結び目、交点
Node-less(造語)
交わらない。転じて、本来なら存在しなかったもの。
2人がかりで魔女に挑む。この時の私達は連携すれば何とかなる、そう思っていた。…しかしこの女は想像以上に強かった、いや乗っ取られていたと言うべきか。
「ごふっ…」
「え────」
「ちィ、狂気が漏れ出てたようですネェ」
愉悦の魔女を乗っ取っている狂気が、クレアの腹を貫いた──瞬間、私の脳裏に悪夢が想起される。
「ッ、ダメ!」
「咲夢…っ」
「今すぐ回復するから!息を整えて!死なないでクレア!」
「あぁ、俺、は死なねぇ…ッ!」
互いの霊力を融合させ、空いていたハズの風穴を何とか塞いだ。
「下がってて」
「スマン」
「…!」
私達の行動を見た魔女は驚愕していた。まるで信じられないものを見たかのように。
「まさかアレを覆すとは」
「予想外だった?」
「えぇ…視た限り今ので死ぬ運命でしたよ、彼」
「運命か。私はその言葉が嫌いだ」
「奇遇ですね、私もです…よッ!」
治したとはいえ調子を崩したクレアを下げつつ、魔女に応戦する。
「この能力は、人を見て発動するだけで大体の分岐が視える。様々な人の凡そ確定した運命が視えてしまうのです」
「…その結果擦り切れてこうなったと?」
「擦り切れて、その結果『深淵の狂気』とやらに魅入られこの有様ですね。愉悦を求めてるのは私ではなく狂気の方なのですが、如何せん見分けはつきません」
「自分ではなく狂気のせいにするのか…被害者面?」
そう言うと彼女は初めて表情を曇らせた。
「やはりそう見えますか…えぇ、そうかもしれません。しかし私なりにこうなった責任と罪がある。故に私は死んだら地獄に落ちるつもりです」
「無間地獄一択だろ」
「でしょうね……続けますよ」
「…!」
互いが霊力を練り、技を発動する。
「宵ノ明星X」
「落炎桜舞XI」
戦いは続く。
「…っ!」
目が覚める。今は…深夜1時。
「愉悦の魔女はどこに…いや、いる」
この部屋…でも別の空間にいるのを感じる。
「でも咲夢の霊力も感じる、どういうこと?」
「魔女の空間で戦っているのだろう」
「先生!?」
何故かセレスト先生が部屋に上がっていた。
「先程リート君の両親から連絡があってな、急いで来た」
「僕もいるよ」
「ドット…」
「嶺宮君は恐らくかの魔女から口止めをされていた、だから私達は気付けなかった…教師として不甲斐ない。だが…私が来たからには安心してくれ。むんッ!」
先生は霊力を練り、空間をこじ開けた。物理でこじ開けるのね、怖っ。
「嵐天旋華」
「イージスフォースIII」
互いに技を連発し、一進一退の攻防が続く。
「貴女の能力、破壊でしたっけ?優秀なものですね、私のと交換してほしいくらいです」
「分岐視なんてものはいらない」
「でしょうね」
攻撃の節々に狂気を感じる、しかし喋る彼女には何処か親近感を感じた。まるで私と似た性格のような、そのようなものを────
「ダメですよ」
「?」
「私はあくまで貴女の倒すべき宿敵。アーチ・ネメシスなのです…」
「…そうだった」
どうにかして狂気を祓いたいけど、殺す以外の選択肢はない。そう覚悟を決めた時だった。パリン、とガラスが割れるような音と共に何者かが空間に入って来た。
「「…!」」
「私の生徒に、何をしている。愉悦の魔女よ」
「えっ、クレア大丈夫!?」
「僕の技で回復させるよ」
先生、ドット、御兎の3人だった。援軍は非常に助かる。
「起きて、しまいましたか」
「…随分と人間味のある表情だね」
「コイツはヘイト稼ぎの為に行動してたらしいよ」
「言わないでくれますかァ…?」
ドットが技でクレアをほぼ全快まで回復させつつ、先生は私の前に立った。
「残りは私がやる。空原君は下がりたまえ」
「はい…」
私は御兎と戦線離脱し、先生は魔女に挑む。
「…久しぶりだな、御珠」
「馴れ合いはよして下さい、マーズ。あの頃の私ではもうないのです」
「狂気に魅入られた事か?私を頼ればよかっただろう、それとも視えてしまったか?」
「ッ……」
親しい間柄だったのか、彼女らは割と普通に会話している。
「えぇ、視えましたよ。貴女が私の目の前で串刺しにされてしまうのが」
「…はぁ。お前は何度言えば分かる───」
次の瞬間、拳が魔女の眼前に迫る。
「運命は覆せると!」
「っぐ!?」
「
先生の拳が顔面にめり込み、魔女はぶっ飛んだ。
「うわぁ…」
「世末開裂とは別ベクトルで受けたくない技だな…」
私は受けた事あるけど、とても痛かったよ。
「ふ、ふふっ…相変わらずのバ火力ですね。流石ゴリラ家系と言った所でしょうか」
「余裕そうに振る舞うのはやめろ」
「…バレてました?っマズい」
魔女から黒い瘴気が溢れ出る。これが狂気…?
「動くな、そのまま楽にしてやる」
「体が言う事を聞かないのですが───く!?皆さん離れて下さい!」
「何?「速く!」っ分かった!」
すぐ距離を取り、5秒後に衝撃波が発生した。アレは…
「あの衝撃波に巻き込まれると、強制的に深淵へ転移し狂気に魅入られる。ちなみにほぼ防御不能だ」
「それは…マズいですね」
衝撃波が収まりそこに戻ると、魔女から黒いオーラが分離していた。衝撃波と一緒に出てきたのかな?
『───!!』
「逃がしませんよ…私の人生を粉々にしておいて!」
それを魔女…いや、御珠さんが必死に止めている。辛うじて自分の身体に繋ぎ止めてる状態だ。
「マーズ!まだ間に合う、私を殺せェッ!」
『──』
「あぁ、行くぞ──」
「な!?」
狂気から弾が撃ち出され、先生に当たり強制転移された。そんな事も出来たのか、クソッ!
「彼女自身になら狂気対策があるハズです、すぐに戻るでしょう…しかし間に合いません。空原咲夢、貴女の破壊で!」
「了解───世末開裂IX」
黒い塊に能力込みの斬撃を放ち破壊する。どうだ───っ、少し残ってしまった!
『………』
「後は私が───御兎、そこを離れなさいッ!!」
「え!?」
『!』
「うわっ!」
ほんの少しだけ残った瘴気が御兎に入り込んでしまった。
「あ、あぁ…」
「私としたことが…畜生ッ」
「………」
御兎が白目を剥き、そこから黒い涙が零れる。
「アレは狂気に呑まれた者の初期症状です…空原咲夢、止めますよ」
「言われなくても」
「…」
涙が止まり、御兎は白目を剥いたままの真顔でこちらを向き、指を翳した。
「ミラービーム」
「っ、え─────は?」
光線は私と御珠さんの前で曲がり、ドットを避け……あれ?そこには誰がいたんだっけ?
「──あれ?」
「ッ、クレア!?しっかりしろ!」
あれ?おかしいな。
なんで?
なんでクレアのむねのむこうがわがみえるんだろう。
どうしてかな?
おかしいなぁ。
てっぽうにうたれるえんぎかな?
きっとそうだ、まちがいない。
それとも。
わたしにとうしのうりょくができちゃったのかな?
でもみればみるほど、あれ?
「クレアが、こわれちゃった」
ドサッ
あーあ気絶しちゃいましたか(愉悦の魔女並感)
深淵
〇〇に存在する溝、その奥深くにある。無間地獄など狂気や怨念に満ち溢れた場所につながってるからか、行くと対策がない限り自分も狂いだす。
深淵の狂気
名は体を表す。深淵に潜んでる狂気で、魅入られると致命傷などを受けるまで乗っ取られ続ける。魅入られる対象が強い程解呪しずらい。御珠は喋ることと動きを少し抑える事ぐらいしかできない。
クレア
どちらにせよ、ココで一度死ぬ運命である。残酷なり。
狂気御兎
本来なら存在しなかった。しかしハッピーエンドには必要。
5
次回もよろしくおねがいします。