呪力は呪力でも呪力かよ!? 作:パンツ男
「それじゃ次の試合だ!『ヒーロー』はBコンビ!『敵』はAコンビだ!」
︎吹出漫我と拳藤一佳が『ヒーロー』で、小森希乃子と黒色支配が『敵』だ。敵チームの二人は先にビルの中に入っていった。
101:名無しの転生者
次の試合はどうなるかな!
102:竜舞ガブ
敵チームが小森と黒色……なんか読めたわ。
103:名無しの転生者
え?
104:縁柱ドンモモタロウ
あ、俺も。
105:名無しの転生者
ドンモモニキまで!?
106:聖剣使いのプロブレーダー
まぁ……うん。
敵チームの動きはなんとなくわかる。
107:レジェンドプロデューサー
小森希乃子……彼女の“個性”は“キノコ”。
周囲に胞子を放出し……あらゆるものにキノコを生やすことができる“個性”だ。
生やしたキノコは2時間から3時間ほどで消える。
108:竜舞ガブ
やから……。
109:名無しの転生者
なんだありゃ!?
110:名無しの転生者
ビル全体がキノコまみれに!?
111:竜舞ガブ
やっぱりこうなったか……。
「ビルがキノコまみれに!!?」
次の試合が始まるまでの間、スレ民たちのやり取りを眺めていたが、クラスメイトの声で現実に意識を集中させる。
「先生……あれいいんですか?」
「そうだね……後で4人にも伝えるけど、屋内戦において大規模な攻撃は、守るべき牙城の損壊を招く!それは敵としてもヒーローとしても愚策!」
「……でも小森のあれは攻撃じゃない……ただ、キノコを生やしただけだ。それに……核や味方には滅菌処理を施してるのか全く被害が出ていない」
「え?あ、ホントだ!」
「そして……あのキノコはただヒーローを足止めするだけの障害物じゃないな」
「それって……?」
「はいはい!皆!試合開始だ!この先は自分の目で見るんだ!」
113:名無しの転生者
障害物だけじゃないって……どういうことだ?
114:竜舞ガブ
黒色支配……“個性”は“黒”。
影や黒色に溶け込むことができ、黒色の中を高速移動可能や。
115:名無しの転生者
そうか!
あのキノコは黒色専用のショートカットになるのか!!
116:名無しの転生者
こいつはすげぇ!!
117:レジェンドプロデューサー
ヒーローチームが潜入したが、事前に小森が生やしたキノコせいで侵入に苦戦しているな。
118:名無しの転生者
やべぇ……キノコが邪魔でドアすら満足に開けてないぞ。
119:レジェンドプロデューサー
それだけじゃない……小森のキノコは人体にも生える。
長居すればするほど体の動きも阻害される。
120:名無しの転生者
めちゃくちゃじゃねーか!?
121:縁柱ドンモモタロウ
敵チームが有利なこの状況をひっくり返せる可能性があるとすれば……吹出だな。
「小森やべぇ!」
「核を探すにしても、敵を捕まえるにしても胞子まみれのビルを進むしかねぇ……」
試合開始から三分、ヒーローチームはキノコに阻まれながら何とか核と敵チームを探している。スレ民は吹出がこの状況を何とかできると言っていたがどうするのだろう。
「オノマトペ……」
「え?」
「あぁ……吹出の“個性”だよ」
「確か“コミック”だっけ?」
「発したオノマトペを具現化できる……って言ってたな」
123:名無しの転生者
ヒーローチームこれ勝てるか?
124:名無しの転生者
おい!あれを見ろ!
125:名無しの転生者
黒色がキノコの影を使って接近してきたぞ!
126:竜舞ガブ
わかっとったけど……二人の“個性”の相性はええな。
127:名無しの転生者
吹出の足を掴んだぞ!!
128:レジェンドプロデューサー
だが……吹出が咄嗟にオノマトペで光を出したことで、黒色が影から出てきた。
129:名無しの転生者
すげぇ!!
「黒色が出てきたぞ!?」
「なんでだ!?」
「あれだろ」
「あれ?」
キノコの影を移動していた黒色だったが、急に外に弾き出されモニタールームにいるクラスメイト達は驚いた。俺がモニターに映るそれを指は指す。
「ピカピカ?」
「吹出のオノマトペだ」
︎︎黒色の足下にオノマトペが具現化され、ピカピカと光っている。この光によって中に入っていた影が消え、外に出されたのだろう。
︎︎そこからは一瞬だった。弾き出された黒色が別の影に潜り込む前に、拳藤が巨大化した手で一撃で沈めた。
「拳藤強ぇ!!」
「一撃だぞ!一撃!」
︎︎黒色をテープで確保したヒーローチームは、インスピレーションが湧いた吹出がカラカラというオノマトペを具現化させ、ビル内を乾燥させていくことで、キノコがこれ以上生えないように対策した。更に既に生えているキノコも、オノマトペの影響で萎れてしまい障害物としての効果が半減してしまった。
131:名無しの転生者
すげぇ……あの状況を一瞬で覆したぞ。
132:竜舞ガブ
想像力次第でとんでもない力を発揮する吹出はすごいなぁ。
133:レジェンドプロデューサー
ヒーローチームが核を見つけたぞ。
核に影響が出ないように滅菌処理したせいで、キノコを生やすこともできず、捕まってしまったな。
134:名無しの転生者
拳藤相手にタイマンは厳しいって……。
「はい!第2試合終わったけど……誰がMVPかわかるかな?」
「はい」
「蘆屋少年どうぞ!」
2試合目が終わり、全員モニタールームに戻ってくる。今回も俺が発表する。
「まず、ヒーローチームから、あの不利な状況からよく頑張った思う。吹出の咄嗟の判断で、あの場で一番厄介な黒色を外に出し、キノコも無力化できた。拳藤も吹出が作った隙を逃さず黒色を捕まえていていいと思う」
「おう……なんか照れるな」
「なんかムズムズするね……」
「少なくとも、俺の中ではこれといった反省点はなかったと思う。次に敵チーム、最初のブッパは個人的にいいと思う。核と味方に影響が出ないようしっかり対策していたし、キノコ自体に攻撃力がないから建物が壊れることもない、それでいてヒーローチームの妨害としてこれ以上ない成果を出していた」
「えへへ……照れるノコ」
「だが、それ以降の立ち回りがダメだった。あの状況で一番厄介だったのは黒色だ。影が無数にあるあのビル内なら、ヒーローチームを不意打ちで倒すのではなく、核の安全を確保しつつ黒の中に潜伏しておくべきだった」
「うっ……それは、そうだな」
「積極的に攻めようとした意思は褒めてもいいが、状況を常に頭に入れておけ、必要な行動かどうかを考えろ。そして、敵チーム二人とも近接に対応できるようにしろ……最後に頼れるのは“個性”じゃなく鍛えた己の肉体だ」
「はいノコ」
「おう……」
「そういうわけで、今回の試合のMVPは吹出だと俺は思います」
「う、うん……何に対しても体は資本となるから、皆もこれを機に鍛えてみるといいね!そ、それじゃ次行ってみようか!」
︎︎オールマイトは冷や汗をかきながら、次の試合の組み合わせを決めるために抽選箱に手を入れた。
「次はDコンビが『ヒーロー』!Fコンビが『敵』だ!」
136:名無しの転生者
Dコンビは泡瀬と小大、Fコンビは凡戸固次郎と骨抜柔造だな。
137:レジェンドプロデューサー
今回はサポート向きの“個性”が固まったな。
138:名無しの転生者
泡瀬は触れたもの同士をくっつける“個性”で、小大が触れた物の大きさを自由に変えれるんだっけ。
139:名無しの転生者
凡戸は接着剤的なものを顔の穴から放出できて、骨抜は触れたものを柔らかくするんだったな。
140:竜舞ガブ
ほんでもって骨抜はB組の推薦枠の一人や。
“個性”だけやなく頭もええで!
141:縁柱ドンモモタロウ
作中でも、柔軟な対応をしていたぞ。
「それじゃあ!スタートだ!!」
オールマイトの合図で開始した第3試合、ヒーローチームが正面から潜入した瞬間。
「ありゃ?アイツら動かねぇぞ!?」
「床が不自然に白くないか?」
︎拘束に長けた2人が相手のため、警戒はしていたヒーローチームだったが、ビルのドアの近くに凡戸の“個性”が巻かれており、ヒーローチームは二人とも足が固まってしまった。トラップを警戒していたが、そればかりに注視し過ぎて足下が疎かになっていたのだろう。
︎︎泡瀬と小大はコスチュームのケースに入れていた物を使って何とか固まった接着剤を壊そうとするが、敵チームがそれを許すはずもなく、骨抜が地面を柔らかくして、2人を沈めて抵抗できなくしてから確保テープを巻き勝利した。
「瞬殺かよ……」
「やべぇ……」
143:名無しの転生者
マジかぁ……。
144:聖剣使いのプロブレーダー
あまりにも早すぎるぞ……。
145:竜舞ガブ
相手の死角にトラップを配置して、一瞬でケリをつけるとわなぁ。
146:レジェンドプロデューサー
骨抜と凡戸の作戦勝ちだな。
「というわけで!第3試合終わったわけだけど、やってみてどうだった?」
地上からモニタールームに戻ってきた4人にオールマイトが感想を聞く。
「骨抜のねぇプラン通りだったねぇ」
「そうかもな。でも凡戸の力あってだからさ」
「2人の“個性”を警戒して、仕掛けるなら部屋の中って思っちまった……足下まで気が回らなかった……」
「ん……」*1
「泡瀬少年!小大少女!今日の敗北は君たちにとってとてもいい経験になったはずだよ!反省を胸にこれからも励んで欲しい!」
「オールマイト先生……はい!」
「ん!」*2
︎︎オールマイトは落ち込んでるヒーローチームに声をかけ、教師としてフォローする。今日一番先生ぽいって思ったのは内緒にしておく。
「さて!次行ってみよーか!」
148:名無しの転生者
いやぁ……一瞬だったなぁ。
149:名無しの転生者
やっぱ推薦組は違うね。
150:名無しの転生者
それにしてもオールマイトが先生ぽいこと言えたな!
151:縁柱ドンモモタロウ
1試合目、2試合目はイッチに全部持ってかれたからな。
152:竜舞ガブ
次は……柳と庄田がヒーローチームで、鉄哲と鱗が敵チームか。
153:聖剣使いのプロブレーダー
これは激しい戦いになりそうだな。
154:レジェンドプロデューサー
庄田、鉄哲、鱗は戦闘向きの“個性”だからな。
他の試合より、正面戦闘が激しくなるだろう。
「それじゃあ!スタートだ!!」
オールマイトの合図でヒーローチームがビルに潜入する。今回もヒーローチームは一階から攻めて行くようだ。
「おい!?早速鉄哲が攻めてきたぞ!?」
︎︎敵チームの鉄哲が、鱗に核を任せてヒーローチームの前に立ち塞がった。鉄哲の性格から制限時間が過ぎるまで核の前で待つことができなかったのだろう。
︎︎しかし悪手というわけでもない。ここでヒーローチームを確保または留めておけば、敵チームの勝利となるからだ。鉄哲の“個性”なら二人を相手にしても充分勝てる見込みがある。
「鉄哲……二人を押さえ込んでるぞ!?」
「近接向きとはいえ……凄いな……」
「柳!危ない!」
「よかった……ギリギリ避けた」
156:名無しの転生者
鉄哲いっけぇ!!
157:レジェンドプロデューサー
鉄哲徹鐵……“個性”は“スティール”。肉体を金属化することができる、攻防一体の“個性”だ。
158:竜舞ガブ
小細工を嫌うまっすぐな漢やからな。
こういう形式の試合なら、速攻仕掛けるわな。
159:名無しの転生者
ヒーローチーム押されてるぞ!?
大ピンチじゃん!?
160:レジェンドプロデューサー
いや、そうでも無さそうだぞ。
161:名無しの転生者
え?
「鉄哲!?周り見ろ!!」
クラスメイトの誰かがモニターに向かって叫んだ。鉄哲の周りに瓦礫が浮かんでいる。
「あれは……?」
「最初こそ鉄哲の速攻にペースを持ってかれたが、ヒーローチームもそう簡単にはやられないさ。ヒーローチームを倒すことに集中してる鉄哲を誘導して壁や柱を破壊させたんだ……柳の武器を作るために」
︎︎柳の“個性”は“ポルターガイスト”。身近にある物を動かせる“個性”だ。その性質上、浮かせる物がないと意味がないが鉄哲を利用して武器を蓄えることに成功した。
「速っ!?」
「鉄哲の動きが止まったぞ!?」
「避けながら瓦礫に拳を当てていた。回避と同時に次の一手の準備をしていたんだ」
︎︎庄田の“個性”は“ツインインパクト”。打撃を与えた箇所に、任意のタイミングでもう一度打撃を発生させる“個性”だ。これにより“ポルターガイスト”で出せる速度以上で瓦礫を飛ばすことに成功し、果敢に攻めていた鉄哲の動きを止めることに成功する。
163:名無しの転生者
鉄哲を止めたぞ!!
164:名無しの転生者
“個性”の掛け合わせによるコンボ!
165:縁柱ドンモモタロウ
でも、あの瓦礫の弾丸も限りがあるぞ。
166:竜舞ガブ
庄田が行った!!
167:名無しの転生者
でも、庄田に瓦礫が当たることを危惧した柳が瓦礫を止めちまった……。
168:名無しの転生者
鉄哲と庄田のタイマンだ!?
「タイマンだと鉄哲の方が有利か……こりゃヒーローチーム不味くねぇか?」
モニターではまた鉄哲が庄田が追い詰めていく。先程、瓦礫攻撃を受けたからか庄田の誘いには乗らず、壁や柱を破壊しないように立ち回っている。
︎︎庄田も鉄哲に打撃を与え、“ツインインパクト”でペースを乱そうとするが、“個性”と根性で耐える鉄哲は二人を追い詰めていく。
「このまま終わっちまうのか……もう時間もそんなに残ってねぇぞ……」
︎︎クラスメイトもモニターの映像からヒーローチームの不利を悟る。それでもヒーローチームはなにか策があるのか、諦めずに鉄哲に向かっていく。
「柳が瓦礫を飛ばしたぞ!?」
「庄田が避けた!」
「でも鉄哲には……」
『鉄哲少年確保だ!試合が終わるまでその場で待機するように!』
「「「「「な、なんだってぇ!?」」」」」
︎︎オールマイトの突然のアナウンスに、モニタールームにいるクラスメイト、核の前で待機していた鱗が驚いた。
「なんでだ!?」
「アレだろ……柳は瓦礫と一緒に確保テープを飛ばしたんだ。さっきの攻撃で瓦礫は動きこそ速いが、自分を傷つける程度ではないと思ったんだろうな。顔を隠して受けることを選択した……それが鉄哲の敗因だ」
︎︎鉄哲を確保したヒーローチームだったが、鱗の待つ核の部屋に辿り着いた時には制限時間がそこまで迫っていた。近距離だけじゃなく中距離も対応できる鱗相手に、必死に食らいついていたが、健闘むなしく時間切れとなってしまった。
170:名無しの転生者
ヒーローチーム惜しかったなぁ……。
171:名無しの転生者
まさか鉄哲があそこまで粘るなんて思えへんやん……。
172:レジェンドプロデューサー
俺も驚いてるさ。
173:竜舞ガブ
まさかツインインパクトを顎に受けたのに倒れへんとはな……根性ある漢やで。
「それじゃ!今回の試合のMVPが誰か!わかる人はいるかな!」
「はい」
「またまた蘆屋少年……!」
オールマイトは冷や汗をかきながら俺を指名した。
「今回のMVPは……鱗だな」
「お、俺!?」
「まず、ヒーローチーム鉄哲相手によく戦った。このクラスでも近接において上位に位置する鉄哲を創意工夫して確保したのは素晴らしいと思う。鱗相手にも最後の最後まで諦めずに食らいついた姿勢も評価できる」
「ありがたい言葉……感謝する」
「なるほどねぇ……これはムズ痒いわ」
「ただ、鉄哲が攻めてきた時に一度ビルの外に出て別の箇所から侵入するのもありだったと個人的には思う。ヒーローは市民を助ける……逃げちゃダメだと思っているかもしれないが、一度立て直すのも作戦だ」
︎︎柳と庄田は俺の言葉を聞き考えるように下を向く。俺は視線を敵チームに移す。
「次に鱗。時間いっぱいまでよく核を守り通した。鉄哲がやられて動揺したと思うが、部屋に来た二人相手に数的不利をものともせず戦えていた。さっきも言ったけど今回のMVPは鱗だと思うよ」
「へへっ……ありがとよ」
「最後に鉄哲……最初の速攻についてはいいと思う」
「え!?そ、そうなのか……?怒られるとばかり……」
「ヒーローチームと2対1しても勝てると思って速攻を仕掛けたんだろ?それ自体は間違ってない……実際、ヒーローチームはお前に苦戦したんだからな。それに、実際の威力は分からないが、急所にツインインパクトを食らっても耐え抜いたその根性も良い」
「お、おう」
「ただ、ヒーローチームを倒すことに夢中で、敵の誘いにまんまとはまり武器を作ったこと、瓦礫攻撃が自分に大してダメージを与えないことによる慢心……この二点は致命的だ……気をつけろよ」
︎︎今回は訓練だが、本番じゃ待ったも寸止めもない。一瞬の油断が死に直結する……それに、自分の命だけで済むならまだマシな方だ。油断や慢心が原因で市民を危険に晒すなんてありえない。俺は鉄哲にしっかりと突きつける。
「おう……」
「以上です」
「う、うん……ま、まぁ鱗少年も硬い部分はあったけど……頑張ってたね!」
175:名無しの転生者
やっぱりね。
176:名無しの転生者
まぁそりゃそうなるわな。
177:縁柱ドンモモタロウ
はいはい、オールマイトの話はそれくらいにして次の試合について話そうぜ!
178:レジェンドプロデューサー
次は物間と宍田がヒーローで、取蔭と塩崎が敵だ。
179:名無しの転生者
なんだろう一番複雑な戦いしそうだよな。
180:聖剣使いのプロブレーダー
物間と取蔭がいるからな……2人ともブレイン的な立ち位置にいるし……。
181:名無しの転生者
ブレイン……?物間が?
182:竜舞ガブ
原作からは想像でけへんと思うけど……ブレイン寄りなのは確かやで。
「それじゃあ!第5試合スタートだ!!」
試合が始まる。敵チームはビル全体に塩崎の“個性”で伸ばした髪が広がっている。これでヒーローチームは、茨に触れようものなら、すぐに居場所を特定されて捕まってしまう。
「ヒーローチームはどう切り抜ける」
「参考までに晴臣はどうするんだ?」
︎︎“ツル”による索敵と捕縛を両立した敵チームを、ヒーローチームがどうやって攻略するのか見ていたら、横から回原が話しかけてくる。
「俺か?……俺なら、強引に突破するな」
「まさかのゴリ押し!?」
「実際それがいちばん手っ取り早いからな。襲ってくるツルをひたすら切り続けて相手のガス欠を狙う。あそこまで伸ばしてるんだ……消耗は激しいだろうな」
「よくわかるな……」
「“個性”は身体器官だ。走り続けると息が上がるように、限度はあるはずだ……少なくとも放出する系の“個性”はそれがわかりやすい」
「なるほどなぁ」
「ほら……ヒーローチームもそれがわかってるみたいだ」
184:名無しの転生者
宍田が暴れてるぅ!!?
185:名無しの転生者
ツルを引きちぎって強引に突き進んでる!!?
186:レジェンドプロデューサー
宍田のパワーならツルによる拘束も簡単に抜け出せるからな。
それにツルの辿れば塩崎の居場所がわかる。相手の作戦を逆手にとって敵の位置を知ることができたな。
187:竜舞ガブ
ただ敵チームもそれは承知の上みたいやな。
塩崎は二階の開けた部屋に1人でおる。
取蔭は最上階で核と一緒や。
188:縁柱ドンモモタロウ
どれだけ早く塩崎を確保できるかが勝負になりそうだな。
「あ!宍田の動きが止まったぞ!?」
試合開始から1分と少し、ツルを引きちぎりながら進み続けていた宍田が急に止まった。モニターをよく見ると、腰と足に何本ものツルが巻きついていた。Bクラスで最上位のパワーを持つ宍田でも、これはキツイようで物間をツルから離れた場所に投げた。
「宍田!」
︎︎物間を逃がした宍田は腕や体を縛られツルで編み込まれた籠の中に閉じ込められてしまった。
︎︎物間は宍田の犠牲を無駄にしないように、ツルを避けながら奥へ進んでいく。しかし、物間1人ではツルの包囲網から逃げられずあっという間に捕まってしまった。
「……」
「ヒーローチーム……このままアウトか?」
︎︎塩崎は物間の“個性”、“コピー”を警戒しているのか近づかずツルで拘束したまま、取蔭の元に向かった。
︎最上階の一室にいる取蔭と合流した塩崎は、確保テープを巻いてもらうよう頼んでいるようだ。取蔭の“個性”なら、距離が離れていても確保テープを巻くことができるからこの選択は正しいと思う。
︎︎だが
︎︎物間はこの程度で終わらない。いつコピーしたのか分からないが、塩崎の“個性”をコピーした物間は髪を伸ばし核に触れたのだ。
「ヒーローチームの勝利だ!!」
︎︎俺は物間の警戒度を上げた。
190:名無しの転生者
勝っちゃった!?
191:縁柱ドンモモタロウ
物間……ヤベー奴だぜ。
192:名無しの転生者
そりゃ自分の“個性”発動条件を話すわけないわな……。
193:レジェンドプロデューサー
宍田という切り札をあえて捨てることで、油断した相手の懐に潜り込み……勝負を決めたか。
やはり、敵に回すと厄介この上ないな。
……さて、これで全試合が終わったか。
194:竜舞ガブ
せやな。
195:名無しの転生者
次はやっとイッチの出番だ!
196:名無しの転生者
待ってました!!
197:名無しの転生者
頑張れよイッチ!
198:名無しの転生者
相手は誰になるんだろうな。
199:名無しの転生者
イッチなら誰が相手でも大丈夫さ!
200:名無しの転生者
ドンといけ!!
︎︎4人がモニタールームに戻っていく様子を眺めながら、俺は次の試合に向けてシュミレーションを始めるのだった。