呪力は呪力でも呪力かよ!? 作:パンツ男
騎馬戦……残り時間7分13秒。
「あんま煽んなよ物間!同じ土俵だぞ、それ」
「あぁそうだね。ヒーローらしくないし……よく聞くもんね。恨みを買ってしまったヒーローが敵に仕返しされるって話」
「おっ……おっ……おぉォォ……」
「爆豪落ち着け!冷静にならねぇとP取り返せねぇぞ!」
「おぉオオ……っし!進め切島……!!俺は今……すこぶる冷静だ……!!!」
「頼むぞマジで」
︎︎B組の物間ってやつに煽られて爆豪は、俺の頭をガンガンと叩き、怒りに震えている。蘆屋から狙いを変えて物間を親の敵を見るような目で睨みつけている。
「進めェ……!」
「おっしゃ!行くぞ皆!」
「しっかりしてよ~!爆豪!」
「冷静にな……冷静だぞ」
「わかっとるわァ!!」
「しまった!僕達のハチマキが!?」
「おッしゃ!ナイスだ塩崎!」
「これでよかったのでしょうか……」
「ルール違反はしてないからね、大丈夫だ塩崎」
︎︎僕達は1000万を狙わず、他のB組やA組のPを狙う作戦を立てた。僕らの初期Pは660、暫定3位だった。だからこそ、皆が狙うであろう1000万を無視して確実に次の種目に進めるように堅実にいこうとした。だが、B組の蘆屋くんが召喚した天狗に巻き込まれハチマキを奪われてしまった。
「鉄哲、俺達は暫定2位だ。このままいけば次の種目は確実に進める!」
「どうする?このまま逃げに徹するか?」
「ンなわけねぇだろ!晴臣にも挑戦するぞ!」
「だろうな……」
︎︎僕達のPを奪ったB組の鉄哲くんチームは、既に次の狙いを決め僕らから離れて行く。
「麗日さん……常闇くん……尾白くん……取り返すよ!」
「うん!」
「御意!」
「あぁ!」
「返せ!!」
︎︎僕らは鉄哲くんチームに向かって勢いよく走り出した。
「良い“個性”だね!」
「グッ!?」
「爆豪の“個性”……!?なんだよコイツ……」
「クソが!!」
「まぁ……僕の方が良いんだけどさ」
「またか!?」
︎︎B組の物間が爆豪を爆破する。爆豪は自分の“個性”を使われたことにキレて反撃するが、また俺の“個性”で防御される。
「コイツ……コピーしやがった」
「正解!まぁバカでもわかるよね」
︎物間の“個性”は、どうやってるかわかんねぇけど俺達の“個性”をコピーできるみたいだ。幾つコピーできるのかわかんねぇけど、“爆破”と“硬化”をコピーした物間を突破するのは難しそうだ。
「物間このままいけば確実に上位4チームに入るぞ!逃げきるぞ!」
「させないぞ!」
「凡戸!仕掛けてきたか!」
「何だこれ!?固まって動けねぇ!?」
︎︎物間チームが逃げようとした時、横から別の騎馬が乱入来てきた。B組の凡戸ってやつが顔から謎の液体を放ってきた。物間チームは回避したが、俺らは一歩出遅れて足を固められてしまった。
「ちょい待ち!私の“個性”で溶かすから!」
「早く!0Pだぞ早く!!」
「あ、怒らないでね。煽ったのは君だろ?教室でさ、なんだっけ?まぁいいや……今の君なら伝わるでしょ。それじゃおつかれ」
︎︎爆豪は物間に煽られた。今、爆豪がどんな顔してるのか分からないが、物凄く怒ってると思う。
「ば、爆豪……」
「誰がモブだと……舐めんじゃねぇ……完膚なきまでの1位をとって教えてやるよォ……!!」
「溶けたよ!」
「進めェ切島ァ!」
「わかったって」
「させないよぉ!」
「邪魔だァ!!」
「うわっ!?」
「ん!?」*1
︎︎爆豪は物間チームを追いかけながら、凡戸と呼ばれていたB組の男子の騎手からハチマキを奪い取る。
「そっちがクラス全体で俺らを潰そうってんならこっちもやってやるよ……オメェらハチマキは俺の物だァ!!」
「言ってることガキ大将と大差ないぞ……」
「うるせぇ!!」
︎︎今のところ1位の蘆屋ってやつの方に向かってる物間チームを追いかけながら、爆豪はとんでもねぇ顔ですれ違ったB組の騎馬からハチマキを強奪していく。爆破による煙幕で相手の視界を奪いハチマキを掴むと、取り返そうとした騎手を爆撃して怯ませる。その隙に距離を取って追撃を回避する。爆豪はとんでもない速さでB組からハチマキを奪い、物間を付け狙う。
「待ちやがれェ!!シニカルクソ野郎!!」
「待て待て先走んな!!」
「しつこいな……その粘着質はヒーロー以前に人として」
「勝手すなぁぁ爆豪!!」
「円場!
「てっ!」
「ハハ!見えねぇ壁だ!晴臣にだって負けねぇぜ!!」
︎︎俺の制止も無視して、爆豪は物間に向かって飛びかかった。物間は焦ることなくチームに指示を出し透明な壁で爆豪の奇襲を防ぐ。
「ッ!!」
︎︎だが物間達は甘く見ていた、爆豪の執念ってやつを。爆豪は透明な壁に掴まり、全力で右の大振りでぶち破りハチマキを奪取した。
『爆豪チームここで2本奪取で一気に順位を上げる!!』
「しまった!」
「大丈夫だまだ時間はある!」
「あぁ……このまま晴臣の方に向かい轟チームからハチマキを奪えばまだ4位以内には入れる!」
︎︎爆豪からハチマキを奪われた物間チームは、俺達の相手をするのをやめて、轟と蘆屋の方へ向かい出した。俺達と戦うよりも、蘆屋と協力して轟からハチマキを奪った方がまだチャンスがあると考えたのだろう。
「だから飛ぶ時は言えって!」
「でもまぁこれで通過は確実」
「まだだ!!!」
「はぁ!?」
︎︎爆豪は満足しなかった。B組や物間からハチマキを奪ったのにも関わらず、最後の1つを狙っているのだ。
「完膚なきまでの1位なんだよ!じゃなきゃ意味がねぇ!!」
︎︎爆豪が俺の頭を叩きながら、物間チームから最後のハチマキを奪うと意地を張る。
「さっきの俺単騎じゃ踏ん張りが効かねぇ……行け!!」
「俺らのPも取り返して1000万へ行く!!」
︎︎爆豪の言葉に俺達は触発された。ここまで来たら最後まで付き合うと、瀬呂も芦戸も決めたみたいだ。
「しょうゆ顔!テープ!!」
「瀬呂なっと!!」
︎︎瀬呂が物間チームの近くにテープを射出する。
「黒目!進行方向に弱めの溶解液!」
「あ・し・ど・み・な!」
︎︎芦戸が自分の名前をいいながら、“個性”を放出する。
「クソ髪……硬めろ!」
「切島な!さっき呼べただろッ!!」
︎︎俺が“個性”で全身を硬めて、物間チームの攻撃から芦戸と瀬呂を守る盾になる。
「行くぞ!!」
︎︎溶解液で滑る地面を爆破による押し出しで一気に加速する。ルートは瀬呂のテープで補われ、どんな攻撃も俺が全部防いでやる。
「なら最大硬度で!!」
「柔いんだよ!!!」
︎︎爆豪の大振りがバリアに突き刺さる。第一種目で蘆屋の結界を破壊した爆豪からすれば、円場のバリア程度じゃ相手にならないのだろう。バリアは簡単に砕け散り、爆豪はその勢いのまま物間の最後のハチマキを奪った。
『爆豪!!容赦なし!!』
「クマ野郎はどこだ!」
︎︎物間チームを下したのもつかの間、爆豪は蘆屋チームに狙いを定めた。
「5%デトロイトスマッシュ!!」
「効かねぇ!!」
「ッ!?そんなスマッシュが……!?」
『緑谷渾身のスマッシュが鉄哲に防がれた!!?』
︎︎鉄哲くんチームからハチマキを奪うために僕はスマッシュを打った。だけど鉄哲くんは体を金属のようにして簡単に防いでしまった。U・S・Jの一件で体が壊れないギリギリの威力なのに全く効いていない。
「甘ェよ!オメェの拳なんざ晴臣の一撃に比べりゃ軽いもんだ!!」
「ッ……!」
「ならば!行けダークシャドウ!!」
「アイヨ!!」
「させません!」
︎︎僕のスマッシュが防がれたことで、ダークシャドウによる中長距離からの攻撃で隙を突き、ハチマキを奪う作戦に切り替えるも、鉄哲くんのチームにいる女子が“個性”で防御し思うようにいかない。
「ッ……!俺と同じ中長距離主体の“個性”か」
「私と似た攻防一体の“個性”……ならば!」
「「より“個性”のポテンシャルが優れた方が制す!!」」
「ダークシャドウ!!」
「参ります!!」
『A組常闇とB組塩崎の“個性”が激突!!』
︎︎常闇くんのダークシャドウとB組の女子の“個性”がぶつかり合う。ダークシャドウの攻撃をツルが防ぎ、ツルの拘束をダークシャドウが引き裂く。
︎︎何度も攻撃と防御を繰り返すが互いに一歩も引かない激しい戦いになる。
「あなたの“個性”はその黒き獣に指示を出す必要があります。ですが私の“個性”にはそれがない!」
︎︎常闇くんのダークシャドウはツルに捕まる。ほんのわずかなタイムラグが拮抗状態を崩した。
「それ髪でしょ!だったら浮かせる!」
「無駄です。切り離しも可能ですから」
「そんな!?」
︎︎麗日さんがダークシャドウを拘束するツルに触れ浮かせるが、B組の女子は浮いたツルを切り離してまた攻撃に戻ってしまう。
「隙がない……!」
「近距離は鉄哲くんが、距離を取ればあの女子が……全距離対応なんてどうしたら……」
「デクくん!足が!」
「え!?」
「カッカッカッ、鉄哲と塩崎に気を取られて足下が疎かになってっぞ。鉄哲!晴臣のとこ行くぞ!」
「おう!」
『こいつァ!不味いことになった!!B組骨抜の“個性”で緑谷チーム行動不能!!』
︎︎鉄哲くんチームの“個性”で地面が柔らかくなったのか、僕らの足下がぬかるみどんどん沈んでいく。鉄哲くんチームは僕らが動けなくなったと判断して、晴臣くんチームの方に行ってしまった。
「緑谷!沈んでく!」
「ダークシャドウ!俺たちを持ち上げろ!!」
「アイヨ!」
「俺も手伝う!」
︎︎ダークシャドウが僕らを持ち上げ、尾白くんが尻尾を地面に叩きつけて上に押し出そうとするが、四人分の体重を持ち上げるとなると難しいみたいだ。
「私も手伝うよ!」
「麗日さん……でも使い過ぎたら」
「大丈夫やから!今は勝ち上がることだけ考えよ!」
「ありがとう麗日さん!」
︎︎麗日さんが“個性”で僕達を浮かせて、ぬかるみから脱出に成功した。
「麗日さん大丈夫……?」
「平気……!」
「緑谷もう時間が無いぞどうする?」
「他の騎馬のハチマキも殆ど取られてるぞ!」
「え!?かっちゃんか!」
︎︎脱出したのも束、A組もB組も殆どハチマキを失い、僕らが逆転するためには晴臣くんチームを中心とした激戦区に飛び込むしかない。
「常闇くん……」
「なんだ?」
「僕を持ち上げてダークシャドウをあそこまで届かせることってできる?」
「可能だが……まさか!」
「うん……あそこは激戦区だ……ハチマキを奪った瞬間別の騎馬に奪われるかもしれない……だからあの中のどれか一騎からハチマキを奪ってすぐに離脱する……これしかないと思う」
︎︎1位独走中の晴臣くんチームに轟くんチーム、かっちゃんチームに鉄哲くんチーム、激戦区には次に進めるだけのPを持った騎馬が集まっている。あそこからハチマキを奪えればワンチャンある。麗日さんをこれ以上無理させないためにも、奇襲からの即離脱が最適解だと思う。
「これしかないって……失敗したらどうするんだ!?」
「尾白くんの心配は最もだよ……だから……どうする?」
「やろう……!デクくん私信じるよ!」
「……ダークシャドウ!行けるな」
「任セロ!」
「……わかった!信じるよ緑谷!」
「ありがとう……皆!かっちゃんと轟くんが同時に攻めた時が最後のチャンスだ!」
「おう!」
「うん!」
「あぁ!」
「アイヨ!」
︎︎騎馬戦……残り時間1分43秒。