呪力は呪力でも呪力かよ!? 作:パンツ男
︎︎雄英体育祭当日
「ついにこの日が来たね」
「ね」*1
「どうせならコスチュームも着たかったね」
「他科との公平を期すために着用不可だぞ」
「わかってるよ」
︎︎B組の控え室、俺達はリラックスしながら、プレゼント・マイク先生のアナウンスを待っていた。
「皆、今いいか?」
「ん?」
「なんだ?」
「俺達はA組打倒を掲げて今日まで特訓してきた」
「おうよ!」
「負けねぇぜ!」
「あぁ、俺もそう思う。これから体育祭が始まるわけだが、昨日も言った通り本戦までは協力して勝ち残ると決めた。だが、これは強制じゃない」
「おう」
「予選から、A組やB組……その他の科を全力で相手したいなら俺達は止めない。悔いなく全力で体育祭に挑んでくれ……以上だ」
︎︎俺は伝えたいことを皆に話すと、ベンチに腰掛け精神統一を始める。
「皆、もうすぐ入場だって」
︎︎先生に呼ばれた拳藤が控え室に戻ってくる。外の観客席から歓声が聞こえてくる。皆、今日を楽しみにしているのだろう。
「よっしゃ!いっちょ円陣組むか!!」
「そうだね!」
「やろうやろう!」
「ん!」*2
「そうだな」
︎︎鉄哲の提案で俺達は控え室の中心に集まり、円陣を組む。言い出しっぺの鉄哲の合図で声を出した。
「行くぞ!B組!!」
「「「「「Plus ultra!」」」」」
『1年ステージ生徒の入場だ!!』
︎︎スピーカーからプレゼント・マイク先生の声が響く、歓声が更に大きくなり会場のボルテージは最高潮に達した。
『雄英体育祭!!ヒーローの卵達が我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!どうせてめーらアレだろこいつらだろ!!?敵ヴィランの襲撃を受けたにも拘らず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!』
︎︎やはり俺達の競争心を煽るためか、話題の中心となっているA組の紹介が入る。
『ヒーロー科!!1年!!!A組だろぉぉ!!?』
︎︎会場のあちこちから歓声が飛ぶ。A組は緊張しながらも入場していく。
『B組に続いて普通科C・D・E組……!!サポート科F・G・H組も来たぞー!そして経営科……』
「皆、体育祭が終わる頃にはこの歓声は俺達の物だ……行くぞ!」
「「「「「おう!」」」」」
︎︎あきらかに忖度された紹介に合わせて俺達は入場していく。1学年全クラスが入場し終わり、整列すると選手宣誓が始まる。
「選手宣誓!!」
「おお、今年の1年主審は18禁ヒーロー『ミッドナイト』か!」
「校長は?」
「校長は例年3年ステージだよ」
︎︎忘れるところだった、スレ民にもこの晴れ舞台を見てもらわないと、俺は意識を脳内掲示板に移しスレ民に声をかけた。
1:ヒロアカ陰陽師
お久しぶりです。
なかなか顔を出せずすみません。
2:名無しの転生者
お、イッチだ!
3:縁柱ドンモモタロウ
久しぶり!
4:竜舞ガブ
久しぶりやな!
イッチは無事やったか?
5:名無しの転生者
無事?
6:レジェンドプロデューサー
前スレがマスコミ侵入についてだったんだ。
敵襲撃事件について聞いているのだろう。
7:名無しの転生者
あ、そっか。
8:聖剣使いのプロブレーダー
ネタバレ防止の伏字になってないってことは、もう襲撃事件は終わったんだろうな。
9:名無しの転生者
えぇ!?イッチ大丈夫だったか!?
10:ヒロアカ陰陽師
俺達B組は事件当日、座学で教室にいたので何も無かったですよ。
11:名無しの転生者
あ、そうなんだ。
12:竜舞ガブ
なるほどな……てっきりAB合同でU・S・Jにおるんやと思ってたわ。
13:アサシンディケイド
そう思うのも無理はないさ。
事実、B組入りした転生者の場合、かなりの確率で最初の救助訓練でA組と合同になり、雄英襲撃事件に巻き込まれているからな。
14:名無しの転生者
へぇ……そうなんだ。
15:名無しの転生者
ディケイドニキだ!
16:レジェンドプロデューサー
イッチ、事件について何か聞いたか?
17:ヒロアカ陰陽師
いえ、【U・S・J】という施設で敵連合を名乗る敵集団が襲撃してきたことくらいしか、葉隠にも連絡してみましたが、A組の生徒たちが全員無事だったことくらいしか教えてくれませんでした。
18:レジェンドプロデューサー
なるほどな。
わかった……それで今日はなんの用だ?時期的に考えると体育祭についてか?
19:聖剣使いのプロブレーダー
あ!B組だから物間がA組を倒そうとか言ってるからどうにかしたいとかか?
20:ヒロアカ陰陽師
いえ、体育祭が始まるので一声かけに来ました。
21:竜舞ガブ
お!ありがとうな!
え?もう体育祭なん?
22:縁柱ドンモモタロウ
イッチ!?
襲撃事件から体育祭まで2週間くらいあったよな!?
23:ヒロアカ陰陽師
ありましたね。
打倒A組を掲げて、B組全員で特訓してたんで掲示板のことすっかり頭から抜けてて……すみません。
24:竜舞ガブ
いや、別に何も無かったみたいやし、イッチも特に問題なさそうならええねんで。
ただ、欲を言えば特訓も見たかったってだけで。
25:ペンギンストライカー
長らく顔出せてなかったんですけど!今どんな感じですか!!
26:名無しの転生者
ペンギンニキ!久しぶり!!
27:聖剣使いのプロブレーダー
ペンギンニキ!元気だったか?
28:竜舞ガブ
この前、GO3に入ったって言ってたよな?
新生イナズマジャパンにメンバー入りしたんか?
29:ペンギンストライカー
えぇ……有難いことに代表に選ばれました。
ただ、皆さんも知っての通り、新生イナズマジャパンのメンバーは殆どがサッカー未経験者なので……色々と大変で……。
30:名無しの転生者
あぁ……そうだった。
31:名無しの転生者
最初の方グダグダやったもんな。
32:レジェンドプロデューサー
それで?
今はどうなんだ?
33:ペンギンストライカー
まぁ色々あったんですが、とりあえずアジア地区予選の準決勝まで進みましたよ。
34:名無しの転生者
おめでとう!
35:縁柱ドンモモタロウ
おめでとう!
36:竜舞ガブ
おぉ!おめでとう!!
37:ペンギンストライカー
ありがとうございます。
それでなんですが、新技習得しました。
38:名無しの転生者
ついにか!!
39:レジェンドプロデューサー
確か1号ペンギンが嫉妬するから、他の技使えなかったよな?
40:ペンギンストライカー
はい。レジェンドニキの言う通りなんですが……同じ1号ペンギンを使う、ペンギン・ザ・ハンドを覚えました。
41:名無しの転生者
まさかのキーパー技!?
42:ペンギンストライカー
えぇ……自分でも驚いてます。
43:名無しの転生者
というかそれって……。
44:ペンギンストライカー
はい。井吹にめちゃくちゃ目の敵にされてます。
45:竜舞ガブ
あちゃー。
今の時期やとしゃーないか……。
46:ペンギンストライカー
はい……。
あと、1号ペンギンさえ使えばシュートじゃなくても力を貸してくれるみたいで……ドリブル技やディフェンス技を考案中です。
47:名無しの転生者
やっと皇帝ペンギン1号以外の技を使えるようになるんか。
48:名無しの転生者
というかそれはもっと早く気づくべきでは?
49:ペンギンストライカー
おっしゃる通りです。
今まで化身やアームド、ミキシマックスについていくのに必死で頭から抜けてました……。
50:竜舞ガブ
まぁ仕方ないわな。
GO1やGO2なら頼りになるチームメイトがおったから適材適所でいけたもんな。
GO3になってポジション以上の動きをせなあかんようになったからこそ気づけたんやろ。
FFIV2は化身、ミキシマックス禁止やから、無印に近い状態でインフレが落ち着いたからペンギンニキも新技を考える余裕ができたんや。
51:ペンギンストライカー
ガブリアスニキありがとうございます。
長々と話してすみません、それでイッチ今どういう状況ですか?
52:竜舞ガブ
せやった!
イッチもう競技始まっとるんか!?
53:ヒロアカ陰陽師
いえ、今から俺の選手宣誓です。
LIVEに切り替えますね。
54:名縁柱ドンモモタロウ
ありがとう!
全力で応援するぜ!
55:竜舞ガブ
俺達の全力の応援見せたるわ!
56:ペンギンストライカー
今まで顔出せなかった分!今日は精一杯応援しますね!
57:ヒロアカ陰陽師
皆さんありがとうございます!
俺頑張ります!
58:転生者掲示板
LIVEモードに切り替えます。
「選手代表!」
意識を現実に戻し、俺はミッドナイト先生の合図を待つ。ムチを鳴らし先生は俺の名を呼んだ。
「1-B!蘆屋晴臣!」
「あの人が首席……」
「アイツが……」
「クソがッ」
「かっちゃん以上の実力者……」
「あァ!?」
「
「てか目つき悪くね?」
︎︎呼ばれた俺は列を抜け、ミッドナイト先生の前に向かって歩く。色々言われているが気にしないでおこう。言いたいことはあるが、言葉でなくこれからの結果で黙らせるとしよう。
「宣誓!……我々選手一同は、この雄英体育祭に全力で挑むことを誓います!」
「ありがとう蘆屋くん」
60:聖剣使いのプロブレーダー
普通だな。
61:縁柱ドンモモタロウ
普通だな。
62:竜舞ガブ
普通やな。
63:レジェンドプロデューサー
選手宣誓は普通でいいだろう。
原作の爆豪がハズレ値過ぎるだけで……わざわざここで爪痕を残さなくても、イッチなら予選本戦で魅せてくれるさ。
64:アサシンディケイド
俺たちは応援に徹すればいいのさ。
65:フィジカルギフテッド石化中
その通り!
66:名無しの転生者
フィジギフニキ!?
67:名無しの転生者
またふらっと現れたな!?
68:フィジカルギフテッド石化中
いやぁ……ホントならもうちょっと前からこっちに顔出したかったんだけどね。
69:縁柱ドンモモタロウ
まさか……意識持っていかれかけたとか?
70:フィジカルギフテッド石化中
単純に別スレで盛り上がって遅刻した。
71:名無しの転生者
なんじゃそりゃ!?
72:アサシンディケイド
おいおいしっかりしてくれよ……。
︎︎選手宣誓を終え、朝礼台を降りた俺はクラスの列に戻る。物間は派手なスピーチを期待していたみたいだが、そういうのは俺のキャラじゃないのでやめて欲しい。
「それじゃあ!早速、第一種目に行きましょう!」
「雄英って何でも早速だね」
「所謂予選よ!毎年ここで多くの者が涙ティアドリンクを飲むわ!!さて運命の第一種目!!今年は障害物競走!!」
ミッドナイト先生がモニターを指す。そこには障害物競走と映し出される。
「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4キロ!わが校は自由さが売り文句!ウフフフ……コースさえ守れば
︎︎ミッドナイト先生の説明が終わり俺達はスタートゲートに集まる。スタジアムの外に近い場所は、少しでも差をつけたい生徒で溢れかえっている。俺達B組は通路の外でその様子を見つめる。
74:名無しの転生者
遂に始まるな!
75:名無しの転生者
イッチ……前に行かなくていいのか?
76:竜舞ガブ
B組はこの第一種目でA組の“個性”等を知るためにあえて下位を狙っとる。
別に心配せんでもええで。
77:名無しの転生者
そっか。
78:縁柱ドンモモタロウ
あれ?
なんか物間が近づいて来るぞ?
79:名無しの転生者
なんかあったのか?
80:レジェンドプロデューサー
作戦の最終確認か?
「晴臣ちょっといいかい?」
「なんだ?」
通路から少し離れた場所でストレッチをし、霊符を取り出して俺に物間が近づき、小声で話し始めた。
「晴臣……君にはこの種目で1位になって欲しい」
「何言ってんだ?最初の種目で大量に人を脱落させないだろうってことで、A組の“個性”の使い方を見るためにわざと下位を狙うって言ってたろ?」
「それなんだけどさ……体育祭だよ。僕たちB組が来たってことを知らしめるために、ドカンと派手に暴れて欲しいんだよ」
︎︎物間がシニカルな笑みで、イタズラを仕掛けるようにワクワクしながら俺に話す。
「他の奴はいいのかよ。俺だけ空気読めてないみたいだろ」
「B組全員から許可は貰ってるさ。鉄哲なんかは1位を目指す君に勝つって息巻いてたよ」
「……わかった。お前らがそう言ってくれるなら……全力で1位を目指してやる」
「ありがとう」
82:名無しの転生者
なんか……俺達の知らないところで仲良くなってない?
83:竜舞ガブ
体育祭に向けて特訓してたはずやし……多分、そこでやろうな。
見たかったなぁ……。
84:アサシンディケイド
ははっそう言うな。
特訓の成果を間近で見れるんだ。
85:竜舞ガブ
それはそうやけど……。
86:名無しの転生者
相変わらずガブリアスニキはイッチがお気に入りみたいやな。
87:聖剣使いのプロブレーダー
イッチ!1位目指して頑張れ!!
88:名無しの転生者
そうだぞ!!頑張れ!!
89:ペンギンストライカー
ベストを尽くしてください!!
90:レジェンドプロデューサー
ファイトだ!
91:竜舞ガブ
イッチ頑張れぇ!!
92:名無しの転生者
うるっさ!?
『スターーート』
「韋駄天符、金剛符、轟腕符……飛天駿脚、鎧包業羅、砕岩獅子……喼急如律令」
物間と分かれ、精神統一していると合図が聞こえた。俺は慣れた手つきで呪装をすると、強化された脚力で通路の壁を走り一気に最前に出る。
「七難即滅 七里離星……喼急如律令!」
︎︎最前列にいた生徒よりも早く、ゲートを抜けた俺は後続を妨害するために結界の詠唱を始める。
「いつの間に!?」
「悪いな……お先」
︎︎紅白頭の生徒を通り過ぎ、ぶっちぎりでスタートした俺は、ゲートを囲むように結界を張る。後続との差をつけるため脚に力を込めコースを走り出した。
「この体育祭……