呪力は呪力でも呪力かよ!?   作:パンツ男

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38スレ目

「死ねェェェッ!!!」

 

 ︎︎BOOOM!!!

 

 ︎︎会場が揺れる。控え室のテレビでは柔くなった地面にに潜った骨抜を倒すために、爆豪が“個性”の最大火力と思われる大爆破でスタジアムを破壊した様子が映っている。

 

『爆豪スタジアムを大・爆・破!!!これには骨抜たまらず地上に出てしまった!!!』

 

「そこだなァ!くたばれェ!!」

 

「マジかよッ!?」

 

 ︎︎スタジアムの殆どが破壊され、強制的に表に引きずり出された骨抜は抵抗する間も無く、爆豪の爆破を受けて倒れてしまった。

 

「骨抜くん戦闘不能!爆豪くんの勝利!!」

 

『決まったァ!!爆豪圧勝!!これにより決勝戦は……蘆屋VS爆豪に決定だァ!!!』

 

 ︎︎俺は控え室のテレビを消した。スピーカーからスタジアムを修繕するため30分程時間を貰うと聞こえてきた。

 

(30分か……なら少しは回復できそうだな)

 

 ︎︎俺は背もたれに体重を預け瞳を閉じた。決勝戦が始まるまで呪力の回復に努める。

 

(ただでさえ回復が遅いんだ……少しも無駄にできねぇな)

 

 ︎︎二時間という睡眠時間のせいで俺は呪力の回復が遅い。轟との試合で燃費の悪い呪装を使ったせいで、俺の呪力は底を尽きかけ、塩崎との試合までに何とか戦えるまで回復させたが、それでも万全とは言えない。

 

(……荒治療なんて……ガラにもないことして……)

 

 ︎︎轟の目を覚まさせるために、不完全な呪装を使たことをボヤいていると扉が強く開かれた。

 

「あ?」

 

「ん?」

 

「あれ!?何でてめぇがここに……控え室…………あ ここ2の方かクソが!!︎︎」

 

 ︎︎控え室を間違た爆豪が一人で騒いでいる。俺は特に反応することなく、目を閉じて回復に務める。

 

「……ッ!……部屋間違えたのは俺だけどよぉ……決勝相手にその態度はオイオイオイ……」

 

 ︎︎俺が無反応だったからか、爆豪は怒りに身を震わせ近づいてくる。

 

「無視してんじゃねぇ!クマ野郎!!」

 

 ︎︎机を爆破しながら爆豪は声を荒らげた。扉もそうだが、学校の備品だしもう少し丁寧に扱うことはできないのだろうか。

 

「はぁ……お前は少し落ち着いたらどうだ?」

 

「あァ!」

 

「部屋を間違えたお前に声をかけたらキレるだろ?笑えばキレるだろ?俺はお前の性格を察して配慮したんだ。そしたらどうだ?お前はキレた……どうしてほしいんだ」

 

「勝手に配慮してんじゃねェ!」

 

「キレないと話せないのか?もういいだろ……俺は試合まで回復したいんだよ」

 

「ッ……!」

 

 ︎︎荒れる爆豪に俺は淡々と返し、部屋を出ていくよう促した。

 

「おい……次の決勝……半分野郎に使ったヤツ使えや」

 

「……総天無限腕のことか?」

 

「名前なんざどうでもいい使え」

 

「……無理だな」

 

「あァ!無理じゃねェ使え!」

 

「無理だ」

 

「いいから使えや!」

 

「いちいち説明しなきゃ納得しないのか?」

 

「あァ!」

 

「あの呪装は未完成だ、消耗は激しいし、想定した出力を下回っているし、使う相手を選ぶ……だから使わないと言っている」

 

「……つまりなにか……俺はお前の基準で使わない方がいいって判断してんのか」

 

「まぁそうなるな。轟は“個性”で防御できると思ったから使ったが……お前の爆破じゃ氷は砕けても炎は無理だろ」

 

「ナメてんじゃねェ!!」

 

 ︎︎俺が総天無限腕を使わない理由を説明したら、爆豪がキレた。ナメてるナメてない以前に今の呪力量じゃ使えないんだが、手の内を晒すのも嫌なのでそれっぽい理由を並べたが、爆豪は自分が弱いから使うに値しないと思ったようだ。

 

「本気じゃないお前相手に勝っても意味ねぇんだよ!」

 

「知らねぇよ」

 

「俺が求めてんのは完膚なきまでの勝利だ!出し惜しみされて勝っても……価値なんざねェ!!」

 

「……なんで俺がお前のために全力を出さなきゃならねぇんだよ」

 

「……は?」

 

「俺とお前は決勝戦を争う敵同士だ。なのになんでお前が気持ちいい勝利を収めるためにこっちが配慮しなきゃならないんだ?」

 

「……ッ!」

 

「もういいだろ……出ていってくれ……精神統一の邪魔だ」

 

「ッ……!ふざけんなッ!!」

 

「おぉい!?爆豪!なんでこんな所にいるんだよ!ほら控え室戻れ!」

 

「離せクソ髪!!俺はコイツに言わなきゃならェことがッ!!」

 

「相手の邪魔すんなって!……悪ぃな……蘆屋だっけ?爆豪はこっちで回収するからさ」

 

「……気にすんな」

 

「おう!」

 

 ︎︎引き下がらない爆豪だったが、自分の控え室にいないことに気づいたA組の切島に連れていかれ、部屋は静かになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

736:ヒロアカ陰陽師

爆豪に絡まれました。

 

737:名無しの転生者

いきなりだな……。

 

738:名無しの転生者

爆豪に絡まれた……あぁ。

 

739:縁柱ドンモモタロウ

原作だと轟の控え室に間違えて入ってきたアレか。

 

740:ペンギンストライカー

イッチが決勝進出したんで絡まれたんですね……お疲れ様です。

 

741:竜舞ガブ

爆豪になんか言われたか?

 

742:ヒロアカ陰陽師

総天無限腕を使えと。

 

743:レジェンドプロデューサー

まぁそう言われるだろうな。

俺たちが知る中でイッチの最大火力はあの呪装なわけだし。

 

744:ヒロアカ陰陽師

俺は使えない理由をちゃんと説明したんですけどね。

 

745:竜舞ガブ

それで納得するようなやつちゃうからな。

ちなみになんて言ったん?

 

746:ヒロアカ陰陽師

まず未完成の呪装だということを言った上で、消耗が激しい、想定より威力が低い、相手を選ぶと説明したらキレました。

 

747:聖剣使いのプロブレーダー

そりゃキレるだろうな。

 

748:アサシンディケイド

まぁ……イッチの言わんとしてることはわかるが……キレるな。

 

749:フィジカルギフテッド石化中

確かに相手を選ぶとは思うけど……それを言われて自分じゃ相手にならないって言われてると同じだし、まぁキレるよね。

 

750:レジェンドプロデューサー

それで爆豪はどうなった?

 

751:ヒロアカ陰陽師

キレて突っかかってきたんですけど切島が部屋から出してくれました。

 

752:名無しの転生者

切島くん慣れてるなぁ……。

 

753:竜舞ガブ

イッチ……間違いなく決勝戦、爆豪は荒れるで。

 

754:ヒロアカ陰陽師

でしょうね。

でも、それでいいんです。

本気の爆豪を圧倒してトッププロからの指名を獲得するつもりですから。

 

755:名無しの転生者

トッププロ……ってまさかイッチ!

 

756:ヒロアカ陰陽師

えぇ……職場体験で雛月寮で起きた事件を調べるためにより情報を持つ、ビルボードチャート10位以上のプロヒーローに近づこうと思ってます。

 

757:聖剣使いのプロブレーダー

イッチ……やっぱり……。

 

758:竜舞ガブ

イッチ頑張れ。

 

759:名無しの転生者

ガブリアスニキ!?

 

760:竜舞ガブ

イッチの気持ちは理解してるつもりや……復讐も含めてな。

せやから……後悔ないように頑張れ。

 

761:ヒロアカ陰陽師

……ありがとうございます。

 

762:竜舞ガブ

まずは決勝戦勝つことからやな。

 

763:ヒロアカ陰陽師

はい!

 

764:縁柱ドンモモタロウ

決勝戦はもうすぐ始まるのか?

 

765:ヒロアカ陰陽師

いえ、まだ時間があるのでギリギリまで回復に努めます。

 

766:縁柱ドンモモタロウ

そうか。

なら、しっかり休みな。

 

767:ヒロアカ陰陽師

はい、一旦落ちます。

 

768:名無しの転生者

おつかれ!

 

769:名無しの転生者

お疲れ様!

 

770:名無しの転生者

オツカーレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……そろそろか」

 

 ︎︎スレから離れた後、ギリギリまで回復に努めた俺はプレゼント・マイク先生の放送を聞き、椅子から立ち上がり体を伸ばす。

 ︎︎控え室の扉がノックされ、中に入っていいと言うと物間が部屋に入ってくる。

 

「お、いたいた。晴臣、そろそろスタジアムに向かった方がいい」

 

「物間か……応援に来てくれたのか?」

 

「僕だけじゃないさ……皆、晴臣を送り出そう」

 

「おぉ!」

 

「ん!」*1

 

「来ちゃった!」

 

「お邪魔しまーす!」

 

「ハーイ!」

 

 ︎︎物間が外に向かって呼びかけると控え室にB組全員が入ってくる。

 

「皆……」

 

「大勢で押しかけたら迷惑だと思ったんだけどね……物間がどうしてもって言って聞かなくてさ」

 

「拳藤……君だって乗り気だったろ」

 

「そりゃまぁ……友達を応援しに行くんだし……」

 

「物間、拳藤!時間無くなっちまうぞ!」

 

「そうだね……晴臣、頑張ってくれ」

 

「頑張れよ!」

 

「応援してる!」

 

「頑張るノコ!」

 

 ︎︎物間たちは口々に俺に頑張れと激励をくれる。俺は胸が熱くなり、顔が綻ぶのを隠すように皆に背を向けた。

 

「……ありがとな…………気合い入れてくれよ」

 

「……任せろ!皆!やろうぜ!」

 

「「「「「おぉ!」」」」」

 

 ︎︎照れ隠しに気合い入れを頼むと皆から良いのを貰う。強かったり優しかったり痛かったりこそばゆかったり……皆から激励を受け止めて控え室の扉の前に立つ。

 

「行ってくる!」

 

「君の優勝を信じてるよ!」

 

 ︎︎最後に物間からの激励を背中に受け、俺は控え室を出た。通路を歩いていくと観客の声が大きくなる、雄英体育祭の決勝戦だ。皆の期待も高まっているのだろう。

 

『待たせたな!!決勝戦始めてくぜ!!』

 

 ︎︎スタジアムに立ち、開始の合図を待つ。爆豪は険しい目つきで俺を睨んでいる。

 

『さァいよいよラスト!!雄英1年の頂点がここで決まる!!決勝戦!!蘆屋 ︎︎対 ︎︎爆豪!!』

 

 

 

771:転生者掲示板

 

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772:名無しの転生者

お、ついにか!

 

773:名無しの転生者

待ってました!

 

774:名無しの転生者

頑張れイッチ!!

 

 

 

 

『今!!START!!!』

 

 「死ねぇ!!」

 

『爆豪!開始早々蘆屋に突っ込んだ!!』

 

 ︎︎開始の合図とともに爆豪が“個性”を使って突っ込んでくる。開始早々、俺に霊符を使わせないつもりなのだろう。

 

「遅せぇよ」

 

「ッ……!ガッ……ハ……!?」

 

 ︎︎俺は爆豪の攻撃が当たる前に膝蹴りを食らわせる。速攻を対応され反撃を受けることを想定していなかったのか爆豪はノーガードで俺の蹴りが腹に突き刺さる。

 

『蘆屋!爆豪の攻撃を読んでいたのか手痛い反撃を食らわせたぞ!!』

 

「お前も塩崎も霊符を使わせないようしようって魂胆が見え見えなんだよ」

 

「速ぇ……ッ」

 

「あぁ……そういう事か……反撃は予測できていたが、俺の素の速度まで読めなかった感じか」

 

「黙れ!!」

 

 ︎︎痛みに耐えながら、爆豪は両掌から爆破し俺との距離をとる。

 

「ッ!死ねェ!!」

 

「……」

 

 ︎︎爆豪はまた接近してくるが、今度は俺の上を取り爆破で連撃を食らわせてくる。俺は冷静に腕で防御しつつ反撃の機会を伺う。

 

「ッ!守ってんじゃねェ!さっさとアレ使えや!!」

 

「使わねぇよ……現に使うまでもないだろ」

 

「死ねぇ!!」

 ︎︎

 

 

776:名無しの転生者

完全にイッチのペースだ。

 

777:竜舞ガブ

冷静さを欠いとるからな。

それでも爆豪を舐めたらアカンで。

 

778:ペンギンストライカー

爆豪のセンスは本物です。

イッチ気をつけてくださいね!

 

 

 

 

『蘆屋の上を取った爆豪!激しい攻撃を繰り出すが全て防御されてるぜ!!』

 

「そればっかか?芸がないな」

 

「黙ってろ!このクマ野郎が!」

 

「クマ野郎クマ野郎って蘆屋って呼べよ」

 

「ッ!」

 

 ︎︎俺は爆破の隙を突き、軽くジャンプすると爆豪の胸ぐらを掴んで地面に引きずり落とす。

 

「ッ……離せ!!」

 

 爆豪は爆破で俺の腕を剥がすとまた距離を取った。

 

「なんだ?またヒットアンドアウェイか?」

 

「……お前……体重何キロだ?」

 

「ん?67kgだが……それがどうした?」

 

「……重すぎる……俺の爆破で相殺できなかった」

 

「……人をデブみたいに言うなよ」

 

「……」

 

「なるほど……教えてやるよ」

 

 ︎︎爆豪の顔を見て、はぐらかすのも無理そうなので腰のケースから霊符を取り出した。

 

「こいつは怨枷滔滔(おんかとうとう)。自身に負荷をかけるトレーニング用の呪装だ」

 

「お前ッ!」

 

「そうだ。俺は俺の体重の約2倍の120kgを三年間絶えず己に課していた」

 

『なんということだ!?蘆屋の発言が本当なら……蘆屋はこの体育祭重りをつけた状態で好成績を納めていたことになるぞ!!』

 

「ハンデ有りで……1位獲ってましたってか……ふざけんなよ!!俺を舐めんな!!」

 

「舐めてねぇよ……俺は本気だ」

 

「ハンデあるくせに何が本気だ!!」

 

「だったら教えてやるよ……本気と全力の違いってやつをな」

 

 

 

780:名無しの転生者

イッチマジか!?

 

781:竜舞ガブ

いや……ある程度予想はしとったけど……そんなことしとったんか。

 

782:ペンギンストライカー

イッチの発言が本当なら187kgを三年間、己に課していたことになります。

 

783:名無しの転生者

それじゃ骨とかに異常がでるんじゃ。

 

784:竜舞ガブ

いや、それは大丈夫や。

怨枷滔滔は筋力、呪力増強のための呪装や。

自重を支えることで筋力を、自重で体が壊れないように調整することで呪力を強化してるんやと思う。

 

785:名無しの転生者

なるほど……。

 

 

 

 

「怨枷滔滔……解除」

 

 ︎︎印を結び怨枷滔滔を解除する。全身にかかっていた負荷が消え、体が楽になる。軽く体を伸ばし、首を回す。ストレッチをしながら、体の調子を確認し爆豪に向き直る。

 

「さぁこっから第2ラウンドの開始だ」

 

「舐めんじゃねぇクマ野郎!!」

 

「遅い」

 

 ︎︎軽くなった体は呪装をしなくても爆豪の速度に対応でき、激しい爆破を全て回避することができた。

 

「当たれェ!!」

 

「冷静になれよ」

 

「ガッ!?」

 

『蘆屋の蹴りが顎を捉えた!!爆豪!あまりの威力に吹っ飛ばされた!!』

 

 ︎︎軽く飛び爆豪の顎を蹴り飛ばす。爆豪は何度も地面を転がりながら場外ギリギリで踏み留まる。

 

「まだ倒れんなよ……ここからが本番なんだ」

 

「あァ……!」

 

「呪装ってのは元々の身体能力に+‪α‬するもんだ……つまり怨枷滔滔を解除したこの状態で呪装したら……どうなるかな?」

 

「……ッ!させねぇ!」

 

「おいおい……本気で来て欲しかったんだろ?お望み通りやってやるよ。鎧包業羅、飛天駿脚、砕岩獅子……喼急如律令!」

 

 ︎︎霊符を使わず全身に呪装を施す。爆豪は“個性”で一気に接近して妨害しようとしたが、一歩届かず俺は呪装を完了した。

 

「ほらよ」

 

「ガッ!?」

 

 ︎︎横腹を蹴り飛ばしまた爆豪はスタジアムを転がる。

 

「立てよ……まだ始まったばっかだぞ」

 

「クマ……野郎ッ!!」

*1:
やっほー!

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