呪力は呪力でも呪力かよ!?   作:パンツ男

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15スレ目

 ︎︎入学式は一部を除いて問題無く終了した。新入生代表スピーチも噛まずにできてホッとした。やはりというかなんというか、雄英の入学式は普通だった。最難関の高校だからか勝手にハードルを上げていたようで、見事にくぐり抜けてしまった。

 

 ︎それにしても隣のクラス……1年A組が担任含めた全員が入学式に参加していなかったが、理由を聞いてもいいのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1:ヒロアカ陰陽師

入学式も無事に終わって教室に戻ってるですけど、1年A組がいなかった理由って聞いても大丈夫な感じですか?

 

2:名無しの転生者

スピーチお疲れ様。

多分、ブラドキングが教えてくれると思うけど聞きたい?

 

3:ヒロアカ陰陽師

お願いします。

 

4:レジェンドプロデューサー

簡単な話だ。

1年A組の担任、相澤消太は合理性の塊だ。

入学式よりも、ヒーローになるために時間を使った方が有意義だと考えている。

入学式の間、1年A組はグラウンドで“個性”把握テストを行っていたぞ。

 

5:ヒロアカ陰陽師

“個性”把握テスト?

 

6:縁柱ドンモモタロウ

“個性”ありで体力測定をするんだよ。

文字通り、自分の“個性”で何ができるのか把握させるためのものだな。

 

7:ヒロアカ陰陽師

なるほど……。

1年A組の事情はわかりました。

ちなみになんですけど……相澤消太ってあの相澤さんで間違いないですよね?

 

8:レジェンドプロデューサー

あぁ、イッチと交流のあったその相澤で間違いないぞ。

あの事件の後、色々あって雄英の教師になったんだ。

 

9:ヒロアカ陰陽師

……世間って狭いんですね。

 

10:聖剣使いのプロブレーダー

あるあるだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室に戻ると、今後のカリキュラムの説明や行事などの簡単話を聞き、自己紹介や質問の時間となった。

 

「先生、1年A組が入学式にいなかったのってなんでですか?」

 

「あぁ……担任の相澤の独断だろうな……」

 

「それっていいんですか?」

 

「雄英は自由な校風が売りだ……それは教師も然りだ」

 

 ︎︎俺以外にもA組がいないことを疑問に思っているクラスメイトは多く、真っ先にブラドキング先生に質問していた。

 

「今日、A組が行っていたのは“個性”把握テスト。皆にも後日受けてもらう」

 

「先生!俺たちも今日やった方がいいのでは?」

 

「確かに!A組に遅れを取りたくねぇしな!」

 

「まぁ待て、皆の向上心は素晴らしいものだ。しかし、君たちは学生だ、今日のような行事ごとにも積極的に参加して欲しい。一度きりの高校生活を楽しみ、そしてヒーローになるために励んでくれると嬉しい……俺は君たちに堅実にそして確実にヒーローとして歩んでもらいたい」

 

「先生……はい!」

 

 ︎︎A組が本来の予定よりも早く“個性”把握テストを受けたことを知り、焦りか対抗心か分からないが、男子が立ち上がりブラドキング先生に提案する。

 ︎︎だが、ブラドキング先生は俺たちをヒーロー志望であると同時に学生だと諭し、カリキュラム通りに行うと宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11:ヒロアカ陰陽師

……ブラドキング先生っていい人ですね。

生徒思いでちゃんと寄り添う感じで良かったです。

 

12:縁柱ドンモモタロウ

まぁ生徒愛は強い先生なのは、原作でも描写されてたからそこは心配ないんだけどね。

 

13:ヒロアカ陰陽師

何かあるんですか?

 

14:聖剣使いのプロブレーダー

生徒愛が強すぎて……後々暴走する。

 

15:ヒロアカ陰陽師

えぇ!?それって大丈夫なんですか!

 

16:レジェンドプロデューサー

それで何か問題が起きるとかはないから安心しろ。

 

17:竜舞ガブ

ギャグシーンみたいなあれやから、気にせんでええで。

 

18:ヒロアカ陰陽師

わかりました……。

 

19:竜舞ガブ

それより、クラスの子と親睦深めんでええんか?

 

20:レジェンドプロデューサー

ブラドキングから説明はあったかもしれないが、雄英のヒーロー科はクラス替えがないからな。

基本は今の面子で3年間過ごすことになる。

 

21:ヒロアカ陰陽師

わかりました。

何かあったらまたスレに報告しますね。

それではお疲れ様です。

 

22:名無しの転生者

おつかれ!

大変かもしれないけど頑張れ!

 

23:縁柱ドンモモタロウ

応援してるぜ!

お疲れ様!

 

24:レジェンドプロデューサー

雄英生活、色々あると思うが雑談でも相談でも付き合うから、あまり気負いすぎるなよ。

お疲れ様。

 

25:竜舞ガブ

頑張れよイッチ!

俺たちはイッチを応援してるからな!

おつかれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブラドキング先生に学校のことなどを質問している時間、俺はスレと現実の2つに意識を集中していたがどちらも問題なく両立できた。数年間、掲示板に入っていなかったから感覚は鈍っていると思ったが、一度はできていたから慣れるのに時間はかからなかったみたいだ。

 

「質問は以上でいいか?なら、今日はこれで解散だ。明日から先程渡した時間割通りに授業が始まる、慣れるのに大変かもしれないが頑張ってくれ」

 

「「「「「はい」」」」」

 

「よし、では号令を……出席番号1番の蘆屋頼めるか?」

 

「わかりました。……起立!礼!」

 

 ︎︎初日ということもあり、俺が号令を任された。号令が終わると皆、連絡先の交換や明日からの授業について話し始めた。俺は特に用もないので鞄を持って帰ろうとしたが、クラスメイトに呼び止められた。

 

「あ!蘆屋待って、連絡先の交換しようよ」

 

「俺も!俺も!」

 

 ︎︎教室を出ようとした俺を呼び止めた拳藤はスマホを俺に差し出した。画面にはQRコードが表示されている。

 

「わかった」

 

 ︎︎俺もスマホを取りだして、表示されたQRコードを読み取って連絡先を交換した。

 

「よし、交換できたね」

 

「そうだな」

 

「蘆屋ってこの後、用事とかあるの?帰ろうとしてたけど……あ、いや別に用があるなら呼び止めて悪かったなって話で……」

 

「いや、急ぎの用はないから安心しろ……ただ……」

 

「ただ?」

 

「……中学の時は色々あってボッチで……放課後、教室で駄弁ることとかなかったから……」

 

「そっか……なら、さっきの続き聞いてもいい?」

 

「俺の“個性”についてか?」

 

「うん」

 

「俺も気になるからいいか?」

 

「ん」*1

 

「あぁ」

 

 ︎︎拳藤や泡瀬、小大が俺の机に集まり“個性”について詳しく聞いてくる。

 

「俺の“個性”はこの霊符を使うって言ったよな。正確には呪力ってエネルギーを消費することで霊符に込められた力を使うことができる」

 

「呪力?」

 

「呪力って……呪い的なあれってこと?」

 

「ん?」*2

 

「いや、どちらかといえば(まじな)い的な方だ」

 

「俺の“個性”は陰陽師モチーフみたいなとこあるからな」

 

「言われてみれば確かに!」

 

「話を戻すが、呪力はゲームで言うMPみたいなものだと思ってくれ」

 

「OK」

 

「それでこの霊符ってやつを使うんだったよな……トレーニングにも使ってるって言ってたよな?」

 

「あぁ、効果は霊符によって様々だ。例えば……この飛天駿脚は脚力を強化することができる」

 

「足がめっちゃ早くなるってこと?」

 

「それもだ。脚力強化ってことはジャンプ力や蹴りも強くなる」

 

「ん?」*3

 

「それは鎧包業羅、防御力が上昇する」

 

「俺と被ってんな!」

 

「ッ!?鉄哲……」

 

 ︎︎小大が机に広げた霊符の中から取った一枚、鎧包業羅について説明していると、いつの間にか近くにいた鉄哲が話に入ってくる。

 

「悪りぃ盗み聞きするつもりはなかったんだけどよォ!防御力上昇って聞こえて俺と似てるなって……俺の“個性”はこんな感じで、体を鉄みてェにできる!」

 

 ︎︎鉄哲は“個性”を使い腕を金属化した。確かに防御力上昇という面では鎧包業羅と似ている。

 

「身体の金属化か……矛にも盾にもなる強い“個性”だな」

 

「おうよ!」

 

「なぁこの霊符は?」

 

「それは砕岩獅子、腕力強化だ」

 

「あ、それは私の“個性”に似てる」

 

 ︎︎泡瀬が手に取った霊符を説明すると拳藤が自分と似てると言う。拳藤は“個性”を使い少し手を大きくする。

 

「私の“個性”は“大拳”、両手を大きくできるんだ」

 

「へぇ……なら大きくした分だけ腕力も強化されるのか?」

 

「うん」

 

「ん!」*4

 

 ︎︎俺の“個性”について聞く集まりがいつの間にか皆の“個性”発表会みたいになってきた。小大や泡瀬が自身の“個性”を披露していると、また後ろから声をかけられた。

 

「へぇ……面白そうな話してるね」

 

 ︎︎金髪で眠たげな眼差しにニヒルな笑みを浮かべているクラスメイト……確か物間って名前だったはずだ。

 

「物間だっけか……お前も興味あるのか?」

 

「まぁね僕は“個性”が特殊だから他人の“個性”に凄く関心があるんだ」

 

「どんな“個性”か聞いていいか?」

 

「“コピー”だよ。触れた相手の“個性”を数分間使える」

 

「凄い“個性”だな」

 

「え?」

 

 ︎︎物間が自虐するかのように自身の“個性”を伝えた。俺は打算も何もなくただただ称賛を口にした。それが不思議だったのだろう、物間は驚いた顔のまま固まってしまった。

 

「大丈夫か……?」

 

「え、あぁ……うん」

 

「なんか悪いこと言ったか?」

 

「そうじゃなさ……“コピー”つまり僕は一人じゃ何も出来ない……脇役だと思ってたから……凄いって言われると思ってなくてね」

 

「別に……気にしなくていいだろ、俺たちはオールマイトじゃないんだ……協力してオールマイト分の活躍をすればいい」

 

「……」

 

「必要なら俺の“個性”をコピーしろ、それを馬鹿になんかしねぇよ。物間……お前は脇役じゃねぇどんな役にもなれるお前は特別だ……充分主役だよ」

 

「ははっ……過大評価だね」

 

「だったら……正当な評価をするために物間のこと教えてくれよ」

 

「君はそうやって何人も口説き落としてきたのかい?」

 

 ︎︎俺は物間に手を差し出した。物間は少し照れくさそうに頬を掻くと、差し出した手を握った。

 

「これからよろしく蘆屋」

 

「晴臣でいい、苗字は言い難いだろ?……よろしく物間」

 

「なんか熱くていいな!」

 

「青春ってやつか」

 

「男子のそういうのわかんないけど……まぁいいんじゃない」

 

「ね」*5

 

 ︎︎物間と友達になったあとも、“個性”発表会は続き気づけば参加者も増えて騒がしくなっていた。入学式前はぼっちを覚悟していたが杞憂に終わる。

 ︎︎“個性”発表会が盛り上がり、なかなか帰らない俺たちに、ブラドキング先生が帰りを促したことでようやくお開きとなり、皆少しずつ帰り始めた。

 

 

 

「……」

 

「あ!いたいた!」

 

 ︎︎教室を出て校門に向かう俺を誰かが呼び止める。振り向くと制服だけが浮いている。

 

「葉隠か」

 

「うん!晴臣くん久しぶり!合格したんだね!」

 

「俺の事探してたのか?」

 

「そうだよ……これ返すね!」

 

 ︎︎葉隠は俺に紙袋を押し付けた。

 

「これ……あぁ願掛けか」

 

「効果あったね……」

 

「どうかしたか?」

 

「眉間のシワが少し緩んでるね」

 

「え?」

 

 ︎︎俺は眉間に指を当てる。シワが緩んでいるかは分からないが、今の動作が面白かったのか葉隠は笑った。

 

「ねぇ!連絡先交換しようよ!」

 

「そうだな」

 

「帰りどこまで?良かったら途中まで一緒に帰ろうよ!」

 

「わかったから引っ張るなよ」

 

 ︎︎葉隠に引っ張られながら俺は校門を抜けた。

 ︎︎こうして俺の雄英初日は終わった。

*1
私もいい?

*2
呪うの?

*3
じゃあこれは?

*4
私の“個性”も聞いて!

*5
いいと思う。

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