アムロの必殺技はコロニー落としなんでしょ   作:匿名

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第20話「マブ戦術」

 

『カタパルト、接続確認——よし、全機スタンバイ』

 

 ドレンさんの声が、格納庫に響いた。

 

『1番カタパルト、キャスバル機。射出準備完了』

「キャスバル・レム・ダイクン。出る」

 

 赤いザクが、カタパルトの光の中に消えた。

 

『2番、アムロ機。どうぞ』

「アムロ、行きます!」

 

 トリコロールのザクが、宇宙を駆ける。

 

『3番、シャリア機、4番、ラル機。どうぞ』

「シャリア・ブル。発進します」

「ランバ・ラル。出るぞ」

 

 白いザクと青いザクが、展開する。

 

『5番、キリコどうぞ』

 

 俺はシートに背中を押しつけた。

 手が、震える。

 緊張か。武者震いか。

 

「キリコ。出ます!」

 

 Gが体を叩いた。星の海が、一気に広がる。

 

 左肩だけが赤いザク、レッドショルダー。

 その右手には——剣があった。

 

 それは、剣というにはあまりにも大きかった。

 機体の全長を大きく超える。振り回すだけで周囲の空間を薙ぎ払えそうな、馬鹿げたサイズ。

 

 ある世界では、ギー・ヘルムートという人物が使ったとされる試作兵器。

 

 超大型ヒートソード(・・・・・・・・・)

 

 ——テムさん、最高だぜ。

 

「ラルは艦の護衛を」

『任された』

「アムロ、シャリア、キリコ。行くぞ」

 

 キャスバルさんの声は、静かだった。

 

『ええい! 全機発進! ガルマ閣下をお守りしろ!』

 

 怒声が飛んだ。

 旗艦の格納庫から、ザクが次々と射出されていく。

 

 1機、2機、3機——

 

 12機のザクが、ガルマの周囲に展開した。

 

 ザクが、一斉に火を噴いた。

 マシンガンの弾幕が宙域を埋め尽くす。

 

 だが——

 

 赤いザクが、弾幕を裂いた。

 肉薄されたザクが反応すらできない。胴体を蹴り抜かれ、コクピットごとひしゃげる。1機目。

 

 その反対側——三色ザクが、見えないはずの死角から撃ち抜いていく。

 2機、3機。狙いを定める暇すら与えない。

 

 シャリアさんの白いザクは、戦っていないように見えた。

 ただ静かに動いている。だが敵が逃げる先に、すでに銃口が置かれている。4機目、5機目。

 

 そして俺は——

 

「うおおおお!」

 

 レッドショルダーの大剣を振りかぶる。

 

 目の前のザクがマシンガンを構えた。見えた。タイミングが見えた。

 左に——そこ!

 

 大剣が、ザクを縦に両断した。6機目。

 返す刀。7機目の頭部が飛ぶ。

 

 残りが散開しようとした。遅い。

 赤と白と三色が、四方から喰らいついた。

 

 8、9、10——11——

 

 最後の1機が、背を向けた。

 

 キャスバルさんの赤いザクが、その背中を蹴った。蹴っただけだ。

 それで、終わった。

 

『ば、ばかな……! 12機のザクが、たった一分で……!』

 

 だが、新たな機影が3つ。

 

『ジョニー・ライデン。参る!』

『シン・マツナガ。閣下の盾となる』

『ガトー。ザビ家の大義に殉じる!』

 

 そして——

 

 ガルマのザクが、ゆっくりと前に出た。

 

『シャア! シャア!! シャア!!!!』

 

 確かめるように。その名を三度。

 その声は、震えていた。

 

「ガルマ。まだ間に合う。こちらに来い」

『……私とて、ザビ家の男だ』

「お前はガルマだ。ただのガルマでいいんだ」

 

 あの時、一緒に食事をして笑っていたガルマが頭をよぎる。

 

『——だからこそ、許せないのだ!』

 

 ガルマのザクを守るように、三機が展開する。

 

『閣下、お下がりを!』

 

 ジョニーが正面から突っ込んできた。シャリアさんの白いザクが、その前に滑り込む。

 

「若いな」

『この程度で!』

 

 マツナガの重い一撃を、俺は大剣で受けた。

 

「コロニーにガスを撒くのが大義なんですか!」

『……答える義務はない』

 

 返す刃が、レッドショルダーの装甲を掠めた。冷や汗が背中を伝う。

 アムロの三色ザクが、ガトーと高速で斬り結ぶ。

 

『理想なき者に、語る言葉はない!』

 

 キャスバルさんの声がした。

 

「行くぞ」

 

 合図はそれだけ。

 

 赤いザクが動いた。三色ザクが、もう反対側にいた。

 

 キャスバルさんがジョニーに噛みつく。振り向いた——背中を、アムロが刺す。

 ガトーがアムロに飛びかかる。退路に、シャリアさん。

 

「これが、私たちのマブ戦術だ」

 

 シャリアさん、その名前はちょっと恥ずかしいから変えてほしい……

 

 噛みついて、刺して、回して、薙ぐ。言葉はいらない。

 

 ——だが。

 

『この程度で!』

 

 キャスバルさんの死角を突いたアムロの射撃を、ジョニーが機体を強引に捻って躱した。

 マツナガの斧が俺の大剣を受け流し、そのままカウンターを入れてくる。

 ガトーの眼光が、シャリアさんのプレッシャーを押し返していた。

 

 さっきの12機とは違う。

 

「……粘るな」

『エースってのは、こういうもんだろうよ!』

 

 ジョニーが笑っていた。

 

 瞬間——コロニーの外壁に、無数の光が走った。

 

「何の光!?」

「あれは……溶接光です」

 

 シャリアさんの声が、低かった。

 

 巨大な構造物が取り付けられようとしていた。

 

 核パルス推進装置。

 

「なぜだ!」

「ガスは防いだはずなのに!?」

「まさか、生きたまま……」

 

 ——落とすのか。数百万人を乗せたまま、地球に。

 

「くそっ……!」

 

 この三機に構っている暇はない。

 

 ——ならば。

 

「アムロ! シャリアさん! キャスバルさん! あれを使うぞ!」

 

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