呪力は呪力でも呪力かよ!? 作:パンツ男
︎︎翌日、昨日通達があった通り俺たちはグラウンドで“個性”把握テストを行うことになった。体操服に着替えてグラウンドに集合した俺たちを待っていたブラドキング先生は、全員揃ったことを確認すると、テストの説明を始めた。
「昨日話したと思うが、今からお前たちには“個性”把握テストを行ってもらう。小中と“個性”を使用せずに体力測定をしたと思うが、今回は“個性”を使って構わない」
「なんか面白そう」
「ワクワクしてきたね」
「まだ説明中だ。体力測定で自分の“個性”を活かすにはどうすればいいのか、自分がどの程度“個性”を扱えるのか把握してもらいたい……蘆屋」
「はい」
「皆に手本を見せて欲しい、中学のソフトボール投げの記録は?」
「62mです」
「ならさっき言った通り、“個性”有りで投げてくれ。円からでなければ自由にしてくれて構わない」
「わかりました」
1:ヒロアカ陰陽師
皆さん、“個性”把握テストが始まるのでLIVEモードに切り替えますね。
2:名無しの転生者
お、ついにか。
3:名無しの転生者
イッチ頑張れよ!
4:縁柱ドンモモタロウ
そういや、B組の“個性”把握テスト見るの初めてだわ。
5:聖剣使いのプロブレーダー
俺も、前に他の掲示板でA組のは見たけどB組はまだないや。
6:竜舞ガブ
これも転生者掲示板の醍醐味やな。
原作じゃスポットが当たらんキャラクターの活躍が見れる……ええことやないか!
7:レジェンドプロデューサー
イッチ変に緊張しなくていいからな。
8:ペンギンストライカー
今回は参加できそうです。
B組の“個性”把握テストが見れるなんて貴重な体験ですよ。
9:名無しの転生者
ペンギンニキだ!
久しぶり!
10:ペンギンストライカー
皆さんお久しぶりです。
イッチ頑張ってくださいね!
11:ヒロアカ陰陽師
ありがとうございます。
それじゃあ切り替えますね。
12:転生者掲示板
LIVEモードに切り替えます。
掲示板から意識を戻した俺はブラドキング先生からソフトボールを受け取ると円の中に入った。腰のケースから霊符を取り出すと腕に呪装する。
「轟腕符……砕岩獅子!喼急如律令!」
「すげぇ!」
「派手だなぁ!」
「かっこいい!」
︎︎呪装した腕の感触を確かめながら、俺はソフトボールに呪力を込めると全力で投げた。
︎︎ボールは勢いよく飛んでいき、200m辺りで下降を始めた。
「だいぶ飛んだな」
「“個性”を使ったらやっぱすげぇ記録出るんだな」
「まだだ」
「え?」
︎︎ボールが下降し始めたことで次は自分たちと意気込んでいるクラスメイトに、俺の番がまだ終わってないことを伝える。
「み恵を受けても背く敵は篭弓羽々矢もてぞ射落とす……裂空魔弾!喼急如律令!!」
︎︎詠唱を終えるとソフトボールは下降をやめ更に上昇し飛距離を稼いでいく。
14:ペンギンストライカー
単純な肉体強化でボールを投げた後、裂空魔弾で更に飛ばす……考えましたね。
15:竜舞ガブ
魅せてくれたなイッチ!
16:名無しの転生者
このままトップ狙っちゃえよ!
17:縁柱ドンモモタロウ
イッチならいけるぜ!
18:聖剣使いのプロブレーダー
イッチならこのテストはうってつけだな。
19:レジェンドプロデューサー
この調子で頑張れ。
「今、見てもらったように“個性”を使って七種目に挑戦してもらう」
ブラドキング先生は計測器を皆に向ける。計測器には304mの数字が表示されていた。
「うおぉ!!面白ぇ!!」
「流石雄英!こんなことできるんだ!」
︎︎クラスメイトのテンションは一気にぶち上がる“個性”把握テストに真剣に取り組むだろう。ブラドキング先生が俺をわかりやすい手本として選んだことが理解できたから、派手にやったが効果は絶大のようだ。
【50m走】
「韋駄天符、飛天駿脚……喼急如律令」
「お、晴臣とか……よろしくな!」
「泡瀬かよろしく」
︎︎出席番号順で始まった“個性”把握テスト。一つ目の種目は50m走。脚に呪装した俺はスタートの合図を待つ。
『ヨーイ……START!』
「ッ!」
「ッ!?はっや!?」
『蘆屋晴臣……1.87秒』
︎︎計測をするロボの合図に合わせて、飛天駿脚で強化した脚力で50mを一気に走り抜ける。ゴールと同時にロボが記録を伝えてくれる。
「まぁ……こんなもんか」
「いやいや1秒だぞ!?もっとリアクションあるだろ!?」
「そうか?」
「俺だって負けねぇ!」
「こっちも速ぇ!?」
21:竜舞ガブ
やっぱイッチの独壇場になりそうやな。
22:ペンギンストライカー
まぁ予想はできてましたけどね。
23:レジェンドプロデューサー
だがクラスメイトだって負けてないぞ。
24:名無しの転生者
確かに!
25:縁柱ドンモモタロウ
あのカマキリみたいな子……確か鎌切尖だっけ?
足から刃物出して地面を滑ってるぞ!
26:レジェンドプロデューサー
鎌切尖、“個性”は“
27:名無しの転生者
レジェンドニキがナレーションみたいな解説を!
28:聖剣使いのプロブレーダー
まぁ適任ではあると思うけど。
29:竜舞ガブ
そうこうしてるうちにイッチは次の種目にいったで!
【握力】
「轟腕符、砕岩獅子……喼急如律令」
次の握力は強化した腕力で測定する。素の握力が約70kgだから呪装で強化すれば……。
「184kgか……もう少しいけたな」
「いやいやいや!100キロオーバーは充分すげぇよ!?」
「俺も負けねェ!!……85だァ負けた!?」
「鉄哲氏、私が仇を取りますぞ!」
「宍田!」
︎︎俺の記録を越えようと計測していた鉄哲が、俺に負けたことで頭を抱える。鉄哲の肩に後ろから手を置いた宍田が“個性”を使い測定する。
「ヌオォォッ!!」
「すげェ……」
「どうですかな!」
「250キロォ!?ヤベーぞおい!」
31:名無しの転生者
イッチが負けたァ!?
32:竜舞ガブ
宍田獣朗太……AB含めた増強型の中でもかなり優秀な“個性”やぞ。
体格、筋力、聴力、嗅覚、視力が大幅に強化される。攻撃力、防御力、機動力どれをとってもB組上位にくい込む実力の持ち主や。
33:縁柱ドンモモタロウ
オマケにタフネスも並大抵じゃねぇ……思わぬライバルの登場だな。
34:竜舞ガブ
イッチ気張りや!
35:名無しの転生者
……なんか勝ち負けの話になってない?
36:レジェンドプロデューサー
イッチ、勝敗は関係ないから自分のペースで頑張れよ。
37:名無しの転生者
次の種目ってなんだ?
38:名無しの転生者
確か……立ち幅跳びだったはず。
39:縁柱ドンモモタロウ
朱染雀羽があればなぁ……。
40:レジェンドプロデューサー
確か……十二天将の朱雀だったか。
41:ペンギンストライカー
えぇ。
作中で朱染雀羽は5000近くある陰陽術の中で唯一『飛行』を実現可能にする術です。
42:竜舞ガブ
甘いなぁ……イッチは俺とペンギンニキで作中に登場する全ての術を教えとる。
俺たちと距離を置いてた時も、ノートにまとめたそれで修行しとったんや……ならアレが使えるはずや!
43:ペンギンストライカー
あぁ……アレですね。
44:名無しの転生者
あれ?
45:名無しの転生者
もったいぶらず教えてくれよ。
46:竜舞ガブ
お楽しみは最後まで取っとくもんや。
【立ち幅跳び】
「先生、アイテムの使用は禁止ですよね」
「む?蘆屋は……あぁそういうことか。勿論、サポートアイテムを使った測定は禁止だが……“個性”の範疇ならアイテムを使ってもいいぞ」
「ありがとうございます」
念のためにブラドキング先生から許可を貰うと、俺は式神を召喚する。
「こい、ギュウ太郎」
「なんだ?」
「牛?……え、牛!?」
『モォーウ!』
「はいはい……お前は元気だな。4番を頼む」
『モォウ!』
︎︎牛型の式神に背負わせた鞄から二対の片手剣が射出される。片手剣を受け取った俺は腰のケースから霊符を一枚取り出す。
「
︎︎二対の片手剣に呪装すると、地面に突き立て詠唱を開始する。
「
︎︎詠唱を終えると片手剣を握る。詠唱によって片手剣は飛行機の羽の様な形状に変形し、ファンが高速で回転し始める。
「変形したぞ!?」
「あの形……まさか飛べるのか?」
「なんでもありじゃないか!?」
「先生……行きます!」
︎︎クラスメイトが驚く中、俺は両手に力を込めて一気に飛び出した。両方の片手剣が空気を取り込みジェットエンジンの要領で突風を作り出す。
「じゃじゃ馬が……ッ!」
︎︎その特性上、《黒虎》時代に数回しか修行出来なかった呪装のため、慣れない飛行に姿勢がブレてしまう。それでも必死に食らいついて何とか安定させる。
「蘆屋、その状態はどのくらい持つ」
「これだけなら数時間は維持できます」
「なら記録は測定不能とする。降りていいぞ」
「はい」
48:名無しの転生者
アレなんなんですか!?飛んでましたけど!?
49:名無しの転生者
さっき飛行を可能にする陰陽術は朱染雀羽だけって言ってませんでしたか!?
50:竜舞ガブ
飛行を可能にするのは朱染雀羽だけやで。
51:名無しの転生者
じゃあ……アレは?
52:竜舞ガブ
速く動いている剣に掴まってるだけや。
53:名無しの転生者
そんなんありぃ!?
54:ペンギンストライカー
ありなんですよ。
実際出来てるわけですしね。
55:レジェンドプロデューサー
この種目でイッチに並べそうなのは塩崎くらいか。
56:名無しの転生者
塩崎って確か茨の人でしたよね。
57:レジェンドプロデューサー
あぁ、茨のような毛髪を自在に操ることができる。
水と日光さえあればほぼ無制限に生えるぞ。
58:縁柱ドンモモタロウ
じゃあハゲないんだ。
59:名無しの転生者
また髪の話してる……。
60:名無しの転生者
は、ハゲてないんだからね!
61:名無しの転生者
誰も何も言ってないよ。
立ち幅跳びを終わらせた俺は続く、反復横跳びも飛天駿脚で圧倒した。
「やっぱり直線なら飛天駿脚はいいが……細かい機動となると少し速度が落ちるな」
︎︎飛天駿脚で反復横跳びを測定したはいいが、細かい動作が多い種目だったため思っていたより、記録は伸びなかった。
「いやいや、それでも200回は超えてたからな!?」
「欲を言えば300はいきたかったな」
「凄いなお前!?」
︎︎泡瀬と話しながら次の種目、ソフトボール投げを計測するために列に並ぶ。
「ん?蘆屋、お前はさっきのデモンストレーションで測ったから飛ばしていいぞ?」
「いえ、2回計測できるならもう一度やらせてください」
「まぁ構わないが……」
63:名無しの転生者
イッチは何をしようとしているんでしょうか?
64:竜舞ガブ
砕岩獅子+裂空魔弾の組み合わせ以外に記録伸ばせる方法があるんか?
65:ペンギンストライカー
強いて言うなら、腕の力の三倍ある脚に砕岩獅子を呪装して裂空魔弾で押し出すとかですかね?
66:レジェンドプロデューサー
……。
67:聖剣使いのプロブレーダー
ん?レジェンドニキ黙ってるけどなんかわかったのか?
68:レジェンドプロデューサー
いや、呪装ばかりに目がいっていたなと思ってな。
69:竜舞ガブ
呪装ばかり……あ、そうか!
70:縁柱ドンモモタロウ
え?なになにわかった感じ!?
【ソフトボール投げ】
「クロ、こいつをできるだけ遠くに運べ」
『カァー!!』
俺の番が回ってくると、鴉型の式神を召喚しソフトボールを持たせて遠くに飛ばす。式神はあっという間に小さくなってしまった。
「蘆屋……あれはどれだけ飛び続けられる?」
「込めた呪力にもよりますが……一時間はあの調子ですね」
「測定不能とする。戻ってこさせろ」
「はい」
「また測定不能……」
「もう驚かないぞ」
72:名無しの転生者
あぁ……そういうこと。
73:ペンギンストライカー
失念してましたね……不覚。
74:名無しの転生者
クラスメイトの顔……驚く程に呆れてるぞ。
75:竜舞ガブ
まぁ……B組の子らは対抗心は強いから、多分イッチとの差を知ってもバネにすると思うから……。
……ホンマに大丈夫やろか。
76:レジェンドプロデューサー
転生あるあるだな。
77:縁柱ドンモモタロウ
イッチの実力を知り、本来闇堕ちしないキャラがダークサイドに堕ちちゃうあれね。
78:聖剣使いのプロブレーダー
不謹慎なこと言うな!?
79:名無しの転生者
イッチ次の種目行っちゃったよ。
ソフトボール投げの次は、上体起こしと長座体前屈だ。
︎︎上体起こしは、体に飛天駿脚を呪装することでゴリ押した。支えてくれた宍田が、少し辛そうだったので、お礼にジュースでも差し入れようと思う。
︎︎次の長座体前屈は特に使えそうな術もないので普通に計測した。
81:名無しの転生者
上体起こし凄かったですね……。
82:竜舞ガブ
ブォンブォン鳴ってたもんな。
83:名無しの転生者
宍田くん……頑張ったね。
84:聖剣使いのプロブレーダー
ていうか……飛天駿脚って脚の呪装じゃなかったけ?
85:竜舞ガブ
本来は脚力強化の呪装やけど、原作主人公が腕に呪装して連打を叩き込んどったから、脚専用ってわけじゃないで。
86:ペンギンストライカー
術者のイメージ次第なところもありますからね。
斑鳩士門だって朱染雀羽の新形態を即興で編み出したりしてましたし。
87:名無しの転生者
なるほど。
88:竜舞ガブ
やっぱ長座体前屈は普通にしとったな。
89:名無しの転生者
それは他の転生者も似たようなもんだったし……。
まぁ、活かせるような特典持ちはあんまり見かけないのは確かだけどさ。
【持久走】
「これで最後か……タローいけるか?」
『ワンッ!』
狼型の式神を召喚すると、俺は式神の背に跨った。式神は俺を乗せて走ることができるのが嬉しいのか尻尾を勢いよく振っている。
『ヨーイ……START!』
「タロー行け!」
『ワンッ!!』
︎︎ロボの合図と同時に式神に指示を出し、一気にコースを駆けていく。飛天駿脚と違いカーブだろうが速度を落とすことなく走るタローは、瞬く間に一周を走り終え他のクラスメイトを抜かしていく。
「アレありかよ!?」
「アリだ」
「マジか!?」
91:名無しの転生者
やっぱりできることが多いと、こういったところで有利ですよね。
92:竜舞ガブ
イッチの場合は特にな。
原作で登場した術だけでも色んな状況に対応出来るからな……それにイッチだけの式神呪装もあるし、これからもっと隙がなくなるで。
93:ペンギンストライカー
これからの成長が楽しみですね。
94:名無しの転生者
まぁ掲示板の醍醐味ではあるけどさぁ……。
95:レジェンドプロデューサー
俺たちは見守ることしか出来ない……だからこそちゃんと見てやらないとな。
96:名無しの転生者
まぁそれはそうだけど……。
97:転生者掲示板
LIVEモードを終了します。
98:ヒロアカ陰陽師
“個性”把握テスト終了しました。
99:竜舞ガブ
おつかれイッチ。
100:レジェンドプロデューサー
お疲れ様。
「皆、“個性”把握テストご苦労だった、今から総合成績を発表する。今回の結果を見て落ち込む者もいるかもしれない……しかし、今の自分の実力や“個性”の限界、応用の幅を知ることができたと思う。これを糧に明日からも頑張って欲しい!」
「「「「「はい!」」」」」
︎︎ブラドキング先生はリモコンを操作し、ホログラムを投影させる。ホログラムには21人の順位が表示される。
「一位……」
︎︎自分の名前の隣に書かれた順位を見て、今の自分の力を改めて知る。
「一位だぞ!?もっと喜べよ!」
「そうだそうだ!お前が喜ばなきゃ俺たちだって喜べないんだぞ!」
「悪い……」
「謝んな!?俺たちが悪いみたいになるだろ!?」
︎︎泡瀬や回原が俺の反応にツッコミを入れる。そんな様子を見てクラス中に笑いが起きる。
「何やってんだか」
「でも、楽しいノコ」
「ね」*1
︎︎~晴臣!もっと笑えよ!~
︎︎風とともに懐かしい声が聞こえた気がした。先のことは分からないが、少なくとも