呪力は呪力でも呪力かよ!? 作:パンツ男
︎︎体育祭の全ての競技が終わり表彰式に移る。俺たちは表彰台に立ち式が始まるのを待っていた。
「……」
「……」
「……」
「ンンッ!!ンッ!!!」
︎俺の隣に立つ爆豪は決勝戦の後、気を失っていたが起きて早々暴れだし式どころでは無いので厳重に縛られている。
「しまらねぇな」
「言うな」
︎︎表彰台には3位の塩崎、骨抜、2位の爆豪、1位の俺が立っており、表彰式の始まりを待っている。
「ンーンンッ!!!」
「何言ってるかわかんねぇよ」
「あぁ……鎮まりたまえ……」
「ンンンッ!ンンッ!!」
︎︎まるで危険な猛獣を扱うかのように、コンクリートの柱に鎖でグルグル巻にされ、腕には拘束具をつけた爆豪が暴れている。
「それではこれより!表彰式に移ります!!」
︎︎花火が打ち上がりミッドナイト先生の声が響き渡る。スモークと共に表彰台が動き地上に上がっていく。
「何アレ……」
「起きてからずっと暴れてんだとよ……」
︎︎スモークが晴れて暴れる爆豪を見たA組も、呆れているのか引いているのか様々な反応を示す。
「さぁメダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!!」
「私が!!!」
「メダルを持ってッ「我らがヒーロー!!!オールマイトォ!!!!!!」……来た……」
︎︎見事に被った。
837:竜舞ガブ
被ったな。
838:ペンギンストライカー
被りましたね。
839:縁柱ドンモモタロウ
ここはどの世界も共通だよなぁ。
840:アサシンディケイド
あぁ。
あまりに被るもんだから、被らないようにするチャレンジが転生者の中で流行ったほどだ。
841:名無しの転生者
えぇ……。
842:フィジカルギフテッド石化中
あったねぇ。
最近はそういった祭りみたいなのなくなっちゃったけど……楽しかったなぁ……。
843:アサシンディケイド
あの頃は転生者も少なく、掲示板もいつものメンツしか集まらなかったからな。
娯楽を求めて色々な催しを開催したものだ。
844:名無しの転生者
なるほど……。
845:レジェンドプロデューサー
今でも古参のスレ民がそういったことをやってはいるが……埋もれてしまっているな。
846:アサシンディケイド
転生者が増え、各々好きな作品の世界の掲示板に張り付いていたりするからな。
847:名無しの転生者
なんかちょっと寂しい気もしますね。
848:聖剣使いのプロブレーダー
まぁ……時代が進んでいるってことだろ。
それよりも転生者が増えている状況に俺はちょっと若者死にすぎじゃない?って思い始めているし……。
849:名無しの転生者
それは確かに……。
850:レジェンドプロデューサー
まぁ俺たち転生者が全員同じ時代に生きていた訳じゃないし。そもそも同一の世界線かどうかも怪しいしな。
851:名無しの転生者
確かに!俺平成!
852:名無しの転生者
自分は令和です!
853:名無しの転生者
昭和のおっさんが通りますよっと!
854:縁柱ドンモモタロウ
俺平成生まれ!令和育ち!
855:アサシンディケイド
俺が昔話をしたせいだが、そろそろメダル授与だ。
一旦落ち着こう。
856:名無しの転生者
はーい!
857:名無しの転生者
わかりました!
︎︎若干のトラブルはあったものの授与式は問題なく始まった。
「塩崎少女おめでとう!強いな君は!」
「ありがとうございます。……ですが、まだまだ上がいると知りました」
オールマイトは塩崎の首にメダルをかけて激励の言葉を贈る。
「そうだね。でも、君がこの体育祭で魅せてくれた実力はきっと皆が評価している。上には上がいる……その気持ちを忘れないようこれからも頑張ってくれ!」
「はい!」
︎︎オールマイトは塩崎の肩に触れこれからも頑張って欲しいと伝えると、次に骨抜の前に立った。
「骨抜少年!惜しかったな!」
「はい……」
「君の“個性”は拘束に特化している。確かに強い力だけどそれだけではダメだということを知っただろう」
「はい……近接も“個性”もまだまだ足りないです……」
「その気付きが大切なのさ!君自身が強くなれば取れる択も自ずと増えてくる!骨抜少年!君ははもっともっと強くなれる!」
「はい……!」
︎︎オールマイトは骨抜にメダルをかけ言葉を贈ると抱擁した。
859:名無しの転生者
オールマイトがめちゃくちゃ良いこと言ってる。
860:名無しの転生者
最初の授業とは大違いだぜ。
861:レジェンドプロデューサー
オールマイトと教師として成長してるということだほうな。
862:竜舞ガブ
塩崎に抱擁せぇへんかったのは配慮とかそういう感じやろか。
863:名無しの転生者
やっぱNo.1ヒーローも炎上は怖いんかなぁ。
864:レジェンドプロデューサー
まぁ誤解されるようなことをした時点で、不利になるからな。
こればっかりは仕方ないさ。
865:竜舞ガブ
お前ら……イッチの晴れ舞台に生々しい話すんなよ。
866:名無しの転生者
でもさぁ……。
867:縁柱ドンモモタロウ
ガブリアスニキは良いよなぁ。
ポケモンだし、そういう配慮とか考えなくていいんだろ?
868:竜舞ガブ
んなわけないやろ。
この前、シロナのガブリアスと一緒に飯食った時、たまたま背びれに当たっただけでげきりん打たれたんやぞ。
869:聖剣使いのプロブレーダー
それガブリアスニキ無事だったのか?
870:竜舞ガブ
根性で持ちこたえたわ。
871:名無しの転生者
さすが!
872:竜舞ガブ
まぁそういうことやから、どんな種族になろうが配慮が大切ってことや……ってちゃうねん!今はイッチやねん!
(何やってんだスレ民たちは……)
脳内で繰り広げられるスレ民たちのやり取りに呆れながら、授与式に集中する。骨抜の番が終わりオールマイトは2位の爆豪の前に立つ。
「さて爆豪少年!っとこりゃあんまりだ……おめでとう!」
︎︎オールマイトは爆豪の顔についている拘束具を取り外した。
「オールマイトォ……こんな順位に何の価値もねェんだよ!あんな試合ィ世間が認めても俺が認めねェ!!」
「顔すげぇ……」
(顔すげぇって言った)
︎︎怒りで目が吊り上がり鬼みたいな顔になった爆豪に、若干気圧されながらもオールマイトはメダルを渡す。
「うむ!勝負の世界において敗北により心が折れてしまう人がいる中、君は心が強いな!このメダル受け取っとけよ“傷”として!忘れぬよう!」
「要らねっってんだろうが!!」
︎︎爆豪はオールマイトから渡されたメダルの受け取りを拒否するが、抵抗虚しく口にかけられた。
874:名無しの転生者
爆豪は相変わらずですね。
875:ペンギンストライカー
まぁ基本はこうなるでしょうね。
876:縁柱ドンモモタロウ
完全燃焼した試合の方が少ないもんなぁ。
877:竜舞ガブ
せやな。
俺も爆豪が満足するような結果になった世界見たの片手で数えられるからなぁ。
878:名無しの転生者
少ない……。
「蘆屋少年!優勝おめでとう!」
俺の前に立つオールマイトが激励を贈る。
「ありがとうございます」
「凄かったよ!世間のA組に対する期待に負けず……ここまで優秀な成績を収めるなんてね!」
「……ありがとうございます」
︎︎オールマイトから金メダルを首にかけてもらい、抱擁を受ける。
「さァ!! 今回は彼らだった!! しかし皆さん! この場の誰にもここに立つ可能性はあった!! ご覧いただいた通りだ!!」
︎︎オールマイトは俺から離れると会場に向かって話し始めた。
「競い!高め合い!さらに先へと登っていく姿“次代のヒーロー”は確実にその芽を伸ばしている!!ってな感じで最後に一言!!皆さんご唱和ください!!せーの!!」
「「「「「プルス・ウル「お疲れ様でしたぁ!!!」ト、ラ……」」」」」
︎︎最後の最後で締まらないなぁ。
「そこはプルスウルトラでしょオールマイト!!」
「あぁいや……疲れたろうなと思って……」
880:竜舞ガブ
締まらんなぁ。
881:レジェンドプロデューサー
そういうな。
イッチお疲れ様。
そして優勝おめでとう。
882:転生者掲示板
LIVEモードを終了します。
883:ヒロアカ陰陽師
ありがとうございます。
884:名無しの転生者
いやぁ凄かった!
885:ペンギンストライカー
原作と違って表彰台はB組が過半数を占めてました!イッチの特訓が実を結んだと思いますよ!
886:ヒロアカ陰陽師
……俺だけじゃないです。
皆がそれぞれ頑張って……A組対策をしたからこの結果に繋がったんです。
それに俺は自分の指名のために皆を利用したにすぎません。
887:竜舞ガブ
素直に受け取っときや。
888:アサシンディケイド
理由はどうあれイッチは皆を強くした。
結果、原作以上にB組は注目を集めることに成功した。
889:レジェンドプロデューサー
そういうことだ。
利用したのかもしれないが、ちゃんとB組の皆にも利があった。
なら負い目を感じる必要はない。
890:ヒロアカ陰陽師
……わかりました。
891:竜舞ガブ
まぁ終わり良ければ全て良しってやつや。
イッチ優勝おめでとう!
892:ペンギンストライカー
そうですね。
イッチおめでとうございます!
893:ヒロアカ陰陽師
ありがとうございます。
894:縁柱ドンモモタロウ
優勝おめでとう!
しっかり休むんだぜ!
895:聖剣使いのプロブレーダー
そうだな!
ちゃんと休んで次備えろよ。
優勝おめでとう!
896:アサシンディケイド
優勝おめでとう。
いい試合を見せてもらった。
897:フィジカルギフテッド石か中
優勝おめでとうございます!
ワクワクした試合をありがとう!
898:名無しの転生者
皆さん……。
ありがとうございます。
899:レジェンドプロデューサー
俺からも改めて……優勝おめでとう!
900:ヒロアカ陰陽師
レジェンドニキ……ありがとうございます!
︎暗い部屋、生命維持装置に繋がれた男性が潰れた顔面をモニターに向け、静かに笑っている。
「……先生、なにか面白いことでもあったのか?」
「ドクター……テレビを見なよ」
「ん?そうか……今日は雄英体育祭じゃったな」
︎︎先生と呼ばれた男性は、近くにいた老人をドクターと呼びモニターを見るよう促した。モニターには雄英体育祭が中継されており、2人にとって懐かしい少年が映っていた。
「蘆屋晴臣……元気にしているようで良かったよ」
「おぉ……ワシが運営しとる施設とは別のところに移ったからのぉ……大っぴらに手出しできんかったが、こちらに連れてくるのか?」
「いや、彼が雄英にいるなら、いずれ僕たちと出会うことになるだろう……そうなれば、
「先生も趣味が悪いのぉ」
「酷いこといいなぁ……ドクター。僕はこれでも彼に感謝してるんだぜ?彼がいたことで僕らの想像をはるかに超える結果を得られたんだ」
︎︎男が口角を吊り上げ笑う。彼にとって蘆屋晴臣とは10年前も今も、自分たちに成果をもたらしてくれた存在だと、心にもない感謝を述べた。
「ドクター……
「既に安定しておる……今は活動に必要なエネルギーを求めて各自行動しておる。このペースなら夏までに対オールマイトを見据えた状態にまで到達するじゃろうな」
︎︎老人はタブレットに映る大量のデータを見ながら、男性の質問に答える。タブレットには雄英襲撃の際に、オールマイトと戦った脳無と呼ばれる怪人とは別のなにかについてのデータが大量にあり、今この瞬間もモニターしている。
「そうか……ならテストは彼に任せようかな」
「蘆屋にか?」
「あぁ……僕は優しいからね」
︎男はそう言うとテレビを消し、思い出したかのように老人に話しかける。
「そうだ……君の部下だったあの男はどうなったんだい?」
「あぁ……雛月寮を任せておったあいつか……既に居場所を特定しておる」
「3年かぁ……意外と持ったほうだね」
「先生が健在なら一瞬で見つけられたものを……」
「まぁいいじゃないか見つかったんだから……彼をどうするか聞いてもいいかい?」
「もちろん始末するさ……アイツの勝手な行動のせいでせっかく集めた優秀な“個性”が無駄になるところじゃったからのぉ」
「……なら、彼らに始末させるのはどうだい?」
「わかった……黒霧に頼んで彼らを連れ戻すとしよう」
︎︎ドクターと呼ばれた老人は男性のもとを離れてどこかへ行ってしまう。
「……蘆屋晴臣……君は彼らと再開した時、一体どんな顔をするのかなぁ……こんな顔になってしまったことが悔やまれるよ」
︎︎暗い部屋の中、男性の邪悪な笑い声だけが響き続けた。