アムロの必殺技はコロニー落としなんでしょ 作:匿名
「ジェットストリームアタックだ!」
俺が叫んだ。
4機のザクが一列に並び、加速した。
三連星に叩き込まれた陣形。キャスバルさんが切り込み、アムロが死角を撃ち、シャリアさんが意識を揺らし、俺が斬る。
キャスバルさんの赤いザクが、ジョニーの懐に潜り込んだ。反応は速かった——だが、半拍遅い。
『バカな——速すぎ——!?』
頭を蹴り抜かれ、ジョニー機が錐揉みに吹き飛んだ。
マツナガが斧を振りかぶった。その腕をアムロが撃ち抜き、よろめいた足をシャリアさんの一射が貫いた。
『……見事だ』
静かに、マツナガ機が沈黙した。
ガトーだけが、まだ立っていた。片腕を失いなお前に出る。
『退かん……退かんぞぉ!』
だが、俺の大剣が、その最後の武器を叩き折る。
最後に残ったのは、ガルマだった。
『行かせん』
「ガルマ。もう時間がない。コロニーが動き出す」
『知っている』
「お前が止めろ。ザビ家の人間として」
『——できない』
ガルマの声が、苦しそうに歪んだ。
『父上の命令だ。兄上たちの総意だ。私一人が反対しても——止まらない』
「ならば——お前はなんのために前線に出た」
沈黙。
「1日遅らせたのは、止めたかったからだろう」
『……違う。お前に時間を与えたかっただけだ』
「同じことだ、ガルマ」
キャスバルさんの声が、優しかった。
「お前は、最初から——こちら側の人間だ」
ガルマのザクが——動かなかった。
ヒートホークを構えたまま、動けなかった。
『……卑怯だぞ、シャア。そんな言い方は、卑怯だ』
ガルマのザクが、ゆっくりと——ヒートホークを下ろした。
◇ ◆ ◇
4機のザクが、核パルス推進装置に向かって飛んだ。
コロニーの外壁に、巨大な装置が溶接されている。
工兵隊がまだ作業を続けている。もう、ほとんど完成していた。
——その時。
推進装置に、火が入った。
コロニーが、震えた。
「嘘だろ……もう動き出してる!?」
コロニーが——ゆっくりと、軌道を変え始めた。
「止めるぞ!」
4機が推進装置に急行する。
——だが。
その前に、壁が現れた。
モビルスーツの壁。
ザク。ザク。ザク。ザク。ザク。ザク。ザク。
数えきれない。20機。30機。いや、もっと。
その中央に——一機だけ、異質な機体があった。
巨大。重厚。指揮官機。
『やらせはせん!』
腹の底から響く声が、宙域を震わせた。
『やらせはせん! やらせはせんぞぉぉぉ!!』
ドズル・ザビ。
ザビ家の三男。宇宙攻撃軍司令。
その巨体に似合う巨大な機体が、俺たちの前に立ちはだかった。
「……勘弁してくれ」
俺は呟いた。
これでは、間に合わない。
その時——宙域の端に、光が走った。
ドズル隊の側面を、ビームの雨が貫いた。
一斉射。正確で、容赦がない。
『なんだ!?』
ドズルが叫んだ。
宙域の向こうから、艦隊が現れた。
『地球連邦軍、レビル艦隊。ロンドベルに助太刀いたします』
俺は——キャスバルさんを見た。
「まさか……」
「遅いぞ、レビル」
……やってくれるぜ、キャスバルさん。
あんた、やっぱり本物の主人公だ!
連邦艦隊がドズル隊と交戦を始めた。
宙域が一気に戦場になる。
だが——
「コロニーが……止まらない!」
アムロが叫んだ。
核パルス推進装置は、すでに起動している。
「ええい!」
推進装置の周囲には、まだ護衛のモビルスーツが残っている。
連邦艦隊がドズル隊を引きつけている今がチャンスだが——
「俺が行きます」
「キリコ——」
「俺が——あれを斬る」
超大型ヒートソードが、星の光を反射した。
「テムさんが言ってたじゃないですか。この剣は艦船を両断するために作られたって」
「無茶だ」
「無茶は得意です」
「たかがコロニー一つ、ザクで押し出してやりますよ」
「キリコ、待て!」
レッドショルダーのスラスターが、キャスバルさんの声を置き去りにした。
ザクの壁が立ち塞がる。
「そこっ!」
シャリアさんが、道を開く。
「出てくるから!」
アムロが、それを広げる。
気がつけば、核パルス推進装置が目の前にあった。
巨大。熱い。光っている。稼働中の推進装置が、コロニーを地球に向かって押している。
レッドショルダーが、超大型ヒートソードを構えた。
この剣ですら、コロニーに比べればマッチ棒だ。
でも。
999時間。モンハンで過ごした、あの時間。
溜め3のタイミングは、体が覚えてる。
火竜の尻尾を切り落とすのと同じだ。
溜め1。ヒートソードの刃が、赤く輝いた。
「行け、少年」
流れ込んでくる、シャリアさんの思いが。
刃が膨れ上がる。赤い光が、刀身の倍まで伸びた。
溜め2。
「僕の分も!」
アムロの声だ。
光の剣が、灼熱する。
溜め3。
「キリコ……やれ!」
キャスバルさんの思いが、背中を押す。
光が爆発的に広がった。
刀身が、コロニーを覆うほどに巨大化する。
——これが
「俺たちの、Gクロスオーバーだ!!」
光の大剣が、核パルス推進装置を両断した。
一瞬の沈黙。
それから——光が、膨れ上がった。
推進装置が内部から崩壊し、閃光が宙域を白く染めた。
意識が、遠くなっていく。
これは死ではない。人類が生きるための——
『キリコ!!』
最後に聞こえたのはみんなの声だった。