呪力は呪力でも呪力かよ!?   作:パンツ男

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19スレ目

「さて!5試合目どうだった!蘆屋少年!君の目から見てMVPは誰かな!」

 

「塩崎だな」

 

「え?物間じゃなくて?」

 

 ︎︎試合が終わり4人がモニタールームに戻ると、講評の時間になる。俺が塩崎をMVPに選んだことで泡瀬が驚く。

 

「ヒーローチームだが……宍田が敵チームの塩崎に対抗出来るのにも関わらず、油断させるためにあえて捕まえさせたな」

 

「なんの事だい?」

 

「“個性”把握テストで宍田のフィジカルの強さは把握できた。あの程度の拘束なら抜け出せたはずだ……違うか?」

 

「むぅ……なんという観察眼……。いかにも、私なら先程のツルの拘束を抜け出すことは可能です。ですが物間氏の策で油断を誘うためにと」

 

「なるほどな……まぁ実際、敵チームは油断して物間に隙を突かれたわけだけど……それは訓練だからだ本番じゃ通用しねぇぞ」

 

 ︎︎宍田の話を聞き、今回のヒーローチームの策を理解した俺は物間の方を向き、目を合わせる。

 

「相手の油断を誘うこと自体については別に否定はしねぇよ。俺だってフェイントとか混ぜて隙を作ることはあるからな……でも、隙を作るために味方や自分を捨て駒にするのは違ぇだろ」

 

「ッ……」

 

「他に策が無くなった時に、最後の手段としてやる分には文句はねぇよ……だが、他の方法があったにも関わらず最初からそれをやるのは……卑屈にも程があるぞ」

 

 ︎︎入学式の後、物間と話した時に自分は脇役だと言っていたが、作戦立案にも影響が出ているのだろうか。

 

「敵チームはさっきの試合、しっかりと策を練り2人を警戒し続けた。勝ちが決まった瞬間、気が緩んだのは注意するところだが、それでもヒーローチームの作戦よりよっぽどいい。……以上だ」

 

 ︎︎俺の言葉にクラスメイトが静かになる。オールマイトもどう反応すればいいのか分からないのかオロオロしている。

 

「じゃあ……君は模範となるような立ち回りを見せてくれるんだね」

 

「そういう話じゃねぇだろ。今は試合の反省をだな」

 

「もちろん、反省はしてるさ……でも今までの試合で、君は結構ズバズバ言ってたよね。皆思ってるんじゃない……君は上手くやれるのかって」

 

「物間少年!?」

 

「オールマイト大丈夫です。……物間、それは挑発か?」

 

「挑発?違うよ……お手本を見せてって頼んでるんだ」

 

「いいぜ……乗ってやる」

 

 

 

201:名無しの転生者

乗るなイッチ!

 

202:名無しの転生者

戻れ!

 

203:縁柱ドンモモタロウ

ここ頂上戦争?

 

204:竜舞ガブ

落ち着いて見てみ。

イッチは挑発に乗ってへんで。

 

205:名無しの転生者

え?

 

206:竜舞ガブ

挑発に乗るまでもなく、手本見せるつもりやもんな。

 

207:レジェンドプロデューサー

だろうな。

あれだけズバズバと人に言うなら、反感を買うのも予想できていたはずだ。

イッチはそれ込みではっきりと言ったんだ。

 

208:名無しの転生者

じゃあ……挑発に乗ってるわけじゃない?

 

209:聖剣使いのプロブレーダー

むしろ乗ったフリでこれから始まる試合を有利に進めようと狙ってるぞ。

 

 

 

 

「ふ、2人ともその辺に……」

 

「大丈夫です。それより……エキシビションマッチの相手を決めてください」

 

「え……あ、うん。……そ、それじゃ!蘆屋少年に挑戦したいって子はいるかな!!」

 

「はい!はい!はい!俺がやるぜ!」

 

「おぉ、早かったね……じゃあ1人目は鉄哲少年!」

 

「おっし!」

 

 ︎︎険悪な空気に焦るオールマイトに、俺は落ち着いてエキシビションマッチの相手を決めるよう促す。鉄哲がまっさきに手を挙げ志願した。クラスメイトは他の様子を伺っているのか手を挙げない。

 

「じゃあ私やります」

 

「おぉ!拳藤少女!」

 

 ︎︎誰が行くのかと顔を見合わせるクラスメイトの中から、拳藤が手を挙げた。残る最後の一枠だが俺は物間の方を見る。

 

「物間……俺にあんなこと言ったんだ。残り一枠どうだ?」

 

「へぇ……首席ともあろうお方が、ムカついたから合法的に痛めつけようって腹積もりかい?」

 

「そんなわけねぇ。実際に一番近いところで見せてやるって言ってんだ……別にいいぞ、ここで見学しても」

 

「……オールマイト先生、最後は僕が行きます」

 

「も、物間少年……!?」

 

 

 

 

211:名無しの転生者

鉄哲、拳藤、物間対イッチか……。

 

212:名無しの転生者

近接2人とワイルドカード1人……イッチはどうやって勝つつもりなんだろう。

 

213:聖剣使いのプロブレーダー

あんまり言いたくないけど、現時点の3人じゃイッチには敵わないんじゃないか?

 

214:竜舞ガブ

ステータスやこれまでの経験だけ見るならイッチが勝つやろ……でもな、勝負ってのは何が起こるかわからへんで。

 

215:名無しの転生者

ガブリアスニキが言うから説得力が違ぇや。

 

216:レジェンドプロデューサー

俺たちは、最後までイッチを応援すればいいさ。

 

217:名無しの転生者

そうだな!

 

218:名無しの転生者

頑張れよイッチ!

 

219:縁柱ドンモモタロウ

油断せずに頑張れ!

 

220:竜舞ガブ

イッチの凄いとこ見せてくれ!

 

 

 

 

「抽選の結果!蘆屋少年が『敵』!鉄哲少年、拳藤少女、物間少年が『ヒーロー』だ!蘆屋少年は先にビルに入って準備を始めてくれ!」

 

「わかりました」

 

 ︎︎オールマイトから渡されたインカムを装着して、俺はモニタールームを出る。地上に上がると、試合会場となるビルに入る。

 

「まずは核の設置だな」

 

 ︎︎俺は核を持ってビル内を軽く散策する。一階、二階と構造を確認しながら、呪力を込めた霊符を貼っていく。時間も無駄にできないので、散策を切り上げた俺は三階の一室に核を設置する。

 

「七難即滅 七里離星……喼急如律令」

 

 ︎︎核に結界を張った俺は、続けて式神を召喚して守りを更に固める。

 

「タロー、ギュウ太郎は核を守れ。クロ、偵察を頼む」

 

 ︎︎狼型の式神(タロー)牛型の式神(ギュウ太郎)に核の警備を任せる。

 

『モォウ!』

 

「わかったから落ち着けって……今日は武器は大丈夫だ。そんな顔すんなよ……核を守れるのはお前らにしかできないんだからよ」

 

『モォーッ!』

 

『ワンッ!』

 

 ︎︎式神たちは嬉しそうに鳴くと、核の前に陣取りこれから来るヒーローチームを警戒し始める。

 

「クロお前はさっきも言ったけど外からヒーローチームの偵察を頼む」

 

『カァッ!』

 

 鴉型の式神(クロ)は元気よく鳴くと窓から外に飛び出していった。

 

「さてと」

 

 ︎︎核周りの準備は整ったので、今度は俺自身の準備を始める。コスチュームを着た状態での戦闘は初めてだから、軽くストレッチをして動きを確認する。

 ︎︎要望通り、伸縮性に優れどんな体勢でも楽に動かせる。腰のケースやその他備品もちゃんと揃っている。

 

「やるか……金剛符、轟腕符、韋駄天符、星動読符」

 

 ︎︎無地の仮面を装着し、腰のケースから霊符を取り出し呪装する。

 

「鎧包業羅、砕岩獅子、飛天駿脚、来災先観……喼急如律令」

 

 ︎︎呪装を終えると、仮面と同期させたクロの視界でヒーローチームの様子を伺う。作戦会議をしているようで特に警戒するような動きは見せていない。

 

 

 

222:名無しの転生者

……過剰戦力じゃね?

 

223:名無しの転生者

結界で核を守り、式神で人数差を埋める。

おまけに呪装で完全武装……。

 

224:竜舞ガブ

ヒーローチームはイッチをどう攻略するんやろな!

 

225:名無しの転生者

イッチをラスボスかなんかだと思ってます?

 

226:名無しの転生者

ヒーローチームからすればラスボスだろ。

 

227:縁柱ドンモモタロウ

だよな!

現時点のB組で、イッチに真正面から勝てるやつなんて存在しないわけだし。

 

228:聖剣使いのプロブレーダー

これが俺たちの贔屓じゃないのがまた……。

 

229:名無しの転生者

やべぇ……。

 

230:竜舞ガブ

褒めたらアカンけど、イッチはチンピラを中心に実戦経験を積んでるし、自分を追い込みまくって修行しまくりやから……単純な実力で測るなら、ヒーローチームの勝敗は火を見るより明らかやで。

 

231:縁柱ドンモモタロウ

この試合は物間がどう動くかじゃね?

 

232:名無しの転生者

たしかに鉄哲と拳藤は、搦手の無いゴリゴリの近接特化だしな。

 

233:レジェンドプロデューサー

2人もB組の中では上澄みなんだがな。

 

234:竜舞ガブ

相手が悪いわ……相手が。

 

 

 

 

「好き勝手言いやがって、誰がラスボスだ」

 

『蘆屋少年、何かあったのかい?』

 

「いえ、何でもないです」

 

『そうか……。初めての対人訓練に加えて人数不利もある、緊張するかもしれないが頑張ってくれよ!』

 

「はい」

 

 ︎︎インカムからオールマイトが話しかけてくる。スレ民にツッコム癖がポロッと出てしまった。変な奴と思われないよう気をつけよう。

 ︎︎オールマイトの言葉に返事をしながら、俺は階に向かって歩いて行く。そろそろ準備時間も終了し、試合が始まる。ヒーローチームは三箇所に別れて潜入をするみたいだ。

 

「でもなぁ……俺がそれを許すとでも?」

 

『エキシビションマッチスタートだ!!』

 

「七難即滅 七里離星……喼急如律令」

 

 ︎︎俺は、準備時間で予め呪力を込めた霊符を目印に、一階に大量の結界を張ることで、ヒーローチームの進行を妨害する。結界を避けて進めば、俺の目の前にある階段を登ってくるだろう。

 

「初手でビル全体を結界で覆うこともできたが、それじゃ試合もクソもないからな」

 

 

 

236:名無しの転生者

マジか……。

 

237:竜舞ガブ

相手の妨害と三箇所同時潜入を無力化しよった。

 

238:名無しの転生者

そんなんありかよ……。

 

239:聖剣使いのプロブレーダー

なんか霊符を貼ってるなとは思ったけど、こんな使い方をするとはな。

 

240:レジェンドプロデューサー

しかし、これはまずいな。

バラバラに動くことでイッチの意識を分散さようとしたんだろうな。

1対1になっても、他2人が姿を表さなければ意識がそちらに向く分、戦闘に集中できなくなるだろう。

 

241:竜舞ガブ

それにヒーローチームには鉄哲がおる。

“個性”と根性でイッチ相手に時間を稼げるかもしれんからな。

ヒーローチームは、三箇所に別れて潜入。鉄哲がイッチと戦闘を開始したら残り2人で核の回収に向かうって感じかもな。

2人がかりなら式神も倒せると踏んだんやろ。

 

242:縁柱ドンモモタロウ

ただこうなったらヒーローチームに残された手段は、結界を壊して強引に進むか、3人でイッチを倒すくらいしかないぞ。

 

243:竜舞ガブ

仮に壁を登って屋上辺りから潜入しようとしても、鴉型の式神にバレて撃ち落とされるやろうな。

 

244:名無しの転生者

隙がねぇ!?

 

245:名無しの転生者

イッチの発言からビル全体を結界で覆うこともできたんだ。

授業だからこの程度ってだけで、まだ上があるのおかしいよ……。

 

246:聖剣使いのプロブレーダー

ヒーローチームはここからどうやって勝利を掴むのか……頑張ってくれ。

 

247:名無しの転生者

とうとうヒーローチームを応援し始めちゃったよ。

 

248:竜舞ガブ

あ!ヒーローチームが階段登って来たで!

 

249:名無しの転生者

3人一緒か……やるんだな!?今……!ここで!

 

250:名無しの転生者

どっちも頑張れ!!

 

 

 

 

 ︎︎試合開始から数分、ヒーローチームが現れた。三箇所に分かれていたが、合流したのか3人で俺の前に立つ。

 

「遅かったな」

 

「誰かさんが熱烈な歓迎をしてくれたからね」

 

「サプライズだ……気に入ってくれたようで何より」

 

「アンタ、そんなこと言えるんだね……」

 

「物間!拳藤!一気に行くぞ!」

 

 ︎︎“個性”を使い全身を金属に変えた鉄哲が先陣を切って走り出した。2人も後に続く形で俺に接近しつつ、隙を見て核を狙いに行こうとしている。

 

「止みなん止みなん説くべからず、止縛法……喼急如律令」

 

「鎖ッ!?」

 

「いつの間にッ!?」

 

「お前らッ!?」

 

 ︎︎鉄哲の後ろにいた2人を止縛法で動きを封じる。突然の事で3人の意識がブレた。

 

「よそ見してていいのか」

 

「ッ!?重ッ……!!?」

 

「鉄哲!?」

 

 ︎︎2人に気を取られた鉄哲を、呪装で強化した腕で殴り飛ばす。咄嗟のことで踏ん張りが効かなかったのか、拘束された2人の間を転がり壁にぶつかる。

 

「物間……アンタ、とんでもない奴に挑発したね……」

 

「幾らなんでも無茶苦茶だ……」

 

 ︎︎エキシビションマッチ残り……11分

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