう」 

「なるほどな。とにかく俺が、その仲間を取り戻せばいいんだな?」

「はい、その通りです」

「俺それ見に行くわ。」

「あいよ。んじゃ、話はここまでだな。部屋行くか、菫。」

「ああ。そうだな。明日がんばれよ。」

「そうだな。負けるなよおチビ。」

「はい。ありがとうございます。」

「負けたら俺、コミュニティ抜けるから。」

「はい。.....え?」

「あ、俺も明日のゲームで入るか決めるから。活躍しろよ。」

「ええええ......。」

 

さて、明日が楽しみだな。

 

 

 

 

 

 

 







次の投稿は3/1です。
なんか塾に本格的に通うことになったので、文字数がさらに減るかもしれません。

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